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電気安全選定分電盤

漏電遮断器選定計算機|定格電流・感度電流・動作時間・極数を用途別に自動選定

漏電遮断器(ELCB/RCD)の選定パラメータを、回路電流・電圧・相数・用途から自動算出。住宅30mA/0.1秒・工業100mA・水回り15mA(高感度)・医療用6mAのプリセット、単相2線/単相3線/三相3線/三相4線の極数選定、内線規程・電技解釈・IEC 61008/61009・JIS C 8201に基づく実務基準で解説。電気工事士・電気主任技術者・工場保全担当・住宅リフォーム業者の分電盤設計・改修時に必須の知識をまとめました。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

漏電遮断器選定ツール

漏電遮断器の基本と選定式

漏電遮断器とは

漏電遮断器(ELCB: Earth Leakage Circuit Breaker, RCD: Residual Current Device)は、電気回路の漏電を検出して電路を自動遮断する保護機器です。感電・電気火災の防止が主目的で、内線規程3305-3および電技解釈第36条により、多くの回路で設置が義務化されています。

選定パラメータ

選定4要素 = 定格電流 × 感度電流 × 動作時間 × 極数

  • 定格電流(In): 通常運転で流せる最大電流。回路電流の1.2-1.5倍で選定。
  • 感度電流(IΔn): 漏電検出の閾値。住宅30mA・水回り15mA・医療6mA。
  • 動作時間: 感度電流検出から遮断までの時間。高速型0.1秒以下・時延型0.1秒超。
  • 極数: 単相2線=2P、単相3線=2P2E/3P、三相3線=3P、三相4線=4P。

電路容量の計算

単相2線: 容量(kW) = 電圧(V) × 電流(A) × 力率 ÷ 1000

三相3線: 容量(kW) = √3 × 電圧(V) × 電流(A) × 力率 ÷ 1000

選定時は回路の負荷合計を確認し、力率0.8-0.9で余裕を見て定格電流を決定します。

感度電流の分類と用途

感度電流(IΔn)は、漏電遮断器が動作する漏電電流の閾値。用途によって適切な感度が異なります。

感度電流分類主な用途備考
6 mA超高感度医療用(手術室・ICU)患者接続機器
15 mA高感度浴室・厨房・屋外・プール水回り・湿潤場所
30 mA高感度住宅主幹・オフィス最も普及・感電死ゼロ目標
50 mA高感度小規模工場電気機器誤動作低減
100 mA中感度工業用・機械設備インバータ機器と共存
200 mA中感度大型モーター・溶接機始動電流耐性
300 mA低感度火災防止のみ感電保護は別途
500 mA低感度漏電火災警報器警報のみ・遮断なし
1000 mA (1A)低感度大容量幹線選択遮断

動作時間の分類

動作時間分類用途
0.1秒以内高速形住宅・一般
0.1〜2秒時延形選択遮断・多段構成
2秒以上反限時形過大電流保護併用

定格電流と極数の選定

定格電流の標準値

JIS C 8201-2-2に基づく漏電遮断器の定格電流(In)は15/20/30/40/50/60/75/100/125/160/200/225/250/400/630/800 Aの系列。回路電流(負荷)の1.2-1.5倍で選定するのが実務基本で、モーター等の突入電流がある回路はさらに大きな余裕が必要です。

相数と極数

電源方式極数主な回路
単相2線 (100V)2P1E照明・コンセント(一般家庭)
単相3線 (100/200V)2P2E, 3P3E家庭主幹・エアコン・IH
三相3線 (200V/400V)3P3E工場・大型エアコン
三相4線 (400V+N)4P3E, 4P4E大容量工場・データセンター

遮断容量

遮断容量(Icu)は短絡電流に対する耐性能で、住宅用主幹は5-10 kA、工業用は10-25 kA、大容量では50-100 kAの製品もあります。電力会社との受電契約容量と系統短絡電流を踏まえて選定します。

AC型・A型・B型・SIU型の違い

漏電遮断器は検出できる漏電電流の波形によりタイプ分けされています。近年のインバータ機器・EV充電器・パワコンの普及で、B型やA型の選定が急速に重要になっています。

AC型(従来型・50/60Hz正弦波)

交流50/60Hzの正弦波漏電のみ検出。長年住宅・工業用の標準として普及した基本タイプ。インバータ機器・EV充電・パワコンの直流成分に対応できないため、これらの機器が接続される回路では上位タイプへの更新が必要になっています。

A型(パルス性直流対応)

半波整流(パルス性直流)を検出可能。EV充電器・電気自動車の車載充電・インバータエアコンで発生する直流成分に対応。IEC 61008-1/JIS C 8221準拠。EU諸国では住宅用の標準になりつつあり、日本のEV充電規格でも指定されています。

B型(平滑直流対応)

平滑された直流成分まで検出可能な最高感度タイプ。太陽光発電パワコン・EV急速充電・産業用インバータで使用。価格はA型の2-3倍と高価ですが、大規模PV設備・工場では必須。日本ではメーカー特注品が多い状況。

