計算ツール
野球投手セイバーメトリクス記録

野球投手 防御率 計算ツール|ERA・WHIP・K/9・BB/9・K/BB・QS率とプロ/アマ評価

野球投手の防御率(ERA)・WHIP・奪三振率(K/9)・与四球率(BB/9)・K/BB比・QS率・FIPを一括計算。NPB/MLBのプロ基準・高校/大学/社会人アマの目安と、セイバーメトリクス指標の意味、公認野球規則が定める投球回・自責点のルールまで解説します。学生野球のマネージャー・高校/大学の投手コーチ・草野球チームのスコアラーが実務で使えるレベルまで踏み込みます。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

投手指標 計算機

計算式と定義

基本式

ERA(防御率) = 自責点 × 9 ÷ 投球回

WHIP = (被安打 + 与四球) ÷ 投球回

K/9 = 奪三振 × 9 ÷ 投球回

BB/9 = 与四球 × 9 ÷ 投球回

HR/9 = 被本塁打 × 9 ÷ 投球回

K/BB = 奪三振 ÷ 与四球

QS率 = QS数 ÷ 先発登板数 × 100

FIP = (13×HR + 3×(BB+HBP) − 2×K)÷ IP + 定数(NPB約3.10、MLB約3.10)

防御率(ERA)は9イニング換算の自責失点で、投手評価の最古典的指標。WHIPは1イニングあたりの走者数で、ランナーを出さない能力を測ります。K/9・BB/9は投球コントロール、K/BBはその総合バランスを示します。

QS(クオリティスタート)

先発投手が6回以上を投げ、自責点3点以下で交代した試合をQSと定義(1985年John LoweがPhiladelphia Inquirerで提唱)。年間20試合以上先発でQS率60%以上あれば「ローテーション級」と評価されます。

FIP(守備独立防御率)

ERAから守備・運要素を除いた、投手本人の実力を表すセイバーメトリクス指標。本塁打・四死球・奪三振のみで評価します。FIPとERAが乖離している場合、守備陣の影響・BABIP(インプレー打率)の運要素が大きいと判断されます。

ERA・WHIP・FIPの違い

投手指標は「何を測るか」で意味が変わります。目的別に使い分けが必要です。

指標測るもの特徴NPBエース水準
ERA(防御率)9回換算の失点抑制守備・運要素含む、伝統的総合指標2.50以下
WHIP1回あたりの走者数四死球+被安打、コントロール寄り1.20以下
K/99回換算の奪三振三振奪取力・球威8.00以上
BB/99回換算の与四球制球力(低いほど良い)2.50以下
K/BB三振と四球の比コントロールの総合指標3.00以上
FIP投手本人の実力守備・BABIP運を除外3.10以下
QS率先発のゲーム安定性試合を作る力60%以上

ERAとFIPが1.00以上乖離している場合、次シーズンで実力(FIP)側へ回帰する傾向があり、ドラフト・トレード評価では両方参照が推奨されます。

NPB/MLBプロの評価基準

NPB(日本プロ野球)タイトル・表彰の目安

レベルERAWHIPK/9該当例
沢村賞級(最高峰)1.50以下0.90以下9.5以上山本由伸2022年(1.68)
エース級(球団のNo.1)2.50以下1.10以下8.5以上各球団開幕投手クラス
1軍先発ローテ3.50以下1.30以下7.0以上年間120イニング以上
2軍/中継ぎ4.50以下1.50以下6.0以上登録抹消/入替対象
降格圏4.50超1.50超戦力構想外

MLB(メジャーリーグ)の評価基準

レベルERAWHIPK/9
サイ・ヤング賞級2.20以下0.95以下11.0以上
エース級3.00以下1.10以下9.5以上
1軍ローテ(No.3-4)4.00以下1.25以下8.0以上
ロング/中継ぎ4.50以下1.40以下7.5以上

MLBは全体的にNPBより打高投低のため、ERAは0.5〜0.8ポイント高めが同水準。K/9は打者スイングスピードが速く三振増加傾向で、水準はNPBより高めに設定されます。

高校・大学・社会人アマの目安

アマチュア野球は木製バット/金属バット、投球回数、ストライクゾーンの実運用で数値が変わります。以下は一般的目安。

カテゴリエース基準レギュラー備考
プロ注目・甲子園エースERA 1.50以下WHIP 1.00以下甲子園ベスト4級
高校野球 強豪校ERA 2.00以下WHIP 1.20以下金属バット下でも通用
高校野球 県大会レギュラーERA 3.00以下WHIP 1.30以下初戦突破基準
大学野球(東京六大学等)ERA 2.00以下WHIP 1.15以下木製バット/プロ注目
社会人野球(都市対抗)ERA 2.50以下WHIP 1.20以下実業団チーム主力
草野球・軟式一般ERA 3.50以下WHIP 1.40以下参考値

