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FENa(Na排泄分画)|急性腎障害(AKI)腎前性/腎性鑑別ツール

尿Na・血清Na・尿Cr・血清CrからFENa(Fractional Excretion of Sodium, Na排泄分画)を即算出する医療従事者向け無料電卓。KDIGO 2012 AKI診療ガイドライン・日本腎臓学会 AKI診療指針2016/2024準拠、FENa<1%=腎前性AKI(輸液反応性あり)、FENa 1-3%=中間、FENa>3%=腎性AKI(尿細管障害)という臨床解釈、利尿薬使用時の代替指標FEUrea(<35%で腎前性)、乏尿・非乏尿AKIの分類、造影剤腎症(CIN)・敗血症性AKI・心腎症候群(CRS)・肝腎症候群(HRS)の各病態におけるFENaの読み方、慢性腎不全(CKD)との鑑別、輸液戦略・カテコラミン・血液透析(RRT)の適応判断まで、救急科・ICU・腎臓内科・総合内科医・研修医向けに6000字級で徹底解説します。

最終更新:2026-07-30/監修:計算ツールズ編集部

FENa(Na排泄分画)ツール

FENaの計算式と単位

① 基本計算式

FENa(%) = (尿Na × 血清Cr) / (血清Na × 尿Cr) × 100

FENa(Fractional Excretion of Sodium, Na排泄分画)は「糸球体濾過されたNaのうち尿中に排泄される割合」を表す指標。健常人では0.5-1%程度、腎前性AKIで<1%、腎性AKIで>3%となり、AKI初期鑑別に用いられます。

② 各パラメータの単位

尿Na・血清NaはmEq/L(mmol/L)、尿Cr・血清Crはmg/dLで計測。分子と分母の単位が同じ組み合わせでキャンセルされ、無次元の%表示となります。SI単位系ではCrをμmol/Lに換算する必要があり、計算式に単位変換係数を加える必要があります。

③ 具体的計算例

尿Na 20mEq/L・血清Na 140mEq/L・尿Cr 80mg/dL・血清Cr 1.5mg/dLの場合、FENa=(20×1.5)/(140×80)×100=0.27%<1%なので腎前性AKIと評価。脱水・循環不全が原因で、輸液で改善見込みという臨床判断につながります。

④ 検体採取のタイミング

スポット尿(random urine)で検査可能、24時間蓄尿は不要。利尿薬投与前の検体で採取することが重要で、利尿薬投与後はFENaが不当に高値となり解釈できません。診断目的なら朝の初尿+同時の採血が定石です。

⑤ 検査結果の解釈フロー

①血清Cr上昇でAKI疑い→②尿検査・血液検査→③FENa計算→④<1%なら腎前性AKI→輸液反応性を確認、⑤>3%なら腎性AKI→原因検索(尿細管障害・急性尿細管壊死・薬剤性腎障害)、⑥1-3%は中間で追加検査。KDIGO病期分類との併用が現代的アプローチです。

FENa値と鑑別診断早見表

FENa値判定主な原因治療方針
<1%腎前性AKI脱水・循環不全・出血・敗血症初期輸液・原因治療
1-3%中間・要精査急性期の移行・部分的腎性再評価・原因検索
>3%腎性AKIATN・薬剤性腎障害・血管障害原因除去・支持療法
<1%(慢性腎不全)Na保持適応安定CKD維持透析・食事療法
正常値0.5-1%健常成人特別な介入不要

※FENa単独での診断は不可能。病歴・身体所見・尿沈渣・BUN/Cr比・尿浸透圧を統合的に評価。利尿薬使用時はFEUrea(<35%腎前性)で代替判定。

FENa(Na排泄分画)の詳しい解説

① AKI(急性腎障害)の定義

AKI(Acute Kidney Injury)は「48時間以内の血清Cr値0.3mg/dL以上の上昇、または7日以内の1.5倍以上の上昇、または6時間以上の尿量0.5mL/kg/h未満」と定義(KDIGO 2012)。旧称ARF(Acute Renal Failure)から病態理解が進み、早期認識・早期介入の重要性が強調されるようになりました。

② AKIの3分類

AKIは「腎前性(pre-renal)・腎性(intrinsic renal)・腎後性(post-renal)」に大別されます。腎前性は循環血液量不足・低血圧、腎性は糸球体・尿細管・間質の障害、腎後性は尿路閉塞。FENaは主に腎前性と腎性の鑑別に有用で、腎後性は超音波検査・CTでの尿路閉塞確認が優先です。

