野球WHIP計算ツール|被安打・与四球・投球回から制球力を即算出
投手WHIP(Walks + Hits per Inning Pitched)を、被安打・与四球・投球イニングから瞬時計算。1イニングあたり許したランナー数を示す指標で、防御率(ERA)と並ぶ投手評価のコア指標。MLB・NPB歴代ランキングとの比較、K/BB(奪三振/四球比)・K/9(9イニング奪三振率)・BB/9・FIP(守備独立防御率)などの派生指標、SABR(米国野球研究協会)公式定義を踏まえ、プロ・アマ・少年野球の投手評価に役立てます。
WHIP計算機
WHIP計算式と派生指標
基本式
WHIP = (被安打 + 与四球) ÷ 投球イニング
WHIPは1イニングあたり許した走者の数を示す指標で、値が小さいほど優れた投手であることを意味します。1979年にDaniel Okrentが発案し、SABR(米国野球研究協会)が公式定義として採用。fantasy baseballの標準スコアリング指標として広まり、現在ではMLB・NPB両リーグの公式サイト・スタッツにも掲載されています。
派生指標
H/9 = 被安打 × 9 ÷ 投球イニング
BB/9 = 与四球 × 9 ÷ 投球イニング
K/9 = 奪三振 × 9 ÷ 投球イニング
K/BB = 奪三振 ÷ 与四球
FIP = (13×被本塁打 + 3×(与四球+死球) − 2×奪三振) ÷ 投球回 + 定数(≈3.10)
K/BBは2.00以上でエース級、4.00以上で歴代トップクラス。田中将大2013年(楽天)K/BB=8.13、ダルビッシュ2011年(日ハム)K/BB=6.71、ペドロ・マルティネス1999年MLB K/BB=8.46が歴史的水準です。
WHIPに含まれない要素
WHIPには死球(HBP)・失策出塁(ROE)・野選(FC)は含まれません。厳密な出塁許容率を測る場合はOBAg(被打率+被四球率+被死球率)を使いますが、実務ではWHIPが標準です。故意四球(IBB)はWHIPに含まれます。
WHIPランクと目安
| WHIP | 投手レベル | 該当水準 |
|---|---|---|
| 0.80以下 | 歴代級 | ペドロ・マルティネス2000年(0.74)水準 |
| 0.81-0.95 | MVP・サイヤング級 | 年間ベスト投手、五輪代表級 |
| 0.96-1.10 | ACE級 | 先発ローテトップ・沢村賞候補 |
| 1.11-1.25 | 優良先発・A級リリーフ | ローテ2-3番手、クローザー |
| 1.26-1.40 | 平均的先発・中継ぎ | MLB/NPB平均前後 |
| 1.41-1.55 | 平均以下 | 登板機会減、二軍調整候補 |
| 1.56以上 | 要改善 | 登板見直し、独立L・NPB育成級 |
MLB規定投球回到達投手(162試合制で162回以上)の平均WHIPは1.28〜1.33、NPB(143試合制で143回以上)で1.25〜1.30が近年の水準です。
MLB・NPB歴代WHIP上位
MLB歴代シーズンWHIPトップ
| 順位 | 投手 | 年 | WHIP | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ペドロ・マルティネス | 2000 | 0.7373 | ボストン、サイ・ヤング |
| 2 | クレイトン・カーショー | 2016 | 0.7250 | ドジャース |
| 3 | グレッグ・マダックス | 1994 | 0.8956 | ブレーブス |
| 4 | グレッグ・マダックス | 1995 | 0.8112 | ブレーブス(前年連覇) |
| 5 | ザック・グレインキー | 2015 | 0.8443 | ドジャース |
NPB歴代シーズンWHIPトップ(規定投球回)
| 順位 | 投手 | 年 | WHIP | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 田中将大 | 2011 | 0.881 | 楽天、沢村賞 |
| 2 | ダルビッシュ有 | 2011 | 0.828 | 日ハム、防御率1.44 |
| 3 | 山本由伸 | 2022 | 0.910 | オリックス、投手四冠 |
| 4 | 菅野智之 | 2018 | 0.895 | 巨人、沢村賞 |
| 5 | 佐々木朗希 | 2022 | 0.848 | ロッテ、完全試合達成 |
MLB通算WHIP歴代トップはアディ・ジョス(1902-1910、0.9678)、次いでマリアーノ・リベラ(1995-2013、1.0003)、クレイトン・カーショー現役(1.00前後)。NPBは金田正一(通算1.16級)、大谷翔平NPB時代(2016年 0.957)が象徴的な数字です。