セイバーメトリクス指標

1980年代にBill Jamesが提唱した野球データ解析手法「セイバーメトリクス(Sabermetrics)」は、MLBを中心に定着し、NPBでもデータ班配置が標準化。投手評価で使う主要指標を解説します。

FIP(Fielding Independent Pitching)

本塁打・四死球・奪三振のみで評価する「守備独立防御率」。守備陣の巧拙・BABIP運を除外して、投手個人の実力を測ります。ERAとの乖離が翌シーズンの回帰指標として活用されます。

xFIP(期待FIP)

FIPの本塁打を「フライボール×リーグ平均HR/FB率」で置換した指標。本塁打の運要素も除外し、より純粋な投手能力を測定。継続性が高くドラフト評価に頻用されます。

BABIP(インプレー打率)

本塁打・三振・四死球を除いた「打球がフィールド内で打者ヒットとなる確率」。リーグ平均は約.300で、これから大きく外れる投手は運・守備要因の可能性が高く、翌年に回帰する傾向があります。

WAR(Wins Above Replacement)

代替選手と比べて何勝多く貢献したかの総合指標。投手WARは投球回×FIPベースで算出。NPBの1軍主力投手はシーズンWAR 2.0〜3.0、エース級は5.0以上が目安。

LOB%(残塁率)

出塁させたランナーを何%返さずに済んだか。リーグ平均は約70-72%で、これを超えると「ピンチに強い」または「運要素」と判断されます。継続性は限定的。

SwStr%(空振り率)

全投球のうち空振りを取った割合。10%以上でエース級、12%以上でサイ・ヤング候補。トラッキングデータ(Statcast/TrackMan)由来の指標で、球種別・コース別の精密分析に活用。

公認野球規則の投球記録ルール

ERAやWHIPの計算に使う「投球回」「自責点」は、公認野球規則(Official Baseball Rules)で厳密に定義されています。日本では日本野球規則委員会が発行する『公認野球規則』が公式基準です。

投球回(IP)の数え方

1アウト=1/3イニング=0.1、2アウト=2/3=0.2、3アウト=1回=1.0と記録。「7.2回」は「7回2/3」を意味し、7.66...ではないため計算時に変換が必要です(7 + 2/3 = 7.667を9倍)。

自責点(ER)の定義

「投手の責任で生じた得点」。失策・野選・パスボール・妨害で出塁したランナーの得点は自責点に含まれません。守備が絡む1点をERとして扱わないことで、投手個人の実力を評価する仕組みです。

勝利投手(W)の要件

先発投手が勝利投手になるには「5回以上を投げ、自チームがリード→そのままリードキープで勝利」が必要(規則9.17)。5回未満で降板した場合、中継ぎ・抑えのうち「最も勝利に貢献した投手」が勝利投手に選ばれます(記録員裁量)。

セーブ(S)の要件

3つのいずれかに該当:①3点差以内でリードして登板し試合終了、②同点ランナーが打席・塁上にいる状況で登板、③3回以上を投げてリードキープで試合終了。抑え投手の主要指標です。

現場での活用シーン

高校野球マネージャー

試合ごとにERA・WHIP・K/9を集計し、監督・投手コーチと共有。県大会前に対戦相手校のエース指標を分析し、打撃練習の想定球種・球速を設定。強豪校ではノートPC+Excelでの管理が標準化しています。

大学野球・社会人スカウト

プロ野球球団のスカウトはERA・K/9・BB/9に加えて球速(Rapsodo/TrackMan計測)・変化量を総合評価。K/BBが3.0以上で球速145km/h以上なら支配下候補、育成なら3.5以上/球速140km/h超が目安。

草野球・社会人チームのスコアラー

試合結果をExcel/スプレッドシートに入力し、シーズン成績を集計。個人指標を配布することでモチベーション向上、投手ローテ組みの根拠にも活用。J-STAGEの野球統計論文でも「アマ野球のデータ活用効果」が報告されています。

個人トレーニング・投球練習

ブルペン・シート打撃の球数・与四球・被安打を記録し、K/9・BB/9の改善トレンドを追跡。Rapsodo等の投球解析機器と組み合わせ、スピン量・変化量と結果指標の相関を分析する選手が増加中。

