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断面二次モーメント断面係数断面性能H形鋼構造計算

断面二次モーメント・断面係数の計算

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断面の形と寸法から、断面二次モーメント・断面係数・断面二次半径・断面積を計算します。H形鋼はフィレットまで含めて JIS G 3192 の表の値と照合でき、曲げモーメントを入れると曲げ応力度と必要な断面係数も出します。

最終更新:2026-10-16/監修:計算ツールズ編集部

断面二次モーメント・断面係数の計算ツール

断面二次モーメントと断面係数

梁の曲がりにくさは断面二次モーメント I、曲げに対する強さは断面係数 Zで表します。断面係数は断面二次モーメントを、図心から最も遠い縁までの距離 e で割ったものです。

I = ∫ y² dA  Z = I / e  i = √(I / A)  σ = M / Z

形ごとの式

矩形(幅B・高さH):Ix = BH³/12、Zx = BH²/6
円(直径D):I = πD⁴/64、Z = πD³/32
中空円(外径D・内径d):I = π(D⁴−d⁴)/64、Z = I ÷ (D/2)
中空矩形(外寸B×H・肉厚t):Ix = {BH³ − (B−2t)(H−2t)³}/12
H形(H×B×t1×t2):Ix = {BH³ − (B−t1)(H−2t2)³}/12 + フィレット4か所の分

H形鋼のフィレット1か所の面積は (1−π/4)r²、その重心はフランジ・ウェブの面から 0.2234r の位置にあります。これを平行軸の定理で足すと、JIS G 3192 の表の値とほぼ一致します。

計算例

H-300×150×6.5×9(r=13)では、フィレットを除いた Ix は 6,933 cm⁴ ですが、フィレット4か所を足すと 7,209 cm⁴(JIS の表 7,210 cm⁴)、Zx は 480.6 cm³(表 481 cm³)になります。この断面に 30 kN・m の曲げをかけると σ = 30×10⁶ ÷ 480.6×10³ = 62.4 N/mm² です。

H形鋼の断面性能(JIS G 3192 表15 より)

H×B×t1×t2(r)A cm²Ix cm⁴Iy cm⁴Zx cm³Zy cm³ix cmiy cm
100×100×6×8(8)21.5937813475.626.74.182.49
150×75×5×7(8)17.8566649.588.813.26.111.66
200×100×5.5×8(8)26.671,81013418126.78.232.24
200×200×8×12(13)63.534,7201,6004721608.625.02
250×125×6×9(8)36.973,96029431747.010.42.82
300×150×6.5×9(13)46.787,21050848167.712.43.29
300×300×10×15(13)118.520,2006,7501,35045013.17.55
350×175×7×11(13)62.9113,50098477111214.63.96

この計算機に同じ寸法を入れると、どの断面も表の有効数字の範囲で一致します(Zx の差は0.2%以内)。

溝形鋼の断面性能(JIS G 3192 表12 より)

H×B×t1×t2A cm²Ix cm⁴Iy cm⁴Zx cm³Zy cm³重心 Cy cm
100×50×5×7.511.9218826.037.67.521.54
150×75×6.5×1023.7186111711522.42.28
200×80×7.5×1131.331,95016819529.12.21

JIS の溝形鋼はフランジに傾斜と丸みがあります。平行フランジとして計算すると 100×50×5×7.5 で Ix 186 cm⁴(表188)・Iy 29.4 cm⁴(表26.0)となり、Iy は1割ほど大きく出ます。溝形は表の値を優先してください。

形と寸法による違い(幅100mm×高さ200mm の例)

向きIx cm⁴Zx cm³
縦長(高さ200)6,667666.7
横長(高さ100)1,667333.3

※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。この計算は寸法どおりの理想的な断面の値です。部材の安全性は、断面係数だけでは決まりません。横座屈・局部座屈・接合部・たわみの確認を含め、構造設計は建築士・技術者の確認を経て行ってください。

