みなし労働時間
事業場外みなし労働時間制における、労働時間の扱いと割増賃金を試算します。
みなし労働時間ツール
計算式と考え方
事業場外みなし労働時間制では、外勤の時間を実際の労働時間にかかわらず「みなし時間」として扱います。ただし事業場内で勤務した時間は実労働時間として加算されます。みなし8時間×20日=160時間に内勤20時間を加えると180時間です。法定労働時間(週40時間換算で月160時間)を超える20時間が時間外労働となり、時給2,000円なら25%の割増分として1万円が発生します。深夜(22時〜5時)と休日の勤務には、みなし労働時間制であっても別途割増賃金が必要です。
みなし労働時間制の適用条件
| 事業場外での業務 | 労働時間の全部または一部を事業場外で従事していること |
|---|---|
| 労働時間の算定が困難 | 使用者の具体的な指揮監督が及ばず、時間を把握できないこと |
| 適用されない場合 | 上司が同行する、携帯等で随時指示を受ける、訪問先と時間が指定されている |
| 深夜・休日 | みなし制でも割増賃金の支払いが必要 |
みなし労働時間の詳しい解説
事業場外みなし労働時間制は、外勤業務のように使用者が労働時間を把握しにくい場合に、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度です。営業職に適用されることが多い一方、適用の要件は厳格で、実際には要件を満たさないまま運用されている例が少なくありません。要件の核心は「労働時間を算定しがたいとき」という点です。携帯電話で随時指示を受けている、訪問先と帰社時刻が指定されている、上司が同行しているといった状況では、労働時間の把握が可能とみなされ、この制度は適用できません。判例でも、業務の内容や指示の方法から労働時間の算定が可能と判断され、みなし制の適用が否定された事例があります。スマートフォンやGPSにより所在と行動を把握できる環境が一般化したことで、適用可能な場面はさらに狭まっているという指摘もあります。名称の似た裁量労働制とは趣旨が異なります。裁量労働制は業務の遂行方法を労働者の裁量に委ねることを前提とし、対象となる業務が法令で限定されています。一方こちらは場所の制約により時間を把握できないことが根拠であり、業務の種類による限定はありません。どちらに当たるかを取り違えると要件も手続きも異なるため、適用の可否から見直すことになります。適用できる場合でも、みなし時間の設定には根拠が必要です。実態として1日10時間の労働が常態化しているのに8時間とみなすことは認められず、「通常必要とされる時間」を設定しなければなりません。実態と乖離した設定は、未払い賃金の問題につながります。手続き面では就業規則への規定が前提となり、みなし時間が法定労働時間を超える場合は労使協定の締結と届出が必要になります。重要なのは、みなし制であっても深夜勤務と休日勤務の割増賃金は別途必要という点です。またすべての労働者について労働時間の状況を把握する義務があり、みなし制の対象者も例外ではありません。適用の可否は個別の事情で判断が分かれるため、社会保険労務士などの専門家への確認が望まれます。運用にあたっては、直行直帰の日の業務報告や事業場内での滞在時間の記録など、実態を示す資料を残しておくことが、後に適用の妥当性が問われた際の根拠になります。記録がないまま長期間運用していると、争いになったときに使用者側が説明できず、実労働時間で計算し直されるおそれがあります。
業界・現場での使い方
労務管理
みなし労働時間制における割増賃金を確認します。
制度の適用検討
要件を満たすかを確認し、適用の可否を判断します。
労働条件の確認
自分の勤務実態が制度に合っているかを検討します。
よくある間違い・注意点
- 営業職なら適用できると考える — 労働時間の算定が困難であることが要件です。随時指示を受けているなら適用できません。
- 深夜・休日の割増を支払わない — みなし制でも別途必要です。労働時間の算定方法の制度であり、規制の免除ではありません。
- 実態と乖離したみなし時間を設定する — 通常必要とされる時間を設定する必要があります。未払い賃金の問題につながります。
関連する規格・法規
- 労働基準法
- 厚労省
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
どんな場合に適用できますか?
事業場外で業務に従事し、使用者の指揮監督が及ばず労働時間を算定しがたい場合に限られます。
携帯で連絡を取っていても適用できますか?
随時具体的な指示を受けている場合は算定可能とみなされ、適用できません。
深夜手当は必要ですか?
必要です。みなし制であっても深夜勤務と休日勤務の割増賃金は別途支払われます。