計算ツール
化学食塩水料理中学入試

食塩水濃度 計算ツール|混合・希釈・蒸発・食塩追加の4モード、飽和度&海水比較つき

食塩水・砂糖水の濃度計算を、混合(A%とB%を混ぜる)・希釈(水を加える)・蒸発(水を飛ばす)・食塩追加の4パターンで一括対応。飽和判定(食塩26.4%)・海水比較(3.5%)・生理食塩水(0.9%)の基準線を同時表示し、料理の塩分管理、水産養殖の塩分調整、漬物・味噌・醤油の仕込み、化学実験、そして中学入試の食塩水問題にも活用できます。国立健康・栄養研究所「日本人の食事摂取基準」の減塩指針にも準拠した実務ツールです。

最終更新:2026-07-26/監修:計算ツールズ編集部

食塩水濃度 計算機

濃度計算の基本式

食塩水の濃度は質量パーセント濃度(w/w%)で表現されます。全質量に対する溶質(食塩)の質量比です。

濃度(%) = 食塩量(g) ÷ 食塩水全体(g) × 100

食塩量(g) = 食塩水質量(g) × 濃度(%) ÷ 100

水の量(g) = 食塩水質量(g) − 食塩量(g)

混合の式

2種類の食塩水を混ぜた場合、食塩量は加算保存、質量も加算されます。

混合後濃度 = (Aの食塩量 + Bの食塩量) ÷ (Aの質量 + Bの質量) × 100

希釈・蒸発の式

水を加える(希釈)または水を蒸発させる(濃縮)場合、食塩量は保存され、水量だけ変化します。

新濃度 = 元の食塩量 ÷ 新総質量 × 100

例:10%食塩水200g(食塩20g・水180g)に水100gを加えると → 20/(200+100)×100 = 6.67%

食塩追加の式

食塩を追加した場合、食塩量と総質量の両方が増えます。

新濃度 = (元の食塩量 + 追加食塩) ÷ (元の質量 + 追加食塩) × 100

4モードの使い分け

本ツールで対応する4パターンの使い分けを整理します。

モード入力用途例
混合(mix)Aの濃度・質量、Bの濃度・質量異なる濃度の食塩水を配合、既存2液体の合成
希釈(dilute)元の濃度・質量、加える水量濃い食塩水を薄める、味の調整、規定濃度への調整
蒸発(evaporate)元の濃度・質量、蒸発する水量煮詰めて濃度を上げる、天日塩の製法、加熱調理
食塩追加(add-salt)元の濃度・質量、追加する食塩量物足りない味を濃くする、養殖水の塩分調整

身近な溶液の濃度早見表

日常・産業で使う水溶液・体液の塩分・糖分濃度を一覧化。生活実感と数値のリンクを確認できます。

液体・食品濃度備考
真水0%純水・水道水
血液(NaCl換算)約0.9%血漿の浸透圧に等価
生理食塩水0.9%点滴・傷洗浄の標準
スープ・味噌汁0.8-1.0%減塩目安・厚労省推奨
ラーメンスープ1.2-1.8%塩分過多の代表
浅漬け2-3%短期保存向け
海水(平均)3.5%塩分34-36 PSU
沖縄・伊良部島3.4-3.5%日本沿岸の平均レベル
紅海4.0-4.2%蒸発量多く高塩
ぬか漬け(古漬け)5-8%本格塩漬け
塩鮭(甘塩)3-4%甘口塩漬け
塩鮭(辛塩)8-10%保存性重視
味噌10-13%白味噌〜赤味噌
梅干し(伝統)18-20%長期保存用
しょうゆ(濃口)16-17%JAS規格
しょうゆ(減塩)8-10%50%減塩表示品
食塩飽和水溶液(25℃)26.4%これ以上溶けない
死海の水30-33%ほぼ飽和状態
砂糖水(飽和25℃)67%糖度Brix67°
はちみつ糖度80%相当糖の過飽和液

食塩の溶解度と温度依存

食塩(塩化ナトリウム NaCl)の水への溶解度は温度にほとんど依存しないという特異性があります。砂糖・硝酸カリウムなど多くの物質は温度で溶解度が大きく変わるのに対し、食塩は0-100℃の範囲で26-28%とほぼ横ばいです。