ERA・FIPとの違い
WHIP・ERA・FIPは投手評価の3大指標で、それぞれ測っている対象が異なります。
| 指標 | 測る対象 | 計算基準 | 守備独立 |
|---|---|---|---|
| WHIP | 1イニング当たり許した走者数 | 被安打+与四球÷投球回 | ×(打球結果に依存) |
| ERA(防御率) | 9イニング当たり自責点 | 自責点×9÷投球回 | ×(守備影響あり) |
| FIP | 守備を除外した実質防御率 | 本塁打・四死球・三振のみ | ◯(三結果のみ) |
| xFIP | 被本塁打を平均化したFIP | 被本塁打をリーグ平均で置換 | ◯ |
| K/BB | 制球力と決定力の比 | 奪三振÷与四球 | ◯ |
WHIPは「1イニングにランナーを何人出したか」、ERAは「9イニングに何点取られるか」を測ります。WHIPが低くても、集中打・失策絡みで大量失点する投手もいるため、両指標を併用するのが実務です。近年のセイバーメトリクスではFIP・xFIP・SIERAなど守備独立指標も重視されます。
WHIP以外の主要投手指標
近代セイバーメトリクスでは、WHIP以外にも多数の投手評価指標が併用されます。以下は主要指標とその意味です。
| 指標 | 正式名称 | 計算式 | 目安 |
|---|---|---|---|
| ERA | Earned Run Average(防御率) | 自責点×9÷投球回 | 2.50以下エース、3.50平均 |
| FIP | Fielding Independent Pitching | 本塁打・四死球・三振のみで算出 | 3.00以下エース |
| xFIP | Expected FIP | 被本塁打をリーグ平均で補正 | 3.00以下エース |
| SIERA | Skill-Interactive ERA | K・BB・打球種別を考慮 | 3.20以下エース |
| K/9 | Strikeouts per 9 innings | 奪三振×9÷投球回 | 9.0以上A級 |
| BB/9 | Walks per 9 innings | 四球×9÷投球回 | 2.5以下A級 |
| K/BB | Strikeouts per Walk | 奪三振÷四球 | 4.0以上歴代級 |
| HR/9 | Home Runs per 9 | 被本塁打×9÷投球回 | 0.8以下A級 |
| BABIP | Batting Average on Balls in Play | フィールド打球の被打率 | .300が平均 |
| LOB% | Left On Base % | 残塁率 | 75%以上でエース級 |
| QS | Quality Start | 6回以上・3自責点以下 | 先発の目安指標 |
| WAR | Wins Above Replacement | 選手全体の総合価値 | 3.0以上A級 |
WHIPと組み合わせて、K/BB・FIP・xFIPを見ると投手の実力がより立体的に評価できます。近年のMLB契約交渉ではWAR(Wins Above Replacement)が中心的な評価軸となり、年俸換算で1WAR = 約800万ドル(2026年時点)が相場です。
WHIP活用シーン
選手評価・年俸査定
プロ野球球団のスカウト・査定部門が、投手の年俸交渉・トレード評価にWHIPを活用。防御率単独では守備の影響が入るため、WHIPで純粋な制球力を測り、K/BB・FIPと組み合わせて総合評価します。契約年数・保証額・出来高条件の設計に使用されます。
先発ローテーション決定
先発ローテーション6人の起用順を、対戦相手の打線傾向とWHIP・被打率で最適化。四球を出しやすい打者が多い相手には、WHIPが低い(走者を出しにくい)投手をぶつける戦術に使います。
リリーフ・クローザー起用
9回2アウトからの1点差リード守備では、WHIPが低いクローザーが求められます。1走者出るだけで長打圏になる場面ではWHIP<1.00の投手を起用し、大差リード時はWHIPが1.20〜1.30級の中継ぎに任せる分業体制が現代野球の標準です。
ドラフト評価・アマ選手スカウト
高校・大学・独立L・社会人野球のスカウティングで、球速だけでなくWHIPで実力の裏付けを取ります。大学リーグでWHIP<1.00の投手はプロ指名の有力候補、独立LでもWHIP<1.20の投手は移籍検討リストに載ります。
ファンタジーベースボール
ESPN・Yahoo Fantasyの標準5×5リーグでは、投手部門の評価項目は「勝利数・セーブ・ERA・WHIP・奪三振」の5指標。特にWHIPは1シーズンの積上げが効くため、平均以下(1.35超)の投手を1人でも抱えるとリーグ順位に直結します。
アマ野球・少年野球の指導
