標準報酬月額 計算ツール|給与から50等級・健康保険料・厚生年金・介護保険料を即時算出
毎月の給与額から標準報酬月額の等級と健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料を一発計算。健康保険は第1級(58千円)〜第50級(1,390千円)の50区分、厚生年金は第1級(88千円)〜第32級(650千円)の32区分で、給与に応じた保険料が労使折半で徴収されます。協会けんぽ全国47都道府県の料率差、40〜64歳の介護保険第2号被保険者料率(1.60%前後)、4〜6月の平均給与で決まる定時決定、昇給で2等級以上変動時の随時改定、産前産後・育児休業中の保険料免除、賞与に適用する標準賞与額まで、日本年金機構・全国健康保険協会・厚生労働省の公的資料に照らして網羅解説します。
標準報酬月額 計算機
標準報酬月額とは
標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)とは、健康保険・厚生年金保険の保険料や年金給付額を計算するために、毎月の給与を一定の幅で区切って設定した「区分値」のことです。給与そのものではなく、給与を含めた報酬(基本給・残業手当・通勤手当・住宅手当など、労働の対価として支払われるすべての現金・現物給与)を50段階(健康保険)または32段階(厚生年金)の等級に当てはめ、その等級ごとに定められた金額を保険料計算に用います。健康保険法第40条・厚生年金保険法第20条に規定される、日本の社会保険制度の根幹をなす概念です。
この仕組みにより、毎月の給与が数円単位で変動しても保険料は固定され、事業主・従業員の事務負担が軽減されます。標準報酬月額は原則として年1回(9月)に見直され、その額は翌年8月まで固定されます。
計算式と仕組み
基本式
健康保険料(本人)= 標準報酬月額 × 都道府県別料率 ÷ 2
厚生年金保険料(本人)= 標準報酬月額 × 18.300% ÷ 2
介護保険料(本人・40〜64歳)= 標準報酬月額 × 1.60% ÷ 2
健康保険料は都道府県ごとに料率が異なりますが、厚生年金は全国一律18.300%(労使折半で本人9.15%)です。介護保険料率も全国一律で、40歳の誕生日の前日を含む月から徴収が始まり、65歳の誕生日の前月分まで支払います。
労使折半の原則
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料はいずれも労使折半(半分ずつ負担)が原則です。本ツールで表示される金額は本人負担分ですが、実際は同額を事業主も負担しており、給与総額に対する社会保険料の実質負担率は約30%となります。
報酬に含まれるもの・含まれないもの
報酬(標準報酬月額の対象)に含まれるものは、基本給・残業手当・役職手当・通勤手当(非課税分含む)・住宅手当・家族手当・皆勤手当・現物給与(社宅・食事など)です。一方、含まれないものは、年3回以下の賞与(別途「標準賞与額」として計算)・退職金・慶弔見舞金・出張旅費実費・臨時の褒賞金です。
健康保険50等級・厚生年金32等級 対応表
健康保険は第1級(58千円)〜第50級(1,390千円)、厚生年金は第1級(88千円)〜第32級(650千円)まで区分されています。厚生年金は上限が650千円で固定されており、650千円以上の高給与でも保険料は増えません。
| 健保等級 | 厚年等級 | 報酬月額(円) | 標準報酬月額(千円) |
|---|---|---|---|
| 1 | — | 〜63,000 | 58 |
| 3 | — | 73,000〜83,000 | 78 |
| 4 | 1 | 83,000〜93,000 | 88 |
| 5 | 2 | 93,000〜101,000 | 98 |
| 11 | 8 | 146,000〜155,000 | 150 |
| 15 | 12 | 195,000〜210,000 | 200 |
| 22 | 19 | 290,000〜310,000 | 300 |
| 25 | 22 | 350,000〜370,000 | 360 |
| 30 | 27 | 485,000〜515,000 | 500 |
| 32 | 29 | 545,000〜575,000 | 560 |
| 35 | 32(上限) | 635,000〜665,000 | 650 |
| 40 | — | 815,000〜855,000 | 830 |
| 50 | — | 1,355,000〜 | 1,390 |
詳細な全50等級表は日本年金機構「標準報酬月額・標準賞与額の決め方」の公式資料をご参照ください。
都道府県別の健康保険料率(協会けんぽ2026年度)
