根切り土量の計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
基礎の寸法・深さ・余掘り・法勾配から根切りの土量を出し、埋戻しに使う土と場外へ出す残土、ダンプの台数まで計算します。土量変化率によるほぐし・締固めの換算と、手掘りの勾配の法令上の限度、土留めと作業主任者の要否も判定します。
根切り土量の計算ツール
根切りの土量(角すい台の公式)
法面を付けて掘ると、上に行くほど広がる形になります。底の面積 A1、上端の面積 A2、深さの中央の面積 Am から、体積は次の式で正確に求まります。
V = H/6 × (A1 + 4×Am + A2)
底の寸法は、基礎の寸法に余掘り(型枠を組むための作業の幅)を両側に足したものです。上端は、そこに法勾配の水平長さ(勾配 × 深さ)を両側に足します。
底 = (L+2e) × (W+2e) 上端 = (L+2e+2nH) × (W+2e+2nH)
埋戻しと残土
土は掘るとふくらみ(ほぐし・L)、締め固めると縮みます(締固め・C)。地山を1としたときの比が土量変化率です。
埋戻し = 根切り − 埋め戻さない体積 埋戻しに要る地山 = 埋戻し ÷ C
残土(地山)= 根切り − 埋戻しに要る地山 運ぶ量 = 残土 × L
計算例
10m × 8m の基礎を深さ1.5m、余掘り0.5m、法勾配1:0.3で掘ると、底は11m × 9m = 99 m²、上端は11.9m × 9.9m = 117.81 m²、根切りは 162.41 m³ です。基礎などで60 m³ を埋め戻さないとすると、埋戻しは102.41 m³。これに要る地山は ÷0.9 で113.78 m³ なので、残土は 48.62 m³(地山)、ほぐして58.35 m³。1台5.5 m³ のダンプで 11台です。
土量変化率の目安
| 土質 | L(ほぐし) | C(締固め) |
|---|---|---|
| 砂 | 1.10〜1.20 | 0.85〜0.95 |
| 砂質土 | 1.20前後 | 0.85〜0.95 |
| 粘性土 | 1.20〜1.45 | 0.85〜0.95 |
| 礫まじり土 | 1.20前後 | 0.90前後 |
| 軟岩 | 1.30〜1.70 | 1.00〜1.30 |
※目安です。現場の土質試験や発注者の積算基準の値を使ってください。
法勾配と角度
| 法勾配 | 角度 | 深さ1.5mでの水平の広がり(片側) |
|---|---|---|
| 垂直 | 90度 | 0 m(土留めが必要) |
| 1:0.3 | 約73.3度 | 0.45 m |
| 1:0.5 | 約63.4度 | 0.75 m |
| 1:1.0 | 45度 | 1.50 m |
| 1:1.5 | 約33.7度 | 2.25 m |
手掘りの勾配の限度(労働安全衛生規則 第356条・第357条)
| 地山の種類 | 掘削面の高さ | 勾配の限度 |
|---|---|---|
| 岩盤または堅い粘土 | 5m未満 | 90度以下 |
| 5m以上 | 75度以下 | |
| その他の地山 | 2m未満 | 90度以下 |
| 2m以上5m未満 | 75度以下 | |
| 5m以上 | 60度以下 | |
| 砂からなる地山 | — | 35度以下または高さ5m未満 |
| 発破などで崩れやすい地山 | — | 45度以下または高さ2m未満 |
法勾配による土量の違い(10m×8m・深さ1.5m・余掘り0.5m)
| 法勾配 | 根切り | 垂直との差 |
|---|---|---|
| 垂直 | 148.50 m³ | — |
| 1:0.3 | 162.41 m³ | +9.4% |
| 1:0.5 | 172.13 m³ | +15.9% |
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。土量変化率は土質と施工条件で大きく変わります。ここにある値は一般的な目安です。掘削は土砂崩壊による死亡災害が起きやすい作業です。法勾配と土留めの要否は、地山の状態を見て作業主任者と施工管理者が判断してください。
根切り土量の計算の詳しい解説
建物や擁壁の基礎をつくるために地面を掘ることを「根切り」といいます。根切りの土量は、掘削の手間、残土の処分費、ダンプの台数、仮置きの場所と、工事の段取りのほとんどに効いてきます。最初の数字を間違えると、後の手配がすべてずれます。
根切りの寸法は、基礎の寸法そのものではありません。型枠を組んだり防水をしたりするには、基礎の外側に人が立って作業できる幅が要ります。これが余掘りで、片側0.3〜0.6m程度を見込むのが一般的です。10m × 8m の基礎に0.5mの余掘りを取ると、底は11m × 9m になり、面積は80 m² から99 m² へと2割以上増えます。余掘りを忘れると、土量を大きく見誤ります。
次に効くのが法勾配です。土留めをせずに掘るなら、崩れないように斜めに掘る必要があります。1:0.3の勾配で深さ1.5mを掘ると、上端は片側に0.45mずつ広がります。垂直に掘った場合と比べると、同じ条件で土量は148.5 m³ から162.4 m³ へ約9%増えます。1:0.5なら約16%増です。深く掘るほど、この差は大きくなります。
法面のある掘削の体積は、上に向かって広がる角すい台になります。上端と底の面積を平均して深さを掛ける方法(両端断面平均法)は手軽ですが、体積を少し大きく見積もります。このツールは、上端・中央・底の3つの断面から求める公式を使っていて、形が角すい台なら誤差なく求まります。
