計算ツール
配管流体給排水

配管 流量・流速 計算ツール|内径×流速で流量を即時算出

配管の流量(L/min)・流速(m/s)・内径(mm)の3要素から、残り2つを自動計算。給水・排水・空調・ガス配管の設計やトラブル診断に必須の完全無料ツール。流体力学の基本原理「Q=A×v」(流量=断面積×流速)に基づき、公益社団法人空気調和・衛生工学会(SHASE)のSHASE-S 206「給排水衛生設備規準・同解説」および国土交通省「機械設備工事共通仕様書」で規定される標準流速に基づく設計判定を実装。給水配管の推奨流速0.9〜2.5m/s、排水の自浄作用最低0.6m/s、ウォーターハンマー・エロージョン発生の限界流速2.5m/sを網羅し、SI単位A(15A・20A・25A・32A・50A)とインチ呼び径(1/2・3/4・1・1-1/4・2)の対応表を提供。給水設計・空調設計・配管改修・トラブル診断まで対応します。

最終更新:2026年7月26日/監修:計算ツールズ編集部

配管流量・流速 計算機

計算式と流体力学の基礎

流量 Q = 流速 v × 断面積 A(連続の式)
断面積 A = π × (内径/2)² = π × 内径² ÷ 4
流量 L/min = 流速 m/s × 断面積 m² × 60 × 1,000
流量 m³/h = 流量 L/min × 60 ÷ 1,000

流体力学の基本原理「連続の式(continuity equation)」に基づく計算式。配管内では非圧縮性流体(水など)の場合、流量Qは配管の断面積Aと平均流速vの積で表されます。実際の配管ではレイノルズ数(Re=ρvD/μ)が2,300以下で層流、4,000以上で乱流となり、乱流域では圧力損失が急増します。給排水配管では通常乱流域で運用されるため、ダルシー・ワイスバッハの式で圧力損失を計算し、ポンプ揚程・配管サイズを決定するのが標準的な設計手法です。

配管サイズの規格対応表

日本の配管サイズはSI単位「A」(呼び径)とインチ表記の両方が使われます。両者の対応と実際の外径・内径。

呼び径(A)インチ外径(mm)SGP内径(mm)SUS内径(mm)
15A1/221.716.115.7
20A3/427.221.621.4
25A134.027.627.6
32A1-1/442.735.735.9
40A1-1/248.641.641.8
50A260.552.953.1
65A2-1/276.367.969.5
80A389.180.782.3
100A4114.3105.3107.1
125A5139.8130.8131.8
150A6165.2155.2157.2
200A8216.3204.7204.5

SGP=白ガス管(JIS G 3452)、SUS=ステンレス鋼管(JIS G 3448)

配管サイズ×流量の早見表(流速1.5m/s基準)

呼び径内径流量(L/min)流量(m³/h)用途目安
15A(1/2)16mm181.1洗面台・手洗器
20A(3/4)22mm342.1キッチン・洗濯機
25A(1)28mm553.3浴室・住宅主管
32A(1-1/4)36mm925.5共同住宅主管
40A(1-1/2)42mm1257.5小規模建物主管
50A(2)53mm19911.9建物本管・ポンプ吸込
65A(2-1/2)68mm32719.6中規模建物本管
80A(3)81mm46427.8大規模建物本管
100A(4)105mm77946.7公共施設・工場本管
150A(6)155mm1,699101.9大型施設・水道本管

よくあるトラブルと診断

ウォーターハンマー(水撃)

流速が2.5m/s超で発生。急な弁閉鎖時に「ガーン」という衝撃音・振動。流速低下・水撃防止器設置・電磁弁のスロークローズ化で対策。

キャビテーション

ポンプ吸込配管で流速過大→圧力が飽和蒸気圧以下→気泡発生・破壊。吸込配管は太めに・NPSH(有効吸込ヘッド)を十分確保。

エロージョン・コロージョン

銅管で流速1.5m/s超、鋼管で3m/s超で内壁が侵食される。銅管の給湯配管は要注意。長期使用でピンホール発生・漏水。

圧力損失過大

細い配管に大流量を流すと圧損が二次関数的に増加。配管サイズをワンランク上げる・ループ化・分岐追加で対策。

排水詰まり

流速0.6m/s以下で自浄作用が失われ、油脂・毛髪・固形物が堆積。勾配1/50以上確保(横引き100mm以下)で流速維持。

騒音問題

流速2m/s以上で流水音が耳障りに。壁内配管では2m/s以下推奨、寝室近くの配管は1.5m/s以下に。防音材・防振ゴムで緩和。

シーン別の使い方

住宅の給水設計

使用箇所ごとに必要流量を集計→同時使用率を掛けて主管流量算出→配管サイズ決定。住宅主管は25A(内径28mm)前後が標準。

マンション給水設計

戸数×1戸あたり2〜3L/min×同時使用率50〜70%で計算。10戸マンションなら15〜20L/min=40A(1-1/2)が標準。

ポンプ選定

必要流量から吸込・吐出配管サイズ決定→圧力損失計算→揚程計算→ポンプ選定。吸込側は流速1.5m/s以下推奨(キャビテーション対策)。

空調水配管設計

冷房負荷から冷却水量算出→ヘッダ・分岐主管サイズ決定→末端配管サイズ調整。冷水は流速1.5〜3.0m/s推奨。

ガス配管サイズ選定

ガス機器総ガス消費量→同時使用率→必要ガス流量→サイズ選定。20号給湯器は約5m³/h必要、25A配管で対応可能。

既設配管の診断

使用量が増えて水圧低下、水量不足を感じたら流速チェック。3m/s超なら配管増径・ループ化検討。改修コストと便益の比較を。

よくある勘違い

1. 外径と内径を混同

配管サイズ「50A」の外径は60.5mmだが、内径は約53mm(SGP)・53.1mm(SUS)と種類で異なる。断面積計算は必ず内径で行うこと。外径で計算すると流量が2割過大に。