協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なり、医療費水準や被保険者の年齢構成を反映して毎年3月分(4月納付分)から改定されます。全国平均は10.00%前後ですが、佐賀県が最高、長野県が最低となる傾向があります。
| 都道府県 | 健康保険料率 | 本人負担率 | 介護保険料率(全国一律) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 10.29% | 5.145% | 1.60% |
| 宮城県 | 10.05% | 5.025% | 1.60% |
| 東京都 | 9.98% | 4.990% | 1.60% |
| 神奈川県 | 10.04% | 5.020% | 1.60% |
| 愛知県 | 10.04% | 5.020% | 1.60% |
| 大阪府 | 10.34% | 5.170% | 1.60% |
| 兵庫県 | 10.28% | 5.140% | 1.60% |
| 広島県 | 10.19% | 5.095% | 1.60% |
| 福岡県 | 10.31% | 5.155% | 1.60% |
| 佐賀県 | 10.68% | 5.340% | 1.60% |
| 長野県 | 9.73% | 4.865% | 1.60% |
| 沖縄県 | 9.88% | 4.940% | 1.60% |
健康保険組合(大企業独自の組合健保)は組合ごとに独自料率を設定でき、協会けんぽより低い場合が多い(平均9.3%前後)です。公務員が加入する共済組合も別料率です。
保険料率一覧(協会けんぽ・厚生年金・介護保険)
| 保険種別 | 料率合計 | 本人負担 | 事業主負担 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 健康保険(東京) | 9.98% | 4.990% | 4.990% | 都道府県で変動 |
| 介護保険(40〜64歳) | 1.60% | 0.800% | 0.800% | 全国一律 |
| 厚生年金保険 | 18.300% | 9.150% | 9.150% | 全国一律・上限650千円 |
| 子ども・子育て拠出金 | 0.360% | 0% | 0.360% | 事業主のみ負担 |
| 雇用保険(一般) | 1.55% | 0.600% | 0.950% | 賃金総額に対する率 |
| 労災保険 | 業種で異なる | 0% | 全額 | 事業主のみ負担 |
本人負担の合計は、40歳未満で給与の約14.7%、40〜64歳で約15.5%、65歳以上(介護保険は別途市町村徴収)で約5.6%です。
定時決定・随時改定・資格取得時決定
定時決定(毎年1回・9月適用)
毎年4・5・6月の3か月間の報酬(支払基礎日数17日以上の月のみ)の平均から標準報酬月額を決定し、その年の9月から翌年8月まで適用します。健康保険法第41条・厚生年金保険法第21条に規定される原則ルールで、6月末から7月10日までに「算定基礎届」を年金事務所に提出します。
随時改定(昇給・降給時)
固定的賃金の変動(昇給・降給・手当変更)があり、その後3か月間の平均報酬による等級が現在の等級と2等級以上差が出た場合に、4か月目から改定します。健康保険法第43条・厚生年金保険法第23条に基づく制度で、「月額変更届」を提出します。
資格取得時決定(入社時)
新規入社・転職時は、初回給与の見込み額から標準報酬月額を決定します。初回給与が確定していない場合は、就業規則や労働契約書に基づく見込み額を用います。
産前産後休業・育児休業終了時改定
産休・育休から復職後、時短勤務等で給与が減った場合、通常の随時改定より緩い条件(1等級以上差でも可)で改定できる特例制度があります。3か月間の平均で判定し、翌月から適用されます。
標準賞与額(賞与保険料)
年3回以下支給される賞与(ボーナス)は、標準報酬月額とは別に「標準賞与額」として保険料を計算します。1000円未満を切り捨てた税引前賞与額を用い、健康保険料率・厚生年金料率・介護保険料率をそれぞれ乗じます。上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金が1回150万円です。
賞与額×約15%(本人負担)が保険料として控除されます。ボーナス100万円なら約15万円が保険料、残り85万円が課税所得ベースとなります。所得税・住民税も別途源泉徴収されるため、手取りは概算で60〜65万円程度です。
産前産後・育児休業の保険料免除
産前産後休業(産前42日・産後56日)および育児休業(子が3歳到達まで)の期間中は、事業主が申請すれば健康保険料・厚生年金保険料が本人・事業主とも全額免除されます。免除期間中も被保険者資格は継続し、将来の年金額計算では「休業前の標準報酬月額で保険料を支払ったもの」として扱われるため、年金額に不利益はありません。
