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労災休業補償障害等級遺族補償給付基礎日額

労災保険 給付額計算|休業補償・障害等級・遺族補償の詳細試算

給付基礎日額・休業日数・障害等級・遺族数から、労災保険法に基づく休業補償給付・療養補償給付・障害補償給付・遺族補償給付・葬祭料の各給付額を試算。給付基礎日額×60%(休業)+特別支給金20%=実質80%補償、障害等級1-7級の年金/8-14級の一時金、遺族数153-245日の年金給付、傷病補償年金・介護補償までを労働基準監督署の運用実務に照らして解説します。事業主・被災者本人・社労士のための実務ツール。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

労災保険 給付額 計算機

給付基礎日額の算定方法

基本式(労災保険法8条・労基法12条)

給付基礎日額 = 直前3か月間の賃金総額 ÷ 3か月の暦日数

労災保険給付の基準となる「給付基礎日額」は、原則として直前3か月の賃金総額(税引前・賞与除く)を暦日数で除した金額です。労働基準法12条の「平均賃金」と同じ考え方で、時間外手当・通勤手当・住宅手当等の賃金支給項目を含みます。ただし賞与・退職金は除外されます。

最低・最高保障

年齢階層2024年度 上限日額2024年度 下限日額
25歳未満13,800円前後5,213円
25-29歳15,600円前後5,752円
30-34歳17,900円前後6,317円
35-39歳20,500円前後7,024円
40-44歳22,000円前後7,547円
45-49歳23,300円前後7,847円
50-54歳24,700円前後7,847円
55-59歳24,900円前後7,547円
60歳以上年齢逓減年齢逓減

年金給付・長期給付には年齢階層別の上限・下限が適用され、毎年8月に厚労省告示で改定されます。高収入者ほど「実際の賃金より低く」なる補正が入るのが特徴。低収入者には最低保障が働きます。

休業補償給付の仕組み

給付要件と待期期間

業務災害・通勤災害により療養のため労働できず、賃金を受けない日について、休業4日目から支給されます。1〜3日目の待期期間中は、業務災害の場合は事業主が労基法76条に基づく休業手当(平均賃金の60%)を支払う義務があります。通勤災害の場合は待期期間の支払義務なし。

給付額

休業補償給付 = 給付基礎日額 × 60% × 休業日数

休業特別支給金 = 給付基礎日額 × 20% × 休業日数

合計 = 実質給付基礎日額の80% × 休業日数

例:給付基礎日額12,000円で30日休業の場合、休業補償12,000×60%×30=216,000円、休業特別支給金12,000×20%×30=72,000円、合計288,000円が支給されます。休業特別支給金は労働福祉事業の一環で、労災保険給付本体とは別枠で支給されます。

給付期間

療養開始後1年6か月経過しても治癒せず、傷病等級1-3級に該当する場合は傷病補償年金に切替。それ以外は治癒(症状固定)まで継続支給されます。給付期間の上限はありません。

障害補償給付(1-14級)

療養が終わっても身体に障害が残った場合、障害等級に応じて年金または一時金が支給されます。等級判定は労働基準監督署の障害認定基準に基づき、医師の診断書等で決定されます。

等級別給付日数

等級給付形態年金or一時金特別支給金(一時金)
1級年金313日342万円
2級年金277日320万円
3級年金245日300万円
4級年金213日264万円
5級年金184日225万円
6級年金156日192万円
7級年金131日159万円
8級一時金503日65万円
9級一時金391日50万円
10級一時金302日39万円
11級一時金223日29万円
12級一時金156日20万円
13級一時金101日14万円
14級一時金56日8万円

1-7級の年金は生涯支給(受給権者が死亡するまで)。8-14級は一時金として一括支給されます。年金給付は年6回(2月・4月・6月・8月・10月・12月)分割で支給。障害等級認定に不服がある場合は労働者災害補償保険審査官への審査請求が可能です(60日以内)。

遺族補償給付

遺族(補償)年金の受給資格者

労働者が業務・通勤災害により死亡した場合、その遺族に年金・一時金・葬祭料が支給されます。年金受給資格者は、労働者の死亡当時その収入により生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です(妻以外は年齢・障害要件あり)。

遺族数別の給付日数

遺族数遺族(補償)年金遺族特別年金
1人給付基礎日額×153日算定基礎日額×153日
1人(55歳以上妻等)給付基礎日額×175日算定基礎日額×175日
2人給付基礎日額×201日算定基礎日額×201日
3人給付基礎日額×223日算定基礎日額×223日
4人以上給付基礎日額×245日算定基礎日額×245日

