接地棒 必要な打込み本数の計算
大地抵抗率・接地棒の寸法・目標の抵抗値から、1本あたりの接地抵抗・必要な打込み本数・合成抵抗を算出します。
接地棒 必要な打込み本数の計算ツール
接地棒1本の抵抗は大地抵抗率÷(2π×長さ)×(自然対数(4×長さ÷直径)−1)で求めます。既定値では300÷(2π×1.5)×(ln(6÷0.014)−1)=31.83×5.061=161.1オーム。並列にしても相互の干渉で単純な割り算にはならず、間隔3.0m・長さ1.5mでは2本で低減係数0.89となり、合成抵抗は161.1÷(2×0.89)=90.6オームです。D種の目標100オーム以下を満たすため、必要な本数は2本となります。
土質と大地抵抗率の目安
| 土質 | 大地抵抗率 | 接地の難易 |
|---|---|---|
| 粘土・湿った耕土 | 10〜100オーム・m | 取りやすい |
| 砂質土・ローム | 100〜300オーム・m | 標準的 |
| 礫層・乾燥した砂 | 300〜1,000オーム・m | 本数が要る |
| 岩盤・山地 | 1,000オーム・m以上 | 低減剤やメッシュが必要 |
接地工事の種別と目標値
| 種別 | 目標の抵抗値 | 主な対象 |
|---|---|---|
| A種 | 10オーム以下 | 高圧機器の外箱・避雷器 |
| B種 | 計算値による | 変圧器の低圧側中性点 |
| C種 | 10オーム以下 | 300Vを超える低圧機器 |
| D種 | 100オーム以下 | 300V以下の低圧機器 |
※参考計算です。規格・規程・メーカーの推奨条件は改定されるため、施工前に最新の資料と現場条件を確認してください。
接地棒 必要な打込み本数の計算の詳しい解説
接地抵抗が接地棒の表面積ではなく長さでほぼ決まるのは、抵抗の大部分が電極のごく近くの土壌で生じているからです。電流は棒から放射状に広がるため、棒の表面近くでは通り道の断面積が小さく、そこで抵抗が集中します。棒の直径を倍にしても対数の中身が変わるだけで効果は限られ、長さを倍にすると抵抗はおおむね半分になります。深く打てるなら本数を増やすより有利という判断は、この式の形から導かれます。
判断が分かれるのは本数を増やすか深く打つかです。1本あたりの抵抗が高い土地で本数を並べても、電流の広がる領域が重なるため単純に本数分の1にはなりません。間隔が棒の長さの2倍程度あれば低減係数は0.9前後を保てますが、敷地の都合で1m間隔に詰めると効率は大きく落ちます。連結式の接地棒で深く打つ方法は、地下水位に届けば抵抗が急に下がる場合があり、面積を取れない都市部では有力な選択肢になります。
見落とされやすいのが季節と施工直後の変動です。大地抵抗率は含水率で大きく変わり、乾期には雨期の2倍以上になることがあります。打込み直後は棒と土壌の密着が不十分で測定値が高めに出て、数週間から数か月かけて下がっていきます。竣工時の測定でぎりぎり合格した設備が、翌年の冬に基準を外れるという事態はこの変動によるものです。余裕を持たせた設計と、季節を変えた再測定が実務的な対応になります。
条件による差も大きく出ます。埋設された水道管や建物の基礎の鉄筋が近くにあれば、意図しない並列経路ができて測定値が下がることがあります。逆に絶縁性の高い砕石やコンクリートで覆われた場所では、周囲の土壌と接していないため抵抗が下がりません。接地抵抗低減剤は初期の効果が大きい一方で、効果の持続と土壌への影響を確認する必要があります。避雷設備や高圧機器の接地では、抵抗値だけでなく他の接地との離隔や等電位ボンディングの検討も併せて求められます。
測定にあたっては、電位差計式の測定器で補助極を十分に離して設置することが前提になります。補助極が近すぎると実際より低い値が出るため、判定を誤ります。
業界・現場での使い方
電気設備の接地工事の計画
土質の想定から必要本数を見積もり、材料手配と工程に反映します。
太陽光発電所の接地設計
広い敷地での接地極の配置と間隔を検討し、合成抵抗を確認します。
避雷設備の接地
目標値を満たすための本数と、間隔を広げた場合の改善量を比較します。
既設設備の抵抗値の改善
追加打込みと接地抵抗低減剤のどちらが有効かを数値で比較します。
よくある間違い・注意点
- 並列本数で単純に割り算する — 電流の広がる領域が重なるため、2本でも半分にはならず0.89倍程度の低減にとどまります。
- 打込み間隔を詰めて本数だけ増やす — 間隔が棒の長さを下回ると干渉が強まり、増設の効果がほとんど出ません。
- 打込み直後の測定値で合否を判断する — 土壌との密着が進むにつれて値は下がり、逆に乾期には上がります。
- 直径を太くして抵抗を下げようとする — 対数の中に入るため効果は小さく、長さを伸ばすほうが有効です。
- 補助極を近くに設置して測定する — 実際より低い値が出て、基準を満たしていないのに合格と判断してしまいます。
関連する規格・公的資料
- 経済産業省 — 電気事業法・電気設備技術基準
- 資源エネルギー庁 — 電力・省エネルギー
- 日本電気協会 — 内線規程・保安規程
- 日本電気技術規格委員会 — 民間電気技術規格
- 電気設備学会 — 電気設備の技術指針
- 日本電線工業会 — 電線・ケーブル
- 日本電機工業会 — 電気機器
- 日本産業標準調査会 — JIS規格
- 国土交通省 — 公共建築工事標準仕様書
- 日本冷凍空調工業会 — 冷凍空調機器
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
大地抵抗率300オーム・mの土地で何本必要ですか?
長さ1.5mの接地棒でD種の目標100オーム以下を満たすには2本が必要です。
接地棒1本の抵抗はどう計算しますか?
大地抵抗率を2π×長さで割り、自然対数(4×長さ÷直径)から1を引いた値を掛けます。既定条件では161.1オームです。
打込み間隔はどの程度が適切ですか?
接地棒の長さの2倍以上が目安です。既定条件の1.5mに対して3.0mであれば低減係数0.89を確保できます。
間隔を広げるとどれだけ改善しますか?
既定条件で1.5倍の4.5mにすると、合成抵抗は90.6オームから87.3オームに下がります。
深く打つのと本数を増やすのはどちらが有利ですか?
長さを倍にすると抵抗はおおむね半分になるため、地質が許すなら深打ちが有利です。
大地抵抗率はどう調べますか?
四電極法による現地測定が確実です。事前検討では土質から100〜300オーム・m程度を仮定する例が多くあります。
季節によって値は変わりますか?
含水率の影響が大きく、乾期には雨期の2倍以上になることがあります。余裕を持った設計が必要です。
目標に届かない場合はどうしますか?
深打ち、接地抵抗低減剤、メッシュ接地、建物の基礎を利用する構造体接地などの併用を検討します。