高校野球・大学野球部の投手コーチが、練習試合のスコアシートからWHIPを算出。防御率と組み合わせて「四球で自滅型」「打たれ弱型」を診断し、練習メニュー(インコース攻めの精度・変化球の質・ランナー時の投球術)を個別最適化します。
よくある間違い・注意点
- 投球回の小数点表記ミス — 野球では「180回1/3」を「180.1」、「180回2/3」を「180.2」と表記する慣習があります。計算時は0.33・0.67に変換(180.1→180.333、180.2→180.667)してからWHIPを算出しないと、値が0.001〜0.002ずれます。
- WHIPと被出塁率(OBA)の混同 — WHIPは「1イニングあたり走者数」、OBAは「打席あたり出塁率」で分母が異なります。WHIP=1.20は良い投手、OBA=0.320は打者級の悪い数字です。
- 死球(HBP)を含めるかどうか — 公式WHIPには死球は含まれません。プロ選手のWHIPを死球込みで計算すると、荒れ球投手が過小評価されます。SABR公式定義は被安打+四球÷投球回のみ。
- ノーヒットノーラン投手のWHIP — 被安打0でも与四球が多ければWHIPは高くなります。四球連発でノーヒッターを達成した1938年ジョニー・バンダーミアの2試合目WHIPは0.89(四球8)でした。
- 守備の影響を無視 — WHIPは打球が野手正面に飛べば低くなり、守備範囲外に飛べば高くなります。守備力が低いチームの投手はWHIPが高く出やすいため、FIP・xFIPで補正するのがセイバーメトリクスの流儀です。
- 短いイニング数での過剰評価 — 50イニング未満のリリーフ投手ではサンプル数が少なく、WHIPが極端に振れます。年間30セーブでも投球回50-60回で、7-8打者連続四球なら0.15悪化。規定投球回(先発162回、リリーフ50回程度)到達までは参考値扱いに。
- 登板環境の違いを無視 — MLB(10チーム打線・DH制)とNPB(打者質・DH制はパ・リーグのみ)、独立Lとプロでは打者レベルが異なります。他リーグ間の直接比較はWHIP+0.10前後の補正を入れると実態に近づきます。
関連ルール・規則
- MLB Official Rules ― Major League Baseball公式ルールブック。9.14(Earned Runs)、10.14(Bases on Balls)などWHIPを構成する記録の公式定義。
- NPB公認野球規則 ― 日本野球規則委員会編。MLB Rulesを準拠し、日本プロ野球(NPB)・高校野球・大学野球・社会人野球に適用。
- SABR(Society for American Baseball Research) ― 野球研究協会。WHIP・OPS・FIP・WARなどセイバーメトリクス指標の公式定義を管理。
- 統一契約書(NPB) ― プロ野球選手の契約書式。年俸算定にWHIPを含むスタッツが参考にされる。
- アマチュア野球指導者資格 ― JABA・NABA・BFJの指導者ライセンス制度。データ野球・スタッツ活用が指導カリキュラムに含まれる。
- 高校野球特別規則 ― 高校野球連盟の投球回数制限(1週間500球)。連投抑制策として運用され、WHIPと組み合わせた継投判断が求められる。
参考文献・公的資料
より詳細なWHIP定義・歴代記録・関連指標を確認したい場合は、以下の公的機関・公式サイトを参照してください。
- MLB.com 公式スタッツ(WHIP) ― Major League Baseball公式スタッツページ。現役・歴代WHIPランキングの一次情報源。
- NPB.jp 公式投手成績 ― 日本野球機構公式サイト。セ・リーグ、パ・リーグの投手スタッツ、WHIP計算対応。
- SABR (Society for American Baseball Research) ― 米国野球研究協会。WHIP・OPS・FIP・WARなどセイバーメトリクス指標の公式定義。
- Baseball-Reference シーズンWHIPリーダー ― MLB歴代WHIPシーズンランキング(規定投球回到達者)の完全アーカイブ。
- FanGraphs Leaders ― 現代セイバーメトリクスの中心サイト。WHIP・FIP・xFIP・SIERA・K-BB%・WARの詳細分析。
- スポーツ庁 ― 日本のスポーツ振興・データ活用促進政策。学生・アマチュア野球のガイドライン。
- 公益財団法人 日本高等学校野球連盟 ― 高校野球ルール・大会成績・投球制限規定など。
- WBSC(World Baseball Softball Confederation) ― 世界野球ソフトボール連盟。WBC・プレミア12・五輪野球の統括団体。
よくある質問(FAQ)
WHIPの目安は?
