SMED段取替時間
段取り替え時間の内訳から、SMEDによる短縮効果と取り戻せる生産能力を試算します。
SMED段取替時間ツール
計算式と考え方
段取り替え60分のうち内段取りが70%の42分、外段取りが18分です。内段取りの50%を外段取りへ移すと21分になり、残りを位置決めのワンタッチ化などで30%短縮して14.7分になります。1回あたり27.3分の停止が減り、1日4回で109.2分、年240日では約437時間です。1個30秒で加工するなら年に約52,400個を余分に作れ、1個の限界利益120円で約629万円にあたります。改善後の停止時間は稼働予定480分の約12.3%になります。
SMEDの4段階と主な打ち手
| 第1段階:内外の区別がない | 段取り作業を録画して全工程を洗い出す。工具探しや部品待ちが停止時間に含まれていることが多い |
|---|---|
| 第2段階:内と外を分ける | 治具や金型の準備、工具の並べ置き、加熱や予熱を設備の稼働中に済ませる。ここだけで停止時間が3割から5割減ることがある |
| 第3段階:内を外へ移す | 位置決め用の中間治具を用意して機外で調整を終える。金型を共通の取付高さにそろえて調整そのものをなくす |
| 第4段階:作業そのものを短縮する | ボルトをワンタッチクランプに、調整をストッパーによる位置決めに置き換える。締結点の数を減らす |
| 定着させる工夫 | 段取り手順を1枚の標準書にまとめ、部品と工具を専用台車に定位置化する。人による差が消えると効果が持続する |
SMED段取替時間の詳しい解説
段取り替え時間の短縮が生産能力の話に直結するのは、設備が止まっている時間が売上をつくらない時間だからです。1日8時間の稼働予定に対して段取りで168分止まっていれば、実際に作れる時間は312分しかありません。この停止を14.7分×4回の59分まで削れば、作れる時間は421分に増えます。設備を1台増やさずに3割以上の能力を得たのと同じ効果になり、投資額との比較で見れば段取り改善の費用対効果が高い理由がここにあります。SMEDの考え方の中心は、作業を速くすることではなく、作業を設備が止まっている時間の外に出すことです。内段取りは設備を止めなければできない作業、外段取りは動いている間にできる作業を指します。多くの現場では、金型を取りに行く、工具を探す、次の材料を準備するといった作業が設備を止めた状態で行われており、この区分けを整理するだけで停止時間の3割から5割が消えます。設備の改造も投資も要らないため、最初に着手すべき段階とされています。次に効くのが調整の排除です。段取り時間の中で読みにくいのは、取り付けた後の試し打ちと微調整の時間で、ここが全体の半分近くを占めることがあります。金型の取付高さを共通化する、位置決めをストッパーで機械的に決める、といった標準化によって、調整という工程そのものをなくすのが第3段階の狙いです。判断が分かれるのは、どこまで投資して短縮するかです。段取り時間が短くなるほどロットを小さくでき、在庫と滞留期間が減ります。経済的ロットサイズは段取り費用の平方根に比例するため、段取り時間を4分の1にすればロットは半分にできます。つまり段取り改善の価値は、増産分の限界利益だけでなく、在庫の削減と納期の短縮にも及びます。この部分を効果に算入するかどうかで、投資判断の結論が変わります。見落とされやすいのは、人の割り当てです。外段取りに移した作業は誰かが設備の稼働中に行う必要があり、1人で複数台を持っている現場では、外段取りの時間が確保できずに元へ戻ることがあります。段取り替えのタイミングをずらす、応援者を決めておくといった運用の設計が伴わないと、手順書だけでは定着しません。多品種少量への対応が求められる工程ほど、この運用面の詰めが効果の差になって表れます。
業界・現場での使い方
改善目標の設定
内段取りの何割を外へ移せば10分未満に届くかを逆算して、打ち手の順番を決めます。
改善投資の判断
クランプや中間治具への投資額と、増える限界利益を比べて回収の見通しを立てます。
ロットサイズの見直し
停止時間が減った分でどこまで小ロット化できるかを検討する前提の数字にします。
よくある間違い・注意点
- 作業者の動きを速くすることで短縮しようとする — 人の速さに頼った短縮は定着せず、安全上の問題も生みます。まず内段取りを外段取りへ移す区分けから着手してください。
- 試し打ちと微調整の時間を数えていない — 段取り時間の半分近くが調整であることは珍しくありません。良品が出るまでを段取り時間として計測してください。
- 外段取りに人を割り当てないまま手順だけ変える — 設備の稼働中に準備する人がいなければ元に戻ります。担当と時間帯を決める運用の設計が必要です。
関連する規格・法規
- JIS
- ISO
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
シングル段取りとは何分のことですか?
停止時間が1桁の分、つまり10分未満に収まる状態を指します。さらに1分未満まで縮めた状態はワンタッチ段取りと呼ばれます。
どこから手をつければよいですか?
段取り作業を録画して全工程を書き出し、内段取りと外段取りに分ける作業からです。投資が不要で効果が大きい段階です。
段取り時間が減ると在庫も減りますか?
段取りの負担が軽くなるほど小さいロットで回せるため、工程間の滞留と完成品在庫が減ります。納期の短縮にもつながります。