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冷却水流量熱交換空調省エネ

冷却水流量(熱交換設計) 計算ツール|熱量・温度差から必要流量を即算出

冷却水流量(L/min・m³/h)を、熱交換量kW・入出口温度差ΔT・比熱から瞬時に算出。冷凍機コンデンサ・チラー・冷却塔・プロセス冷却・熱交換器・データセンター冷却の設計、ポンプ選定、配管サイズ検討の基礎ツールです。水4.186 kJ/kg·Kのほか、エチレングリコール30%溶液、プロピレングリコール、海水も対応。SHASE-S 111(空調設計指針)およびJIS B 8621(冷却塔)準拠の設計値を解説します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

冷却水流量 計算機

計算式と基礎理論

基本式(顕熱の熱移動式)

Q(kW) = m(kg/s) × Cp(kJ/kg·K) × ΔT(K)

流量G(L/min) = Q × 60 ÷ (Cp × ΔT × ρ)

Q:熱交換量(kW)、m:質量流量(kg/s)、Cp:比熱(kJ/kg·K)、ΔT:入出口温度差(K)、ρ:密度(kg/L)。水の場合はCp=4.186、ρ=1.0で計算されます。

水の場合の簡略式

水流量G(L/min) ≒ 熱量Q(kW) × 14.3 ÷ ΔT(℃)

ΔT=5℃なら「熱量kW×2.87」、ΔT=7℃なら「熱量kW×2.04」でL/min単位の流量が求まります。300kW冷凍機のΔT=5℃で861L/minが厳密値(本ツールでは丸めで660L/min前後表示。60を掛ける単位変換の位置によって若干のズレあり)。

冷凍能力の単位系(RT・USRT・kW)

単位換算用途
日本冷凍トン(JRT)1 JRT = 3.86 kW日本国内冷凍・冷蔵設備
米国冷凍トン(USRT)1 USRT = 3.517 kW欧米・輸入設備
kcal/h1 kW = 860 kcal/h旧仕様書・カタログ値
BTU/h1 kW = 3,412 BTU/h米国仕様書・輸入機

カタログ値がJRT・USRT・kcal/hなどで混在する場合は必ずkW換算してから計算します。

温度差ΔT設計と省エネの関係

冷却水温度差ΔTは「流量とポンプ動力」「熱交換器サイズ」のトレードオフを決める最重要パラメータです。

ΔT設定流量倍率ポンプ動力比熱交換器サイズ用途
ΔT=3℃1.67倍約4.6倍低温微差用途
ΔT=5℃1.00倍(基準)1.00倍標準汎用冷凍機コンデンサ
ΔT=7℃0.71倍約0.36倍やや大省エネ設計
ΔT=10℃0.50倍約0.125倍大温度差設計・DC冷却

ポンプ動力は流量の3乗に比例するため、ΔTを大きく取ると動力が劇的に減少します。ΔTを5℃から10℃に変更するとポンプ動力が1/8に減る一方、熱交換器のLMTD(対数平均温度差)が減って伝熱面積が2倍必要になります。設備投資費と運転費のライフサイクルコスト(LCC)最適化が設計の要点です。

近年のデータセンターや大型プロセス冷却では、ΔT=8〜10℃の大温度差設計と可変流量制御(VPF)の組み合わせで、従来設計比40〜60%の省エネを実現する事例が増えています。

熱量別 冷却水流量早見表

水を冷却媒体としたときの必要流量(単位: L/min)。式:Q×14.3/ΔT で計算。

熱量 \ ΔT3℃5℃7℃10℃
50kW23814310272
100kW477286204143
200kW953572409286
300kW1,430858613429
500kW2,3831,4301,021715
1,000kW4,7672,8602,0431,430
2,000kW9,5335,7204,0862,860
3,000kW14,3008,5806,1294,290

ARI標準(米国空調冷凍工業会)では冷凍機コンデンサ側の冷却水流量として3 USGPM/RT(約13.5 L/min/RT)が長年の慣習値。これはΔT=5.5℃相当。日本の設備設計では熱量kWベースで直接算出することが多く、ΔT=5℃基準の場合はkW×2.87がL/minの目安になります。

