計算ツール
化学モル物質量受験

モル 計算ツール|分子量・質量・物質量の3要素から相互変換、粒子数・気体体積つき

化学のモル(mol、物質量)計算を、分子量・質量・モル数の3要素から相互変換。代表的化合物の分子量プリセット、アボガドロ数(6.022×10²³個/mol)による分子・原子数換算、標準状態(STP)気体22.4L換算、mmol/μmol変換を1画面で表示します。大学入試・共通テスト・薬剤師国家試験・危険物取扱者試験・分析化学・医薬品開発・食品分析・工業化学の実務と学習に必須。2019年SI改定でアボガドロ定数(6.02214076×10²³)が定義値化された最新定義に準拠しています。

最終更新:2026-07-26/監修:計算ツールズ編集部

モル 計算機

モルの定義と基本式

モル(mol)は物質量の国際単位系(SI)基本単位。「6.02214076×10²³個の要素粒子(原子・分子・イオン)を含む集団」と定義されます(2019年SI改定)。従来の「¹²C原子12gに含まれる原子数」から、アボガドロ定数を厳密な定義値とする方式に変更されました。

物質量(mol) = 質量(g) ÷ モル質量(g/mol)

質量(g) = 物質量(mol) × モル質量(g/mol)

分子・原子数 = 物質量(mol) × アボガドロ数(6.022×10²³)

標準状態の気体体積(L) = 物質量(mol) × 22.4 L/mol (STP: 0℃, 1気圧)

3つの相互変換

質量・モル数・分子量の3変数のうち2つが分かれば残り1つが求まるのがモル計算の基本。当ツールは3パターン(モル→質量・分子量→、質量→モル・分子量→、分子量→モル・質量→)の全計算を1画面で対応。

アボガドロ数と粒子数

アボガドロ数 N_A = 6.02214076×10²³ mol⁻¹。物質1モルに含まれる要素粒子の数を表す定数で、19世紀イタリアの化学者アメデオ・アボガドロにちなんで命名。2019年のSI改定で「定義値」となり、実験誤差のない完全な整数として扱われるようになりました。

物質量粒子数(概算)身近な例え
1 mol6.022×10²³ 個米粒6千垓粒(地球全表面を数十mの厚さで覆う量)
0.1 mol6.022×10²² 個
1 mmol (0.001 mol)6.022×10²⁰ 個
1 μmol (10⁻⁶ mol)6.022×10¹⁷ 個
1 nmol (10⁻⁹ mol)6.022×10¹⁴ 個核酸・微量分析
1 pmol (10⁻¹² mol)6.022×10¹¹ 個受容体・抗体の測定
1 fmol (10⁻¹⁵ mol)6.022×10⁸ 個質量分析・シングルセル解析

気体のモル体積(22.4L)

気体では物質の種類にかかわらず1molあたりの体積が同じという「アボガドロの法則」があります。標準状態(0℃、1気圧=101.325 kPa)で22.4 L/mol、室温(25℃、1気圧)では24.5 L/molです。理想気体の状態方程式 PV=nRT から導出されます。

条件温度圧力モル体積 L/mol
標準状態(STP)0℃(273.15 K)1気圧(101.325 kPa)22.414
IUPAC標準状態(1982〜)0℃100 kPa22.711
室温状態25℃(298.15 K)1気圧24.466
体温37℃(310.15 K)1気圧25.446
燃焼室(車エンジン)2000℃10気圧約18.7

例:水素2g(1mol)は標準状態で22.4L、二酸化炭素44g(1mol)も22.4L。分子量が違っても体積は同じという不思議な性質。ただし理想気体近似で、実在気体では若干のずれがあります。

主要化合物の分子量早見表

受験・実務で頻出する化合物のモル質量。1mol秤量時の目安に使えます。

化合物化学式分子量 (g/mol)1mol秤量
H₂O18.0218.02 g
二酸化炭素CO₂44.0144.01 g
酸素O₂32.0032.00 g
窒素N₂28.0128.01 g
水素H₂2.022.02 g
ヘリウムHe4.004.00 g
アンモニアNH₃17.0317.03 g
メタンCH₄16.0416.04 g
塩化水素HCl36.4636.46 g
塩化ナトリウムNaCl58.4458.44 g
水酸化ナトリウムNaOH40.0040.00 g
硫酸H₂SO₄98.0898.08 g
硝酸HNO₃63.0163.01 g
炭酸カルシウムCaCO₃100.09100.09 g
炭酸水素ナトリウムNaHCO₃84.0184.01 g
水酸化カルシウムCa(OH)₂74.0974.09 g
グルコースC₆H₁₂O₆180.16180.16 g
スクロースC₁₂H₂₂O₁₁342.30342.30 g
エタノールC₂H₅OH46.0746.07 g
酢酸CH₃COOH60.0560.05 g
過マンガン酸カリウムKMnO₄158.03158.03 g
硫酸銅五水和物CuSO₄·5H₂O249.68249.68 g

