プルボックス 寸法の選定計算
電線管の呼び径・本数・引き入れ方向・ケーブルの曲げ半径から、プルボックスの必要な内寸と深さ、選定する標準寸法を算出します。
プルボックス 寸法の選定計算ツール
直線に引き入れる場合、一辺の内寸は最も太い電線管の内径の8倍を確保します。既定値ではE31の内径29.9mm×8=239.2mm。直角に曲げて引き入れる場合は内径の6倍に他の管の外径の合計を加え、29.9×6+31.8×3本=274.8mmとなります。ケーブルの曲げ半径からは2×6倍×20mm+20mm=260.0mmが要り、深さは外径の2倍+40mmで103.6mm。標準寸法では250×250×150mm以上を選びます。
電線管の呼び径と必要な内寸(直線引き・低圧)
| 呼び径 | 内径 | 内径の8倍 |
|---|---|---|
| E25 | 23.6mm | 188.8mm |
| E31 | 29.9mm | 239.2mm |
| E39 | 37.1mm | 296.8mm |
| E51 | 48.6mm | 388.8mm |
| E63 | 61.1mm | 488.8mm |
引き入れ方向と適用する倍数
| 条件 | 低圧 | 高圧 |
|---|---|---|
| 直線に引き入れる | 内径の8倍 | 内径の12倍 |
| 直角に曲げて引き入れる | 内径の6倍+他管の外径 | 内径の9倍+他管の外径 |
| ケーブルの曲げ半径 | 外径の6倍が目安 | 外径の8倍が目安 |
| 深さ | 管外径の2倍+40mm | 同左に余裕を加える |
※参考計算です。規格・規程・メーカーの推奨条件は改定されるため、施工前に最新の資料と現場条件を確認してください。
プルボックス 寸法の選定計算の詳しい解説
プルボックスの寸法が管径の何倍という形で決まるのは、箱の役割が電線を収めることではなく引き入れの作業を成立させることにあるからです。管口から入ったケーブルは箱の中でいったん直線に伸び、反対側の管口へ向かいます。この直線の長さが足りないとケーブルに無理な角度がつき、被覆が管口の角に押しつけられて損傷します。内径の8倍という数字は、その直線を確保するための最小限として定着したものです。
判断が分かれるのは直角に引き入れる場合の考え方です。曲げて入れる分だけ必要な直線は短くて済むため倍数は6倍に下がりますが、他の管の外径を足す必要があります。ここを足し忘れると、管口が密集して曲げの起点が取れない箱になります。一方でケーブルの最小曲げ半径から必要な内寸を計算すると、管径基準より大きくなることが少なくありません。二つの基準のうち大きいほうを採るのが安全側の判断です。
見落とされやすいのは深さです。幅と高さは管の配置から検討されますが、深さは蓋を閉めたときにケーブルが押さえつけられないかで決まります。管の外径とケーブルの曲げ、電線の余長を重ねると、想定より深い寸法が要ります。さらに接続端子や中継のコネクタを収める場合、その高さも加算されます。蓋を無理に閉めた結果、ケーブルが曲げ半径を割り込んだ状態で固定されてしまう例が現場では珍しくありません。
電圧の区分による違いも大きく出ます。高圧ケーブルは絶縁体が厚く外径も大きいため、最小曲げ半径が外径の8倍から10倍と大きくなり、箱の寸法もそれに応じて増えます。低圧の感覚で選定すると入りません。また高圧と低圧を同一の箱に収める場合は隔壁が求められ、実質的に必要な面積は倍近くになります。金属製の箱では接地の施工も必要で、材質の選定は強度だけの問題ではありません。
取付方法も寸法の決定に影響します。天井から吊る場合は箱自体とケーブルの重量が支持金物にかかるため、板厚と吊りボルトの本数を併せて検討します。屋外や湿気の多い場所では防水性能と結露対策が加わり、内寸に余裕を持たせて水抜きを設ける配慮も要ります。
業界・現場での使い方
電気設備の設計
幹線ルート上のプルボックスの寸法を管の構成から決め、施工図に反映します。
現場での材料手配
既製の標準寸法から適合するものを選び、特注が必要かを早い段階で判断します。
高圧受電設備の施工
高圧ケーブルの曲げ半径から必要内寸を確認し、低圧との隔壁の要否を検討します。
改修工事での増設検討
既設の箱に管を追加できるかを、直角引きの寸法から確認します。
よくある間違い・注意点
- 管の外径基準で倍数を計算する — 規定は内径基準です。外径で計算すると必要寸法を過大に見積もります。
- 直角引きで他管の外径を足し忘れる — 管口が密集して曲げの起点が取れず、ケーブルに無理な角度がつきます。
- ケーブルの曲げ半径を確認しない — 管径基準を満たしても、太いケーブルでは曲げ半径のほうが寸法を支配します。
- 深さを幅と同じ感覚で決める — 蓋を閉めた際にケーブルが押さえられ、曲げ半径を割り込む状態になります。
- 高圧を低圧と同じ倍数で選ぶ — 高圧ケーブルは外径が大きく曲げ半径も大きいため、寸法が不足します。
関連する規格・公的資料
- 経済産業省 — 電気事業法・電気設備技術基準
- 資源エネルギー庁 — 電力・省エネルギー
- 日本電気協会 — 内線規程・保安規程
- 日本電気技術規格委員会 — 民間電気技術規格
- 電気設備学会 — 電気設備の技術指針
- 日本電線工業会 — 電線・ケーブル
- 日本電機工業会 — 電気機器
- 日本産業標準調査会 — JIS規格
- 国土交通省 — 公共建築工事標準仕様書
- 日本冷凍空調工業会 — 冷凍空調機器
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
E31の管を直線に引き入れる場合の内寸はいくつですか?
内径29.9mmの8倍で239.2mmです。標準寸法では250mm角以上を選びます。
直角に曲げて引き入れる場合はどう変わりますか?
内径の6倍に他の管の外径の合計を加えます。既定条件では274.8mmとなり、直線引きより大きくなります。
ケーブルの曲げ半径はどこまで考慮しますか?
曲げ半径の2倍にケーブル外径を加えた寸法が要ります。既定条件では260.0mmで、管径基準と比べて大きいほうを採ります。
深さはどのように決めますか?
管の外径の2倍に40mmを加えた値と、ケーブル外径の3倍に30mmを加えた値の大きいほうを目安にします。
鋼板の板厚に決まりはありますか?
一辺が900mm以下では1.6mm以上、これを超える場合は2.3mm以上とする考え方が示されています。
高圧と低圧を同じ箱に入れてよいですか?
隔壁を設けて区分することが求められます。実質的に必要な面積は倍近くになります。
樹脂製と鋼板製はどう使い分けますか?
腐食環境や絶縁が必要な箇所では樹脂製、荷重がかかる箇所や接地を確実にしたい箇所では鋼板製が選ばれます。
特注寸法にすべき目安はありますか?
標準寸法で1サイズ上げても納まらない場合や、管口の配置が特殊な場合は特注のほうが施工性で有利になります。