地震層せん断力Ci
建物重量W・地震地域係数Z・振動特性係数Rt・高さ分布係数Ai・標準せん断力係数Coから層せん断力係数Ci・層せん断力Q(kN)を即算出。建築基準法施行令第88条・平12建告1461号・国交省告示準拠で、一次設計(Co=0.2、中地震震度5弱程度で無被害)・二次設計(Co=1.0、大地震震度6強程度で倒壊しない)の両ステップに対応。RC造/S造/木造/SRC造の耐震設計、既存建物の耐震診断(2000年基準以前の建物)、免震・制振構造の応答低減効果評価、確認申請時の構造計算書作成の一次計算資料に。
構造設計事務所・耐震診断士・大手ゼネコン構造部門・確認検査機関・大学の建築構造研究の実務ツール。
地震層せん断力Ciツール
層せん断力の計算式と根拠
層せん断力は「地震時の水平力を各階に配分した値」で、建築物の耐震設計における最重要指標です。建築基準法施行令第88条に基づき、地震地域係数Z・振動特性係数Rt・高さ分布係数Ai・標準せん断力係数Coの4係数を掛け合わせて層せん断力係数Ciを求め、これに層重量Wを掛けて層せん断力Q(kN)を算出します。1次設計(Co=0.2)で稀に発生する中地震(震度5弱程度)に無被害、2次設計(Co=1.0)で稀に発生する大地震(震度6強程度)に倒壊しない耐力を検証するのが基本設計思想です。
層せん断力係数 Ci = Z × Rt × Ai × Co
層せん断力 Q = Ci × W
Z:地震地域係数(0.7-1.0、地域により変動)
Rt:振動特性係数(0.4-1.0、地盤・建物固有周期により変動)
Ai:高さ分布係数(1F=1.0、上層階ほど大きい)
Co:標準せん断力係数(一次0.2 / 二次1.0)
W:各層より上部の重量合計(kN)
実務では「Ai分布」で上層階ほど層せん断力係数が大きく分布します。10階建てで最上階Ai≒1.5-2.0倍と、上に行くほど地震時の慣性力が大きくなる特性を反映。RC造では耐力壁配置・S造ではブレース配置・木造では耐力壁量計算で層せん断力を伝達し、免震・制振構造では応答低減で層せん断力を1/2-1/3に下げる設計も普及しています。
計算例
- 層重量5,000kN・Z=1.0・Rt=1.0・Co=0.2(一次) → Ci=0.2、Q=1,000kN
- 層重量5,000kN・Z=1.0・Rt=1.0・Co=1.0(二次) → Ci=1.0、Q=5,000kN
- 沖縄本島・層重量3,000kN・Z=0.7・Co=0.2 → Ci=0.14、Q=420kN
- 10階建て最上階Ai=1.5・Z=1.0・Co=0.2 → Ci=0.3、W=2,000kNならQ=600kN
- 免震構造・応答低減1/2・Z=1.0・Co=0.2 → 実効Ci=0.1、Q=500kN(W=5,000kN時)
地震地域係数Z(全国)
| 地域 | Z | 備考 |
|---|---|---|
| 関東・東海・関西・中国・四国・九州の大部分 | 1.0 | 標準地域 |
| 北海道・東北の一部・北陸の一部 | 0.9 | やや地震活動低い |
| 北海道の一部・沖縄一部 | 0.8 | 地震活動低め |
| 沖縄本島 | 0.7 | 最低係数 |
振動特性係数Rt(地盤種別×建物固有周期)
| 地盤種別 | T<Tc | Tc≦T<2Tc | T≧2Tc |
|---|---|---|---|
| 第1種(硬い) | 1.0 | 1-0.2(T/Tc-1)² | 1.6Tc/T |
| 第2種(標準) | 1.0 | 1-0.2(T/Tc-1)² | 1.6Tc/T |
| 第3種(軟弱) | 1.0 | 1-0.2(T/Tc-1)² | 1.6Tc/T |
※Tc=地盤種別ごとの特性値(0.4/0.6/0.8秒)、T=建物固有周期(RC造0.02H、S造0.03H、Hは建物高さm)
高さ分布係数Ai(各階の分布)
| 階層 | 10階建てAi | 5階建てAi | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 1.00 | 1.00 | 基準階 |
| 2階 | 1.05 | 1.10 | やや増加 |
| 5階 | 1.20 | 1.65 | 中間階 |