③ FENaの生理学的背景

健常な腎臓は糸球体濾過で1日約25,000mmol/日のNaを濾過し、そのうち99%以上を尿細管で再吸収して尿中排泄は約1%程度。腎前性AKI(脱水・循環不全)ではRAA系活性化+ADH分泌でNa再吸収が亢進し、FENa<1%となります。逆に腎性AKIで尿細管が障害されると再吸収能低下でFENa>3%と上昇。

④ FENa単独では診断不可

FENaは有力な参考指標ですが単独診断は不可能病歴(下痢・嘔吐・出血・薬剤使用)・身体所見(皮膚ツルゴール・粘膜乾燥・血圧)・尿沈渣(細胞・円柱)・BUN/Cr比・尿浸透圧・尿量パターンを統合的に評価。特に敗血症性AKIでは初期に腎前性パターン→数日で腎性パターンへ移行するため経時的評価が必要です。

⑤ 感度・特異度の限界

FENa<1%による腎前性AKI診断の感度は約65-70%、特異度は約80-85%と報告されていますが、造影剤腎症・横紋筋融解症・敗血症初期・肝腎症候群ではFENa<1%となる腎性AKIも存在。逆に利尿薬・慢性腎不全・重炭酸尿症ではFENa>3%となる腎前性AKIもあり、限界を理解した上での使用が重要です。

病態別のFENa解釈

脱水・出血性腎前性AKI

典型的な腎前性AKIパターン。FENa<1%(多くは<0.5%)、尿浸透圧>500mOsm/kg、BUN/Cr比>20。輸液(生食・リンゲル液)で血清Cr値急速改善が特徴。原因(下痢・嘔吐・出血)への対処併用。

敗血症性AKI

初期は腎前性パターンFENa<1%だが、数日で腎性AKIへ移行。ICU入院の30-40%で発症、多臓器不全の一環。早期抗菌薬+輸液+昇圧剤の集中治療が必要、腎機能保護に留意。

造影剤腎症(CIN)

造影剤投与後48-72時間で発症する腎性AKI。FENa<1%となることが多く典型的腎性パターンと異なる。糸球体前細動脈収縮+尿細管毒性の複合機序。予防的輸液(NaHCO3)+N-アセチルシステインで発症率減。

急性尿細管壊死(ATN)

典型的な腎性AKI、FENa>3%(多くは>5%)、尿沈渣に泥状円柱・尿細管上皮細胞。虚血性・毒性(アミノグリコシド・シスプラチン)・横紋筋融解症など多様な原因。支持療法主体、時に血液透析必要。

心腎症候群(CRS)

心不全に伴う腎機能低下、FENa<1%が典型的だが利尿薬使用時は解釈困難。RAA系亢進+腎うっ血機序、心不全治療優先+利尿薬使用+腎機能モニタリング。HFrEFではACEI/ARB/SGLT2阻害薬の心腎両面効果を活用。

肝腎症候群(HRS)

肝硬変末期の腎障害、FENa<1%(多くは<0.5%)と極度低値。腎前性AKI類似だが輸液無効。血管作動薬(テルリプレシン・ノルアドレナリン)+アルブミン、根本治療は肝移植のみ。

FEUrea等の代替指標

① FEUrea(尿素排泄分画)

FEUrea(%) = (尿Urea × 血清Cr) / (血清Urea × 尿Cr) × 100

利尿薬使用時のFENaは信頼性なしのため、FEUreaが代替指標として推奨されます。FEUrea<35%が腎前性AKIの判定基準。尿素は主に近位尿細管で再吸収され、遠位でのNa再吸収に依存しない利尿薬(ループ・サイアザイド)の影響を受けにくい特徴。

② BUN/Cr比

血清BUN(尿素窒素)とCrの比率。BUN/Cr比>20は腎前性AKI示唆(健常人は10-15)。腎前性では尿素再吸収が亢進しBUN上昇、Crは比較的一定で比率が上がります。ただし消化管出血・高タンパク食・ステロイド薬でも上昇するため単独判断は不可。

③ 尿浸透圧・比重

尿浸透圧>500mOsm/kg・比重>1.020は腎前性AKI示唆。健常腎の濃縮能を反映、腎前性ではADH分泌亢進で濃縮尿となります。腎性AKIでは尿細管障害で濃縮能低下、<400mOsm/kg・比重<1.010の等張尿・希釈尿となります。