SIU型(時延型・選択遮断)

時延動作で選択遮断を実現する上位タイプ。分電盤主幹に設置し、下位の分岐ブレーカーが先に動作するよう時間差を付ける構成に使用。大規模ビル・工場の系統設計で必須です。

設置基準(電技解釈第36条)

法令上の設置義務

電技解釈第36条により、以下の回路は漏電遮断器の設置が原則義務化されています。

  • 使用電圧60Vを超える金属製外箱を有する電気機械器具に電気を供給する電路
  • 湿気又は水気のある場所
  • 電動機を接続する電路
  • 屋外・地下・大浴場・プール・厨房等の水気の多い場所

例外は「二重絶縁機器のみ接続」「絶縁変圧器で絶縁」「対地電圧150V以下の乾燥した場所」等の限定条件。

設置箇所

主幹漏電遮断器: 分電盤の入口に設置し、全回路を保護。感度30mA・0.1秒動作が住宅の標準。

分岐漏電遮断器: キッチン・浴室・洗面所など水気のある場所の分岐回路に設置。感度15mA・高速動作が推奨。

テスト頻度

漏電遮断器のテストボタン押下は月1回以上が推奨(内線規程3305-6)。長年使用しないと機械式トリップ機構が固着し、実際の漏電で動作しない事故につながります。事業用電気工作物は電気事業法により法定点検で必ずチェック項目に含まれます。

用途別の実務ポイント

🏠 一般住宅の分電盤

住宅主幹は感度30mA・0.1秒動作のAC型が標準。契約アンペア(30/40/50/60A)に合わせて定格電流を選定。近年はA型(パルス直流対応)への更新が進行中で、EV充電・エコキュート・IH・パワコンの普及が背景。

🚿 浴室・キッチン・屋外コンセント

水気の多い場所は感度15mA・0.1秒動作の高感度型を分岐回路に個別設置。屋外コンセントは防雨型カバー+15mA漏電保護が電技解釈上の必須要件。

🏭 工業用機械設備

インバータモーター・溶接機・大容量ヒーターは感度100mA・時延型が主流。感度を下げるのは通常運転時の漏れ電流(数十mA)による誤動作を回避するため。ただし人体感電保護のため作業者接触部は別途30mA保護を推奨。

🚗 EV充電設備

電気設備技術基準改正(2019)により、EV充電コンセントはA型漏電遮断器30mAの設置が義務化。急速充電器では高圧側にB型が必要な場合も。設置業者は電気工事士2種以上の資格が必須。

☀️ 太陽光パワコン

パワコンからの直流漏電を検出するためB型漏電遮断器が推奨。10kW未満の住宅用でもA型以上が必要。系統連系側の絶縁監視装置(IMD)と組み合わせて安全性を担保します。

🏥 医療施設

手術室・ICUなど患者接続機器の回路は感度6mAの超高感度型+絶縁変圧器の組み合わせが標準。JIS T 1022医療施設電気設備規格に準拠した設計が必要。停電時のUPSバックアップも法定義務項目。

よくある間違い・注意点

  • 感度電流を「大きい方が安全」と誤解感度電流は数値が小さいほど高感度(6mA > 15mA > 30mA)。医療用6mAは最も敏感、工業用100mAは鈍感で誤動作を減らす代わりに感電保護は弱い。用途と目的を明確にして選定してください。
  • テストボタンを何年も押していない — 機械式トリップ機構は長期未動作で固着することがあり、いざ漏電時に動作しない致命的事故を招く可能性。月1回のテストを習慣化してください。
  • 10年以上経った古い漏電遮断器を放置 — 内線規程は10-15年で交換を推奨。経年劣化で動作特性が変化し、想定通り動作しない可能性が高まります。分電盤ごと更新すると数万-十数万円ですが安全性は劇的に向上。
  • インバータ機器接続でAC型を維持 — EV充電・エコキュート・パワコン等のインバータ機器はDC漏電を発生させ、AC型では検出できません。A型またはB型への更新が必要です。
  • 感度を下げて「よく落ちる」問題を解決 — 感度を下げれば動作しにくくなりますが、それは感電・火災リスクを増やす解決策。真の原因は絶縁劣化・機器故障の可能性があり、電気工事士による絶縁抵抗測定が原則です。
  • 接地(D種接地)を省略 — 漏電遮断器は接地と組み合わせて機能する保護装置。接地なしでは漏電電流が流れず遮断器が動作せず、機器筐体が電圧を持ち感電事故の原因に。100Ω以下(D種)の接地を必ず施工。

