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EBITDA 企業価値 M&A 決算分析 EV倍率 IFRS

EBITDA計算

営業利益・減価償却・のれん償却からEBITDAを即算出。M&A評価・企業価値算定・国際比較の標準指標であり、EV/EBITDA倍率や業種別マージンとの照合で「本業のキャッシュ創出力」を1画面で可視化します。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部(財務分析・M&A実務)

EBITDA計算ツール

EBITDAの定義と算出式

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費

EBITDAは "Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization" の略で、日本語では「金利・税金・減価償却前利益」と訳されます。実務上は営業利益に減価償却費とのれん償却費を戻した値として計算されるのが最も一般的で、営業100+減価償却20+のれん5=125億円となります。この指標が重要な理由は、①減価償却は非現金支出であるため実際のキャッシュ創出力を過小評価する要因になる、②のれん償却も同様に非現金支出、③国により減価償却の会計基準が異なるため国際比較で誤差が生じる、という3点です。EBITDAを用いれば、これらの会計慣行・税制差を排除した「本業のキャッシュ稼得力」を横並びで比較でき、EV/EBITDA倍率という企業価値評価の代表指標につながります。EV/EBITDAはPERよりも税制・資本構成の影響を受けにくく、M&A実務で最も広く用いられる価値評価尺度です。

業種別 EBITDAマージン参考値

業種EBITDAマージンEV/EBITDA倍率
ソフトウェア・SaaS25-40%15-30倍
製薬・医療機器25-35%12-20倍
通信キャリア30-40%6-10倍
不動産・REIT50-70%15-25倍
製造業(自動車・電機)10-18%5-10倍
小売・EC5-15%8-15倍
建設・ゼネコン6-12%5-8倍
飲食・サービス10-20%6-12倍

数値は目安。景気サイクル・企業規模・成長ステージにより大きく変動します。

EBITDA計算の詳しい解説

EBITDAは「税制・会計基準・資本構成の違いを排した企業本業の収益力比較指標」として1980年代のLBO(レバレッジド・バイアウト)ブームで急速に普及しました。買収資金の返済原資となるフリーキャッシュフロー(FCF)の代替指標として、投資銀行・PEファンドが多用するようになった経緯があります。特にEV/EBITDA倍率は、企業価値(EV=時価総額+ネット有利子負債)をEBITDAで割った値で、業種・成長率が近い企業間の相対比較に極めて有用です。日本基準ではのれんを最長20年で規則的償却するのに対し、IFRSと米国基準ではのれん非償却+減損テストのため、日本企業と外国企業のEBITDAを直接比較する際は調整が必要です。また、EBITDAには「投資家を欺く指標」との批判も存在します(ウォーレン・バフェット氏が有名)。設備投資(CapEx)や法人税は現実に企業から流出する現金であり、EBITDAだけで「儲かっている」と判断すると設備集約型産業(鉄鋼・化学・電力)で実態を見誤ります。実務ではEBITDAとフリーキャッシュフローを併用し、EBITDA-CapEx調整後EBITDA(一時費用・株式報酬費用等を除外)で補正するのが常道です。