④ 尿沈渣所見

尿沈渣は「AKIの病態解明の窓」。腎前性AKI=硝子円柱のみ・少数の細胞、腎性AKI(ATN)=顆粒円柱・泥状円柱・尿細管上皮細胞、糸球体腎炎=赤血球円柱・変形赤血球、間質性腎炎=白血球円柱・好酸球。FENaと合わせた総合判断が精密診断です。

⑤ 尿バイオマーカー(NGAL等)

近年注目されている尿バイオマーカーとしてNGAL・KIM-1・IL-18・L-FABPが挙げられます。従来のFENa・尿沈渣より早期にAKI検出可能で、感度・特異度も高いと期待されています。ただし保険適応・実用化にはまだ課題が残り、大規模施設での研究用途が中心の段階です。

業界・現場での使い方

救急科

救急外来でのAKI初期鑑別。脱水・出血・敗血症の鑑別+輸液戦略立案。ショックの分類(hypovolemic/distributive/cardiogenic)と併用、初期数時間の対応方針決定に。

集中治療室(ICU)

ICU入室患者のAKI早期発見・重症化予防。敗血症性AKI・多臓器不全・術後AKIの初期評価、輸液・昇圧剤・血液透析(CRRT)の適応判断に活用。

腎臓内科

急性・慢性腎障害の詳細評価。CKD急性増悪の原因検索、腎生検の適応判断、免疫抑制療法の適応判断まで。専門的総合診断の一要素として。

循環器内科

心腎症候群(CRS)・造影剤腎症(CIN)の予防・診断・治療。心不全治療との腎機能保護のバランス、SGLT2阻害薬・エプレレノン等の心腎両面効果薬選定に。

消化器内科・肝臓内科

肝硬変末期の肝腎症候群(HRS)の診断・治療。テルリプレシン+アルブミン投与、肝移植適応判断、腹水管理との連動。予後予測にも重要指標。

総合内科・研修医教育

AKI鑑別診断の基本ツール。病態生理の理解・臨床判断力の育成に、FENa計算とBUN/Cr比・尿沈渣・尿浸透圧を統合した診断アプローチの教育に活用。

治療戦略へのFENa活用

① 腎前性AKIの輸液戦略

FENa<1%の腎前性AKIでは「輸液反応性の評価」が最重要。晶質液(生食・リンゲル液・酢酸リンゲル液)500-1000mLをボーラス→血圧・尿量・血清Cr変化を確認。過剰輸液は肺水腫・心不全増悪・輸液関連腎障害のリスクなので、フォロー体制の下での慎重な輸液が必要。

② 腎性AKIの支持療法

FENa>3%の腎性AKIでは「原因除去+腎機能保護」が基本。腎毒性薬剤中止(NSAIDs・アミノグリコシド)、造影剤回避、血糖・血圧の適正管理、電解質バランス維持。重症例では血液透析(RRT: Renal Replacement Therapy)の適応判断。

③ 血液透析(RRT)の適応

KDIGO 2012ガイドラインでは「生命を脅かす電解質異常・輸液抵抗性の体液過剰・酸塩基平衡異常・尿毒症症状」が絶対適応。相対適応の判断は施設・患者背景で分かれます。持続的血液透析(CRRT)は循環動態不安定患者に、間欠的血液透析(IHD)は安定患者に選択。

④ 薬剤投与量調整

AKI患者では腎排泄薬の投与量調整が必須。抗菌薬(バンコマイシン・アミノグリコシド系)・鎮痛薬・降圧薬など、腎機能に応じた投与量・投与間隔の変更が必要。eGFR<30 mL/min/1.73m²で用量減量、透析中は透析効率も加味した投与設計。

⑤ 経過観察と予後予測

AKI後の「CKD進展・末期腎不全リスク」は近年強く認識されています。AKI発症後3ヶ月時点で腎機能未回復の場合、CKD Stage 3以上への進展率が20-30%と高い。AKI後の腎機能フォロー・生活指導・血圧管理が長期予後改善のポイントとなります。

