計算ツール
幾何公差最大実体ボーナス公差検査

最大実体公差方式のボーナス公差計算

形体の区分・寸法公差・実測寸法から、ボーナス公差と使える幾何公差の合計、合否の目安を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

最大実体公差方式のボーナス公差計算ツール

穴の最大実体寸法は寸法公差の下限で、既定値では9.950mmです。実測が10.020mmなら、材料が最大実体状態から離れた分だけ位置の公差を増やせます。ボーナス公差は10.020−9.950=0.070mm。図面の幾何公差0.100mmと合わせて使える合計は0.170mmとなり、実測した位置ずれ0.120mmに対して0.050mmの余裕があります。実効寸法は最大実体寸法から幾何公差を引いた9.950−0.100=9.850mmで、この寸法のピンが通れば合格です。

実測寸法とボーナス公差の関係(穴・上限10.05/下限9.95・幾何公差0.1)

実測寸法ボーナス公差使える合計
9.950 mm(最大実体)0.000 mm0.100 mm
9.990 mm0.040 mm0.140 mm
10.020 mm0.070 mm0.170 mm
10.050 mm(最小実体)0.100 mm0.200 mm

形体と材料状態による最大実体寸法

形体最大実体寸法実効寸法(Mの場合)
穴(内側形体)寸法の下限下限−幾何公差
軸(外側形体)寸法の上限上限+幾何公差
穴(Lの場合)上限+幾何公差
軸(Lの場合)下限−幾何公差

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

最大実体公差方式のボーナス公差計算の詳しい解説

ボーナス公差という考え方が成り立つのは、組み立てが成立するかどうかを決めているのが寸法と位置の合成量だからです。穴が最も小さく、かつ位置が最もずれた状態が組み付けの限界であり、この限界を1つの寸法で表したものが実効寸法です。穴が下限より大きく仕上がれば、その差の分だけ位置がずれても実効寸法は変わりません。だから寸法に余裕がある個体では位置の公差を広げてよく、これが機能を損なわずに歩留りを上げる仕組みになります。

判断が分かれるのは、この方式をどの形体に適用するかです。ボルトが通るだけの取付穴のように、はまるかどうかだけが問題になる形体には適しています。一方で軸受のはめあい面や位置決めピンの穴のように、隙間そのものが機能に効く形体では、位置がずれてよいことにはなりません。図面にMの記号を付けるかどうかは、その形体が組立性で決まるのか機能精度で決まるのかを設計者が判断する場面です。検査側が勝手に適用することはできません。

見落とされやすいのは、ボーナス公差が寸法公差の幅を超えないという上限です。実測がどれだけ最小実体側に寄っても、増やせる量は寸法公差の幅までで、既定値では0.100mmが天井になります。もう一つは検査方法との関係で、Mの指示がある形体は機能ゲージによる通り検査で一括して合否が判定できます。三次元測定機で位置ずれを数値化する場合は、そのつど実測寸法からボーナス公差を計算し直す必要があり、測定プログラムの設定を誤ると不合格を出しすぎることになります。

データムに対する指示があるかどうかでも扱いが変わります。データム形体側にもMが付いていれば、データム自体の変位分がさらに許容量として加わり、計算はもう一段複雑になります。また最小実体公差方式は肉厚の確保や破断の防止が目的で、最大実体とは増える方向が逆になります。図面の解釈に迷う場合は、規格の解説書を確認したうえで設計部門と合意を取ってください。判定の根拠を検査記録に残しておくと、後の監査や不具合調査で説明がしやすくなります。図面がどの版の規格に基づいているかも確認が要ります。記号の解釈や既定の原則が改訂で変わることがあり、古い図面と新しい図面が混在する現場では、同じ指示でも意味が異なる場合があります。

業界・現場での使い方

機械部品の受入検査

実測寸法からボーナス公差を求め、位置ずれの合否を判定します。

検査治具の設計

実効寸法をもとに機能ゲージのピン径や穴径を決めます。

設計段階の公差設計

ボーナス公差を見込んだうえで、幾何公差をどこまで絞るかを検討します。

不合格品の再判定

寸法公差内の個体について、ボーナス公差を加味すると合格になるかを確認します。

よくある間違い・注意点

  • 図面の幾何公差だけで判定する — Mの指示がある形体ではボーナス公差を加算でき、合格品を不合格にしてしまいます。
  • Mの記号がないのにボーナスを加える — 材料状態の指示がなければ寸法にかかわらず幾何公差は一定です。
  • ボーナス公差に上限がないと考える — 増やせる量は寸法公差の幅までで、それを超えることはありません。
  • 穴と軸で最大実体寸法を取り違える — 穴は下限、軸は上限が最大実体寸法で、逆にすると符号が反転します。
  • はめあい精度が要る形体に適用する — 組立性ではなく機能精度で決まる形体では、位置のずれを許容できません。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

実測10.020mmの穴でボーナス公差はいくつですか?

下限9.950mmとの差の0.070mmです。幾何公差0.100mmと合わせて0.170mmまで使えます。

実効寸法とは何を指しますか?

穴が最も小さく位置も最もずれた状態を1つの寸法で表したもので、機能ゲージのピン径に相当します。

軸の場合はどう変わりますか?

最大実体寸法が寸法の上限になり、実測が小さいほどボーナス公差が増えます。

最小実体公差方式はどんなときに使いますか?

穴の縁の肉厚確保など、材料が少ない側で機能が決まる場合に指示されます。

ボーナス公差はどこまで増えますか?

寸法公差の幅が上限です。既定値では0.100mmを超えることはありません。

機能ゲージがあれば計算は不要ですか?

合否はゲージで判定できます。ただし工程能力の管理には数値としての余裕量が要ります。

データム側にもMが付いている場合はどうなりますか?

データム形体の変位分がさらに加わるため、別途その分を計算に含める必要があります。

検査で不合格が多いときの見直し方は?

実測寸法の分布を確認し、最大実体側に寄っていないかを見ます。寸法の狙い値をずらすと余裕が生まれます。