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非常用発電機 稼働時間 計算ツール|燃料タンク・負荷率からBCP電源計画を即算出

発電機容量kVA・負荷率%・燃料タンクLから稼働可能時間・日数を即算出。軽油ディーゼル・ガソリン・都市ガスの燃料消費率、消防法危険物指定数量・電気事業法・BCP72時間対応まで踏まえた、医療施設・データセンター・工場・自治体庁舎の非常用電源計画の一次資料として使えます。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

非常用発電機 稼働時間ツール

計算式と燃料消費の考え方

基本式

実出力(kW) = 容量(kVA) × 力率0.8 × 負荷率

燃料消費(L/h) = 実出力(kW) × 燃料消費率(L/kWh)

稼働可能時間(h) = 燃料タンク容量(L) ÷ 燃料消費(L/h)

発電機の燃料消費は、実出力(kW)に燃料消費率を掛けて算出します。力率は一般的な負荷で0.8を使用し、負荷率は連続運転で50-75%が現実的です。30kVA機・75%負荷・軽油300Lタンクなら実出力18kW、消費4.5L/h、約67時間(約2.8日)の連続稼働が可能です。

燃料消費率の目安

軽油ディーゼル発電機は0.22-0.28 L/kWh(高効率機で0.20 L/kWhも)、ガソリン発電機は0.30-0.40 L/kWh、LPG・都市ガスはL相当量ベースで軽油と同等〜1.2倍程度です。負荷率が低いと単位発電量あたりの消費率が悪化するため、25%以下の連続運転は非効率であることに注意してください。

72時間BCPの燃料量目安

内閣府の事業継続ガイドラインでは、重要施設で72時間(3日間)の連続稼働が推奨されています。30kVA機・75%負荷なら324L、100kVA機なら1,080L、300kVA機なら3,240Lが必要。指定数量1,000Lの壁を越えると危険物取扱所指定となり、有資格者常駐等が必要になります。

容量別 燃料消費・稼働時間早見

75%負荷・力率0.8・軽油ディーゼル発電機(消費率0.25 L/kWh)を前提とした早見表です。

容量kVA実出力kW時間消費L/h300Lタンク1000Lタンク72h必要L
1061.5200h667h108L
20123.0100h333h216L
30184.567h222h324L
50307.540h133h540L
754511.327h89h810L
1006015.020h67h1,080L
1509022.513h44h1,620L
20012030.010h33h2,160L
30018045.07h22h3,240L
50030075.04h13h5,400L
750450112.52.7h8.9h8,100L
1000600150.02h6.7h10,800L

大型施設では屋外の1,000-5,000L小口タンクや、屋外専用タンク+屋内サブタンク(600L以下)の二段構成が一般的です。指定数量倍数を1未満に抑えたい場合は、複数タンクへの分散配置が有効です。

燃料種別の特性と選定

燃料消費率(L/kWh)備蓄性危険物区分指定数量用途
軽油0.22-0.286-12ヶ月第4類第2石油類1,000L非常用主流
A重油0.24-0.306-12ヶ月第4類第3石油類2,000L大型工場・船舶
ガソリン0.30-0.403-6ヶ月第4類第1石油類200L小型可搬機
LPG0.35-0.45相当1-2年高圧ガス災害時遮断少
都市ガス0.30-0.40相当地震時遮断懸念

非常用発電機は軽油ディーゼルが主流。備蓄性・熱効率・危険性のバランスが良く、消防法の指定数量が1,000Lと比較的緩いためです。ガソリンは指定数量200Lと厳しく、劣化も早いため小型可搬機のみ。LPGは地震時のガス管遮断リスクが少なく、災害時BCPとしての利用が近年注目されています。

消防法危険物指定数量の壁

非常用発電機の燃料備蓄は、消防法の危険物指定数量倍数によって規制内容が変わります。軽油は指定数量1,000L、A重油は2,000L、ガソリンは200Lが基準。

指定数量倍数区分主な規制
0.2未満非規制(市町村条例)市町村火災予防条例のみ
0.2-1未満少量危険物市町村条例で届出・保管基準
1以上危険物取扱所消防法に基づく許可・有資格者常駐・防油堤・消火設備

軽油タンク600L(0.6倍)まで少量危険物、1,000L(1.0倍)以上で危険物取扱所指定。72時間BCP対応の中大型施設では指定数量倍数1以上が避けられず、屋外タンク貯蔵所または一般取扱所として建築・設置許可、危険物取扱者(乙4類以上)の常駐、防油堤・消火設備・警報装置の設置義務が生じます。

業界・現場での使い方

企業BCP(事業継続計画)