| 7階 | 1.40 | — | 上層 |
| 10階(最上階) | 1.80 | — | 最大係数 |
設計フェーズ別 Co値の使い分け
| 設計フェーズ | Co | 想定地震 | 建物性能 |
|---|---|---|---|
| 一次設計(許容応力度計算) | 0.2 | 震度5弱程度(中地震) | 無被害・継続使用可 |
| 二次設計(保有水平耐力計算) | 1.0 | 震度6強-7程度(大地震) | 倒壊しない・人命保護 |
| 限界耐力計算(必要保有水平耐力) | 1.0(Ds考慮) | 大地震 | 層間変形1/100以下 |
| 耐震診断Is値 | 0.2または1.0 | 大地震 | Is=0.6以上で安全 |
地震層せん断力Ciの詳しい解説
地震層せん断力は「建築物の耐震設計の骨格をなす概念」です。建築基準法施行令第88条・平成12年建設省告示第1461号に基づき、建物の各階に作用する水平力(慣性力)を数値化し、これに耐えられる耐力壁・ブレース・柱梁架構を配置することが構造設計の要諦です。1次設計で震度5弱程度の中地震に無被害、2次設計で震度6強-7程度の大地震に倒壊しない耐力を確保する2段階設計体系が、1981年6月の新耐震基準以来の日本の耐震設計の基本枠組みです。
Co=0.2という「建物重量の20%相当の水平力に耐える一次設計基準」は、建築物の重量の1/5に相当する水平力(震度5弱相当)を許容応力度以内で受け止められる耐力を求めるものです。RC造マンションで層重量5,000kN(500トン)なら層せん断力1,000kN(100トン相当)を耐力壁・柱梁で受け止める設計となります。この一次設計を満たすだけでは大地震で倒壊するリスクがあるため、二次設計(Co=1.0)で建物重量の100%相当の水平力に対する保有水平耐力を確保するのが現行基準です。
Ai分布(高さ方向の層せん断力係数分布)は、地震時に建物上層階ほど大きな慣性力が働く現象を反映した設計係数です。10階建てで最上階Aiは1.8前後となり、1階の1.8倍の層せん断力係数を負担することになります。これは建物の固有振動モード・地震動の増幅特性を反映したもので、高層ビルほど上層階の耐力壁・ブレース配置が重要となる根拠です。超高層ビル(60m超)では時刻歴応答解析による動的設計が原則で、AiではなくCQC法等による動的応答計算が用いられます。
Rt(振動特性係数)は「地盤種別と建物固有周期による地震動増幅の補正」です。地盤種別は第1種(岩盤等硬い)・第2種(標準)・第3種(軟弱粘土等)の3区分で、建物の固有周期T(RC造で0.02×高さH、S造で0.03H)がTc(地盤特性値0.4/0.6/0.8秒)より短ければRt=1.0、長ければRtが減少します。軟弱地盤+高層建物の組合せでは長周期地震動と共振する危険があり、東日本大震災以降は長周期地震動対策(制振ダンパー追加・免震層設計)が実務課題となっています。
実務では「保有水平耐力(Qu)と必要保有水平耐力(Qun)の照合」が二次設計の核心です。Qun=Ds×Fes×Qud(Ds=構造特性係数0.25-0.55、Fes=形状特性係数、Qud=大地震時層せん断力)で必要保有水平耐力を求め、Qu≧Qunを満たすように耐力壁・ブレース・柱梁の配置と断面設計を行います。RC造ではDs=0.30-0.55(靱性型で小さく、脆性型で大きい)、S造ではDs=0.25-0.55が範囲で、靱性のある構造(粘り強い)ほどDs値が小さく、必要保有水平耐力が小さくなる仕組みです。
免震・制振構造では「応答低減効果」による層せん断力の低減が実務ポイントです。免震構造は建物基礎と上部構造の間に免震装置(積層ゴム・すべり支承・ダンパー等)を配置し、地震動を上部構造に伝えない設計。設計せん断力を通常の1/2-1/3に低減でき、上部構造の柱梁断面を軽量化できるメリットがあります。制振構造は建物内部に制振ダンパー(粘性・粘弾性・オイルダンパー等)を配置し、地震エネルギーを吸収して応答を10-30%低減する方式で、既存高層ビルの耐震補強にも活用されています。