申請書類は「産前産後休業取得者申出書」「育児休業等取得者申出書」で、休業開始月から終了予定月の前月まで免除対象となります。2022年10月以降、月末時点で育休中でなくても、月内に14日以上育休を取得すればその月分は免除される制度改正が行われました。
活用シーン(給与担当・転職・住宅ローン)
企業の給与担当者・社労士
算定基礎届・月額変更届の作成、昇給時の随時改定判定、新入社員の資格取得時決定など、日常業務で頻繁に使用。定時決定期(6〜7月)は集中作業が発生。
転職・昇給を検討する会社員
年収アップの提案を受けた際、実質手取りがどれだけ変わるか事前試算。標準報酬月額上昇による社保料増を差し引いた「実質可処分所得」で比較検討する。
住宅ローン・不動産投資家
フラット35や銀行ローンで返済比率を計算する際、額面年収から社会保険料を差し引いた実質年収で判断される場合がある。事前シミュレーションで借入可能額を試算。
育休・産休取得予定者
復職後の時短勤務による手取り減、育休中の保険料免除効果、育休終了時改定の適用可否を計算し、家計シミュレーションの基礎データとして使用。
個人事業主から法人成りを検討する経営者
法人化して役員報酬を月額いくらに設定するかで社会保険料負担が大きく変わる。役員報酬60万円と80万円で本人・事業主合計の社会保険料負担が年60万円以上変わるケースもある。
老後の年金額を試算したい方
厚生年金の受給額は「平均標準報酬月額」から計算されるため、現在の等級が老後の年金額に直結。ねんきん定期便・ねんきんネットの見込額と照らし合わせて確認。
よくある間違い・注意点
- 通勤手当を除外して計算 ― 通勤手当は所得税では月15万円まで非課税ですが、社会保険では課税・非課税問わず全額報酬に含めます。通勤手当を除いて計算すると等級が下がり、後日訂正・追徴となります。
- 4〜6月の残業代を無視 ― 定時決定は4・5・6月の総支給額(残業代含む)から算定。この3か月に残業が多いと年間の社会保険料が高くなるため、企業側でこの時期の残業を意図的に減らす配慮が問題視されるケースもあります。
- 随時改定の2等級以上差判定を誤る ― 昇給の全額でなく「固定的賃金の変動」が対象。時給改定・役職手当変更が該当し、残業代の増減は原則対象外。判定を誤ると届出漏れになります。
- 賞与を月給に含めて計算 ― 年3回以下支給の賞与は標準報酬月額と別枠。年4回以上支給される「賞与」は月給扱いとなり定時決定に含めるため、支給回数が微妙な場合は年金事務所に確認。
- 介護保険料の対象年齢を間違える ― 40歳誕生日の前日を含む月から発生(例:4月1日生まれは3月分から)。65歳の誕生日の前月分まで給与から徴収され、それ以降は市町村から直接徴収される仕組みです。
- 健康保険組合と協会けんぽの料率を混同 ― 大企業の健保組合は独自料率で運営でき、協会けんぽより低い場合が多い。自分がどちらに加入しているか給与明細・被保険者証で必ず確認してください。
- 厚生年金の650千円上限を忘れる ― 厚生年金の標準報酬月額は上限650千円で固定。給与100万円でも保険料計算は650千円ベース。将来の年金額計算にも上限が影響するため、高所得者は個人年金・iDeCoなど別途の老後準備が重要です。
参考文献・公的資料
より正確な料率・等級表・改定手続きを確認したい場合は、以下の公的機関の資料を参照してください。
- 日本年金機構 標準報酬月額・標準賞与額の決め方 ― 標準報酬月額の定時決定・随時改定・資格取得時決定の公式解説。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)都道府県別保険料額表 ― 47都道府県別の健康保険料率・介護保険料率・保険料額一覧。
- 厚生労働省 医療保険制度の概要 ― 健康保険・国民健康保険等の制度全体像。
- 厚生労働省 厚生年金保険制度 ― 厚生年金の被保険者・保険料・給付の公式情報。
- 日本年金機構 育児休業等期間中の保険料免除 ― 産前産後・育児休業中の保険料免除申請の公式手続き。
- 財務省 社会保険料控除 ― 所得税における社会保険料控除の取扱い。
- 国税庁 社会保険料控除(No.1130) ― 給与所得者・確定申告での社会保険料控除。
- 日本FP協会 ― ライフプラン・社会保険を含む家計相談の専門家団体。
- 金融庁 ― 家計金融資産・資産形成に関する金融行政情報。
- 日本証券業協会 ― iDeCo・NISA等の老後資金形成に関する情報。
よくある質問(FAQ)
標準報酬月額はいつ見直されますか?