プロ球団のデータ班

NPB全12球団・MLB全30球団に専任データ班が配置され、FIP・xFIP・BABIP・SwStr%・トラッキングデータ(Statcast/TrackMan)を統合解析。ドラフト評価・年俸交渉・チーム編成の意思決定に活用しています。

よくある間違い・注意点

  • 投球回の小数変換ミス ― 「7.2回」は「7回2/3=7.667」であって「7.2」ではありません。ERAを電卓計算する際にこの変換を忘れると、大幅な誤差が出ます。7.2回で自責2点なら「2×9÷7.667=2.35」が正しいERA。
  • 失点と自責点の混同 ― 失策・野選・パスボールで出た得点は自責点(ER)に含まれません。「失点(R)」との違いを理解しないと、ERAを過大評価しがちです。スコアブックで「E」記号のランナーは自責点に加算しません。
  • ERAだけで投手評価 ― ERAは守備・運要素を含みます。特に少ないサンプル(登板5試合等)ではブレが大きく、WHIPやK/BB、FIPと併用しないと本当の実力が見えません。プロ級評価では複数指標の総合判断が必須です。
  • WHIPの誤解 ― WHIPは「被安打+与四球÷投球回」で、死球(HBP)は含みません。海外サイトでは死球を含める場合もあるため、比較時は定義を確認。基本のWHIPは死球不算入が主流です。
  • QSの基準を6回3失点と誤解 ― QSは「6回以上・自責点3点以下」。失点3ではなく自責点3点以下が正しい定義です。エラー絡みの4失点(自責2)ならQSに該当します。
  • K/9とK%の混同 ― K/9は「9イニング換算」、K%は「対戦打者に対する三振割合」。長いイニングを投げる投手ほどK/9とK%が乖離するため、投球回が短い救援投手の比較にはK%が向いています。
  • 1試合の数値をシーズン評価に用いる ― 1試合の投球回は少なく、指標がブレやすい。ERA判断には最低30イニング以上、WHIP・K/9も同様に一定サンプルが必要です。プロは規定投球回(NPB143試合×1回=143)を判定基準に採用しています。

関連する規則・基準

  • 公認野球規則(日本野球規則委員会) ― 日本プロ野球・アマチュア野球共通の公式ルール。投球回、自責点、勝利投手、セーブ、ホールドの定義。
  • Official Baseball Rules(MLB) ― Major League Baseball の公式ルール。日本の公認野球規則の原典。
  • 日本高等学校野球連盟 大会規程 ― 高校野球の投球回制限(1週間500球)、タイブレーク、公式記録運用のルール。
  • 日本学生野球憲章 ― 高校・大学野球の統括憲章。学生野球選手の権利・義務・記録の扱いを規定。
  • NPB申合せ事項 ― プロ野球12球団の申合せで、記録の細目・登録抹消日数の扱い等を規定。
  • MLB CBA(労使協定) ― 選手評価に用いる指標・年俸調停時の統計採用ルール(WAR、ERA+、FIP+等)。

参考文献・公的資料

より正確な投手指標の理解には、以下の公的機関・団体・学術資料を参照してください。

  • NPB(日本野球機構)公式スタッツ ― 日本プロ野球全12球団の投手成績・ランキング公式データ。ERA・WHIP・K/9等の年間集計。
  • MLB Advanced Stats ― Major League Baseball 公式サイト。ERA・WHIP・FIP・xFIP・WARを含むMLB全投手の詳細スタッツ。
  • 日本高等学校野球連盟 ― 高校野球の公式団体。競技規則、公式記録、投球制限の一次資料。
  • 全日本野球協会(BFJ) ― 日本の野球競技統括団体。国際大会・アマチュアルールの公式情報。
  • Baseball-Reference(BBR) ― MLB・マイナー・NPBを含む野球統計データベースの世界標準。歴史統計・セイバーメトリクス指標を無料閲覧。
  • FanGraphs ― セイバーメトリクスの世界的リファレンスサイト。FIP・xFIP・BABIP・SwStr%等の解説と最新データ。
  • SABR(アメリカ野球学会) ― Society for American Baseball Research。セイバーメトリクスの本家組織。
  • スポーツ庁 ― 日本の運動・スポーツ振興の政府機関。学校運動部活動ガイドラインで投球制限の指針。
  • J-STAGE(科学技術振興機構) ― 日本の学術論文プラットフォーム。野球のバイオメカニクス・投球障害・データ解析の学術論文。
  • WBSC(世界野球ソフトボール連盟) ― 国際野球連盟。WBC・プレミア12・オリンピック野球の公式団体。
※本ページの計算式および評価基準は、公認野球規則・NPB/MLB公式スタッツ・セイバーメトリクスの一般的定義に基づいています。個別試合の記録判定(自責点・勝利投手決定等)は、公式記録員の裁量で最終判断されるため、大会・リーグ独自ルールがある場合はそちらを優先してください。FIP定数はリーグ・年度で異なります。

よくある質問(FAQ)

ERAとWHIPどちらが重要?