2000年基準以前の「旧耐震建物の耐震診断」ではIs値(構造耐震指標)による評価が実務標準です。Is=Eo×Sd×T(Eo=保有性能基本指標、Sd=形状指標、T=経年指標)を各階で算出し、Is≧0.6で「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」と判定。Is<0.3は「危険性が高い」と判定され、耐震補強・建替え・使用停止の対応が求められます。学校施設・病院・自治体庁舎等の重要建物では耐震診断・補強が着実に進み、災害時の防災拠点確保が政策的に推進されています。
業界・現場での使い方
構造設計事務所
新築建物の一次設計(許容応力度計算)・二次設計(保有水平耐力計算)の一次計算資料。構造計算書作成前の概算検討・部材寸法決定・確認申請対応に。
耐震診断士・耐震補強設計
2000年基準以前の旧耐震建物の耐震診断でのIs値算定・保有水平耐力評価。耐震補強設計時の必要耐力算定・補強部材配置検討に。
大手ゼネコン構造部門
タワーマンション・オフィスビル・商業施設の構造計画時の概算検討。免震・制振構造の応答低減効果の定量評価に。
確認検査機関・特定行政庁
構造計算書の適合性判定(適判)時の一次チェック。層せん断力係数Ci値の妥当性確認・Ai分布の適切性確認に。
建築構造研究者・大学
建築学会論文・修士論文の構造解析での基礎計算。地震応答解析・免震制振設計研究の基準値算定に。
プレファブ住宅・木造住宅メーカー
2階建て木造住宅の壁量計算・耐力壁配置の設計。品確法(住宅性能表示制度)の耐震等級評価の基礎データに。
ケーススタディ:現場での実務判断
ケース1:東京都心10階建てRC造マンション
- 敷地Z=1.0、第2種地盤、10階建てH=30m、固有周期T=0.6秒
- 層重量各階5,000kN、Rt=1.0、Ai=1.0-1.8で各階配分
- 1階Ci=0.2×1.0×1.0×1.0=0.2、Q=1,000kN(一次)
- 最上階Ci=0.2×1.0×1.8×1.0=0.36、Q=180kN(一次、W=500kN)
ケース2:沖縄本島8階建てS造オフィス
- 那覇Z=0.7、第2種地盤、8階建てH=28m、固有周期T=0.84秒
- Rt=1.0(2Tc超えるが軽減率適用)、層重量4,000kN
- 1階Ci=0.7×1.0×1.0×0.2=0.14、Q=560kN
- 関東同規模比で30%減、地域係数Z=0.7の影響が大きい
ケース3:既存旧耐震ビルの耐震診断
- 1975年築5階建てRC造事務所、Is値算定で耐震性能評価
- 各階でIs=Eo×Sd×Tを算出、3階でIs=0.42と目標0.6未満
- 耐震補強設計:RC耐力壁増設で保有水平耐力Qu=2,500kN→3,500kNへ
- 補強後Is=0.68で目標達成、大地震時の倒壊リスク低減
ケース4:免震タワーマンション
- 40階建てタワマン、基礎に免震層(積層ゴム+オイルダンパー)配置
- 免震層で応答低減1/3、上部構造の設計層せん断力を大幅減
- 通常設計Q=15,000kN→免震設計Q=5,000kNで柱梁断面軽量化
- ダンパー保守点検が必要だが、居住性・耐震性能で優位
ケース5:木造2階建て住宅の壁量計算
- 延べ床面積120㎡・2階建ての一般木造住宅、壁量計算
- 層重量約400kN、Z=1.0・Rt=1.0・Co=0.2でQ=80kN
- 耐力壁配置で必要壁量120cm/㎡(耐震等級3)を確保
- 品確法の耐震等級3で通常設計の1.5倍の耐力、地震保険料50%割引
よくある間違い・注意点
- Z値を全国一律で1.0とする — 地域別に0.7-1.0で異なります。沖縄本島0.7、北海道の一部0.8-0.9、関東以西の大部分で1.0。地域係数の見落としで過大設計or過小設計の原因に。
- Ai=1で全層計算 — 上層階Aiは1.5-1.8倍と大きくなります。10階建て最上階を1階と同じCiで設計すると、上層の耐力不足で大地震時に倒壊リスク。
- 一次・二次設計の混同 — Co=0.2は一次(中地震・許容応力度計算)、Co=1.0は二次(大地震・保有水平耐力計算)。両方の設計フェーズで別々の照合が必要で、混同すると重大設計エラー。
- Rt係数の適用漏れ — 軟弱地盤・高層建物・長周期地震動リスクではRt係数が0.4-1.0の範囲で変動。地盤種別調査結果を反映せずRt=1.0固定は過小設計の原因。