モル関連単位換算表

単位記号mol換算用途
キロモルkmol10³ mol工業化学・化学工学
モルmol1 molSI基本単位
ミリモルmmol10⁻³ mol臨床検査・分析化学
マイクロモルμmol10⁻⁶ mol生化学・薬理学
ナノモルnmol10⁻⁹ mol核酸・タンパク質
ピコモルpmol10⁻¹² mol受容体結合実験
フェムトモルfmol10⁻¹⁵ mol質量分析・単一分子
モル濃度mol/L (M)1L中mol水溶液化学の主流
ミリモル濃度mmol/L (mM)血中グルコース等臨床値表記
質量モル濃度mol/kg溶媒kg基準凝固点降下計算
モル分率x無次元相平衡計算

モル濃度(mol/L)と質量%

実務でよく問われる質量%⇔モル濃度の変換式。密度が必要です。

モル濃度(mol/L) = 質量%(w/w%) × 密度(g/mL) × 10 ÷ 分子量(g/mol)

例:市販濃硫酸(98%、密度1.84 g/mL)のモル濃度

98 × 1.84 × 10 ÷ 98.08 = 18.38 mol/L

例:市販濃塩酸(36%、密度1.18 g/mL)のモル濃度

36 × 1.18 × 10 ÷ 36.46 = 11.65 mol/L

市販試薬の代表的モル濃度

試薬質量%密度 g/mLモル濃度 mol/L
濃硫酸98%1.8418.4
濃塩酸36%1.1811.6
濃硝酸60%1.3713.0
濃アンモニア水28%0.9014.8
過酸化水素(オキシドール)3%1.000.88
次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)6%1.090.88

SI改定(2019)とモル定義

2019年5月20日、国際単位系(SI)が130年ぶりに大改定され、モルの定義も変わりました。

旧定義(1971〜2019)

「12gの炭素12(¹²C)に含まれる原子と同じ数の要素粒子を含む集団」— 実験でしか決まらない値でした。

新定義(2019〜)

「アボガドロ定数 N_A = 6.02214076×10²³ mol⁻¹ を厳密に定めることによって定義される物質量の単位」— 定数値化により、時代を超えて不変の定義に。

実務上は数値がほぼ変わらないため、日常計算に影響はありません。しかし理論的基盤が「実験→定数」に変わったことは重要な進歩。他にキログラム(プランク定数)、アンペア(素電荷)、ケルビン(ボルツマン定数)も同時に定数値化されました。

実務・学習での応用

試薬調製・分析化学

0.1 mol/L NaOH水溶液1L作る場合、NaOH(40.00 g/mol)×0.1 mol = 4.00 g秤量して水に溶解、1Lに定容。中和滴定、pH標準液、電位差滴定などJIS K 8001準拠の試薬調製にモル計算は必須。

医薬品・製剤開発

原薬の分子量とモル数から、有効成分の必要秤量を算出。錠剤・カプセル・注射剤の含量計算、活性成分のモル比、日本薬局方(JP18)適合性の判定基準。バイオ医薬品の分子量測定はSEC-HPLC・LC-MSでモル基準に管理。

食品分析・栄養計算

ビタミン・ミネラルのmg⇔μmol換算、栄養素の等価質量計算。厚労省「日本人の食事摂取基準」の算定基礎データ、機能性表示食品・特定保健用食品(トクホ)の含量計算。

環境・水質分析

COD(酸素当量)、BOD、窒素・リン濃度をmg/L⇔μmol/L換算。上水試験方法・下水試験方法・環境省告示測定法の基本前提。同じmg/Lでも分子量で見た物質量が違うことに注意。