温度飽和濃度(%)水100gに溶ける食塩(g)
0℃26.3%35.7 g
10℃26.3%35.8 g
25℃26.4%35.9 g
40℃26.7%36.4 g
60℃27.1%37.1 g
80℃27.5%38.0 g
100℃28.1%39.1 g

このため、食塩の再結晶精製は温度差でなく水を蒸発させるのが原則。天日塩・釜炊き塩・立釜塩などの製法は、太陽熱または加熱で水分だけを飛ばして結晶を得ます。日本の伝統的な製塩業(赤穂・行方・沖縄)もこの原理です。

料理での塩分濃度基準

料理の塩分は「素材の重量に対する塩の重量%」または「汁物の総重量に対する塩%」で管理します。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では成人の食塩摂取目標を男性7.5g未満/日、女性6.5g未満/日と定めており、家庭料理の塩分管理は健康維持の要です。

汁物・スープ(0.8-1.0%)

味噌汁・清汁・ポタージュの標準。だし600mLに塩5-6g、または味噌大さじ1(約18g、塩分12%相当で2.16g)。減塩志向なら0.7%(塩4g/600mL)まで下げても薄すぎない。

浅漬け(2-3%)

野菜500gに対して塩10-15g。1晩置いて水分が抜けたら食べ頃。3%以上にすると硬く保存性向上、1%以下だと発酵が進み酸味が出ます。

肉・魚の下味(1-1.5%)

ステーキ・魚のソテー・鶏の唐揚げの下味。肉200gに塩2-3g(小さじ1/2弱)。表面全体に塩をふり15分置くと、浸透圧で水分と旨みが引き出されます。

パン生地(1.5-2%)

強力粉500gに塩7.5-10g。塩はグルテン形成を助け、発酵を安定化させる不可欠成分。減らすと生地がだれ、多すぎるとイースト活性が落ちます。

糠床(4-8%)

米糠1kgに塩120g(12%)で仕込み、野菜を入れると水分で薄まり4-8%で安定。この濃度で乳酸菌が繁殖し、雑菌を抑えて発酵。塩を減らしすぎるとカビ・腐敗が発生。

スパゲッティ茹で塩(1%)

水1Lに塩10g。パスタに下味をつけつつ、麺のコシを守ります。「海水並みの3%は入れすぎ」というのが料理界の定説。1%で十分効果あり。

漬物・発酵食品の塩分

発酵食品では塩分濃度が微生物選択の生殺与奪を握っています。乳酸菌(耐塩性中程度)・酵母(耐塩性強)・雑菌(耐塩性弱)を選別する働きです。

食品塩分発酵の主役
キムチ(浅漬け)2-3%乳酸菌(初期)
ザワークラウト2-2.5%乳酸菌
ぬか漬け(初期)4-6%乳酸菌・産膜酵母
ぬか漬け(古漬け)6-8%乳酸菌
白味噌5-7%麹菌・酵母
信州味噌11-13%麹菌・酵母
豆味噌(八丁)10-11%麹菌
醤油(濃口)16-17%麹菌・酵母・乳酸菌
魚醤(いしる・しょっつる)20-25%好塩菌
塩辛10-20%魚介自身の酵素
梅干し(伝統)18-20%クエン酸・塩による殺菌
梅干し(減塩)8-15%要冷蔵・カビ対策必須

生理食塩水・医療用溶液

医療現場では塩分濃度と浸透圧が細胞の生死を分けるため、極めて厳密な濃度管理が行われます。日本薬局方(JP18)で正式規格化されています。

溶液名NaCl濃度用途
生理食塩水(等張)0.9%点滴・傷洗浄・血液の代替
低張食塩水(1/2生食)0.45%脱水・電解質補正
高張食塩水3%または5%低ナトリウム血症の緊急補正
リンゲル液0.85%+K/Ca外科手術・熱傷
乳酸リンゲル液0.6%+乳酸アシドーシス補正
ハートマン液0.6%+電解質細胞外液補充

0.9%は血漿浸透圧(約290 mOsm/kg)と等しいため、赤血球が破裂も萎縮もせず点滴で安全に投与できます。0%(純水)を静脈注射すると赤血球が溶血するため、絶対禁忌です。

水産養殖の塩分管理

魚介類は生息環境の塩分に適応しており、養殖では正確な塩分濃度管理が生存率を左右します。海水魚は塩分3.4%前後、淡水魚は0.05%以下、汽水魚(スズキ・ボラ・ウナギ)は0.5-2%が目安。

