計算ツール
実車率回送運送燃料費

実車率・空車回送率の計算

総走行距離と実車距離、運賃収入と燃費から、実車率・空車回送率・回送で消える燃料費を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

実車率・空車回送率の計算ツール

実車率は実車走行÷総走行×100です。既定値では8,400÷12,000で70.00%、空車回送率は30.00%になります。運賃収入240万円を実車距離で割ると1kmあたり286円ですが、総走行で割ると200円まで下がります。回送3,600kmは燃費4.5km/Lで800L、軽油155円なら124,000円が空荷で消えている計算です。実車率80%まで戻せば41,333円が浮きます。

実車率の水準と評価

実車率評価典型的な状況
85%以上良好復路の荷が安定して確保できている
75〜85%標準一部の路線で回送が残る
65〜75%要改善片荷の路線が多い
65%未満要見直し路線構成そのものの再設計が必要

実車率別の回送燃料損失(総走行12,000km・4.5km/L・155円/L)

実車率回送距離回送の燃料費
90%1,200km41,333円
80%2,400km82,667円
70%3,600km124,000円
60%4,800km165,333円

※参考計算です。車両仕様・機材・商慣習・取引条件によって数値は変わるため、実際の運用条件で検証してください。

実車率・空車回送率の計算の詳しい解説

実車率が経営指標として重く見られるのは、回送距離が売上を生まないまま燃料とタイヤと人件費を消費するからです。既定値では総走行12,000kmのうち3,600kmが空荷で、燃料だけでも月124,000円が消えます。ここにタイヤと車両の償却、その距離を走る時間の人件費を乗せると、実際の損失は燃料費の二倍から三倍に達します。運賃を1割上げる交渉より、回送を1割減らすほうが手元に残る額は大きくなることがあります。

判断が分かれるのは、復路の荷をいくらで受けるかです。回送で帰るくらいなら安値でも積んだほうがよいという考え方と、安値の荷を受けると相場が崩れて往路の運賃まで下がるという考え方が対立します。実務では、燃料と人件費の増分を賄えるかを下限に置き、それを下回る運賃は受けない線引きが多く取られます。この下限は実車1kmあたりの収入ではなく、追加で発生する費用だけを見て判断します。

見落とされやすいのは、回送を減らす取り組みに別の費用がかかることです。復路の荷を探すための求荷求車の手数料、荷を待つ間の待機時間、積み合わせによる納品時刻の遅れなどが発生します。待機が長引けば拘束時間の上限に近づき、翌日の稼働に影響します。回送を数字の上で減らしても、待機時間が増えて回転数が落ちれば収支は改善しません。

路線の性格による違いも大きく、生産地から消費地へ向かう一方向の輸送は構造的に片荷になりやすく、実車率は70%前後にとどまります。都市間の往復路線や共同配送に組み込まれた運行では85%を超える水準も可能です。改善の余地を見るときは、全社平均ではなく路線ごとに分解し、片荷が構造的なのか営業努力で埋められるのかを切り分ける必要があります。

数値を追うときは、実車率の定義を社内で統一しておくことが前提になります。車庫から最初の積地までの距離を回送に含めるか、荷を降ろしてから車庫へ戻る距離をどう扱うかで、同じ運行でも数ポイント変わります。デジタルタコグラフの記録から自動で集計する場合は、積載の有無をどの信号で判定しているかを確認してください。月次で比較するなら定義を変えずに継続することが重要で、途中で計算方法を変えると改善したのか定義が変わったのか判別できなくなります。車両別に出せば、特定の車両や乗務員に回送が偏っていないかも見えてきます。

業界・現場での使い方

運送会社の月次分析

車両別・路線別に実車率を出し、回送が集中している区間を特定します。

運賃交渉の材料

総走行あたりの収入を示し、回送を含めた実質の単価を荷主と共有します。

復路の荷の採算判断

回送で帰る場合の損失と、安値で受けた場合の収支を比べます。

共同配送の検討

複数社で復路を融通した場合の回送削減額を試算します。

よくある間違い・注意点

  • 実車1kmあたりの単価だけで採算を見る — 回送距離を含めた総走行あたりでは単価が3割前後下がります。
  • 回送の損失を燃料費だけで数える — タイヤ・車両の償却・その時間の人件費を含めると損失は数倍になります。
  • 全社平均の実車率で判断する — 構造的に片荷の路線と改善できる路線が混ざり、打ち手を誤ります。
  • 復路の荷を無条件で安値で受ける — 追加費用を賄えない運賃は、走るほど損失が増えます。
  • 待機時間の増加を計算に入れない — 復路を探して待つ時間が回転数を落とし、実車率の改善が収支に結びつきません。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

実車率70%は低いですか?

要改善の水準です。片荷が構造的な路線なら妥当ですが、都市間の往復路線なら80%以上を狙えます。

回送の燃料損失はどう計算しますか?

回送距離÷燃費×軽油単価です。既定値では3,600÷4.5×155で124,000円になります。

復路の荷はいくらから受けるべきですか?

追加で発生する燃料費と人件費を上回る額が下限です。往路の単価と同じ基準で判断すると受けられる荷がなくなります。

実車率を上げる方法は何がありますか?

復路の荷の確保、路線の組み替え、共同配送への参加、帰り荷情報の共有が主な手段です。

実車率と積載率はどう違いますか?

実車率は距離のうち荷を積んでいた割合、積載率は積載量のうち実際に積んだ割合です。両方を見ないと実態がつかめません。

総走行1kmあたりの収入は何に使いますか?

車両1台の採算を判断する指標です。1kmあたりの原価と直接比較できます。

目標の実車率はどこに置きますか?

路線の性格によりますが、まずは現状に5ポイント上乗せした水準を置き、達成後に見直すのが現実的です。

回送距離を減らすと拘束時間も減りますか?

走行時間は減りますが、荷を待つ待機が増えると拘束時間はかえって延びる場合があります。