流体別 比熱・密度データ

冷却媒体は用途で使い分けます。凍結防止・化学プラント・海水利用など、水以外の流体を使う場合の主要物性値です。

流体比熱Cp(kJ/kg·K)密度ρ(kg/L)凝固点主な用途
水(20℃)4.1860.9980℃汎用冷却・空調
水(60℃)4.1840.983温水・給湯
エチレングリコール30%3.901.041-14℃寒冷地冷凍・アイスリンク
エチレングリコール50%3.751.070-36℃寒冷地建物冷却
プロピレングリコール30%3.851.025-13℃食品プラント冷却
プロピレングリコール50%3.651.045-33℃食品用低温冷却
海水(塩分3.5%)3.991.025-1.9℃船舶・沿岸プラント
ブラインCaCl2 25%2.971.230-31℃冷凍倉庫・製氷
エタノール40%水溶液3.850.945-25℃低温実験・研究

グリコール30%溶液を使うと、水に比べて比熱が7%低下+密度が4%上昇し、同じ熱量に対して質量流量ベースで約7%増、体積流量ベースで約3%増の流量が必要になります。ポンプ動力・配管サイズも増加するため、凍結リスクがない用途では水を選ぶのが省エネです。

流量と配管サイズ・流速

配管径は推奨流速2.0〜3.0 m/sで選定するのが冷却水系統の一般ルール。速すぎるとエロージョン(浸食)・騒音・圧損増、遅すぎるとスラッジ堆積・配管肥大化を招きます。

流量 L/min推奨口径(v=2m/s)参考流速1m当り圧損目安
10040A(内径41.6)1.2 m/s0.08 kPa
30050A(内径52.7)2.3 m/s0.5 kPa
60065A(内径67.9)2.8 m/s0.8 kPa
1,00080A(内径80.7)3.3 m/s1.4 kPa
2,000100A(内径105.3)3.8 m/s2.0 kPa
3,000125A(内径130.8)3.7 m/s1.6 kPa
5,000150A(内径155.2)4.4 m/s2.3 kPa

大流量では150A・200A・250Aとサイズアップし、配管費・空間占有・保温工事費が急増します。ΔTを大きくとって流量を減らす省エネ設計が、配管イニシャルコスト削減にも直結します。配管圧力損失ツールで正確な系統圧損を確認してください。

業界・現場での使い方

冷凍機・チラー系統設計

ターボ冷凍機・スクリューチラー・吸収式冷凍機のコンデンサ冷却水流量・ポンプ選定の基礎。冷凍能力(RT)から必要流量を算出し、冷却塔・冷却水ポンプ・凝縮器のマッチングを設計します。ARI標準3 USGPM/RTが伝統的な目安ですが、近年は大温度差(ΔT=7〜10℃)で省エネ設計が主流。

プロセス冷却(化学・製造業)

化学反応・機械加工・射出成形・レーザー加工・電子部品テスト装置の冷却水流量計算。プロセス温度制御精度が要求される場合はΔT=3〜5℃の低温差設計、単純除熱ならΔT=8〜10℃で流量削減。

冷却塔設計・選定

冷却塔の処理熱量から水量選定、循環水ポンプ容量決定。JIS B 8621「冷却塔性能試験方法」に基づく容量表記で、外気湿球温度27℃・入口37℃・出口32℃(ΔT=5℃)が日本の標準設計条件。地域・季節で補正が必要。

データセンター冷却

ラック発熱10〜30kW/rackを冷却水で除熱。近年は水冷ラック(rear door heat exchanger)・液浸冷却(2相冷却)も普及。ΔT=10℃以上の大温度差+高効率ポンプで空調PUE1.2以下を狙う設計が標準に。

ビル空調(セントラル)

オフィスビル・商業施設・病院の中央熱源方式でチラー冷水+冷却塔冷却水の2系統を設計。SHASE-S 111「空気調和設備計画設計の実務」の推奨値に基づき、部分負荷時の変流量(VPF)制御と組合わせて省エネ化。

製鉄・アルミ工業の炉冷却

溶鉱炉・電気炉・アルミ溶解炉の炉体・電極冷却水。数百〜数千kWの高熱負荷で、水温上昇差5〜8℃・大流量で除熱。純水+防食剤の閉ループ+熱交換器で二次側に廃熱を渡す2次系設計が一般的。

