配送1件の停車時間と1日の件数計算
走行速度と配送先間の距離、荷降ろしと待機の時間から、1件あたりの所要時間と1日に回れる件数、稼働率を算出します。
配送1件の停車時間と1日の件数計算ツール
1件あたりの所要時間は移動+荷降ろし+待機です。既定値では3.5kmを時速22kmで走る9.5分に荷降ろし12分と待機5分を足して26.5分。稼働8時間から休憩60分と積み込み45分を引いた375分が実働で、375÷26.5=14件回れます。走行の合計は133.6分、荷降ろしと積み込みの作業は283分となり、稼働率は99.30%。15件目まで回ると23.2分の超過が見込まれます。
配送先の条件別の1件所要時間
| 配送先の条件 | 荷降ろし | 待機 |
|---|---|---|
| 路面店・車寄せあり | 10〜15分 | 0〜5分 |
| オフィスビル(エレベーター) | 15〜25分 | 5〜15分 |
| 商業施設の共用搬入口 | 20〜35分 | 10〜20分 |
| 住宅地の個人宅 | 3〜8分 | 0〜3分 |
平均走行速度別の1日配送件数(3.5km間隔・荷降ろし12分・待機5分・実働375分)
| 平均の走行速度 | 1件あたり | 1日の件数 |
|---|---|---|
| 15km/h | 31.0分 | 12件 |
| 20km/h | 27.5分 | 13件 |
| 22km/h | 26.5分 | 14件 |
| 30km/h | 24.0分 | 15件 |
| 40km/h | 22.3分 | 16件 |
※参考計算です。車両仕様・機材・商慣習・取引条件によって数値は変わるため、実際の運用条件で検証してください。
配送1件の停車時間と1日の件数計算の詳しい解説
1日に回れる配送件数が距離だけで決まらないのは、時間の大半が走っていない時間だからです。既定値では1件26.5分のうち走行は9.5分で、荷降ろし12分と待機5分が過半を占めます。走行速度を時速22kmから30kmに上げても件数は14件から15件にしか増えませんが、荷降ろしを12分から8分に短縮すれば16件まで伸びます。改善の余地は道路ではなく納品先での作業にあります。
判断が分かれるのは、件数を詰めるか余裕を残すかです。稼働率99%の計画は理論上は回りますが、渋滞や納品先の都合で1件でも遅れると連鎖して最後の数件が時間指定に間に合いません。実務では稼働率を85〜90%に抑え、遅れを吸収する枠を残す組み方が採られます。件数を1件減らすと1件あたりの原価は上がりますが、遅配の対応にかかる手間を含めれば見合う場合があります。
見落とされやすいのは積み込みと休憩の時間です。既定値では稼働8時間のうち105分が配送以外に使われ、実働は375分しか残りません。積み込みは倉庫の混み具合で30分から1時間以上に振れ、休憩は法令上も確保が必要です。さらに帰庫後の伝票整理や車両点検が加わります。走行と荷降ろしだけで計画を組むと、1日1時間から2時間の超過が常態化します。
条件による違いとして、市街地では信号と駐車場所の確保で平均速度が時速15km前後まで落ち、郊外では30kmを超えます。商業施設への納品は共用の搬入口で待機が発生しやすく、1件40分以上かかることもあります。時間指定が多い配送では順序の自由度が下がり、同じ件数でも走行距離が伸びます。件数の計画は路線ごとに実測して作るほうが、平均値で組むより精度が上がります。
計画を作った後は、実績との差を継続して見ることが欠かせません。予定どおり14件を回れた日と、12件で終わった日の差がどこにあるのかを、走行、荷降ろし、待機に分けて記録します。特定の納品先で待機が常態化しているなら、その1件のために全体の計画が崩れている可能性があります。配送の順序を入れ替えて混雑する時間帯を避ける、届け先と搬入時刻を調整するといった対処は、車両を増やすより早く効きます。件数の目標は路線ごとに設定し、全社一律の基準を当てはめないほうが現場の納得も得られます。
業界・現場での使い方
配送ルートの設計
1件あたりの所要時間から1日の件数を割り出し、コース分けの基準にします。
宅配・ルート配送の要員計画
件数と稼働時間の関係から必要な車両数と人員を見積もります。
納品条件の交渉
待機時間が件数に与える影響を示し、受入時間帯や搬入方法の改善を求めます。
配送単価の算定
1日の件数から1件あたりの原価を出し、料金の妥当性を検証します。
よくある間違い・注意点
- 走行時間だけで件数を計算する — 既定値では走行は1件の4割弱で、荷降ろしと待機が過半を占めます。
- 積み込みと休憩の時間を差し引かない — 稼働8時間のうち105分が配送以外に使われ、実働は375分です。
- 稼働率100%で計画を組む — 1件の遅れが連鎖し、後半の時間指定に間に合わなくなります。
- 平均速度を実測せずに使う — 市街地では時速15km前後まで落ち、想定より2件以上少なくなります。
- 帰庫後の作業を計算に入れない — 伝票整理と車両点検で20〜30分かかり、拘束時間を押し上げます。
関連する規格・公的資料
- 国土交通省 — 物流政策・自動車運送
- 厚生労働省 — 労働時間・改善基準告示
- 経済産業省 — 産業・流通政策
- 全日本トラック協会 — トラック運送事業
- 日本ロジスティクスシステム協会 — 物流管理・標準指標
- 日本物流団体連合会 — 物流事業全般
- 日本パレット協会 — パレット規格
- 日本産業標準調査会 (JISC) — JIS規格
- 農林水産省 — 食品流通・商慣習
- 中小企業庁 — 取引適正化・下請取引
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
1日に何件回れますか?
1件26.5分、実働375分の既定値で14件です。稼働率は99.30%と余裕がありません。
件数を増やすには何が効きますか?
荷降ろし時間の短縮が最も効きます。12分から8分にすると14件から16件に増えます。
稼働率はどのくらいに抑えるべきですか?
85〜90%が目安です。遅れを吸収する枠がないと、後半の時間指定に間に合いません。
平均走行速度はどう調べますか?
運行記録から走行距離と走行時間を集計します。市街地は15〜20km/h、郊外は25〜35km/hが目安です。
待機時間はどう減らせますか?
搬入時刻の事前連絡、共用搬入口の予約、検品方法の簡素化が有効です。
積み込み時間はどこに含めますか?
1日1回の作業として実働時間から差し引きます。複数回に分けて積む場合は回数分を計上してください。
1件あたりの原価はどう出しますか?
1日の車両費と人件費を件数で割ります。件数が減ると1件あたりは上がるため、両方を並べて見てください。
時間指定が多い場合はどう見積もりますか?
順序の自由度が下がり移動距離が伸びるため、配送先間の平均距離を1.2倍前後に置いて試算してください。