1.00以下=ACE級、1.20=平均以上、1.40超=要改善が実務目安。1イニングあたりのランナー数を示すため、WHIP=1.20なら6イニングで7〜8人のランナーを許すペース。MLB規定投球回投手の平均WHIPは1.28〜1.33、NPBは1.25〜1.30が近年の水準です。
WHIPと防御率(ERA)の違いは?
WHIP=1イニングにランナー出した頻度/ERA=9イニングに何点取られるか。WHIPは制球力の本質指標、ERAは失点結果の指標。WHIPが低くても集中打で大量失点する投手もいるため、両指標を併用します。守備の影響を排除したFIP・xFIPも重要な補完指標。
MLB歴代WHIPトップは?
シーズン歴代1位はペドロ・マルティネス2000年 0.7373(ボストン)。次いでクレイトン・カーショー2016年(0.7250)、グレッグ・マダックス1994年(0.8956)が続きます。通算歴代トップはアディ・ジョス(1902-1910、0.9678)、マリアーノ・リベラ(1995-2013、1.0003)。
NPB歴代WHIPトップは?
シーズン歴代1位はダルビッシュ有2011年 0.828(日ハム、防御率1.44)。次いで田中将大2011年(0.881、楽天)、佐々木朗希2022年(0.848、ロッテ、完全試合)、菅野智之2018年(0.895、巨人)、山本由伸2022年(0.910、オリックス投手四冠)が並びます。
WHIPとK/BBの関係は?
K/BBは奪三振÷与四球で、2.00以上でエース級、4.00以上で歴代トップクラス。田中将大2013年(楽天)K/BB=8.13、ダルビッシュ2011年(日ハム)K/BB=6.71、ペドロ・マルティネス1999年 K/BB=8.46が歴史的水準。K/BBが高い投手はWHIPも自然に低くなります。
投球回の小数点表記はどう扱う?
「180回1/3」は180.333、「180回2/3」は180.667に変換してWHIPを計算します。スコアシート表記の「180.1」「180.2」をそのまま入れると値が0.001〜0.002ずれ、公式スタッツと異なります。当ツールでは180.1と入力する場合はイニング=180.333で計算するのが正しい運用です。
WHIPに死球(HBP)は含まれる?
含まれません。SABR公式定義は「被安打+与四球÷投球回」のみ。死球・失策出塁(ROE)・野選(FC)は除外されます。荒れ球でHBPが多い投手は、WHIPだけでは実力を過小評価される可能性があるため、Batters Faced-based OBAgと併用します。
先発とリリーフでWHIPの評価基準は違う?
基本値は同じですが、リリーフは投球回50-70程度と少なく、サンプル変動が大きいため、規定投球回(先発162、リリーフ50)到達までは参考値扱いにします。クローザーは高いレバレッジ状況(1点差9回など)で登板するため、WHIP<1.00が求められる水準です。
WHIPが低いのに勝てない投手は?
WHIPが良くても、チーム打線の援護がない、失策絡みの失点、僅少差ゲームでのタイムリーヒットを許すなど、勝敗と直結しない要因があります。ダルビッシュ2011年(WHIP 0.828)で18勝、勝率.667のように、WHIPと勝ち星は必ずしも一致しません。近年は勝敗より防御率・FIP・WARが評価軸になっています。
WHIPは誰が発案した指標?
1979年にアメリカのファンタジーベースボール発案者Daniel Okrentが、ラチナビー・ローティサリー・リーグ用に考案。当初は「Ratio」と呼ばれ、後にWHIPと命名されました。1980年代からファンタジーで普及し、2000年代のセイバーメトリクス隆盛でMLB公式指標にも採用されました。
大谷翔平のNPB時代のWHIPは?
2016年に0.957(日ハム、投手成績10勝4敗防御率1.86)、通算NPB時代(2013-2017)は約1.08。MLB時代(エンゼルス2018-2023)通算WHIPは約1.06。投手・打者両面での圧倒的成績は「二刀流」評価の裏付けとなりました。
WHIPは草野球・少年野球でも使える?
使えます。プロ・アマ問わず「1イニングに何人ランナー出したか」の指標として有効。草野球で1.00以下は非常に優秀、1.50以下は平均以上、2.00超は要改善の目安。少年野球のスコアブックからも簡単に計算でき、投手の成長を数値で追跡する練習ツールとして有効です。