受給権者がいない場合は遺族補償一時金(給付基礎日額×1,000日)が父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順で支給されます。また遺族には別途遺族特別支給金(300万円)葬祭料(315,000円+給付基礎日額×30日、または給付基礎日額×60日のいずれか高い方)が加算されます。

療養・傷病・介護・葬祭給付

療養(補償)給付

労災病院・労災指定病院での治療費が全額給付(無料)。指定外の病院で受診した場合は現金給付(実費償還)。健康保険を使うと後日切り替えが必要。窓口自己負担ゼロが最大の特徴です。

傷病(補償)年金

療養開始1年6か月経過しても治らず、傷病等級1-3級の重篤な状態にある場合、休業補償から自動切替。1級は給付基礎日額×313日、2級277日、3級245日の年金給付。特別支給金(1級114万円、2級107万円、3級100万円)も別途支給。

介護(補償)給付

障害等級1-2級で常時または随時介護を要する状態のとき、実費相当額が支給。上限は常時介護171,650円/月、随時介護85,780円/月(2024年度)。家族介護の場合は最低保障額75,290円/月。

葬祭料・葬祭給付

労働者死亡時に葬祭を行う遺族・友人等に支給。315,000円+給付基礎日額×30日、または給付基礎日額×60日のいずれか高い方。多くは会社の弔慰金と併せて葬祭費用に充当されます。

二次健康診断等給付

定期健康診断で脳・心臓疾患のリスク因子が指摘された労働者に、二次健診・保健指導を無料提供。過労死予防の観点から2001年に創設された制度。事業主経由での申請。

アフターケア制度

治癒後も後遺症を持つ受給権者に対し、労災病院での経過観察・保健指導・薬剤を無料提供。脊髄損傷・切断障害・心疾患等20疾患が対象。健康管理手帳の交付を受けて利用します。

通勤災害と業務災害の区別

業務災害の3要件

①業務遂行性(事業主の管理下にある状態)、②業務起因性(業務と災害の因果関係)、③合理的行為性(業務逸脱していない)の3要件で判定。営業回り・出張中・接待中でも「業務遂行のための必要行為」なら業務災害。

通勤災害の要件

住居と就業場所の間の合理的な経路・方法での移動中の災害。日用品購入・病院受診・選挙投票等の「日常生活上必要な行為」で経路を逸脱・中断した場合、その間は通勤外扱いですが、逸脱・中断後に合理的経路に戻れば再度通勤扱いに復帰します。

両者の給付差

項目業務災害通勤災害
待期期間の休業手当事業主に支払義務(平均賃金60%)支払義務なし
療養給付の一部負担金なし初回200円
労基法上の解雇制限あり(療養+30日は解雇不可)なし
給付内容(休業・障害・遺族)同一水準同一水準

業界別リスクと使い方

建設業

労災事故発生率が製造業の3倍、全産業平均の6倍。転落・墜落・重機災害が典型。事業主全額負担の労災保険料率は工事の種類別に3.5〜88/1000で、鉄骨造家屋建築で13/1000、林業88/1000等。元請一括加入方式を採用。

製造業

プレス機械・切断機・化学物質暴露の3大リスク。労災保険料率は業種別に細分化(食品製造5.5/1000、機械器具製造5/1000等)。安全衛生委員会の設置と月次リスクアセスメントが必須。

運輸業

交通事故が最大リスク。トラック・タクシー・バス運転手の腰痛・過労死。労災保険料率は貨物取扱4/1000、道路運送9/1000。過労死ライン(月100時間超残業)を意識した労務管理が必要。

医療・介護

腰痛・針刺し事故・介護中の腰痛が典型。感染症曝露(コロナ・結核等)は業務起因性の判定が重要。医療機関3/1000、社会福祉施設3/1000で料率は低め。

飲食・小売

切創・火傷・転倒。パート・アルバイトの労災請求漏れが多い分野。料率2.5〜3/1000で低いが、加入手続きの不備が労基署調査で発覚するケースが多発。

IT・オフィスワーク

過労死・過労自殺・メンタル不調・VDT作業障害。労災保険料率3/1000で最低クラスも、精神障害の労災認定は増加傾向。労働時間管理と面談体制が必須です。

特別支給金・算定基礎日額と「治ゆ」の実務

特別支給金と損害賠償の調整

休業補償が給付基礎日額の60%と定められているのに、実際の受取が8割前後になるのは、社会復帰促進等事業として休業特別支給金が20%上乗せされるためです。この20%は保険給付そのものではなく別枠の給付であるため、民事の損害賠償と調整する場面で扱いが異なります。会社に安全配慮義務違反があって損害賠償を請求する場合、保険給付分は賠償額から控除されますが、特別支給金は控除されないという整理が定着しています。労災請求と損害賠償請求を並行して進める場合、この違いが最終的な手取りに影響します。

