計算ツール
空調換気住宅建築基準法

換気回数計算機|居室0.5回・浴室10回・キッチン20回、24時間換気の必要風量設計

換気回数(ACH)を、部屋の容積と用途から瞬時に計算。建築基準法シックハウス対策の居室0.5回/h、浴室・トイレ10回/h、キッチン20回/hなど、居住空間・オフィス・厨房の設計基準値をプリセット。換気扇の必要風量、24時間換気システムのサイジング、CO2濃度・湿度・臭気の維持条件まで対応します。厚生労働省・国土交通省・日本建築学会・空気調和衛生工学会(SHASE)の公式値に基づく信頼性設計。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

換気回数ツール

計算式と単位系

基本式

必要風量 Q = 部屋容積 V × 換気回数 N (m³/h)

換気回数 N = 必要風量 Q ÷ 部屋容積 V (回/h)

換気回数(ACH: Air Changes per Hour)は、1時間あたりに部屋の空気を何回入れ替えるかを示す指標です。ACH=1は「1時間で部屋の空気が丸ごと入れ替わる」ことを意味します。換気扇や吸気口の必要能力を決める最も基本的な設計指標です。

単位換算

1 m³/h = 0.5886 CFM = 0.2778 L/s

米国製HVAC機器ではCFM(cubic feet per minute)、ISO/欧州ではL/s表記が使われます。日本では建築基準法・省エネ法ともにm³/h基準ですが、海外製品のカタログスペック確認時は換算が必須です。

人員基準の換気量

建築基準法施行令第20条の2では、居室の機械換気は「床面積×天井高×0.5回/h」または「20 m³/h/人」の大きい方を採用します。オフィスや会議室では在室者数が主要因となるため、後者が支配的になります。

局所換気と全般換気の使い分け

局所換気はコンロ・シャワー・便器等の発生源近くで直接排気する方式、全般換気は室全体の空気を均一に入れ替える方式。実務ではキッチン・浴室・トイレは局所換気、居室・オフィスは全般換気で組み合わせるのが原則。局所換気は同じ排気量でも空気質改善効果が3-5倍高いため、可能な場合は局所方式を優先すべきです。

吸気口と排気口の位置

換気設計では吸気口と排気口の距離を確保し、ショートサーキット(給気がすぐ排気側に流れる現象)を防ぐ配置が要点。天井高2.5mの居室では、給気口を居住域(床上1.5m前後)に、排気口を天井付近または対角の壁に配置するのが定石です。

用途別の標準換気回数

日本建築学会・空気調和衛生工学会(SHASE-S 102)および米国ASHRAE 62.1の設計指針を参考にした主要用途の推奨換気回数です。

用途ACH(回/h)人あたり(m³/h/人)主な設計目的
寝室・個室0.520-30シックハウス対策
リビング・ダイニング0.5-1.025-30CO2・臭気管理
キッチン・厨房15-40火気・水蒸気・臭気
浴室5-10湿気・カビ防止
トイレ10-15臭気排出
洗面・脱衣所3-5湿気管理
オフィス4-625-30CO2・人員密度
会議室6-1030高人員密度
教室(学校)6-1022-30学校保健安全法
飲食店客席10-1530-45臭気・喫煙・調理
喫煙室30以上健康増進法
病院一般病室2-4感染管理
手術室15-25清浄度クラス
倉庫0.5-1結露・カビ防止
駐車場(屋内)10CO・排ガス

建築基準法とシックハウス対策

2003年7月改正の建築基準法シックハウス規制により、新築住宅・改築住宅の全居室に24時間機械換気の設置が義務化されました(建築基準法第28条の2)。これは1990年代に社会問題化したホルムアルデヒド・VOC(揮発性有機化合物)による健康被害への対策です。

換気回数0.5回/h以上(住宅の居室)

住宅の居室では換気回数0.5回/h以上を24時間連続で確保することが法定基準。天井高2.5m・床面積8畳(13.2 m²)の居室なら容積33 m³×0.5=16.5 m³/h以上の連続換気が必要です。第一種・第二種・第三種いずれの方式でもよいが、給気口の位置と排気経路が設計図で明示されている必要があります。