よくある間違い・注意点

  • 利尿薬使用時のFENa — FENaは無効。FEUrea(<35%腎前性)で代替評価が必須。ループ利尿薬・サイアザイド・浸透圧利尿薬すべて影響。
  • 慢性腎不全患者への適用 — FENaは急性期AKI評価に限定。CKD安定期でもFENa上昇があり、AKIサインと誤解しない。
  • FENa<1%=腎前性と決めつけ造影剤腎症・横紋筋融解症・敗血症初期・肝腎症候群もFENa<1%となり、腎性AKIでも低値パターンあり。病歴確認必須。
  • FENa>3%=腎性と決めつけ — 慢性腎不全・重炭酸尿症・重度Na制限食でFENa>3%となる腎前性AKIも。単独判断せず総合評価。
  • 単独指標での診断確定病歴・身体所見・尿沈渣・BUN/Cr比・尿浸透圧との統合評価が必須。FENaは有力な参考指標であり単独診断不可。
  • 経時変化を追跡しない — 敗血症性AKIは初期腎前性→数日で腎性へ移行。12-24時間ごとの再評価で病態変化を捉える。
  • 薬剤性腎障害の見落とし — NSAIDs・アミノグリコシド・ACEI/ARB・造影剤・PPI等の腎毒性薬剤使用歴を必ず確認。中止で改善するAKIも多い。
  • 過剰輸液のリスク軽視 — 腎前性AKIでも高齢・心不全既往には慎重に。肺水腫・心不全増悪・輸液関連腎障害のリスク大。中心静脈圧・胸部X線でモニタリング。
  • 血液透析導入の遅れ — 適応の絶対要件を満たす場合の速やかな判断が予後を左右。腎臓内科・集中治療医との早期連携。
  • AKI後のフォロー不足 — AKI後はCKD進展リスク20-30%と高い。腎機能・血圧・尿蛋白の長期フォロー、生活指導が長期予後改善に。

臨床事例で学ぶFENa評価

ケース1: 70歳女性 下痢による脱水AKI

3日間の下痢で救急受診、血圧90/60・脈拍110・皮膚ツルゴール低下。血清Cr 2.1(前回0.7)、尿Na 15・尿Cr 90・血清Na 138。FENa=(15×2.1)/(138×90)×100=0.25%腎前性AKIと判定。生食1000mLボーラス→尿量増加→2日後Cr 1.0まで改善。原因治療(止痢薬・電解質補正)併用。

ケース2: 60歳男性 敗血症性AKI

肺炎+敗血症でICU入室、血圧80/40・SOFA 6点。血清Cr 1.8、尿Na 25・尿Cr 60・血清Na 135。FENa=0.55%(初期)で腎前性パターン。抗菌薬+輸液+ノルアドレナリン開始。3日後にFENa 4.2%(腎性へ移行)、尿沈渣に泥状円柱出現、ATNへ進展。CRRT導入検討。

ケース3: 55歳男性 造影剤腎症(CIN)

冠動脈CT後72時間で血清Cr 2.5(前回1.0)。尿Na 18・尿Cr 70・血清Na 140。FENa=0.64%と腎前性パターンだが、病歴(造影剤)からCIN(造影剤腎症)と診断。予防的NaHCO3輸液を実施すべき事例、以降のCT検査で予防プロトコル導入。

ケース4: 80歳女性 心不全増悪+利尿薬併用

慢性心不全急性増悪で入院、フロセミド20mg 3日間投与中。血清Cr 1.8(前回1.2)、尿Na 65・尿Cr 40・血清Na 130、FENa=2.24%で解釈困難。利尿薬使用中のためFEUrea算定、FEUrea 22%(腎前性パターン)と判明。心腎症候群として利尿薬減量+循環管理。

ケース5: 45歳男性 肝硬変+腹水+腎機能低下

C型肝硬変・大量腹水、血清Cr 2.0(前回1.2)、尿Na 3・尿Cr 100・血清Na 128。FENa=0.16%と極度低値、肝腎症候群(HRS Type 1)と診断。テルリプレシン+アルブミン投与、肝移植適応判断へ。予後不良で緊急対応必要。

AKI診療の実践アルゴリズム

① AKI疑いの初期評価(0-6時間)

  • KDIGO基準でAKI診断(血清Cr上昇 or 尿量低下)
  • 病歴聴取(発症時期・脱水症状・薬剤・造影剤・出血)
  • 身体所見(バイタル・皮膚ツルゴール・粘膜・浮腫)
  • 血液・尿検査(BUN・Cr・電解質・尿検査・尿沈渣)
  • FENa/FEUrea計算+尿浸透圧測定
  • 腎超音波検査(腎後性AKI除外)

② 病態評価と初期治療(6-24時間)

  • 腎前性AKI→輸液反応性評価(晶質液500-1000mLボーラス)
  • 腎性AKI→原因検索+腎毒性薬剤中止
  • 腎後性AKI→尿路閉塞解除(尿道カテーテル・尿管ステント)
  • 電解質異常補正(高K・アシドーシス)
  • 薬剤投与量調整(eGFRベース)

③ 経過観察と再評価(24-72時間)