本社ビル・事業所の停電時電源計画。内閣府ガイドラインでは重要業務は72時間継続を推奨。役員会議室・サーバー室・照明・空調・エレベーターを対象に必要kVAを算定し、燃料タンク+外部給油契約を組み合わせます。上場企業は有価証券報告書のリスク情報で開示。

医療施設(病院・診療所)

医療法施行規則で病院は非常用電源義務。手術室・ICU・分娩室・透析室・薬品保管冷蔵庫・自動ドア・オーダリング端末が対象。日本医療機能評価機構の要求では72時間連続稼働が推奨で、燃料タンクは屋外1,500-5,000L+屋内サブタンク構成が主流。定期試運転・自家発電設備専門技術者による年次点検が必須です。

データセンター・通信基地局

Tier分類ではTier III以上で72時間連続稼働が要件。UPS(無停電電源)で瞬間遮断を防ぎ、発電機起動までの数十秒をカバーする二段構成が標準。冷却塔・空調負荷が電源容量の40-60%を占めるため、通信機器容量の1.5-2倍のkVAを見込みます。通信基地局は総務省の重要設備で長時間停電対策が求められています。

工場・生産設備

連続プロセス工場(化学・食品・鉄鋼)では停電=大損失。溶解炉・反応槽の凍結防止、真空ポンプ・水冷装置の維持、非常用照明・排気ファンが対象。労働安全衛生法の観点でも作業者の安全退避に必要な照明・換気の維持が求められます。

自治体庁舎・避難所

災害対策基本法・地域防災計画で市町村庁舎は非常用電源必須。指定避難所(体育館・公民館等)にも順次整備が進んでおり、総務省消防庁の補助制度対象。72時間対応が推奨され、屋外タンク+定期給油契約が標準。近年はLPG発電機・太陽光+蓄電池のハイブリッド構成も採用されています。

データ通信・放送設備

放送法・電気通信事業法で放送局・通信事業者の重要設備は長時間停電対策が求められます。停波・通信断絶は社会インフラの機能停止に直結するため、72時間以上の稼働+定期給油契約の二重体制が業界標準。

よくある間違い・注意点

  • カタログ最大負荷で計算 ― 定格100%の連続運転は温度上昇・機械寿命の観点で非現実的。実運用は50-75%負荷で計算するのが実務標準。過負荷試算は稼働時間を過大評価します。
  • 燃料備蓄の消防法対応漏れ ― 軽油1,000L超で危険物取扱所指定となり、消防法上の許可・有資格者常駐・防油堤・消火設備が必要。設計段階で見落とすと後から追加コスト数百万円が発生します。
  • 週次・月次試運転を怠る ― 非常用発電機は月1回30分以上の試運転で始動性を維持しないと、いざという時に始動不能。消防法・電気事業法の点検基準にも規定されています。定期記録簿の作成必須。
  • 燃料の劣化を無視する ― 軽油は6-12ヶ月、ガソリンは3-6ヶ月で劣化開始。特にディーゼル燃料のスラッジ・水分混入は噴射ノズル詰まりの原因になります。年1-2回の燃料入替+劣化防止剤添加が推奨。
  • 指定数量倍数の合算忘れ ― 同一敷地内に複数の危険物タンクがある場合、指定数量倍数は合算で判断されます。給湯用A重油タンクと発電機用軽油タンクの合算で1倍を超えると全体が危険物取扱所指定になります。
  • 発電機容量と負荷起動突入電流のミスマッチ ― モーター・コンプレッサーの起動時は定格の5-7倍の突入電流が流れます。定格ぴったりの容量を選ぶと起動失敗。負荷起動係数を掛けて容量選定する必要があります。
  • 72時間連続稼働の潤滑油交換忘れ ― 長時間連続稼働ではエンジンオイル・冷却水の点検・補充が必要。48-72時間ごとの点検基準を設定し、備蓄オイルも用意しておくべきです。

関連する規格・法令

  • 消防法 ― 危険物指定数量(軽油1,000L・A重油2,000L・ガソリン200L)、危険物取扱所の許可・有資格者常駐・防油堤・消火設備の根拠法。
  • 消防法施行令第32条 ― 少量危険物の届出・保管基準(市町村火災予防条例で規定)。
  • 電気事業法 ― 自家用電気工作物の保安規程・非常用予備発電装置の点検義務。電気主任技術者の選任義務。
  • 建築基準法施行令 第129条の13の3 ― 建築物の非常用照明・排煙設備の予備電源要件。
  • 医療法施行規則 第16条 ― 病院の非常用予備電源設備の設置義務。
  • JEC 8003 ― 電気学会規格「非常用発電機」。試験方法・性能基準。
  • NEG-B 001 ― 日本内燃力発電設備協会規格。非常用ディーゼル発電装置の技術基準。
  • 労働安全衛生法 ― 停電時の作業者安全退避・非常用照明の根拠。
  • 災害対策基本法 ― 自治体庁舎・指定避難所の非常用電源整備の枠組み。
  • 内閣府 事業継続ガイドライン ― 72時間BCPの推奨基準。