算定基礎日額(賞与分)と特別年金・特別一時金

給付基礎日額の算定では賞与など3か月を超える期間ごとに支払われるものが除かれますが、除かれた賞与は算定基礎日額として、障害特別年金・遺族特別年金・障害特別一時金等の計算に別途使われます。算定基礎年額には上限があり、給付基礎日額の365倍の20%か150万円のいずれか低い額までとされています。賞与の割合が高い賃金体系では、この上限に当たるケースがあります。

「治ゆ(症状固定)」の判断と不服申立て

労災でいう「治ゆ」は完全に元通りになることではなく、症状が固定してこれ以上の医療効果が期待できない状態を指します。治ゆと判断されると療養補償給付・休業補償給付は終了し、残った症状は障害等級の認定手続きに移ります。痛みが残っていても治ゆとされる場合があるため、主治医の意見と本人の実感が食い違う場面が生じます。等級の認定は労働基準監督署が行い、結果に不服がある場合は労働者災害補償保険審査官への審査請求、さらに労働保険審査会への再審査請求という手続きが定められています。

よくある間違い・注意点

  • 健康保険で対応してしまう — 労災は労災保険の専用制度で健康保険は使えません。誤って健康保険を使うと、事後に労災に切替える手続き(3割自己負担分の返還等)が必要になります。事故発生時にまず「業務中か通勤中か」を確認してください。
  • 年5日待期期間の休業手当忘れ — 業務災害の1-3日目は労基法76条により事業主に平均賃金60%の休業手当支払義務があります。労災の休業補償は4日目以降のみ。1-3日目分を無給扱いにすると労基法違反になります。
  • 特別支給金を給付基礎日額と混同 — 労災保険給付本体(60%)と特別支給金(20%)は別枠支給。合計80%相当が振り込まれますが、税務上の扱い(特別支給金は非課税、労災給付本体も非課税)や、社会保険料計算上の扱いが違います。
  • パート・アルバイトを未加入と誤認 — 労災保険は1人でも労働者を雇う事業所は強制加入で、雇用形態・労働時間を問いません。日雇い・試用期間中でも対象。労災事故が起きて労基署調査で無加入発覚だと、遡って保険料徴収+追徴金。
  • 通勤経路逸脱で完全に給付なしと思い込む — 日用品購入・病院受診・選挙投票等の「日常生活上必要な行為」の逸脱は、合理的経路に戻れば再度通勤扱い。友人宅への立ち寄り・繁華街への寄り道は原則通勤外。ケース判定が重要。
  • 役員に労災保険は適用されないと諦める — 中小企業経営者・一人親方は特別加入制度で任意加入可能。労働保険事務組合を通じて申請します。建設業一人親方特別加入は事故時の全額補償が可能。
  • 精神障害の労災請求を諦める — 過労死・過労自殺・メンタル不調(うつ病・PTSD等)の労災認定は増加傾向。厚労省「心理的負荷による精神障害の認定基準」に沿って専門家(社労士・弁護士)と請求書を整えれば認定可能性は高まります。

関連する規格・法令

  • 労働者災害補償保険法 ― 労災保険の給付の種類・要件・給付基礎日額の算定・障害等級を定める根本法。
  • 労働者災害補償保険法施行規則 ― 各給付の申請手続・書式・障害等級表を規定。
  • 労働基準法75-88条 ― 使用者の災害補償義務。労災保険法給付があれば免責。76条(休業補償)の待期期間中の支払義務が実務要点。
  • 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法) ― 労働保険料の申告・納付。労災保険料率の業種別区分。
  • 労働安全衛生法 ― 労災予防の観点からの事業主義務。安全衛生委員会・健康診断・ストレスチェック等。
  • 障害等級認定基準(厚労省通達) ― 各等級の判定基準。手指の欠損・視力障害・脊髄損傷等の具体的判定表。
  • 心理的負荷による精神障害の認定基準(平成23年基発1226第1号) ― 過労自殺・メンタル不調の労災認定基準。
  • 脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準(令和3年基発0914第1号) ― 過労死ライン(月100時間超・複数月80時間超残業)の判定基準。

参考文献・公的資料

労災保険の実務・給付内容・認定基準の一次資料は、以下の公的機関で確認できます。

※本ページの計算結果は、労災保険法・施行規則・厚労省通達に基づく参考値です。実際の給付額は、給付基礎日額の算定内容・年齢階層別上限下限・障害等級認定結果・遺族の続柄と生計維持関係により個別判定されます。労災請求・不服申立て・訴訟対応が必要な場面では、社会保険労務士・弁護士・所轄労働基準監督署に相談してください。認定基準は毎年改定される可能性があるため、最新の厚労省通達を確認する必要があります。

よくある質問(FAQ)

通勤中の事故も労災になりますか?