土量で最も混乱しやすいのが、ほぐしと締固めの換算です。地山の土を掘るとすき間ができてふくらみます。砂質土ならおよそ1.2倍で、これが土量変化率 L です。逆に、埋め戻して締め固めると地山より縮み、およそ0.9倍になります。これが C です。地山1 m³ を掘ると、運ぶときは1.2 m³、締め固めると0.9 m³ になるということです。
この換算を正しくやらないと、埋戻しと残土の量がずれます。基礎の周りを102 m³ 埋め戻すとき、必要な土は102 m³ ではありません。締め固めると0.9倍に縮むので、地山で約114 m³ の土が要ります。掘った土が162 m³ なら、残るのは約49 m³(地山)で、運ぶときにはほぐれて約58 m³ になります。ここを取り違えて「162 − 102 = 60 m³ を運ぶ」と考えると、残土は合っていそうに見えて、埋戻しの土が足りなくなります。
掘った土を場外へ出す前に、埋戻し分を場内に仮置きするなら、その置き場も必要です。仮置きの土はほぐれた状態なので、162 m³ 掘れば約195 m³ の山になります。狭い敷地では、仮置きができずに一度搬出して、埋戻しのときに購入土を搬入することもあります。土量の計算は、置き場の計画とセットで行うものです。
最後に安全について。掘削作業は、土砂崩壊による死亡災害が毎年起きている作業です。労働安全衛生規則は手掘りの掘削面の勾配に限度を定めていて、たとえば「その他の地山」で高さ2m以上5m未満なら75度以下です。また掘削面の高さが2m以上になると、地山の掘削作業主任者を選任しなければなりません。建設工事公衆災害防止対策要綱では、掘削の深さが1.5mを超えるときは原則として土留めを設けるとしています。土量を減らすために勾配を立てるのは、安全と引き換えです。このツールの判定は目安として使い、地山の状態を見て判断してください。
業界・現場での使い方
基礎工事の段取り
根切りと残土の量からダンプの手配台数と処分費を見積もります。
仮置き場の計画
ほぐした土量から、場内に置ける量と置き場の面積を確かめます。
法勾配と土留めの比較
勾配を付けた場合の土量増と、土留めの費用を比べて工法を決めます。
埋戻し土の過不足の確認
締固めで縮む分を見込み、購入土の搬入が要るかを判断します。
安全書類の作成
掘削深さから土留めと作業主任者の要否を確認し、作業計画に反映します。
よくある間違い・注意点
- 余掘りを入れ忘れる — 型枠や防水の作業幅が要ります。10m×8mの基礎で底面積が2割以上変わります。
- ほぐしと締固めを換算しない — 地山・ほぐし・締固めで体積が違います。残土と埋戻しの量がずれます。
- 埋戻しを掘った量から単純に引く — 締め固めると縮むので、埋戻しに要る土は埋戻し量より多くなります。
- 仮置きの場所を考えない — ほぐれた土は地山の1.2倍前後になります。置き場が足りずに二度手間になります。
- 勾配を立てて土量を減らそうとする — 法令の勾配の限度があります。崩壊の危険と引き換えです。
関連する規格・公的資料
- 国土交通省 — 土木工事積算基準と土量変化率
- 国土交通省 建設工事公衆災害防止対策要綱 — 掘削と土留めの基準
- e-Gov 法令検索(労働安全衛生規則) — 第355条〜第367条 掘削作業の危険の防止
- e-Gov 法令検索(労働安全衛生法施行令) — 地山の掘削作業主任者を選任すべき作業
- 厚生労働省 — 土止め先行工法と掘削作業の安全
- 職場のあんぜんサイト(厚生労働省) — 土砂崩壊の災害事例
- 建設業労働災害防止協会 — 掘削作業の安全の手引き
- 公益社団法人 地盤工学会 — 地盤材料の分類と土の性質
- 公益社団法人 土木学会 — 土工の標準示方書
- 国立研究開発法人 土木研究所 — 土工と地盤の研究
- 一般社団法人 日本建築学会 — JASS 3 土工事および山留め工事
- 国土交通省 官庁営繕 — 公共建築工事標準仕様書(土工事)
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
根切りとは何ですか?
基礎や地下の構造物をつくるために地面を掘ることです。掘った底の面を床付け面といいます。
余掘りはどれくらい取りますか?
片側0.3〜0.6m程度が一般的です。型枠の組立てや防水の作業ができる幅を見込みます。
土量変化率 L と C は何ですか?
地山を1としたとき、掘ってほぐした土の比が L、締め固めた土の比が C です。
砂質土の L と C はいくつですか?
L は1.2前後、C は0.85〜0.95程度が目安です。
残土はどう計算しますか?
根切りの量から、埋戻しに要る地山の量(埋戻し量÷C)を引き、運ぶときは L を掛けます。
10tダンプには何m³積めますか?
重さで決まり、ほぐした土で5.5m³前後が目安です。土の重さで変わります。
法勾配1:0.3は何度ですか?
約73.3度です。1:0.5は約63.4度、1:1.0は45度です。
土留めはいつ必要ですか?
建設工事公衆災害防止対策要綱では、掘削深さが1.5mを超えるとき原則として設けるとしています。
作業主任者はいつ必要ですか?
掘削面の高さが2m以上の地山の掘削では、地山の掘削作業主任者の選任が必要です。
両端断面平均法と違いますか?
このツールは角すい台の公式を使います。両端断面平均法は体積を少し大きく出します。