住宅以外の居室:0.3回/h(オフィス・店舗等)

住宅以外の居室(店舗・事務所・工場等)は0.3回/h以上、または20 m³/h/人以上の大きい方が基準です。多くのオフィスでは在室密度から人員基準が支配的になります。

ホルムアルデヒド発散建築材料の使用制限

F☆☆☆☆(最高等級)の建材のみ制限なく使用可、F☆☆☆は制限あり、F☆☆以下は使用禁止という規制。24時間換気+低放散建材の組み合わせで居室のホルムアルデヒド濃度を0.08ppm以下に維持することが目標です。

CO2濃度と必要換気量

換気量設計のもう1つの主要指標がCO2濃度の上限管理です。建築物衛生法(ビル管法)では特定建築物の室内CO2を1000 ppm以下に維持する義務があります。学校保健安全法も教室の基準を1500 ppm以下と定めています。

CO2発生量と換気量の関係

必要換気量 Q = 人数 × CO2発生量 ÷ (室内許容CO2 - 外気CO2)

成人1人あたりのCO2発生量は安静時0.020 m³/h・軽作業0.022・中程度活動0.030-0.040 m³/h。外気CO2は約400ppmとして、室内1000ppm維持なら1人あたり約30 m³/hの換気が必要という計算になります。これがオフィス・会議室で「30 m³/h/人」が標準値になっている理由です。

コロナ対策との関連

2020年以降、感染症対策として厚生労働省は室内換気の目安として1人あたり30 m³/h以上、CO2濃度1000ppm以下を推奨。空気清浄機は換気の代替にはならず、外気導入との併用が求められます。CO2濃度計(NDIR式)を設置し、リアルタイム監視するオフィス・店舗が急増しました。

24時間換気システムの種類

第一種換気(給気・排気とも機械)

給気ファンと排気ファンを両方使用し、給気量・排気量を精密制御。熱交換型(全熱交換器)と組み合わせると省エネ性能が高く、冬期の外気予熱・夏期の予冷が可能。初期費用は高いが、寒冷地・高気密高断熱住宅・オフィスビルで採用が拡大。フィルタ管理と結露対策が要点。

第二種換気(給気機械・排気自然)

給気を機械、排気を自然通風で行う方式。室内が正圧になるため外部から埃・虫が入りにくいメリットがあり、クリーンルーム・手術室・食品工場で採用。住宅ではほとんど使われません。

第三種換気(給気自然・排気機械)

排気を機械、給気口は自然給気の方式。設備コストが最も安く、日本の一般住宅で最も普及。ただし冬期は冷たい外気がそのまま入り体感温度が下がるため、給気口位置と気密性能が重要。24時間換気扇はトイレ・浴室・洗面所に設置されるパターンが多い。

局所換気(キッチン・浴室・トイレ)

火気・水蒸気・臭気の発生源近くで局所的に排気する換気。キッチンレンジフードは強20回/h相当・弱10回/hが標準。浴室換気扇は乾燥暖房機能付きが増加。24時間換気とは別系統で設計します。

用途別の実務ポイント

🏠 新築住宅の設計

高気密高断熱住宅では自然換気(隙間風)が期待できないため、機械換気設計が絶対条件。C値(相当隙間面積)0.5cm²/m²以下の住宅は第一種熱交換型が推奨。給気口の位置は寝室・居室、排気口はトイレ・浴室・洗面所に分けて計画的に配置します。

🍳 レストラン・厨房換気

厨房排気は火源の熱・水蒸気・油煙を排出。営業許可基準の一つで、都道府県保健所が調理場面積と器具から必要風量を審査。ダクト内グリースフィルタ・防火ダンパー・排気天蓋(フード)設計が必要。40回/h相当の強力換気が普通。

🚬 分煙・喫煙室

健康増進法(2020改正)で喫煙可能な部屋は独立換気+風速0.2m/s以上の入口気流が義務。ACH 30-60回/h相当の強制排気が必要で、隣室への煙侵入防止に負圧管理が必須。粉じん濃度0.15 mg/m³以下の維持も条件。

