SOベスティング
付与株数と権利確定の条件から、ストックオプションの確定株数と想定される価値を試算します。
SOベスティングツール
計算式と考え方
権利確定は「1年のクリフ+その後は月ごとに確定」という形が広く使われています。4年で全株が確定する条件では、1年経過時点で25%が一度に確定し、以降は毎月48分の1ずつ増えます。10,000株を付与され18か月経過していれば、18÷48で37.5%にあたる3,750株が確定済み、6,250株が未確定です。行使価額500円に対し現在の想定株価2,000円なら含み益は562.5万円です。イグジット株価5,000円から希薄化20%を織り込んだ4,000円で計算すると、確定分の価値は1,312.5万円、税率20%を引いた手取りは1,050万円になります。
権利確定の方式
| 1年のクリフ+月次 | 最も一般的な形。1年未満での退職では権利が残らず、1年経過時に一括で25%が確定する |
|---|---|
| 1年のクリフ+四半期 | 月次より確定の刻みが粗い。3か月の区切りをまたぐ直前の退職は不利になる |
| 年次で均等に確定 | 1年ごとにまとめて確定する。年の途中で退職すると当該年の分は確定しない |
| クリフなし・月次 | 入社直後から確定が始まる。既に実績のある人材への付与で使われることがある |
SOベスティングの詳しい解説
ストックオプションの価値を見積もるとき、多くの人が付与株数と株価の差額だけを見ますが、実際に手にできる金額を決めるのは権利確定の進み具合と希薄化、そして税の扱いの3つです。まず権利確定について、1年のクリフという仕組みは、入社から1年未満で退職した場合に1株も権利が残らないことを意味します。11か月で退職すれば付与された株数がいくらであっても価値はゼロです。逆に1年を1日でも超えれば25%相当が一度に確定します。転職の時期を検討する際、この境界を把握しているかどうかで受け取れる金額が大きく変わります。希薄化は見落とされやすい要素です。会社が資金調達を重ねるたびに新しい株式が発行され、既存の株主の持分比率は下がります。付与時点で発行済株式の1%に相当する株数を受け取っていても、その後の調達で株数が増えれば、イグジット時点での比率は0.6%や0.7%になっていることがあります。付与を受ける際に確認すべきなのは株数そのものより、発行済株式に対する比率と、今後想定される調達の規模です。この情報が開示されない会社もありますが、質問すること自体は不自然ではありません。税の扱いは金額への影響が最も大きい要素です。日本の制度では、一定の要件を満たすストックオプションについて、権利行使の時点では課税されず、株式を売却した時点で譲渡所得として課税される取り扱いが定められています。要件を満たさない場合は、権利行使の時点で行使価額と時価の差額が給与所得として課税され、税率は所得の水準によって大きく上がります。同じ株数、同じ株価でも、この区分によって手取りが倍近く変わることがあります。付与を受ける段階で、どちらの扱いを想定した設計になっているかを確認する価値があります。行使に必要な資金も現実的な問題です。権利が確定していても、行使価額を払い込まなければ株式は手に入りません。10,000株で行使価額500円なら500万円が必要です。上場後であれば売却して精算する方法がありますが、未上場の段階では売却先がなく、払い込んだ資金が長期間固定されます。退職時に一定期間内の行使を求められる規定がある場合、この資金を用意できるかが権利を活かせるかどうかを分けます。退職後の扱いについても契約の確認が必要です。多くの設計では、退職時に未確定分は消滅し、確定分についても一定の期間内に行使しなければ失権します。この期間が90日と短い設計もあれば、数年に及ぶ設計もあります。また、会社都合と自己都合で扱いが異なる場合や、競業避止の条項に違反した場合に失権する条項が置かれている場合もあります。付与契約書の該当条項を、受け取る時点で読んでおくことが勧められます。税務の判断については、実際の行使や売却の前に税理士に相談することが確実です。
業界・現場での使い方
確定株数の確認
現時点で何株が確定しているかを、方式ごとの計算で把握します。
退職時期の検討
クリフや確定の区切りまでの残り月数を確認します。
イグジット時の手取り試算
希薄化と税を織り込んだ実際の受取額を見積もります。
よくある間違い・注意点
- 付与株数だけで価値を見る — 発行済株式に対する比率と今後の希薄化で実際の取り分は変わります。比率で確認してください。
- 税制上の区分を確認しない — 要件を満たすかどうかで課税の時期と税率が変わり、手取りが大きく違います。
- 行使資金を考えていない — 権利が確定しても行使価額の払い込みが必要です。未上場では資金が長期間固定されます。
関連する規格・法規
- NVCA
- 日本ベンチャーキャピタル協会
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
1年未満で退職するとどうなりますか?
1年のクリフがある設計では1株も権利が残りません。クリフの到達日を確認してください。
希薄化はどのくらい見込むべきですか?
調達の回数と規模によりますが、シード段階からの付与では20〜40%を見込むという考え方があります。
退職後はいつまで行使できますか?
契約により90日程度から数年までさまざまです。付与契約書の該当条項の確認が必要です。