断面二次モーメント・断面係数の計算の詳しい解説

梁や柱の部材を選ぶとき、最初に必要になるのが断面性能です。同じ重さの鋼材でも、断面の形によって曲げへの強さは何倍も変わります。その違いを数字にしたものが、断面二次モーメント I と 断面係数 Z です。

断面二次モーメントは、断面の各部分の面積に、中立軸からの距離の2乗を掛けて足し合わせたものです。中立軸から遠い場所にある材料ほど大きく効きます。梁のたわみは I に反比例するので、I は「曲がりにくさ」を表す量です。単位は長さの4乗で、cm⁴ や mm⁴ を使います。1 cm⁴ は 10,000 mm⁴ です。カタログは cm⁴、手計算は mm⁴ で書かれていることが多く、ここで1万倍を取り違える誤りがよく起こります。

断面係数は、断面二次モーメントを図心から最も遠い縁までの距離で割ったものです。曲げモーメント M がかかったとき、縁に生じる応力度は σ = M/Z で求まります。だから断面係数は「曲げにどれだけ耐えられるか」を表します。単位は長さの3乗で、1 cm³ は 1,000 mm³ です。

矩形断面では Zx = BH²/6、Ix = BH³/12 です。幅を2倍にすると Z も I も2倍ですが、高さを2倍にすると Z は4倍、I は8倍になります。材料の量は同じ2倍なのに、高さ方向に使ったほうがはるかに効きます。板を寝かせると簡単にしなり、立てると曲がりにくいのはこのためです。幅100mm×高さ200mm の角材を縦に使うと Zx は 666.7 cm³、横に寝かせると 333.3 cm³ と、ちょうど半分になります。

この性質を突き詰めた形が H形鋼です。中立軸から遠い上下に材料(フランジ)を集め、中央は薄いウェブでつなぎます。同じ重さの角材より、強軸まわりの Z と I がずっと大きくなります。そのかわり、弱軸まわり(Iy・Zy)は小さく、H-300×150 では Zx 481 cm³ に対して Zy は 67.7 cm³ しかありません。H形鋼を横倒しに使うと7分の1の強さになるということです。

H形鋼の断面性能を寸法から計算すると、カタログの値より少し小さく出ることがあります。原因はフィレット(ウェブとフランジの付け根の丸み)です。圧延でつくる H形鋼には半径8〜13mm程度の丸みがあり、JIS G 3192 の表の値はこれを含んでいます。H-300×150×6.5×9 では、フィレットを無視すると Ix は 6,933 cm⁴ で、表の 7,210 cm⁴ より4%小さくなります。この計算機は4か所のフィレットの面積と重心を加えて計算するので、表の値と有効数字の範囲で一致します。溶接で組み立てるビルト H には丸みが無いので、r を0にして計算します。

断面二次半径 i = √(I/A) は、柱の座屈を考えるときに使います。細長比 λ = 座屈長さ ÷ i が大きいほど座屈しやすく、許容圧縮応力度が下がります。H形鋼の柱では、たいてい弱軸の iy で座屈が決まります。

計算した断面係数で強さを判定するときは、許容曲げ応力度と比べます。鋼材の長期の許容曲げ応力度は、建築基準法施行令第90条の表で基準強度 F の1.5分の1とされ、SS400(F=235 N/mm²)なら 156 N/mm² です。ただし H形鋼や溝形鋼の梁は、圧縮側のフランジが横にねじれて倒れる横座屈を起こすため、横補剛の間隔が長いと許容値を下げる必要があります。この計算機の判定は横座屈を考えない場合の目安です。

溝形鋼と角形鋼管の注意点も書いておきます。JIS の溝形鋼はフランジの内面に傾斜があり、先端も丸くなっています。平行なフランジとして計算すると、とくに弱軸の Iy が1割ほど大きく出るので、溝形鋼は JIS の表の値を優先してください。角形鋼管は角が丸く、カタログの値は角の丸みを差し引いた値です。この計算は角を直角として扱うので、製品の値より少し大きめに出ます。

