計算ツール
空調顕熱比送風量負荷計算

顕熱比SHFと必要送風量の計算

顕熱負荷・潜熱負荷・室内条件・吹出温度差から、顕熱比SHFと必要送風量、吹出空気の条件を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

顕熱比SHFと必要送風量の計算ツール

全熱負荷は顕熱負荷+潜熱負荷で12+3=15.0kW、顕熱比SHFは12÷15=0.80です。必要送風量は顕熱負荷×3,600÷(空気の密度1.2×比熱1.006×吹出温度差)で12×3,600÷(1.2072×11)=3,253m3/h。吹出空気温度は室温26℃から11℃を引いた15.0℃です。室内空気の絶対湿度は26℃・50%で10.42g/kg、潜熱負荷3kWによる差1.11g/kgを引いて吹出は9.32g/kg(DA)。室容積600m3に対する換気回数は5.42回/h、外気500m3/hは送風量の15.4%にあたります。

用途別の顕熱比SHFの目安

用途顕熱比の目安特徴
事務室0.80〜0.90人体と機器の顕熱が中心
会議室・集会室0.65〜0.80人員密度が高く潜熱が増える
飲食店の客席0.60〜0.75調理と人体の潜熱が大きい
電算室・機械室0.95〜1.00ほぼ顕熱のみ

吹出温度差と送風量の関係(顕熱12kWの場合)

吹出温度差必要送風量換気回数(600m3)
8℃約4,473 m3/h約7.5回/h
11℃約3,253 m3/h約5.4回/h
14℃約2,556 m3/h約4.3回/h
17℃約2,105 m3/h約3.5回/h

※参考計算です。材料の仕様・現場条件・適用される規準によって値は変わるため、製品資料と最新の規準で確認してください。

顕熱比SHFと必要送風量の計算の詳しい解説

空調の風量が顕熱負荷だけで決まるのは、空気が温度を下げる働きと水分を取る働きを別々に受け持っているからです。風量は室温を保つために必要な顕熱の輸送量から決まり、潜熱はコイルの表面温度と通過風速によって除去されます。したがって潜熱の割合が大きい部屋でも、風量そのものは顕熱負荷と吹出温度差で決まる点をまず押さえる必要があります。

判断が分かれるのは吹出温度差の設定です。差を大きくすれば風量が減ってダクトも送風機も小さくなり、搬送動力が下がります。一方で吹出温度が低くなりすぎると、吹出口の周囲で結露したり、冷気が下降して居住域にドラフトを生じたりします。天井高さや吹出口の形式によって許容できる温度差は変わり、一般的な事務室では10℃から12℃程度が使われます。

見落とされやすいのは顕熱比とコイルの整合です。計算上の風量で室温は保てても、コイルの除湿能力が足りなければ室内の湿度は設計値より上がります。顕熱比が低い会議室や飲食店では、風量を確保しても湿度が下がらず、再熱や別系統の除湿が必要になることがあります。逆に電算室のように顕熱がほとんどの部屋では、過剰な除湿がエネルギーの無駄になります。

条件による違いも整理しておきます。外気導入量が送風量に占める割合が高いほど、外気の温湿度変動が室内条件に直接響きます。換気回数は空気の行き渡り方の目安で、少なすぎると温度むらが生じ、多すぎると気流感が問題になります。室容積が大きく天井が高い空間では、居住域だけを対象とした空調に切り替えて風量を抑える考え方もあります。実際の設計では負荷計算の前提条件と機器の能力表を突き合わせて確認してください。

部分負荷での挙動も検討に含めます。設計は最大負荷を前提としますが、実際に最大負荷となる時間は年間のごく一部で、大半は半分以下の負荷で運転されます。定風量方式では負荷が下がっても風量が変わらないため、吹出温度差が縮んで除湿が効かなくなり、湿度だけが上がる状態が生じます。変風量方式では風量を絞れる一方、絞りすぎると気流分布が崩れて温度むらが出ます。最小風量の設定と外気量の確保を両立できるかを、設計の段階で確認しておく必要があります。

業界・現場での使い方

空調機の選定

顕熱負荷から必要風量を求め、機器の風量とコイル能力を照合します。

ダクト設計の前提づくり

送風量が決まることで主ダクトのサイズと吹出口の数量を決められます。

湿度が下がらない不具合の調査

顕熱比とコイルの能力を比較し、除湿不足の原因を切り分けます。

省エネ検討

吹出温度差を見直した場合の風量と搬送動力の変化を試算します。

よくある間違い・注意点

  • 全熱負荷から風量を求める — 風量は顕熱負荷で決まります。全熱で計算すると過大な風量になります。
  • 吹出温度差を大きく取りすぎる — 風量は減りますが、ドラフトと吹出口周りの結露が問題になります。
  • 潜熱負荷を人数だけで概算する — 外気の持ち込みや調理、加湿機器の影響が抜けます。
  • 顕熱比とコイルの能力を照合しない — 風量が足りていても除湿が足りず、室内湿度が設計値を超えます。
  • 外気導入量を送風量に含め忘れる — 外気の割合が高いと室内条件が外気の変動に左右されます。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

顕熱12kW・潜熱3kWの部屋の送風量は?

吹出温度差11℃なら約3,253m3/h、顕熱比SHFは0.80です。

顕熱比SHFとは何ですか?

全熱負荷に占める顕熱負荷の割合です。1に近いほど温度変化が中心、低いほど除湿の比重が大きくなります。

吹出温度差はどれくらいが標準ですか?

一般的な事務室で10〜12℃が目安です。天井高さと吹出口の形式で許容範囲が変わります。

風量を減らすとどうなりますか?

同じ顕熱を処理するには吹出温度を下げる必要があり、ドラフトと結露のリスクが増えます。

換気回数はどの程度が適当ですか?

一般の居室で5〜8回/h程度が目安です。用途と気流分布によって変わります。

外気導入量は送風量に含まれますか?

含まれます。外気と還気を混合したものが送風量になります。

潜熱が大きい部屋ではどうしますか?

除湿能力の高いコイルや再熱、別系統の除湿機の検討が必要になります。

吹出空気の絶対湿度は何に使いますか?

コイルの出口条件の目安になり、除湿能力の確認や結露の検討に用います。