- 層重量Wの算定ミス — 各層のWは「その層より上部の重量合計」で、屋根+外壁+床+仕上げ+設備+家具荷重(積載荷重)を含めます。積載荷重の見落としで層せん断力を過小評価しがち。
- 保有水平耐力Qu算定の甘さ — 二次設計で必要保有水平耐力Qun=Ds×Fes×Qudを算出後、実配置耐力壁・ブレースのQu評価で靱性・変形性能を過大評価する誤りが多い。実験値・許容変形量の慎重評価が必須。
- ピロティ構造の設計不足 — 1階が駐車場等の耐力壁少ないピロティ形式は層剛性が急変し、Ai分布補正が必要。1階部分の耐力壁配置または柱の靱性確保が実務の要点。
- 2000年基準以前の既存建物過信 — 1981年新耐震・2000年基準(限界耐力計算)以前の建物は現行基準に照らすと耐力不足のケース多数。耐震診断・補強の必要性検討を。
関連する規格・法規
- 建築基準法施行令 第88条(地震力)— 層せん断力係数Ciの法定計算式規定。
- 平成12年建設省告示第1461号— 地震地域係数Z・振動特性係数Rt・高さ分布係数Aiの詳細規定。
- 建築物の構造関係技術基準解説書(国交省)— 構造計算の実務基準・解説。
- 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)— 既存不適格建物の耐震診断・改修促進。
- 日本建築学会「建築物の構造規定」(黄本)— 構造設計実務の学術基準書。
- 日本建築防災協会「耐震診断基準」— 既存RC造建物の耐震診断標準基準。
- 品確法(住宅品質確保促進法)耐震等級— 住宅の耐震性能表示制度。
- 免震構造設計指針(日本建築学会)— 免震装置・応答低減設計の指針。
※本ツールは建築基準法施行令第88条・建設省告示に基づく参考計算です。実際の構造設計・耐震診断・確認申請は最新の告示・技術基準解説書および専門構造設計者・確認検査機関の判断に従ってください。特に免震制振・超高層・限界耐力計算・時刻歴応答解析は高度な専門知識が必要な領域で、経験豊富な構造設計者の判断を優先してください。
よくある質問(FAQ)
Ci=0.2の意味は?
建物重量の20%相当の水平力に耐える一次設計基準です。震度5弱程度の中地震で建物に無被害・継続使用可能な耐力を確保する基準で、Co=0.2が令88条の標準値。関東以西の大部分・第2種地盤・低層建物ではCi=0.2×1.0×1.0×1.0=0.2となります。
保有水平耐力とは?
建物が実際に負担できる最大水平力(kN)のこと。二次設計値Co=1.0を超える耐力が必要で、必要保有水平耐力Qun=Ds×Fes×Qudを算定し、実配置のQu≧Qunを照合します。RC造ではDs=0.30-0.55、S造ではDs=0.25-0.55が範囲です。
免震で層せん断力はどう変わる?
免震層(積層ゴム・すべり支承・ダンパー)による応答低減で1/2-1/3に減少。上部構造の設計層せん断力が大幅減で、柱梁断面を軽量化・スパンを大きくできるメリットあり。ダンパー保守点検・免震クリアランス確保が実務要件です。
制振ダンパーの効果は?
粘性・粘弾性・オイルダンパー等が地震エネルギーを吸収し層せん断力10-30%低減。既存高層ビルの耐震補強にも活用可能で、居住性・断面軽量化・工期短縮のメリットあり。免震ほど大幅低減ではないが、実施容易性で優位。
Ai係数の計算方法は?
Ai=1+(1/√αi-αi)×2T/(1+3T)(αi=各層より上の重量比、T=建物固有周期)で計算。10階建て最上階でAi≒1.8-2.0、5階建て最上階でAi≒1.6となり、上層階ほど大きな値。手計算は複雑なため構造計算ソフト(SS7・BUS等)で自動算定が実務標準。
地域係数Zはどこで確認?
建設省告示第1793号で全国の市町村ごとに規定されています。日本建築学会や構造計算ソフトのDBに全国マップが収録されており、住所検索で確認可能。関東以西の大部分1.0、北海道・沖縄一部で0.7-0.9の範囲です。
60m超の超高層ビルの設計は?
60m超は時刻歴応答解析による動的設計が原則で、AiではなくCQC法等による動的応答計算が用いられます。国交省の大臣認定が必要で、複数地震波(EL Centro・八戸・神戸JMA等)を入力した応答評価を行います。
長周期地震動対策は?