毎年4・5・6月の3か月の平均給与をもとに、9月から翌年8月までの等級が決まります(定時決定)。昇給・降給で固定的賃金が変わり、その後3か月平均で2等級以上の差が出た場合は随時改定で月の途中でも変更されます。産休・育休からの復職時は特例で1等級以上差でも改定できます。
標準報酬月額に含まれるもの・含まれないものは?
含まれる:基本給、各種手当(役職・住宅・通勤・残業・皆勤含む)、固定的賃金、現物給与(社宅・食事)。含まれない:年3回以下の賞与(別途「標準賞与額」で計算)、退職金、慶弔見舞金、出張旅費の実費、臨時の褒賞金。通勤手当は所得税では非課税でも社会保険では全額含めます。
会社が負担する分を合計するといくら?
本ツールの「合計(本人負担)」を約2倍したものが、本人+会社の合計額。給与額の約30%が社会保険料として国・健保組合に納められています。会社から見れば年収の30%が「給与以外の人件費」となり、年収500万円社員1人につき年150万円程度の社会保険料事業主負担が発生します。
都道府県で料率は違いますか?
はい、健康保険料率は都道府県ごとに異なります(厚生年金は全国統一18.300%)。2026年度は東京9.98%、大阪10.34%、福岡10.31%、佐賀10.68%(最高)、長野9.73%(最低)。医療費水準・年齢構成の差を反映して毎年3月分から改定されます。転勤時は転勤先の料率が適用されます。
厚生年金の上限650千円とは?
厚生年金の標準報酬月額は第32級(650千円)が上限で固定されています。給与100万円でも保険料計算は650千円ベースとなり、それ以上の給与増加は保険料に反映されません。ただし将来の年金額計算にも上限が影響するため、高所得者はiDeCo・企業型DC・個人年金保険で老後準備を補完する必要があります。
介護保険料はいつから引かれますか?
40歳の誕生日の前日を含む月から徴収開始(例:4月1日生まれは3月分から)。65歳の誕生日の前月分まで給与から控除され、それ以降は年金からの特別徴収または市町村への普通徴収に切り替わります。介護保険料率は全国一律で、2026年度は1.60%(本人0.80%)です。
賞与にも社会保険料がかかりますか?
はい。年3回以下支給の賞与は「標準賞与額」として、月給と同じ料率で保険料が控除されます。ボーナス100万円なら本人負担約15万円(健康保険約5万円・厚生年金約9.15万円・介護1.6万円)。上限は健康保険が年度累計573万円、厚生年金が1回150万円です。
産休・育休中は保険料が免除されますか?
はい、産前産後休業(産前42日・産後56日)と育児休業(子3歳到達まで)は、事業主が申請すれば健康保険料・厚生年金保険料が本人・事業主とも全額免除。免除期間中も被保険者資格は継続し、将来の年金額は休業前の等級で保険料を払ったものとして計算されるため、年金額に不利益はありません。
健康保険組合と協会けんぽの違いは?
大企業が独自運営する健康保険組合は、料率・付加給付を独自設定でき、協会けんぽより低料率(平均9.3%前後)で運営される場合が多い。中小企業や個人事業所の従業員は全国健康保険協会運営の協会けんぽに加入します。公務員は共済組合、船員は船員保険と、業種別に異なる保険者があります。
標準報酬月額は将来の年金額にどう影響しますか?
厚生年金の受給額は「平均標準報酬月額×被保険者期間×給付乗率」で計算されるため、現役時代の等級が老後の年金額に直結します。標準報酬月額20万円で40年勤務した場合の厚生年金は年約53万円、40万円で40年なら年約105万円と、等級により大きく異なります。ねんきん定期便で見込額を確認しましょう。
役員報酬を下げると社会保険料は減りますか?
はい、役員報酬は毎月定額(定期同額給与)で設定するため、月額を下げれば社会保険料も下がります。ただし、健康保険・厚生年金は本人・会社合計で給与の約30%負担となるため、法人成りした一人社長は「役員報酬をいくらに設定するか」で社保負担が年60万円以上変わることもあります。税理士との事前シミュレーションが重要です。
個人事業主も標準報酬月額はありますか?
いいえ、個人事業主は国民健康保険・国民年金の対象となり、標準報酬月額の概念はありません。国民年金は定額(月16,980円・2026年度)、国民健康保険は前年所得ベースの世帯単位保険料となります。法人成りして役員となれば健康保険・厚生年金の対象となり、標準報酬月額が適用されます。