化学工業・製造プロセス

反応式の量論比(モル比)から原料仕込み量を計算。触媒使用量、副生成物、収率、モル収支の管理。プラント設計の基本計算。

大学入試・国家試験

大学入試共通テスト・薬剤師国家試験・危険物取扱者・毒物劇物取扱責任者などで頻出。無機・有機・生化学の全領域でモル計算が土台。当ツールで問題を数値検算に活用できます。

大学入試・国家試験の頻出

頻出パターン1:モル→質量

「0.5 molの塩化ナトリウムの質量は?」
0.5 × 58.44 = 29.22 g

頻出パターン2:質量→モル

「グルコース36 gは何mol?」
36 ÷ 180.16 = 0.200 mol

頻出パターン3:気体体積→モル

「標準状態で11.2 Lの酸素は何mol?何g?」
11.2 ÷ 22.4 = 0.5 mol、0.5 × 32.00 = 16.0 g

頻出パターン4:粒子数→モル

「3.011×10²³個のCO₂分子は何g?」
3.011×10²³ ÷ 6.022×10²³ = 0.5 mol、0.5 × 44.01 = 22.0 g

頻出パターン5:反応の量論

「2H₂ + O₂ → 2H₂O。水素8gから水は何g?」
H₂ 8g = 4 mol → H₂O 4 mol = 72 g

よくある間違い・注意点

  • 単原子と2原子分子の混同 — 酸素分子はO₂(32.00 g/mol)、酸素原子はO(16.00 g/mol)。水素はH₂(2.02)、H(1.008)。気体は通常2原子分子なので、モル計算では分子式で扱います。
  • 気体体積22.4Lは標準状態限定 — 0℃・1気圧のときのみ。25℃(室温)では24.5L、37℃(体温)では25.4L。試験でも「標準状態で」の条件を必ず確認。
  • 水和物の水を無視 — 硫酸銅CuSO₄(159.61)と硫酸銅五水和物CuSO₄·5H₂O(249.68)は分子量90近く違う。試薬瓶の「·nH₂O」表記を必ず確認し、無水換算か含水換算かを明確に。
  • モル濃度と質量%の混同 — 0.1 mol/L NaOH ≠ 0.1% NaOH。0.1 mol/L NaOHは0.4%(水1L≒1kgとして)。分子量と密度が絡む変換なので、換算漏れは調製ミスの原因。
  • アボガドロ数の指数計算ミス — 6.022×10²³ × 6.022×10²³ ≠ 12.044×10⁴⁶。掛け算は×10⁴⁶ ではなく×10⁴⁶.36で、有効数字管理も注意。関数電卓の対数機能で確実に。
  • 質量モル濃度(mol/kg)と体積モル濃度(mol/L)の混同 — 凝固点降下・沸点上昇の式では mol/kg (溶媒kg基準)を使います。実務のmol/L (溶液L基準)と使い分ける必要あり。
  • 1 M ≠ 1 モル — 「M」はモル濃度(mol/L)の記号で「モル数」ではありません。1 M NaOH = 1 mol/L NaOH(1Lに1mol溶解)であり、量そのものではなく濃度です。

関連する規格・学会基準

  • SI単位系(2019年改定) ― モルの定義がアボガドロ定数の定数値化に変更。国際度量衡総会(CGPM)決議。
  • IUPAC 標準原子量2023 ― モル質量計算の基礎となる原子量の国際基準。
  • 日本化学会「化学便覧 基礎編 改訂6版」 ― 原子量・物性値・熱化学データの国内標準。
  • 日本薬局方 第18改正(JP18) ― 医薬品原薬の分子量・純度・モル質量表記の公定基準。
  • JIS K 8001 ― 試薬試験方法通則。モル濃度規定試薬の調製法。
  • JIS Z 8000-9 ― 量及び単位—物理化学および分子物理学。モル関連量の定義。
  • ISO 80000-9 ― Quantities and units — Part 9: Physical chemistry。物質量・モル濃度の国際規格。
  • NIST(米国国立標準技術研究所) SP 811 ― SI単位の使用ガイド。

参考文献・公的資料

より正確なモル計算・分子量・単位系の情報は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページの計算結果は概算値です。医薬品製造・臨床試験・法定分析・公的報告に用いる場合は、IUPACの最新原子量、日本薬局方(JP18)、および認証標準物質(CRM)による校正済み測定器での実測結果を優先してください。特に劇物・毒物・危険物・医薬品原薬の秤量では、有資格者(薬剤師・毒物劇物取扱責任者・危険物取扱者)の判断を仰いでください。

よくある質問(FAQ)

「1モル」とはどういうこと?

