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中ぐりボーリング切削条件びびり

中ぐり(ボーリング)切削条件の計算

内径・バー直径・突出し長さ・被削材から、中ぐり加工の切削速度・切込み・送り・主軸回転数とびびりの目安を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

中ぐり(ボーリング)切削条件の計算ツール

突出し比は突出し長さ÷バー直径で、既定値では100÷25=4.0倍です。この比から剛性係数を0.8と見て、炭素鋼の基準速度150m/minに掛けた120m/minを推奨切削速度とします。切込みの上限はバー直径×0.06×剛性係数=25×0.06×0.8=1.20mmで、取り代1.5mmより小さいため1.20mmを採り、取り代は2回に分けます。送りは面粗さの理論式からRa3.2μm・ノーズ半径0.4mmで0.10mm/rev、主軸回転数は120×1000÷(π×60)=637min-1となります。

突出し比とシャンク材質の対応

突出し比 L/Dシャンクの選択切削速度の目安
3倍以下鋼シャンク基準値のまま
4倍まで鋼または超硬シャンク基準の8割
5倍まで超硬シャンク・防振バー基準の6割
7倍まで防振バー基準の4割強
8倍以上特殊仕様・工程分割基準の3割

被削材別の基準切削速度

被削材基準速度注意点
炭素鋼 S45C150 m/min切りくずの分断が課題になります
ステンレス SUS30490 m/min加工硬化しやすく低速の空走を避けます
鋳鉄 FC250120 m/min黒皮層で刃先が欠けやすくなります
アルミ A5052400 m/min構成刃先の付着に注意が必要です

※参考計算です。規格・工具メーカーの推奨値・機械の仕様によって適正値は変わるため、実機の取扱説明書と最新のJISで確認してください。

中ぐり(ボーリング)切削条件の計算の詳しい解説

中ぐりの条件が外径旋削と同じにならないのは、工具側の剛性が突出し比で決まるためです。ボーリングバーのたわみは突出し長さの3乗に比例し、直径の4乗に反比例します。突出し比が3倍を超えたあたりから切削抵抗によるたわみが無視できなくなり、4倍で切削速度を2割、5倍で4割落とすといった段階的な減速が要ります。同じ内径でも太いバーを入れられるかどうかで条件が変わるのは、この剛性差が理由です。下穴が小さい段階から順に工具を太くしていく工程設計が有効になります。

判断が分かれるのは、切込みを減らすか送りを減らすかです。切込みを減らすと背分力は下がりますが、刃先が加工硬化層をなでる状態になり、ステンレスでは逆にびびりやすくなります。送りを減らすと面粗さは良くなる一方で切りくずが薄くなり、逃げ面の摩擦が増えて工具寿命が縮みます。突出しの長い加工では、切込みを小さくして送りを保つほうが安定する例が多く見られます。刃先のすくい角を大きくして切削抵抗そのものを下げる手も併用されます。

見落とされやすいのは切りくずの排出です。止まり穴の中ぐりでは切りくずが工具と穴壁の間に詰まり、突然の負荷変動でバーを弾きます。クーラント穴付きのバーを使う、送りを一定にして切りくずを分断する、荒と仕上げで工具を分けるといった対策が要ります。ノーズ半径は面粗さを決める一方で背分力も増やすため、剛性が足りない条件では小さいノーズ半径にワイパー刃を組み合わせる選択もあります。バーの固定部の締付けトルクも実効剛性を左右します。

条件は被削材でも大きく変わります。炭素鋼を基準にすると、ステンレスは切削速度で6割程度、鋳鉄は8割程度、アルミは2倍以上が目安です。ただしアルミは高速回転で構成刃先が付きやすく、鋳鉄は黒皮層で刃先が欠けやすいなど、速度以外の注意点があります。防振バーや超硬シャンクを使えば突出し比7倍程度まで対応できますが、価格が数倍になるため、加工数量と不良率を見て投資の可否を判断してください。試し削りで音と面を確認する手順は省けません。工具メーカーの推奨条件は自社の機械剛性を前提にしていないため、初回は推奨値の8割から入り、面と切りくずの状態を見ながら段階的に上げていく進め方が安全です。加工数が少ない場合は条件出しの時間も原価に含めて考えます。

業界・現場での使い方

機械加工の工程設計

内径と突出し長さから工具を選び、荒と仕上げの分割回数を決めます。

工具選定の検討

鋼シャンクで足りるか防振バーが要るかを突出し比で判断します。

NCプログラムの作成

切削速度から主軸回転数を求め、送り速度の指令値に換算します。

びびり不良の原因調査

実際の突出し比と条件を照合し、速度と切込みのどちらを見直すかを絞ります。

よくある間違い・注意点

  • 外径旋削と同じ切削速度を使う — 突出し比による剛性低下を見込まないため、4倍を超えると高い確率でびびります。
  • 切込みだけを減らして対処する — 刃先が滑って加工硬化層をなでる状態になり、ステンレスでは症状が悪化します。
  • ノーズ半径を大きくして面を稼ぐ — 面粗さは良くなりますが背分力が増え、剛性の低い条件では逆効果になります。
  • 切りくずの排出を計算に入れない — 止まり穴では詰まりによる負荷変動が起き、条件が正しくても突発的に破損します。
  • バーの固定部の締付けを軽視する — ホルダの把握長さと締付けが不足すると、計算上の剛性が出ません。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

突出し比はどこまで許容できますか?

鋼シャンクで3〜4倍、超硬シャンクで5倍前後、防振バーで7倍程度が実用の目安です。

内径60mm・突出し100mmではどんな条件になりますか?

バー径25mmなら突出し比4.0倍で、切削速度120m/min・切込み1.20mm・送り0.10mm/revが目安です。

送りはどのように決めていますか?

面粗さの理論式Ra=f²÷(8R)から逆算し、剛性による上限と比べて小さいほうを採っています。

びびりが出たときはまず何を変えますか?

主軸回転数を1〜2割ずらすのが最も手早い対処です。改善しなければ突出し長さの短縮を検討します。

防振バーは本当に効果がありますか?

内部のダンパが振動を減衰させるため、突出し比5倍以上では効果が明確に出ます。ただし価格は数倍です。

取り代が大きいときは何回に分けますか?

切込みの上限で割った回数が目安です。既定値では取り代1.5mmを1.20mmで割り2回になります。

クーラントは内部給油と外部給油のどちらが有利ですか?

止まり穴では切りくず排出の点で内部給油が有利です。通し穴なら外部給油でも成立します。

アルミは高速回転にすればよいのですか?

速度は上げられますが、構成刃先や巻付きが起きやすく、鋭利な刃先と十分な逃げ角の工具が前提になります。