参考文献・公的資料

非常用電源の設計・法令対応を進めるにあたっては、以下の公的機関・業界団体の資料を参照してください。

※本ページの計算結果は、公表資料に基づく実務目安の参考値です。実際の発電機容量選定・燃料タンク容量・危険物取扱所の許可申請にあたっては、電気主任技術者・危険物取扱者(乙4類以上)・消防設備士等の有資格者に事前確認し、所轄消防署・経済産業省保安監督部・建築確認機関の指導に従ってください。医療施設・データセンター等の重要施設は業界固有の要求水準(Tier分類等)も合わせて検討が必要です。

よくある質問(FAQ)

30kVA・軽油300Lタンクで何時間稼働?

75%負荷・力率0.8で実出力18kW、消費率0.25L/kWhで4.5L/h、稼働可能時間は約67時間(約2.8日)。50%負荷なら100時間、100%負荷なら50時間になります。

72時間BCP対応に必要な燃料量は?

30kVA・75%負荷なら約324L、100kVAなら1,080L、300kVAなら3,240L。稼働マージン20%を見込むと、それぞれ400L・1,300L・3,900L程度のタンクが目安です。

試運転の頻度は?

月1回30分以上が推奨。始動性の維持・燃料経路の閉塞防止に必要で、消防法・電気事業法の点検基準にも規定されています。定期記録簿の作成必須で、記録が保安検査の対象になります。

燃料はどのくらいで劣化する?

軽油は6-12ヶ月、A重油は12ヶ月、ガソリンは3-6ヶ月で劣化開始。長期備蓄では年1-2回の入替+劣化防止剤(スタビライザー)添加が推奨。特にディーゼル燃料のスラッジ・水分混入は噴射ノズル詰まりの原因になります。

軽油タンク何L超で危険物取扱所指定?

軽油は指定数量1,000Lで、1,000L以上のタンクは消防法の危険物取扱所(屋外タンク貯蔵所・一般取扱所)として許可・有資格者常駐・防油堤・消火設備が必要になります。600L(0.6倍)までなら少量危険物で市町村条例のみです。

ガソリン発電機は何L備蓄可能?

ガソリンは指定数量が200Lと厳しく、200L以上で危険物取扱所指定。40L(0.2倍)未満なら非規制、200L未満まで少量危険物です。長時間稼働・大容量には向かないため、非常用発電機はほぼ全て軽油ディーゼルが選ばれます。

LPGガス発電機の利点は?

LPGは液化石油ガス保安法の枠組みで、地震時のガス管遮断リスクが少なく、備蓄期間が1-2年と長い(劣化しない)のが利点。都市ガスと違い個別ボンベ供給のため、災害時BCPとしての利用が近年注目されています。

発電機容量の選定基準は?

負荷合計kW÷0.8(力率)で最低kVA、モーター起動時の突入電流(定格の5-7倍)を加味して起動時kVAを算定。両者の大きいほうを採用し、負荷率75%で連続運転できる余裕を持たせるのが標準。カタログkVAの1.3-1.5倍を見込むのが安全側です。

UPSと発電機はどう組み合わせる?

UPS(無停電電源)で瞬間遮断を防ぎ、発電機起動までの数十秒〜数分をカバー。データセンターTier III以上・医療施設ICUでは標準構成です。UPSは通常10-30分バックアップ+発電機72時間の二段構成が一般的。

点検の法定義務は?

消防法の防火対象物設備等点検(年1回)、電気事業法の自家用電気工作物保安規程による点検、建築基準法の防災設備定期報告(6ヶ月-3年ごと)が主。自家発電設備専門技術者による負荷試験(疑似負荷)も推奨されています。

燃料タンクの防油堤は必要?

指定数量1倍以上の屋外タンクには消防法で防油堤設置義務。タンク容量の110%以上の容量を持つコンクリートまたは鋼製の堤で、燃料流出時の拡散を防ぎます。少量危険物(0.2-1倍)でも市町村条例で類似要件が課されることがあります。

72時間超の連続稼働に必要な追加対応は?

エンジンオイル・冷却水の定期点検+補充、燃料タンクへの外部給油契約、発電機側の耐久試験(1000時間以上運転可能な業務用機を選定)、代替機の準備が必要。長期停電対応はタンクローリー配送契約が現実解になります。