関連する規格・法令

  • 電気設備技術基準(電技) ― 経済産業省令。漏電遮断器の設置義務の法的根拠。
  • 電気設備技術基準の解釈(電技解釈)第36条 ― 漏電遮断器の設置範囲・感度・動作時間の具体基準。
  • 内線規程 JEAC 8001 ― 日本電気協会。屋内配線・分電盤設計の実務基準。3305項が漏電遮断器の詳細。
  • JIS C 8201-1/-2-2 ― 低圧開閉装置及び制御装置。漏電遮断器の性能規格。
  • JIS C 8221 / JIS C 8222 ― 家庭用及びこれに類する用途の漏電遮断器(過電流保護なし/あり)。
  • IEC 61008-1 / IEC 61009-1 ― 国際規格。RCD/RCBOの一般要件と試験方法。
  • IEC 62423 ― F型・B型漏電遮断器(直流・パルス性直流検出可)。
  • JIS T 1022 ― 医療施設電気設備規格。手術室・ICUの感度6mA・絶縁変圧器規定。
  • 電気事業法 ― 事業用電気工作物の保安規程による定期点検・自主検査の義務。

参考文献・公的資料

漏電遮断器の詳細仕様・法令・実務ガイドは以下を参照してください。

※本ページの選定パラメータは概算値です。実際の分電盤設計・改修・工場設備更新には、電気工事士(第一種・第二種)・電気主任技術者(第一種~第三種)による現地調査と、電気事業法・電気設備技術基準・内線規程・JISに準拠した設計判断が不可欠です。EV充電・太陽光パワコン・医療機器接続など特殊用途では、上位型漏電遮断器の選定と絶縁監視装置の併用について、メーカー・設計事務所へ相談してください。

よくある質問(FAQ)

テストボタンの押下頻度は?

月1回以上のテストが内線規程3305-6で推奨されています。長年未動作だと機械式トリップ機構が固着し、いざ漏電で動作しない事故につながる可能性。テストボタン押下で「バチッ」と切れれば正常。復旧はスイッチをONに戻すだけ。

感度電流が小さい方が安全?

数値が小さいほど高感度(6mA > 15mA > 30mA)で、より弱い漏電で動作します。ただし高感度すぎるとインバータ機器・通信機器・PC電源の漏れ電流(通常数mA)で誤動作するため、用途に応じた選定が実務。医療6mA・水回り15mA・住宅30mA・工業100mAが標準。

漏電遮断器の交換時期は?

内線規程では10-15年での交換を推奨。経年劣化でトリップ動作特性が変化し、想定通り動作しないリスクがあります。分電盤ごとの更新で数万-十数万円ですが、感電・火災リスクを考えれば費用対効果は高い投資です。EV・パワコン・IH等の追加時が更新の好機。

EV充電に必要な漏電遮断器は?

電気設備技術基準改正(2019)により、EV充電コンセントはA型漏電遮断器30mAの設置が義務化。パルス性直流成分を検出するため、従来のAC型では法令不適合。設置は電気工事士2種以上の有資格者による工事が必須です。

漏電火災警報器と漏電遮断器の違いは?

漏電火災警報器は500mA程度で警報のみ、遮断はしません。1000㎡以上の共同住宅・宿泊施設等で消防法により設置義務。漏電遮断器は感電・火災両方の防止で電路遮断機能あり。両者は目的が異なり、大規模建築では併用されます。

浴室のコンセントは何mA?

浴室・脱衣所は水気の多い場所なので感度15mAの高感度型を分岐回路に設置。屋外コンセント・洗車機・プール周りも同様。電気工事士による分電盤内の分岐ブレーカー選定が必要です。

漏電遮断器がすぐ落ちる原因は?

主な原因は(1)電気機器の絶縁不良、(2)配線の湿気・浸水、(3)遮断器の経年劣化、(4)容量オーバー(過電流)、(5)インバータ機器の漏れ電流。まず絶縁抵抗測定で機器・配線側の異常を切り分けるのが電気工事士の定石です。

接地(アース)は必須?

漏電遮断器は接地と組み合わせて初めて機能する保護装置。接地なしでは漏電電流が流れず、遮断器が動作せず、機器筐体に電圧が乗る危険状態に。D種接地(100Ω以下)を必ず施工してください。

単相と三相の漏電遮断器は互換性ある?

電気的には別物です。単相200V用は単相3線分電盤専用、三相200V用は三相分電盤専用。極数・内部回路が異なるため、絶対に流用しないでください。誤設置は法令違反+火災リスク。

漏電遮断器と過電流遮断器の違いは?

漏電遮断器は大地への漏電を検出、過電流遮断器(サーキットブレーカー)は過負荷・短絡を検出。両機能を持つのがRCBO(漏電+過電流一体型)で、住宅分岐回路の主流。JIS C 8222準拠品が該当します。

太陽光パワコン設置時の漏電遮断器は?

パワコンの直流漏電を検出するためB型漏電遮断器が推奨。10kW未満の住宅用でもA型以上が必要。パワコン側の絶縁監視装置(IMD)と組み合わせて、DC漏電・AC漏電両方に対応する設計が主流です。

漏電遮断器の点検は法定義務?

事業用電気工作物(工場・ビル)は電気事業法により電気主任技術者による定期点検で必ずチェック対象。住宅は法定義務ではないものの、内線規程で月1回のテスト+10-15年交換が強く推奨されています。