海水魚の閉鎖循環養殖

マダイ・ヒラメ・クロマグロ等の陸上養殖では、人工海水を3.4-3.5%(比重1.023-1.025)で維持。塩分が下がれば追塩、上がれば真水補給。日本水産・極洋・マルハニチロなど大手が展開。

汽水域(ウナギ・スズキ)

ウナギ養殖池では0.3-0.5%の低塩(体液調整の負担軽減)、稚魚時期には海水成分を段階的に切り替え。塩分ショックで大量斃死するため慎重な調整が必要。

観賞魚(海水・淡水)

海水魚水槽は比重計で1.020-1.023(3.0-3.4%)を維持。淡水魚に塩を微量(0.5%)加えて病気予防する「塩浴」も一般的技法。金魚・グッピー・ベタで応用されます。

ロブスター・カニ生育輸送

活魚輸送タンクは3.3-3.5%を維持。長距離輸送で蒸発すると塩分上昇→浸透圧ストレス→死亡につながるため、蒸発補水と塩分計測が輸送業の生命線。

中学入試の食塩水問題

食塩水は中学受験算数の頻出テーマ。以下の3型が定番です。

基本型

「10%の食塩水200gに水を加えて5%にしたい。何g加える?」
食塩量=200×0.1=20g、目標総量=20÷0.05=400g、加える水=400-200=200g

混合型(てんびん算)

「5%と15%の食塩水を混ぜて8%を作る。比率は?」
差の逆比:15-8=7、8-5=3 → 5%を7、15%を3の質量比。5%が140g、15%が60g混ぜれば計200gで8%達成。

蒸発型

「6%の食塩水300gから水を蒸発させて10%にしたい。何g蒸発?」
食塩量=300×0.06=18g、必要総量=18÷0.10=180g、蒸発量=300-180=120g

受験対策では、当ツールで各パターンを試して解答検算に使えます。市進・浜学園・早稲田アカデミー・SAPIXなど大手塾の教材にも頻出。

よくある間違い・注意点

  • 「食塩水」と「水」の質量を混同 — 濃度%は「食塩水全体」に対する食塩の割合。「水100g+食塩10g」は総量110gなので濃度=10/110=9.09%であり10%ではありません。分母の取り違えが最頻の誤り。
  • 希釈で水量を加算しすぎる — 10%を5%にしたい場合、水を「同量足す」は正解ではありません(元200g+水200gなら濃度は5%正解)。しかし10%を1%にしたいなら水を9倍(1800g)加える必要あり。倍率で考えるとミス防止。
  • 飽和濃度(26.4%)超えでも計算だけ通す — 26.4%を超える濃度は「計算上は成立」しますが、実際には溶けきらず沈殿。この状態を「過飽和」といい、料理・調製では意味を持たない値です。ツールでは⚠️警告表示。
  • 食塩とNaClの区別 — 一般料理の「食塩」は塩化ナトリウム(NaCl)95-99%+にがり(MgCl₂等)や添加物。学術・医療計算のNaClは純粋な塩化ナトリウム。微妙な濃度差が生じます。
  • 体積%と質量%の混同 — 食塩水濃度は通常「質量%(w/w)」ですが、アルコール度数は「体積%(v/v)」。単位の混同は致命的な誤差の元。密度が水と大きく違う場合は特に注意。
  • 塩分表示の減算換算ミス — 食品成分表の「食塩相当量」はナトリウム(Na)量から NaCl換算(Na×2.54=NaCl相当)。単体Naで書かれた栄養表示を食塩とそのまま比較すると2.54倍の誤差。
  • 温度上昇による体積膨張の無視 — 高温では水の密度が下がるので、200g/L基準(質量ベース)と200mL基準(体積ベース)で数%ずれます。厳密な計算では温度指定必須。

参考文献・公的資料

栄養・水質・水産・医療現場での塩分管理を正確に行うには、以下の公的資料を参照してください。

※本ページの計算結果は概算値です。医療用溶液・輸液・生理食塩水の調製、水産養殖の塩分管理、公的な栄養表示等では、厚生労働省・日本薬局方・水産庁などの最新公式基準を優先し、有資格者(薬剤師・栄養士・水産技術者)の判断を仰いでください。特に低ナトリウム血症・高血圧症・腎疾患等の医学的判断では必ず医師にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

食塩水濃度は「重量%」と「体積%」どちらが正しい?

