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全熱交換器換気省エネ外気負荷

全熱交換器の温度交換効率と省エネ量計算

外気温度・室内温度・給気温度・風量から、温度交換効率と外気負荷の削減量、年間の省エネ量を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

全熱交換器の温度交換効率と省エネ量計算ツール

温度交換効率は(給気温度−外気温度)÷(室内温度−外気温度)で求めます。既定値では(16−2)÷(22−2)=70.0%。回収した顕熱量は空気の密度1.2×比熱1.006×風量×効率×室内外温度差÷3,600で1.2072×1,000×0.70×20÷3,600=4.69kWです。全熱交換では潜熱も回収されるため係数1.25を掛けて外気負荷の削減量は5.87kW。年間運転2,500時間、機器のCOPを3.5とすると削減電力量は4,192kWh、圧力損失150Paによる送風動力の増分が給排気で417kWh、差引き3,775kWhの省エネになります。

温度交換効率の目安

機器の形式温度交換効率潜熱の回収
全熱交換 (回転式)70〜80%あり
全熱交換 (静止形)60〜75%あり
顕熱交換 (プレート式)55〜70%なし
ヒートパイプ式45〜60%なし

効率が下がる主な要因

要因影響
フィルターの目詰まり風量低下と圧力損失の増加
給排気の風量バランスの崩れ表示効率より実効率が低下
素子の汚れ伝熱面積の実質的な減少
外気取入口の短絡排気の再取り込みで温度差が縮む

※参考計算です。材料の仕様・現場条件・適用される規準によって値は変わるため、製品資料と最新の規準で確認してください。

全熱交換器の温度交換効率と省エネ量計算の詳しい解説

全熱交換器の効果が温度差で決まるのは、回収できる熱量が室内外の温度差に比例するためです。効率が70%でも、室内外の差が5℃しかない中間期には回収量が小さく、送風動力の増分に見合いません。冬の朝や真夏の午後のように差が20℃を超える時間帯に効果が集中するため、年間の省エネ量は運転時間だけでなく、その時間帯の外気条件によって大きく変わります。

判断が分かれるのは全熱と顕熱のどちらを選ぶかです。全熱交換は湿度も回収するため空調負荷の削減量は大きくなりますが、排気側の臭気や汚染物質が給気側に移る可能性があり、厨房や実験室の排気には使えません。顕熱交換は温度のみを回収するので用途の制約が少ない一方、冬期は乾燥が進み、加湿の負荷が別に必要になります。用途と排気の性状で選び分ける必要があります。

見落とされやすいのは送風動力です。熱交換素子は空気の通り道に抵抗を作るため、給気と排気の双方で圧力損失が増えます。既定値の条件では年間417kWhの増加となり、回収による削減の1割程度を打ち消します。フィルターが目詰まりすると損失はさらに増え、風量が落ちて回収量も減るという二重の悪化が起きます。定期的な清掃が効果を維持する前提条件になります。

条件による違いもあります。中間期は外気をそのまま取り入れたほうが有利なため、多くの機器は熱交換をやめて普通換気に切り替える機能を備えています。この切り替えが働いていないと、効果のない時間帯にも圧力損失だけを負担することになります。また外気取入口と排気口が近いと排気を吸い込む短絡が生じ、見かけ上の効率が高く出ても実際の換気量が足りません。年間の効果は気象条件と運転パターンに依存するため、詳細な検討は動的なシミュレーションで確認してください。

寒冷地では凍結の検討が加わります。外気温が氷点下になる地域では、排気に含まれる水分が素子の表面で凍り、風路をふさぐことがあります。予熱ヒーターの設置や、一定時間ごとに給気を止めて解凍する制御が用いられますが、いずれも回収した熱の一部を消費します。逆に温暖な地域では外気の温度差が小さく、回収量そのものが限られます。導入の判断は建物の所在地と用途、運転時間の組み合わせで変わるため、地域の気象データに基づいた試算が欠かせません。

業界・現場での使い方

換気設備の機器選定

外気条件と風量から回収量を試算し、全熱と顕熱のどちらが適するか判断します。

省エネ改修の効果試算

既存の普通換気を熱交換換気に替えた場合の削減量を概算します。

性能の実測評価

実測した給気温度から実効率を求め、カタログ値との差を確認します。

保守計画の根拠づくり

フィルター清掃による効率維持の効果を金額換算して示します。

よくある間違い・注意点

  • カタログの効率をそのまま年間効果に使う — 給排気の風量バランスや汚れで実効率は下がります。
  • 送風動力の増分を無視する — 圧力損失の増加が回収分の1割前後を打ち消します。
  • 中間期も熱交換運転のままにする — 効果のない時間帯に損失だけを負担することになります。
  • 厨房や実験室の排気に全熱交換を使う — 臭気や汚染物質が給気側へ移る可能性があります。
  • 外気取入口と排気口を近接させる — 排気の短絡により実際の換気量と効率が低下します。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

外気2℃・室内22℃・給気16℃の効率は?

(16−2)÷(22−2)で70.0%です。風量1,000m3/hなら回収量は約4.69kWになります。

全熱交換と顕熱交換はどちらがよいですか?

一般の居室では全熱が有利ですが、厨房や実験室など排気に汚染がある場合は顕熱を選びます。

年間の省エネ量はどう計算していますか?

外気負荷の削減量に年間運転時間を掛け、機器のCOPを3.5として電力量に換算した概算です。

中間期はどうすべきですか?

外気をそのまま取り入れる普通換気に切り替えるほうが有利です。切り替え機能の動作を確認してください。

効率が公称値より低いのはなぜですか?

給排気の風量バランスの崩れ、素子やフィルターの汚れ、排気の短絡などが原因になります。

フィルターの清掃はどの程度必要ですか?

設置環境によりますが、目詰まりは風量と効率の双方を下げるため定期的な清掃が前提です。

全熱交換で加湿は不要になりますか?

湿度も一部回収されますが、冬期の乾燥を完全に補うものではありません。加湿の検討は別に必要です。

COP3.5という前提は妥当ですか?

機器と外気条件によって変わります。実機の性能値に置き換えて計算してください。