🏥 病院・介護施設

一般病室ACH 2-4、感染症病室(陰圧室)は12-15回/h。手術室はISO 14644クリーンルーム規格でACH 20回/h以上、HEPA/ULPAフィルタ通過が要件。COVID-19対応で待合室のACH引き上げも進行。

🏫 学校・保育施設

学校保健安全法施行規則で教室CO2 1500ppm以下・湿度30-80%が基準。生徒40人×22 m³/h/人=880 m³/hの換気を各教室で確保。空調と換気を分離し、外気導入率を高める必要があります。

🚗 屋内駐車場・地下

建築基準法施行令第129条の2の6で自動車車庫の機械換気はACH 10回/h以上。CO濃度100ppm以下の維持義務あり(建築物衛生法)。地下駐車場は排気ファンと給気ダクトを分離配置。

よくある間違い・注意点

  • 換気扇のカタログ風量をそのまま設計値に — カタログ値は静圧0Paの最大値で、実際の配管・ダクト抵抗下では60-70%に落ちます。P-Q線図で運転点を確認し、余裕30%を見込んで機種選定してください。
  • 給気口を計画せず排気だけ設置 — 排気だけ強くしても新鮮空気が入らず換気は成立しません。第三種でも給気口(24cm²/m²床面積以上)の計画的配置が必須。給気口を塞ぐと室内が負圧になり、玄関ドアが重く開かない現象も。
  • 24時間換気扇をコンセントから抜く — 電気代節約でスイッチを切ると室内空気環境が悪化し、シックハウス・結露・カビの原因に。24時間換気の消費電力は数W-10W程度で年数千円以下です。切ってはいけません。
  • フィルタ清掃を怠る — 給気口・換気扇のフィルタが目詰まりすると風量が半減。3-6ヶ月に1回の清掃が原則。第一種熱交換型はさらに熱交換素子のメンテナンスも必要。
  • 浴室と寝室を同一系統で換気 — 浴室排気を寝室給気側に流すと湿気・臭気の逆流が発生。排気は独立ダクトで屋外直接排気とし、給気と交差しない経路設計が原則です。
  • 気密性能を上げずに換気だけ設計 — C値5以上のスカスカ住宅では機械換気の計画流量が制御できません。断熱・気密工事とセットで換気設計を進める必要があります。

関連する規格・法令

  • 建築基準法第28条の2、施行令第20条の2 ― 居室の換気規定。シックハウス対策としての24時間機械換気の義務化。
  • 建築物衛生法(ビル管法) ― 特定建築物のCO2濃度1000ppm以下、CO濃度10ppm以下、温湿度・浮遊粉じん基準。
  • 健康増進法(2020改正) ― 屋内原則禁煙、喫煙室の技術基準(換気風速・区画・表示)。
  • 学校保健安全法施行規則 ― 教室のCO2 1500ppm以下、温湿度・照度・騒音の基準。
  • 労働安全衛生法・事務所衛生基準規則 ― 事務室の1人あたり換気量10 m³/min相当・CO2 5000ppm以下、実務は1000ppm目標。
  • SHASE-S 102(空気調和衛生工学会) ― 換気設備の設計基準。住宅・非住宅の設計流量ガイドライン。
  • JIS A 4706 ― 換気扇の性能試験方法。風量・静圧・消費電力の測定手順。
  • ASHRAE Standard 62.1/62.2 ― 米国空調学会の換気基準。ASHRAE 62.2は住宅向け。
  • ISO 16814 ― 建物のエネルギー性能−室内空気質。CO2・湿度・粒子の設計指標。

参考文献・公的資料

より正確な設計値・法規の詳細は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページの計算結果および設計指標は概算値です。実際の建築確認申請・営業許可・法定点検には、建築士・設備設計者・保健所への確認と最新の法令・条例に基づく判断が必要です。特に事務所・店舗・医療施設・介護施設・学校等は用途ごとに独自の設計基準があるため、専門家(建築士・設備設計一級建築士・空調衛生工学会技術者)への相談を推奨します。

よくある質問(FAQ)

シックハウス対策で24時間換気は義務?

2003年7月以降に建築確認を受けた住宅の全居室は、換気回数0.5回/h以上の機械換気が建築基準法で義務化されています。目的はホルムアルデヒド・VOC等の空気汚染物質の排出。第一種・第二種・第三種いずれの方式でも良く、給気口・排気経路が図面で明示されていることが要件です。

24時間換気の電気代はいくら?