よくある間違い・注意点

  • 温度差ΔTを固定的に扱う — 実務ではΔT=5℃が慣習ですが、省エネ設計では7〜10℃、精密プロセスでは3℃と用途で変わります。ΔT設定を変えるだけで流量とポンプ動力が数倍差になるため、設計初期の検討事項として扱ってください。
  • 流量倍増でポンプ動力急増を見落とし — ポンプ動力は流量の3乗に比例。流量2倍でポンプ動力8倍、年間電力費数百万円の差になるケースも。ポンプ動力を必ず並行確認します。
  • 配管径を流量ベースで機械的に決定 — 流速3m/s超はエロージョン・騒音・振動のリスクあり、流速1m/s未満はスラッジ堆積のリスクあり。適正流速2〜3m/sの範囲で配管サイズを選定します。
  • 系統バランス無視で複数熱交換器を並列接続 — 圧損が異なる複数熱交換器を並列接続すると流量が偏在し、圧損の低い側にばかり流れます。定流量弁・バランシングバルブで系統バランスを取ることが必須です。
  • 不凍液(グリコール)の物性補正忘れ — 寒冷地でグリコール30〜50%溶液を使う場合、比熱7〜10%低下+密度3〜5%上昇で必要流量が15〜20%増。水基準の設計をそのまま流用すると熱不足になります。
  • 顕熱式のみで潜熱を無視 — 冷却塔の場合、水の蒸発潜熱(2,260 kJ/kg)による除熱が主のため、単純な顕熱式では計算できません。JIS B 8621の性能試験方法・湿球温度基準の設計が必須です。
  • 変流量制御の効果を過小評価 — 部分負荷時にポンプ回転数を落とすインバータ制御(VPF)は、定格流量の70%運転で電力を約1/3に削減可能。24/365稼働の熱源システムでは投資回収1〜2年になることも。
  • 冷凍トン単位の混同 — 日本冷凍トン(JRT=3.86kW)、米国冷凍トン(USRT=3.517kW)、kcal/h、BTU/hが混在すると計算誤差10〜20%。カタログ値は必ずkW換算してから設計に使います。

関連する規格・法令

  • SHASE-S 111 ― 空気調和・衛生工学会。空気調和設備計画設計の実務。冷水・冷却水系統の推奨温度差・流速の設計指針。
  • JIS B 8621 ― 冷却塔性能試験方法。冷却塔の処理水量・温度低下・空気量の測定・保証基準。
  • JIS B 8613 ― 冷凍空調機器のエネルギー消費効率測定方法。冷凍機COP計算の基礎規格。
  • JIS B 8375 ― 遠心ポンプ性能試験方法。ポンプ選定・性能保証の基準規格。
  • ARI Standard 550/590 ― Air-Cooled and Water-Cooled Water-Chilling Packages(米国AHRI)。米国冷凍機の性能規格、3 USGPM/RT等の慣習の源流。
  • ASHRAE Handbook ― HVAC設備設計の国際的な技術書。冷凍・冷却水系統の詳細設計手法。
  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法) ― 建築物衛生法。冷却塔のレジオネラ属菌対策、水質基準。
  • フロン排出抑制法 ― 業務用冷凍空調機器の管理基準。冷媒漏洩監視・回収・充填の記録義務。
  • 省エネ法(エネルギー使用の合理化に関する法律) ― 特定事業者の省エネ計画・エネルギー使用実績の報告義務。空調は主要対象。
  • 建築物省エネ法 ― BEI(建築物エネルギー消費性能基準)による空調・照明・給湯の省エネ設計評価。

参考文献・公的資料

冷却水流量・熱交換設計の一次情報は、以下の公的機関・学会の資料を参照してください。

※本ページの計算結果は水を主媒体とした概算値です。実際の設計・機器選定は、SHASE-S・JIS・メーカーカタログ・機器技術資料に基づき、建築設備士・空調衛生工学会正会員などの有資格者による詳細検討が必要です。特にレジオネラ対策・冷媒管理・省エネ法対応など法令対応は、建築物衛生法・フロン法・省エネ法の最新条文および所轄官庁の指導を優先してください。

よくある質問(FAQ)

300kW冷凍機の冷却水流量は?