1モル = 6.022×10²³個の分子・原子・イオン。物質1モル分の質量がその物質の分子量と等しい(g単位)。例:水1モル = 18.02g = 6.022×10²³個のH₂O分子。2019年SI改定でアボガドロ定数が厳密な定義値(6.02214076×10²³)となりました。

標準状態の気体22.4Lとは?

0℃・1気圧(101.325 kPa)の標準状態(STP)で、どんな気体でも1モル=22.4Lになります(アボガドロの法則)。25℃(室温)では24.5L、37℃(体温)では25.4L。試験問題では「標準状態で」の条件が明記されているか必ず確認してください。

分子量と式量の違いは?

分子量は共有結合の分子(H₂O、CO₂、C₆H₁₂O₆)の相対質量、式量はイオン結晶(NaCl、CaCO₃、KMnO₄)の最小単位の相対質量。実務では同じ計算式で扱えます。モル質量(g/mol)は両者の数値部分に同じ。

モル濃度(mol/L)と質量%の変換方法は?

モル濃度 = 質量% × 密度(g/mL) × 10 ÷ 分子量(g/mol)。例:98%濃硫酸(密度1.84)=18.4 mol/L、36%塩酸(密度1.18)=11.6 mol/L。逆変換も同じ式を変形。密度データが必須です。

アボガドロ数はどうやって決まった?

2019年以前は「12gの¹²Cに含まれる原子数」で定義され、実験で測定される値でした。2019年改定で「6.02214076×10²³」を定数値として厳密に定義し、逆に他の量(モル・キログラム等)がこの定数から導出される方式に変更。理論的により堅牢な体系になりました。

気体でも「モル質量=分子量g/mol」は成立?

はい成立します。気体分子でも1molは6.022×10²³個で、質量は分子量g。ただし気体は2原子分子(O₂、N₂、Cl₂、H₂)が多く、原子量ではなく分子量(原子量×2)で計算する点に注意。希ガス(He、Ne、Ar)は単原子分子です。

水和物のモル質量はどう計算する?

結晶水を含めて計算します。CuSO₄·5H₂Oなら、CuSO₄(159.61) + 5×H₂O(18.02×5=90.10) = 249.71 g/mol。「·nH₂O」表記の「n」は水分子の数、この分の18.02×n を必ず加算。試薬瓶ラベルで無水品と水和物を混同しないよう注意。

0.1 mol/L NaOHを1L作るには?

NaOH(40.00 g/mol) × 0.1 mol = 4.00 g秤量、少量の水に溶かしてから1Lメスフラスコに移し、水で正確に1Lに定容(メニスカスを標線に合わせる)。NaOHは吸湿性・炭酸塩化するため、精密調製にはシュウ酸標準液での実測濃度標定が推奨されます。

mmol、μmol、nmolの使い分けは?

mmol(10⁻³ mol):血糖値、電解質(Na⁺、K⁺)、酸塩基分析の臨床値表記。μmol(10⁻⁶ mol):アミノ酸、ビタミン、微量金属の生化学分析。nmol(10⁻⁹ mol):核酸配列、シグナル分子、受容体結合。桁の使い分けは分野固有の慣習です。

PV=nRT で気体の分子量を求めるには?

密度 ρ = PM/RT を変形して M = ρRT/P。実測条件で気体の密度を測れば分子量が求まります。R = 8.314 J/(mol·K)。例:0℃・1気圧で密度1.977 g/L の気体は、1.977×8.314×273/101325 = 44.0 → CO₂と同定できます。詳細は気体状態方程式PV=nRTツールで。

反応式の量論比とモル計算の関係は?

反応式の係数はモル比を表します。2H₂ + O₂ → 2H₂O なら「水素2mol と 酸素1mol から 水2mol」。質量比ではないので注意(質量比は4:32:36)。理論収量計算・限定試薬(limiting reagent)判定にモル比が必須です。

電気分解の量とモルの関係は?

ファラデー定数 F = 96485 C/mol。1molの1価イオン(Na⁺、Cl⁻)を電解するのに96485 C(=1F)の電荷。銅(Cu²⁺→Cu)は2価なので96485×2 = 192970 C/mol。電流×時間=電荷量から析出物質のモル数を計算できます。