一般的な住宅の第三種24時間換気扇は消費電力3-10W程度で、年間の電気代は500-2000円程度。第一種熱交換型でも年数千円以内で、暖冷房費節約の効果を上回るケースは稀です。切って節約するメリットはなく、シックハウス・カビ・結露を招くリスクの方が大きいので常時運転が推奨されます。

換気扇の選定で余裕を見るべき?

カタログ値は静圧0Paの最大値のため、実際のダクト・フィルタ抵抗下では60-70%に低下します。設計流量に30-50%の余裕を見込んで選定するのが原則。P-Q曲線を確認し、実際の運転点(交点)で必要風量が確保できるかチェックしてください。

キッチン換気は20回/hで足りる?

家庭用キッチンなら強20回/h・弱10回/hの切替式レンジフードで十分ですが、業務用厨房(ガスコンロ複数・中華レンジ等)は40回/h以上必要です。フード開口面積・ダクト経路・グリースフィルタも都道府県保健所の営業許可基準に合わせる必要があります。

CO2濃度と換気量の関係は?

成人1人あたりCO2発生量は安静時0.020 m³/h、軽作業時0.022 m³/h。室内1000ppm・外気400ppmを維持するには1人あたり約30 m³/hの換気が必要です。これがオフィス・会議室で「30 m³/h/人」が標準値になっている根拠。CO2濃度計(NDIR式)でリアルタイム監視すると管理が容易です。

浴室の換気回数は?

浴室は湿気・カビ防止のためACH 5-10回/hが推奨。入浴後1-2時間は連続運転し、その後は24時間換気の弱運転で十分。浴室換気乾燥暖房機付きなら衣類乾燥や暖房も可能ですが、消費電力は換気単体の10倍以上のため機能別に使い分けを。

第一種と第三種、どちらが良い?

省エネ性能とダクトの複雑さのトレードオフです。寒冷地・高気密高断熱住宅(C値0.5以下)なら第一種熱交換型が有利、温暖地の一般住宅では第三種でもコスパ良好。第一種は熱交換率60-90%で冬期暖房費を削減できますが、初期費用は50-100万円高くなります。

喫煙室の換気基準は?

健康増進法(2020改正)で、喫煙可能室は独立換気・入口気流0.2m/s以上・粉じん濃度0.15 mg/m³以下が義務。ACH換算で30-60回/h相当の強制排気が必要です。壁・扉で完全区画し、他の部屋への煙侵入を防ぐ負圧管理が要点になります。

フィルタ清掃の頻度は?

給気口・換気扇フィルタは3-6ヶ月に1回の清掃、1-3年で交換が目安。フィルタが目詰まりすると風量が半減し、実際の換気回数が設計値の半分以下になる場合も。第一種熱交換型は熱交換素子(コア)のメンテナンスも別途必要で、メーカー指定に従います。

気密性能(C値)と換気の関係は?

C値(相当隙間面積)が大きいほど自然換気が多く、計画換気が制御しにくくなります。C値0.5cm²/m²以下の高気密住宅なら機械換気が計画通り動作。C値5以上のスカスカ住宅では隙間からの漏気で暖房費が膨らみ、給気口からの新鮮外気導入が減ってしまうため、断熱気密工事とセットで換気計画を進めるのが原則です。

感染症対策と換気回数の関係は?

厚生労働省はコロナ対策として1人あたり30 m³/h以上、CO2濃度1000ppm以下を推奨。ACHに換算すると、10畳の居間で3-4人在室なら約6-8回/hが目安。空気清浄機は換気の代替にはならず、外気導入(窓開けまたは機械換気)との併用が必要です。

換気回数と冷暖房費のバランスは?

換気量が多いほど室温維持のエネルギーが増える(冷暖房負荷+30-40%)ため、熱交換型換気で解決するのが省エネ設計の基本。顕熱交換なら熱回収率70-80%、全熱交換なら湿度も回収できるため、寒冷地・高気密住宅では有効です。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準では熱交換型換気が実質必須。