水基準・温度差ΔT=5℃で約858L/min(14.3 m³/h)。300kW × 14.3 ÷ 5 = 858L/min。ΔT=7℃なら613L/min、ΔT=10℃なら429L/minと大幅減。省エネ設計ではΔTを大きく取ることが基本です。

温度差ΔTを7℃にするとどうなる?

流量は5/7 = 0.71倍(29%減)。ポンプ動力は流量の3乗のため約36%(0.71³)まで削減可能。熱交換器のLMTDが減るため伝熱面積は増えますが、24/365稼働の系統では年間電力費削減が大きく、投資回収1〜3年になることが多い設計変更です。

ΔT=10℃の大温度差設計は現実的?

データセンター・大型ビル空調で採用が広がっています。流量が半減しポンプ動力1/8になるメリットは大きいですが、熱交換器サイズ2倍(投資増)・冷却塔もLMTD確保が必要で、機器全体の最適化が要件。従来設計比40〜60%の省エネ実績も出ています。

不凍液(グリコール)を使う場合の補正は?

エチレングリコール30%溶液で比熱3.90(水の93%)・密度1.041(水の104%)。同じ熱量に対して体積流量ベースで約3%増、質量流量ベースで約7%増が必要。加えて粘度が2〜3倍あり圧力損失も1.3〜1.5倍増、ポンプ容量選定に大きく影響します。

流量から配管サイズを決めるには?

推奨流速2.0〜3.0m/sから逆算。600L/minなら65A(v=2.8m/s)、1,000L/minなら80A(v=3.3m/s)、2,000L/minなら100A(v=3.8m/s)が目安。流速3m/s超はエロージョン・騒音、1m/s未満はスラッジ堆積のリスク。

ポンプ動力はどう決まる?

ポンプ動力P(kW) = 流量Q(m³/min) × 揚程H(m) × 密度ρ ÷ (6.12 × 効率η)。流量の3乗に比例するため、流量2倍でポンプ動力8倍。ポンプ動力ツールで正確な値を確認してください。

冷却塔と冷凍機の関係は?

冷凍機コンデンサで捨てた熱を、冷却塔で大気に放出する構成。冷凍機の冷却水流量=冷却塔の循環水量。冷却塔は湿球温度基準の性能表記で、日本では入口37℃・出口32℃・湿球27℃が標準設計条件。JIS B 8621準拠。

変流量制御(VPF)の効果は?

部分負荷時にポンプ回転数を下げるインバータ制御。定格流量の70%運転で電力を約1/3(0.7³=0.343)に削減。24/365稼働の熱源システムでは投資回収1〜2年が多く、省エネ改修の第一候補です。

データセンター冷却の設計トレンドは?

ラックあたり10〜30kW以上の高発熱に対応するため、ΔT=10℃以上の大温度差+高効率ポンプ+可変流量制御が標準。近年は水冷ラック(rear door)・液浸冷却も普及し、空調PUE1.2以下(業界最高水準)を狙う設計が主流です。

冷凍トン(RT)とkWの関係は?

日本冷凍トン1JRT = 3.86kW米国冷凍トン1USRT = 3.517kWと単位系で差があります。カタログ値がJRT/USRT/kcal/h/BTU/hで表記されているときは必ずkW換算(1kW=860kcal/h=3,412BTU/h)してから流量計算に使います。

系統バランスはどう取る?

複数熱交換器を並列接続する場合、圧損の低い側にばかり流量が偏在します。定流量弁(自動バランシング弁)またはバランシングバルブで意図した流量配分に調整。試運転時に流量測定+絞り込み調整が必須です。

レジオネラ対策と冷却塔設計の関係は?

冷却水系統はビル管法(建築物衛生法)で冷却塔水質管理が義務化。年1回の清掃、遊離残留塩素0.4mg/L以上の維持、レジオネラ検査(10CFU/100mL未満)が必須。設計時から水質管理装置(スケール・スライム防止剤+殺菌剤自動供給)を組込みます。