はい、通勤災害として労災保険給付の対象になります。ただし住居と就業場所の間の合理的経路・方法である必要があり、繁華街への寄り道等での逸脱・中断中の事故は対象外。日用品購入・病院受診等の「日常生活上必要な行為」の後、経路に戻れば再度通勤扱いに復帰します。

パート・アルバイトも労災保険の対象ですか?

はい、雇用形態・労働時間を問わず全労働者が対象です。1人でも労働者を雇う事業所は労災保険強制加入で、事業主が全額保険料を負担します。学生アルバイト・日雇い・試用期間中でも同じ扱いです。

休業補償はいつから支給されますか?

療養のため労働できず賃金を受けない状態になってから4日目以降が対象。1〜3日目は待期期間で、業務災害の場合は事業主に平均賃金60%の休業手当支払義務があります(労基法76条)。通勤災害の場合は待期期間の支払義務なし。

休業補償はいくら支給されますか?

給付基礎日額の60%が休業補償給付、20%が休業特別支給金で、合計80%相当が支給されます。例:給付基礎日額12,000円で30日休業なら、12,000×80%×30=288,000円が実質給付額。給付期間の上限はなく、治癒(症状固定)まで継続支給されます。

障害等級の判定はどう行われますか?

労働基準監督署の障害認定基準(厚労省通達)に基づき、主治医の診断書・レントゲン・可動域測定等をもとに判定されます。1級(常時介護必要)から14級(軽微な障害)まで14段階。1-7級は年金給付、8-14級は一時金給付。不服の場合は労働者災害補償保険審査官への審査請求が可能(60日以内)。

遺族補償はどんな給付ですか?

労働者が業務・通勤災害で死亡した場合、生計維持関係にあった配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に、遺族数に応じた年金給付(給付基礎日額×153-245日)が生涯支給されます。加えて遺族特別支給金300万円・葬祭料(給付基礎日額×60日程度)も支給。

健康保険と労災保険はどう使い分けますか?

業務中・通勤中の負傷・疾病は労災保険、それ以外の私傷病は健康保険です。誤って健康保険で受診した場合、事後に労災に切替える手続き(自己負担3割分の返還等)が必要。医療機関で受診時に「労災です」と明確に伝えてください。

労災請求は誰がしますか?

被災労働者本人(死亡時は遺族)が請求人となり、労働基準監督署に請求書を提出します。事業主は請求書の証明欄に記入するのみで、代理請求は原則できません。ただし事業主が労災を隠蔽・請求妨害する場合は「労災かくし」として労基法違反になります。

労災請求の時効はいつですか?

労災保険法42条により、療養・休業補償給付は2年、障害・遺族補償給付は5年で時効消滅します。事故発生時から起算されるため、療養が長期化する場合は月次で請求書を提出するのが安全。時効を過ぎると請求権が消滅します。

労災事故を隠蔽するとどうなりますか?

「労災かくし」として労基法違反(送検事件)。事業主が労働者死傷病報告を提出しなかったり虚偽記載した場合、50万円以下の罰金(労基法120条)+企業名公表。労災保険料のメリット制(事故率で料率変動)を気にして隠蔽するケースがありますが、発覚時のリスクが大きすぎます。

過労死・過労自殺は労災認定されますか?

厚労省「脳・心臓疾患の認定基準」「心理的負荷による精神障害の認定基準」に基づき認定可能。過労死ラインは発症前1か月100時間超、または2-6か月平均80時間超の残業。精神障害は職場のストレス要因を心理的負荷評価表で判定します。認定率は増加傾向。

中小企業経営者や一人親方は労災に入れますか?

労働者ではないため通常加入はできませんが、特別加入制度で任意加入可能。中小事業主特別加入は労働保険事務組合経由、一人親方は特別加入団体経由で申請。建設業・林業・タクシー業等リスクの高い業種で広く利用されています。

休業補償はいつまで受け取れますか?

原則として治ゆ(症状固定)まで続きます。療養開始から1年6か月を過ぎても治ゆせず、傷病等級(第1〜3級)に該当する状態であれば、休業補償給付は傷病補償年金へ切り替わります。該当しない場合は引き続き休業補償給付が支給されます。