目的による使い分けです。ERAは結果評価(失点抑制力)、WHIPは過程評価(走者を出さない能力)。ERAは守備・運が絡むため、投手個人の実力比較にはWHIP・K/BB・FIPを併用するのがセイバーメトリクス的アプローチ。プロスカウトは複数指標を総合判断します。

投球回の「7.2」って何?

7回2/3を意味します。1アウト=0.1、2アウト=0.2、3アウト=1.0という慣習表記です。ERA計算では「7.2→7.667」に変換して9倍します。この変換を忘れると計算が大きく狂うため、Excelでも変換関数(IF文でアウトカウント処理)を組む必要があります。

QS率が高ければ良い投手?

QS(Quality Start)率は「先発として試合を作る能力」の指標。60%以上でローテ級、70%以上でエース級です。ただし6回3自責点=ERA 4.50相当と、絶対的な優秀基準ではありません。エース投手はQSに加え「試合勝ち切る」7回以下自責2点以下(HQS)の割合も重視されます。

K/9とBB/9の目標値は?

プロエース水準はK/9≧8.5、BB/9≦2.5。この2つを両立するとK/BB≧3.4となり、コントロールと球威のバランスが良い投手と評価されます。高校野球なら「K/9≧7、BB/9≦3」、大学野球なら「K/9≧8、BB/9≦2.5」が同水準の目安です。

FIPとERAの差はどう見る?

FIP<ERAなら「不運(守備エラー・BABIP高め)でERAが実力より悪い」、FIP>ERAなら「幸運でERAが実力より良い」。差が1.00以上ある場合、次シーズンで実力(FIP)側へ回帰する傾向があります。ドラフト評価・トレード判断では両方参照が推奨されます。

WHIPの1.00以下はどのくらい難しい?

NPBで規定投球回到達投手のWHIP1.00以下はシーズンで数人(0〜3人)レベル。MLBでも年間で数人しか達成できない超一流ライン。参考:ダルビッシュ有2011年(0.828)、山本由伸2022年(0.892)等がNPB歴代トップクラスです。

プロ野球の勝利投手の条件は?

先発の場合5回以上投げ、自チームがリード→そのままリードキープで勝利が必須(規則9.17)。5回未満で降板した場合、記録員裁量で中継ぎ投手のうち「最も勝利に貢献した投手」が勝利投手に選ばれます。中継ぎの勝利投手は「終盤にリードを守った投手」が多い傾向。

セーブと勝利投手はどう違う?

勝利投手は「試合の勝ちを付ける投手」、セーブは「リードを守り抜いた抑え投手」の指標。セーブ要件は①3点差以内リードで登板し完投、②同点走者が塁上・打席にいる状況で登板、③3回以上投げてリードキープで完投、のいずれか。1試合で勝利投手とセーブ投手は同時に発生します。

高校野球の投球回数制限は?

日本高等学校野球連盟の申合せで、公式戦は1週間で500球が上限(2020年から本格導入)。投手障害予防のため、1試合最大でも100〜120球程度で交代することが多く、連投・完投より継投重視の潮流です。スポーツ庁のガイドラインでも同様の指針が示されています。

球速とERAはどう関係する?

プロレベルでは球速145km/h以上がスタンダード、150km/h超えると空振り率が上がりK/9が上昇→ERA低下の相関があります。ただし精度(K/BB)や変化球バリエーションがなければ球速だけで勝てません。高校ではエース級で140km/h前後、県大会レギュラー135km/h、地区大会130km/hが目安。

投手障害を防ぐには?

スポーツ庁「運動部活動の在り方に関するガイドライン」と、米国USA Baseballの投球ガイドラインが参考。①1日の投球数制限、②連投を避ける(中2〜3日)、③正しいフォーム習得、④肩肘の柔軟性トレーニング。ノースロー期間(オフシーズン月単位)で肩肘の休息も重要です。

草野球でもデータ管理は有効?

有効です。試合ごとの投球回・被安打・与四球・奪三振をExcelで集計するだけでシーズン成績が見え、モチベーション向上・投手起用の根拠になります。フリーの野球スコアラーアプリ(GameChanger等)も普及。J-STAGEの野球分析論文でも「アマ野球のデータ活用効果」が実証されています。