業界・現場での使い方

M&Aアドバイザー・投資銀行

買収価格の妥当性検証、EV/EBITDA倍率による類似取引比較(Precedent Transactions)、DCF法との整合性チェック、LBOモデル構築。

PEファンド・ベンチャーキャピタル

投資対象企業の収益力評価、投資後の業績改善(バリューアップ)モニタリング、Exit時の売却価格算定、LBOローン返済能力の検証。

経営企画・CFO

年度予算・中期経営計画の主要KPI、事業部別収益性評価、株主向けIR資料の説明指標、格付機関との議論資料。

アナリスト・機関投資家

セクター内銘柄選定、業績予想モデル構築、目標株価算定、コンセンサス予想との乖離分析、日米欧クロスボーダー比較。

よくある間違い・注意点

  • EBITDA=利益と誤解 — EBITDAはあくまで「支払前」の概念。設備投資・法人税・支払利息は現実にキャッシュが流出するため、EBITDAが黒字でもFCFが赤字の企業は多数存在。
  • のれん除外の扱い差 — 日本基準は償却あり(EBITDA計算で戻す)、IFRS/米国基準は非償却(そもそも償却費なし)。国際比較時に定義を統一しないと誤った結論に。
  • 減損損失・一時費用の含有 — GAAP営業利益にはリストラ費用・減損損失が含まれるため、これらを除外した調整後EBITDAで比較するのが実務標準。
  • 設備集約型産業でのCapEx無視 — 電力・鉄鋼・化学など巨額CapExが必要な業種でEBITDAだけを見ると実態を過大評価。EBITDA-CapExを併用。
  • 成長企業のストックオプション費用 — 米テック企業では株式報酬(SBC)が営業利益に含まれるがキャッシュ流出はない。SBC調整後EBITDAが使われることが多い。
  • EV/EBITDA倍率の業種横断比較 — 業種によって適正倍率が大きく異なる。SaaSの25倍と製造業の7倍を単純比較して割高・割安を判断すると誤る。

関連する規格・法規

  • 企業会計基準第21号(企業結合に関する会計基準)
  • 企業会計基準委員会(ASBJ) 実務対応報告
  • IFRS第3号「企業結合」・IAS第36号「資産の減損」
  • 米国会計基準(ASC 350: Intangibles-Goodwill and Other)
  • 金融商品取引法・有価証券報告書開示府令
  • SEC Regulation G(Non-GAAP財務指標の開示ルール)

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際のM&A評価・IR開示・投資判断は各社の会計方針、監査法人の判断、最新の会計基準改訂に従ってください。

よくある質問(FAQ)

営業100+減価償却20+のれん5のEBITDAは?

125億円です。売上高が仮に800億円ならEBITDAマージン15.6%となり、製造業としては標準的、SaaS業界としては低水準と評価されます。

EV/EBITDA倍率の目安は?

業種により大きく異なります。成熟した製造業で5-10倍、成長中のSaaS/テックで15-30倍、公益的な通信キャリアで6-10倍が目安です。買収プレミアムを含むM&A取引では通常より20-40%高い倍率になります。

EBITDAとFCFの違いは?

EBITDAは減価償却・のれんを戻した営業段階の利益、FCFはさらにCapEx・運転資本増減・法人税を差し引いた「株主・債権者に配分可能なキャッシュ」です。企業価値評価にはFCFがより正確ですが、EBITDAは簡便性と国際比較性で優ります。

調整後EBITDAとは?

営業利益に減価償却・のれんに加え、リストラ費用・M&A関連費用・株式報酬費用・為替差損益等の一時的・非現金項目を調整した値です。継続的な収益力を示すためにIR資料で多用されます。

IFRSと日本基準でEBITDA計算は違う?

基本的な考え方は同じですが、IFRSではのれん非償却のためEBITDA計算にのれん償却を戻す項目自体がありません。研究開発費の資産計上、リース会計(IFRS16全面オンBS化)でも差異が生じます。

EBITDAマージンの業界標準は?

SaaS/ソフトウェア25-40%、製薬25-35%、通信30-40%、不動産50-70%、製造業10-18%、小売5-15%が目安。景気サイクル・成長ステージで大きく変動するため、同業他社との相対比較が重要です。

DCF法とEV/EBITDAはどちらが正確?

理論的にはDCF法(将来キャッシュフロー割引)が正確ですが、割引率・成長率など前提の影響を大きく受けます。実務では両者を併用し、DCFで内在価値、EV/EBITDAで市場評価との整合性を確認するのが標準です。

本ページのまとめ

  • EBITDA = 営業利益 + 減価償却費 + のれん償却費。非現金支出を戻した本業のキャッシュ力。
  • EV/EBITDA倍率は業種で大差。製造業5-10倍、SaaS/テック15-30倍、通信6-10倍。
  • 1980年代のLBOブームで普及、投資銀行・PEファンドが標準指標として使用。
  • IFRS/米国基準はのれん非償却のため計算に戻し項目なし。国際比較時は要注意。
  • 設備集約型産業(電力・鉄鋼・化学)ではEBITDA-CapExで補正、単独指標は過大評価に。
  • 調整後EBITDAはリストラ・M&A・株式報酬等一時項目を除外した継続収益力。