食塩水では通常「質量パーセント濃度(w/w%)」を使います。食塩10g+水90g=10%は質量%表記。アルコールは体積%(v/v%)、ガスは体積%またはppmが標準で、単位系を混同すると濃度誤差になります。医療・化学分析では明示的にw/wと書く習慣です。

海水はなぜ3.5%が基準?

世界の海水は塩分濃度3.4-3.6%(平均3.5%)、比重約1.025で長期的に安定しています。淡水流入・蒸発・海流循環の平衡で決まっており、氷河融解などで局所変動はあるものの平均値は数千年単位で一定です。塩分の主成分はNaCl(85%)、MgCl₂・MgSO₄・CaSO₄・KClなどのミネラルも含みます。

食塩の飽和濃度(26.4%)を超えるとどうなる?

26.4%を超える食塩は水に溶けきらず、底に沈殿します(過飽和状態)。加熱しても100℃で28.1%までしか上がらないため、通常の料理・実験の温度域では26-28%が上限です。この性質を利用して「天日塩」「岩塩」の再結晶が行われます。

味噌汁の適塩は1.0%と聞くが、これで十分?

1.0%は「おいしい塩分」と「健康塩分」の境界。日本高血圧学会・厚労省では0.8-0.9%を推奨。0.7%まで下げても「だし」がしっかり利いていれば物足りなさは感じません。逆にラーメンスープは1.5-1.8%と非常に高く、汁全部飲むと1杯で5-8gの食塩摂取になります。

「食塩相当量」と「ナトリウム量」は同じ?

異なります。食塩相当量(g) = ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1000。食品ラベルにNa 400mgと書かれていれば、食塩相当量 = 400×2.54/1000 = 1.02g。栄養表示基準(食品表示法)では食塩相当量表示が原則ですが、輸入品や古い表示ではNa表記の場合もあり、換算計算が必要です。

10%の食塩水200gを1%にするには水を何g加える?

食塩量 = 200×0.10 = 20g。1%にするには総量 = 20÷0.01 = 2000g必要。加える水 = 2000-200 = 1800g。10倍希釈は水を9倍(元量の9倍)加える計算になります。中学入試の頻出パターン。

5%と15%の食塩水を1:1で混ぜると何%?

質量が同じなら単純平均で10%。ただし体積が同じでも密度差があるため質量比は微妙にズレます(高濃度食塩水は密度大)。厳密には (5+15)/2 = 10%は近似で、真の値は9.9-10.0%程度になります。中学入試では単純平均で正解。

塩を減らして料理する場合の代替は?

減塩の工夫:①だし旨みを強く(かつお・昆布・干し椎茸)、②酸味を活用(酢・レモン・トマト)、③香辛料(こしょう・山椒・唐辛子・ハーブ)、④香ばしさ(焼き・ロースト・炒め)、⑤カリウム塩の代替品。ただしカリウム塩は腎疾患の方には禁忌なので医師相談を。

生理食塩水を家庭で作れる?

理論上は「精製水500mL+食塩4.5g」で0.9%ですが、雑菌繁殖・不純物混入のリスクがあり、点滴・傷口には使えません。市販の滅菌済み製品(コンタクト洗浄液・生食水)を使用してください。鼻うがい程度なら家庭作成でも大きな問題は起きにくいですが、必ず沸騰・冷却した水と精製塩で。

ナトリウム減塩塩(半分塩)はどう作られる?

塩化カリウム(KCl)を塩化ナトリウム(NaCl)の代替として50%まで置換した製品。Na摂取量が半分に、Kが同時に摂れて高血圧予防に有効ですが、腎疾患・不整脈のある方は高K血症リスクがあり要注意。医師・薬剤師相談を。

塩水消毒はなぜ効く?

高濃度の塩(10%以上)では、細菌の細胞内水分が浸透圧で外に引き出され死滅します(塩浸透圧殺菌)。梅干し・塩鮭・味噌の長期保存性の原理。0.9%(生理食塩水)は殺菌力なし、うがい程度の消毒は温度・機械的洗浄が主な効果です。

「にがり」を入れると何が変わる?

にがりは海水を煮詰めて塩を取った後の残液で、主成分は塩化マグネシウム(MgCl₂)。豆腐凝固剤として大豆タンパク質を固める作用があり、精製塩と天然塩の味の違いはこのマグネシウム・カルシウム含有量が主因。栄養面ではミネラル補給に微量寄与。