2. 流速を上げれば流量が増えると誤解

流速上限は2.5〜3.0m/sが実務基準。それ以上は圧損急増・エロージョン・ウォーターハンマーで実用不可。流量を増やすには配管を太くするのが正しい対策。

3. 呼び径がそのまま内径だと誤解

「50A」は呼び径であり、実内径は約53mm。「50Aは内径50mm」ではない。SI移行前の名残で正確な数値ではないため、計算時は必ずJIS表で内径確認。

4. 給水と排水を同じ配管サイズで設計

給水は圧力送り(流速1.5m/s目安)、排水は自然流下(流速0.6m/s以上必要)。排水は勾配・自浄作用も考慮し、給水配管より1〜2サイズ大きく取る。

5. 圧力損失を考慮しない

細い配管に大流量を流すと圧損が二次関数で増加。給水では末端で必要水圧(一般水栓30kPa)確保が必須。配管長40mでも圧損は無視できないため、揚程計算・ポンプ選定に必ず含める。

6. 空調水を給水と同じ流速で設計

空調水は循環系のため、流速1.5〜3.0m/sと給水(0.9〜2.5m/s)より高め設計可能。ただし流速3.5m/s超は騒音・エロージョンリスクあり、機械室内でも上限意識。

7. インチ表記とA表記の混同

「1インチ」=「25A」だが、「50mm」ではない。1インチ=約25.4mm・呼び径25A。海外機器と国内機器の接続時は必ずJIS-ANSIの規格対応表で確認。

参考リンク・公的資料

本ツールは非圧縮性流体(水など)の一般的な連続の式に基づく概算計算です。実際の配管設計では、粘性の影響(レイノルズ数・層流/乱流)、配管素材・粗さ、継手・バルブによる局所損失、温度・圧力変化、パイプの膨張収縮、埋設・露出条件などを総合考慮する必要があります。特に給排水・ガス・消防・危険物配管は法規制(水道法・ガス事業法・消防法・建築基準法)が適用されるため、建築設備士・給水装置工事主任技術者・排水設備工事責任技術者・液化石油ガス設備士等の有資格者による設計・施工が必要です。実際の設計は必ず有資格者にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

流速が速すぎるとどうなる?

配管摩擦による圧力損失増加、ウォーターハンマー(水撃)、騒音、配管内面の侵食(エロージョン)が発生。給水で2.5m/s超は要注意、3m/s超は原則NG。銅管の給湯配管では1.5m/s超で腐食進行が早まる。

排水配管の最低流速は?

0.6m/s以上を確保(自浄作用で固形物が滞留しない)。それ以下だと汚水・髪の毛・油脂が堆積して詰まりの原因に。横引き排水は勾配1/50以上で自然流下時の流速確保。

SI単位とインチ呼び径の対応は?

15A(1/2インチ)=15mm、20A(3/4)=20mm、25A(1)=25mm、32A(1-1/4)=32mm、40A(1-1/2)=40mm、50A(2)=50mm。SI記号と従来Aは厳密には径が異なるので機器選定時は要注意(Aは呼び径、実内径は別)。

住宅の給水配管サイズは?

住宅の主管は25A(内径28mm)が標準。キッチン・浴室は20A、洗面台・トイレは15A。マンションの共用給水管は40〜50A、大規模施設は80〜150A。同時使用戸数で決定。

ポンプの選定方法

1. 必要流量算出、2. 配管サイズ決定、3. 圧力損失計算、4. 揚程算出、5. ポンプ選定。吸込側は流速1.5m/s以下推奨(キャビテーション予防)、NPSHもチェック。

ウォーターハンマー対策

1. 流速を下げる(配管増径)、2. 水撃防止器設置、3. 電磁弁のスロークローズ化、4. 空気溜め設置、5. 配管固定強化。全自動洗濯機の給水口によくつけられている。

空調水配管の設計流速

冷温水配管は1.5〜3.0m/s推奨。給水よりも流速許容範囲が広いが、機械室内は3.5m/s上限、居室近くは2m/s以下で騒音対策。冷却塔補給水は2〜2.5m/sが標準。

ガス配管のサイズ選定

ガス消費量→同時使用率→必要流量→サイズ選定。20号給湯器(約5m³/h)+コンロ(約1m³/h)で25A配管が標準。都市ガス用と液化石油ガス用で圧力条件が異なるため注意。

圧力損失の計算

ダルシー・ワイスバッハの式:h=f×(L/D)×(v²/2g)。摩擦係数f・配管長L・内径D・流速vで決まる。実務では圧損表・Moody線図・専用計算ソフトを使用。

SGP鋼管とSUS鋼管の違い

SGP=白ガス管(一般配管用炭素鋼管・JIS G 3452)、SUS=ステンレス鋼管(JIS G 3448)。SUSは腐食に強く給湯配管に最適、SGPは安価で一般給水・給排気に使用。内径が微妙に違うため設計時は要確認。

スプリンクラー配管の流速

消防法により2.4〜4.5m/sが推奨。5m/s上限。ヘッドから出る水量から逆算して配管サイズを決定。放水圧力0.1MPa以上確保で消火性能担保。

配管トラブル時の相談先

1. 水道局(給水関係)、2. ガス会社(ガス配管)、3. 建築設備士、4. 給水装置工事事業者、5. 排水設備工事責任技術者、6. 消防設備士(スプリンクラー)に相談。