計算ツール
三針法有効径ねじ測定

おねじ有効径の三針法計算

三針の外側測定値・ピッチ・ねじ山角度から、おねじの有効径と図面公差に対する余裕を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

おねじ有効径の三針法計算ツール

60度ねじの有効径はM−3×三針径+0.86603×ピッチで求めます。既定値の読み値10.249mm、三針径0.866mm、ピッチ1.5mmでは10.249−2.598+1.299=8.950mmです。最適三針径はピッチ÷(2cos30度)=0.866mm、基準の有効径は呼び径10−0.6495×1.5=9.026mmとなります。図面の上限8.994mm・下限8.844mmと比べると、上限まで44μm、下限まで106μmの余裕があり公差内です。

メートル並目ねじの最適三針径

ねじピッチ最適三針径
M50.8 mm0.462 mm
M61.0 mm0.577 mm
M81.25 mm0.722 mm
M101.5 mm0.866 mm
M121.75 mm1.010 mm
M162.0 mm1.155 mm

三針法で用いる係数

ねじ山角度三針径の係数ピッチの係数
60度(メートル・ユニファイ)3.000000.86603
55度(ウィット)3.165680.96049
最適針径の係数(60度)0.57735×ピッチ
最適針径の係数(55度)0.56369×ピッチ

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

おねじ有効径の三針法計算の詳しい解説

三針法が有効径の測定に使われるのは、有効径がねじ溝と山の幅が等しくなる仮想の円筒の直径であり、直接あてる測定面が存在しないためです。ねじ溝に3本の同径の針を入れ、その外側をマイクロメータで挟めば、幾何学的な関係から有効径を逆算できます。式のなかで三針径に掛かる係数はねじ山角度の半角の正弦から決まり、60度ねじでちょうど3になります。ピッチに掛かる係数はリード角を無視した理想形状での補正で、60度ねじでは0.86603です。

判断が分かれるのは針の直径の選び方です。最適三針径はねじ山のフランクのちょうど中央に接する寸法で、ピッチの0.57735倍です。この径から外れても計算式自体は成立しますが、接触点が山の頂上寄りや谷寄りに移り、ねじ山角度に誤差があるときの影響が拡大します。実務では最適径に最も近い市販の針を選び、角度誤差が疑われる場合は別のセットでも測って差を確認します。針を挟む力の再現性も結果に効くため、定圧装置付きのマイクロメータが望まれます。

見落とされやすいのがリード角の補正です。針はねじ溝に沿って傾いて収まるので、厳密には測定値にリード角に由来する補正が必要です。並目ねじではおおむね数マイクロメートルで無視できますが、多条ねじや台形ねじのようにリード角が大きい場合は無視できない量になります。温度も同様で、測定物とマイクロメータの材質が違えば20度からのずれがそのまま誤差になります。測定前に同じ室温になじませる時間を確保してください。

図面の公差と照合するときは、等級記号の意味を取り違えないことが重要です。おねじの6gは基準寸法から一定量だけ下側にずらした位置に公差域を置くもので、上限が基準寸法そのものになるわけではありません。表面処理を前提とした6eではさらに下側に寄ります。転造ねじと切削ねじでは形状の癖も違い、転造では谷底の丸みが大きく針の接触位置が変わります。最終的な合否はねじゲージでの通り止まりとあわせて判断し、疑義がある場合は測定の専門機関に相談してください。工程内で連続して測る場合は、同じ針のセットと同じ測定者で条件をそろえると、絶対値の精度は落ちても傾向の把握には十分な再現性が得られます。刃具の摩耗による有効径の変化を追うには、この使い方が実用的です。

業界・現場での使い方

ねじ加工の工程内検査

旋盤で切ったおねじの有効径を測り、仕上げの追い込み量を決めます。

受入検査

納入されたボルトやシャフトの有効径が図面公差に入っているかを確認します。

ゲージの校正

ねじプラグゲージやリングゲージの有効径を実測し、摩耗の進み具合を把握します。

不具合の原因調査

ねじが入らない、緩みやすいといった症状の原因を有効径の側から切り分けます。

よくある間違い・注意点

  • 外径だけで合否を判断する — ねじのはめあいを決めるのは有効径で、外径が正しくても有効径が外れていれば組み付きません。
  • 手近な径の針で測る — 最適径から離れるほどねじ山角度の誤差が拡大して現れ、数十マイクロメートルの差が出ます。
  • リード角の補正を常に無視する — 並目ねじでは問題ありませんが、多条ねじや台形ねじでは無視できない量になります。
  • 基準寸法を公差の上限と考える — おねじの6gや6eは基準寸法から下側にずらした位置に公差域があります。
  • 温度をそろえずに測る — 手で持った直後の測定物は膨張しており、20度になじませてから測る必要があります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

読み値10.249mmのM10並目の有効径はいくつですか?

三針径0.866mmで計算すると8.950mmとなり、上限8.994mmまで44μmの余裕があります。

最適三針径はどう求めますか?

60度ねじではピッチ×0.57735、55度ねじではピッチ×0.56369です。M10並目なら0.866mmになります。

針が最適径でなくても計算できますか?

式は成立します。ただしねじ山角度に誤差があるときの影響が大きくなるため、最適径に近い針を選びます。

55度のウィットねじでも使えますか?

使えます。三針径の係数が3.16568、ピッチの係数が0.96049に変わります。

リード角の補正はいつ必要ですか?

多条ねじや台形ねじのようにリード角が大きい場合です。並目の一条ねじでは通常は無視できます。

図面の上限と下限はどこを見ればよいですか?

ねじの等級記号に対応する有効径の許容限界寸法が規格の表に示されています。

ねじゲージがあれば三針法は不要ですか?

ゲージは合否しか分かりません。どれだけ外れているかを知り工程を修正するには実測値が要ります。

転造ねじでも同じように測れますか?

測れますが谷底の丸みが大きく接触位置が変わるため、切削ねじより測定値のばらつきが出やすくなります。