2011年東日本大震災以降、長周期地震動対策が実務課題化。国交省告示で対象都市(東京・大阪・名古屋等)を指定し、超高層ビル・免震建物に追加検討要件。制振ダンパー追加・免震層設計見直し・家具転倒防止対策が実務対応。
耐震診断のIs値とは?
Is=Eo×Sd×T(構造耐震指標)。Is≧0.6で「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低い」と判定、Is<0.3は「危険性が高い」。学校施設・病院・自治体庁舎等で耐震診断・補強が推進されています。
木造住宅の壁量計算は?
2階建て木造住宅は壁量計算(層せん断力から必要壁量を算出、耐力壁配置)で構造安全確認。品確法の耐震等級3(通常の1.5倍耐力)なら地震保険料50%割引の実利あり。3階建て以上は許容応力度計算が必要です。
用語集
- 層せん断力係数Ci
- 各層に作用する水平力係数。Z×Rt×Ai×Coで算定。
- 層せん断力Q
- 各層に作用する水平力(kN)。Ci×W(層重量)。
- 地震地域係数Z
- 地域の地震活動度を反映する係数。0.7-1.0の範囲。
- 振動特性係数Rt
- 地盤種別と建物固有周期による地震動増幅補正係数。
- 高さ分布係数Ai
- 各階の層せん断力係数分布。上層ほど大きい。
- 標準せん断力係数Co
- 設計フェーズごとの係数。一次0.2、二次1.0。
- 一次設計(許容応力度計算)
- 中地震(震度5弱程度)で無被害・継続使用を確保する設計フェーズ。
- 二次設計(保有水平耐力計算)
- 大地震(震度6強-7程度)で倒壊しない耐力を確保する設計フェーズ。
- 保有水平耐力Qu
- 建物が実際に負担できる最大水平力。
- 必要保有水平耐力Qun
- 大地震時に必要な水平耐力。Ds×Fes×Qudで算定。
- 構造特性係数Ds
- 構造の靱性を反映する係数。0.25-0.55の範囲。
- Is値(構造耐震指標)
- 既存建物の耐震性能評価指標。0.6以上で安全と判定。
- 免震構造
- 基礎と上部の間に免震装置を配置し、地震動を上部に伝えない構造。
- 制振構造
- 建物内部に制振ダンパーを配置し、地震エネルギーを吸収する構造。
- 長周期地震動
- 周期2-20秒の長い揺れ。超高層ビル・免震建物に共振リスク。
まとめ・実務ポイント
地震層せん断力Ciは「建築物の耐震設計の骨格をなす計算」です。Z(地域係数0.7-1.0)×Rt(振動特性0.4-1.0)×Ai(高さ分布1.0-2.0)×Co(標準係数0.2/1.0)の4係数で算定し、これに層重量Wを掛けて層せん断力Q(kN)を求めます。1次設計(Co=0.2)で中地震震度5弱に無被害、2次設計(Co=1.0)で大地震震度6強-7に倒壊しない耐力を確保する2段階設計体系が現行基準の骨組みです。
実務では「保有水平耐力Quと必要保有水平耐力Qunの照合」が二次設計の核心。RC造Ds=0.30-0.55、S造Ds=0.25-0.55の範囲で構造特性係数を選定し、耐力壁・ブレース・柱梁の靱性を確保する設計が求められます。免震構造で応答1/2-1/3低減、制振ダンパーで10-30%低減の効果があり、超高層タワマン・耐震補強・既存旧耐震建物の耐震診断で活用されています。60m超は時刻歴応答解析・大臣認定、長周期地震動対策、Is値による耐震診断など専門領域は経験豊富な構造設計者の判断が不可欠で、本ツールは概算検討・確認申請前の一次計算の位置づけです。
参考文献・公的リソース
- 国土交通省「建築基準法・同施行令」mlit.go.jp
- e-Gov法令検索「建築基準法施行令」e-gov.go.jp
- 日本建築学会「建築物の構造規定」aij.or.jp
- 日本建築防災協会「耐震診断基準」kenchiku-bosai.or.jp
- 国立研究開発法人建築研究所kenken.go.jp
- 建築確認検査機関(BCJ日本建築センター)bcj.or.jp
- 耐震改修促進法(国交省)mlit.go.jp
- 住宅性能表示制度(品確法)mlit.go.jp