この計算機は、必要な部材の大きさを逆に決めるときにも使えます。曲げモーメントと許容曲げ応力度を入れると、必要な断面係数 Z = M ÷ fb が出ます。たとえば 30 kN・m の曲げを SS400 の 156 N/mm² で受けるには 192.3 cm³ 以上が要ります。JIS の表で見ると、H-200×100(Zx 181 cm³)では σ = 165.7 N/mm² で足りず、H-250×125(Zx 317 cm³)なら σ = 94.6 N/mm² で収まります。横座屈で許容値が下がる場合は、その下がった値で同じ計算をします。

板を重ねて使うときも、断面二次モーメントの考え方が役に立ちます。同じ板を2枚、接着せずに重ねただけだと、それぞれが別々に曲がるので I は1枚の2倍にしかなりません。しっかり接着して一体にすると、高さが2倍の1枚の板と同じになり、I は1枚の8倍、つまり重ねただけのときの4倍になります。合わせ梁や重ね板ばねの効き方が大きく違うのはこのためです。

入力した寸法のまま、ほかの形に置き換えたときの値も一覧で出しています。同じ外形でも、中身の詰まった矩形と中空や H形とでは、重さあたりの Z が大きく違います。重さを抑えて曲げに強くしたいときは、外形をなるべく高く取り、材料を縁に寄せるのが基本です。

業界・現場での使い方

構造設計の検算

手計算や構造計算ソフトの断面性能が正しいかを、寸法から計算し直して確かめます。

仮設・治具の設計

架台・吊り治具・作業台の梁に使う角材や鋼管の断面係数を出し、曲げ応力度を確かめます。

材料の比較

同じ寸法で矩形・中空・H形を並べ、重さと強さの釣り合いが良い形を選びます。

機械設計

フレームやアームの断面を決めるとき、曲げとたわみの目安をすばやく出します。

学習・試験対策

公式の使い方と、単位(cm⁴・mm⁴)の換算を確かめながら練習します。

よくある間違い・注意点

  • cm⁴ と mm⁴ を取り違える — 1 cm⁴ = 10,000 mm⁴、1 cm³ = 1,000 mm³ です。桁が4つ・3つずれます。
  • 強軸と弱軸を取り違える — H形鋼の Zy は Zx の7分の1程度しかありません。向きを確かめてください。
  • フィレットを無視して比べる — 圧延 H形鋼の表の値はフィレットを含みます。無視すると数%小さく出ます。
  • 断面係数だけで安全と判断する — 横座屈・局部座屈・たわみ・接合部も確かめる必要があります。
  • 溝形鋼を平行フランジで計算する — JIS の溝形鋼はフランジに傾斜があり、Iy は表の値を使うのが確実です。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

断面二次モーメントと断面係数の違いは?

断面二次モーメントは曲がりにくさ(たわみに効く)、断面係数は曲げに耐える強さ(応力度に効く)を表します。Z = I ÷ 縁までの距離です。

長方形の断面係数の公式は?

Z = BH²/6 です。B は幅、H は曲げの方向の高さです。断面二次モーメントは BH³/12 です。

円の断面係数は?

直径 D の円で Z = πD³/32、断面二次モーメントは πD⁴/64 です。

H形鋼の計算値が表の値と合いません

フィレット(付け根の丸み)を入れてください。H-300×150×6.5×9 は r=13 で表の値と一致します。

cm⁴ を mm⁴ に直すには?

10,000 を掛けます。cm³ を mm³ に直すときは 1,000 を掛けます。

曲げ応力度はどう出しますか?

σ = M ÷ Z です。M を N・mm、Z を mm³ にそろえると N/mm² で出ます。30 kN・m は 30×10⁶ N・mm です。

断面二次半径は何に使いますか?

柱の座屈の検討で細長比(座屈長さ ÷ i)を出すのに使います。

高さを2倍にすると強さは?

矩形では断面係数が4倍、断面二次モーメントが8倍になります。