  • 血清Cr・尿量の推移観察
  • FENa・FEUreaの再評価(病態変化を捉える)
  • 血液透析(RRT)適応の絶対要件チェック
  • 腎臓内科・集中治療医との連携判断
  • 予後予測とICU入室要否判断

④ 退院後フォローアップ

  • 3ヶ月時点での腎機能再評価
  • CKD進展リスク評価(尿蛋白・血圧・糖尿病)
  • 長期薬剤管理(降圧薬・スタチン・SGLT2阻害薬)
  • 生活指導(塩分制限・水分管理・NSAIDs回避)
  • 腎臓専門医への継続的紹介

関連する規格・法規

  • KDIGO 2012 AKI診療ガイドライン
  • KDIGO 2024 AKI診療ガイドライン改訂版
  • 日本腎臓学会 AKI診療指針2016/2024
  • 日本集中治療医学会 AKI診療ガイドライン
  • ADQI(Acute Dialysis Quality Initiative) コンセンサス
  • KDIGO CKD診療ガイドライン(慢性腎不全鑑別)
  • ACCM/SCCM 敗血症性ショック診療ガイドライン
  • ISHLT 心腎症候群診療コンセンサス
  • ICA(International Club of Ascites) 肝腎症候群診断基準
  • 医療法・医師法・臨床検査技師法
  • 日本臨床検査医学会 尿検査ガイドライン
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の診断・治療は最新の医学的知見および所轄官庁の判断に従ってください。患者個別の判断は担当医師が病歴・身体所見・検査所見を統合的に評価します。緊急時は必ず救急外来・専門医に相談を。

参考文献・公的資料

  • KDIGO Clinical Practice Guideline for Acute Kidney Injury (2012)
  • 日本腎臓学会 AKI診療指針2016/2024
  • 日本集中治療医学会 集中治療医学ガイドライン
  • 厚生労働省 難病情報センター 腎疾患情報
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット 腎機能情報
  • 日本救急医学会 救急診療ガイドライン
  • 日本消化器病学会 肝疾患診療ガイドライン
  • Espinel CH. The FENa test. JAMA 1976 (原著)
  • Bagshaw SM et al. Urinary biochemistry in AKI (2007)
  • Perazella MA. Urine microscopy in AKI (2015)
  • Mehta RL et al. AKI definition (KDIGO 2012)
  • MSD マニュアル プロフェッショナル版 腎疾患
  • UpToDate Acute Kidney Injury Section

よくある質問(FAQ)

FENa 0.5%の意味は?

腎前性AKIと判定。脱水・出血・循環不全等が原因、輸液で改善見込み。原因治療(下痢・嘔吐・出血の対処)と並行して晶質液500-1000mLを補液、血清Cr推移をフォロー。

利尿薬使用時のFENaは?

FENaは信頼性なしFEUrea(<35%が腎前性)で代替評価。ループ利尿薬・サイアザイド・浸透圧利尿薬すべて影響します。診断目的なら利尿薬中止24-48時間後の再検査。

敗血症性AKIのFENaは?

初期は<1%(腎前性パターン)だが、数日で>3%(腎性パターン)へ移行する典型経過。抗菌薬+輸液+昇圧剤の早期集中治療、腎機能保護に留意した薬剤選択が重要です。

造影剤腎症のFENaは?

<1%(腎前性パターン)となることが多い典型的でない腎性AKI。糸球体前細動脈収縮+尿細管毒性の複合機序。予防は事前の輸液(NaHCO3)+造影剤量最小化+腎機能フォロー。

FENaと尿沈渣どちらが優先?

両者を統合的に評価。尿沈渣で顆粒円柱・泥状円柱・尿細管上皮あればFENa値によらずATN疑い、FENa低値でも尿沈渣異常あれば腎性AKI疑いも。

血液透析の適応は?

KDIGO基準で「生命脅かす電解質異常・輸液抵抗性の体液過剰・酸塩基平衡異常・尿毒症症状」が絶対適応。相対適応は施設判断、腎臓内科・集中治療医との早期連携。

AKI後の予後は?

AKI発症後3ヶ月時点で腎機能未回復ならCKD Stage 3以上への進展率20-30%と高い。血圧管理・尿蛋白・eGFRの長期フォローと生活指導が長期予後改善のポイント。

新しい腎バイオマーカーは?

NGAL・KIM-1・IL-18・L-FABPが早期AKI検出マーカーとして注目。FENaより早期に検出可能、大規模研究で有用性報告あり。保険適応・実用化は施設限定的、今後の普及に期待。