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高気圧酸素療法(HBOT) 費用 計算ツール|保険適用の疾患・自費相場と3割負担早見

高気圧酸素療法(HBOT: Hyperbaric Oxygen Therapy)の費用を、治療圧(2気圧未満/2気圧以上)、実施回数、保険適用の有無、負担割合から即算出。診療報酬点数J027(2気圧未満3,000点/2気圧以上5,000点)、突発性難聴・一酸化炭素中毒・減圧症・重症軟部組織感染症・空気塞栓症など保険適用20疾患、美容・アンチエイジング・スポーツ回復目的の自費HBOT相場、第一種装置(1人用)/第二種装置(多人数用)の違い、日本高気圧環境・潜水医学会の適応疾患ガイドラインまで、厚生労働省・学会の公的資料に基づいて解説します。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

高気圧酸素療法 費用 計算機

計算式と診療報酬点数

基本式(保険適用)

自己負担/回 = 診療報酬点数 × 10円 × 負担割合

高気圧酸素療法は保険適用の場合、診療報酬点数J027に基づき算定されます。2026年度改定の点数は下記の通り。

J027 高気圧酸素治療の点数

区分点数3割自己負担(初診料等除く)
2気圧以上(高圧治療室内・4時間以内)5,000点15,000円/回
2気圧未満(高圧治療室内・4時間以内)3,000点9,000円/回
長時間加算(4時間超・30分ごと)500点1,500円追加
初診料288点864円
再診料73点219円

2気圧以上(標準的な治療圧2.0〜2.8ATA)は、突発性難聴・一酸化炭素中毒・減圧症など主要適応疾患で使用される標準的な治療プロトコルです。3割負担では1回約15,000円、標準的な10回コースで15万円前後の自己負担となります。ただし高額療養費制度により実質負担は月8〜9万円上限まで軽減されます(所得区分による)。

自費HBOTの相場

施設種別1回の相場用途
医療系クリニック(自費)10,000〜25,000円アンチエイジング・美容
スポーツクリニック5,000〜15,000円疲労回復・パフォーマンス
ウェルネスサロン3,000〜8,000円リラクゼーション
ホームカプセル(レンタル)月30,000〜50,000円自宅利用

保険適用の20疾患

厚生労働省の告示で、高気圧酸素治療の保険適用は以下の疾患に限定されています。適応外の使用は自費となります。

#疾患名治療圧
1減圧症・空気塞栓症2気圧以上
2一酸化炭素中毒・急性中毒2気圧以上
3ガス塞栓症(潜函病・潜水病含む)2気圧以上
4重症軟部組織感染症(壊死性筋膜炎・ガス壊疽等)2気圧以上
5放射線性壊死・照射後組織障害2気圧以上
6難治性潰瘍(糖尿病性壊疽等)2気圧以上
7脳血管障害後遺症(意識障害)2気圧未満
8末梢循環障害2気圧未満
9突発性難聴2気圧以上
10急性感音難聴2気圧以上
11網膜動脈閉塞症2気圧以上
12骨髄炎・慢性難治性骨髄炎2気圧以上
13皮弁・皮膚移植の生着不良2気圧以上
14クラッシュ症候群・急性外傷性虚血2気圧以上
15網膜静脈閉塞症2気圧以上
16脊髄障害2気圧未満
17脳浮腫2気圧以上
18四肢慢性動脈閉塞症2気圧以上
19広範囲熱傷2気圧以上
20顔面神経麻痺・顔面痙攣2気圧以上

疾患ごとに標準的な治療回数が定められており、突発性難聴なら10〜30回、糖尿病性壊疽は20〜60回、減圧症は緊急1回対応など、大きく異なります。

第一種装置と第二種装置の違い

項目第一種装置(モノプレース)第二種装置(マルチプレース)
形態1人用カプセル型多人数用治療室型
加圧媒体純酸素で加圧圧縮空気で加圧+マスク酸素
治療圧通常2〜3気圧2〜6気圧まで可能
付添医療者外部でモニター治療室内に同室
緊急対応減圧に数分要する治療室内で処置可能
設置医療機関小規模施設中心大学病院・救命救急センター
費用点数は同じ点数は同じ

第二種装置は救命救急センター・大学病院・海上自衛隊病院などに設置され、集中治療を要する重症患者(壊死性筋膜炎・重度一酸化炭素中毒・重症減圧症等)に対応します。日本高気圧環境・潜水医学会の認定施設リストで検索できます。

主要な適応疾患の使い方

突発性難聴

発症後2週間以内に開始することで聴力改善が期待される。ステロイド治療との併用が標準的。標準的な治療回数は10〜30回で、3割負担約15〜45万円、高額療養費で月8〜9万円上限。日本聴覚医学会の急性感音難聴診療の手引きでも記載されています。

一酸化炭素中毒

火災・不完全燃焼による中毒で、後遺症予防のためできるだけ早期に2気圧以上のHBOTを1〜3回実施。救急搬送直後の対応が原則で、遅発性脳症の予防効果があります。緊急対応のため夜間・休日でも実施される疾患。

減圧症(潜水病・潜函病)

スキューバダイビング・トンネル工事等で発症。米海軍治療表第6等の国際基準に基づく再圧治療で、症状消失まで反復。緊急性が最も高く、発症から時間経過が短いほど回復率が高い。

難治性糖尿病性潰瘍

糖尿病性壊疽・下肢慢性創傷の治癒促進に。標準的には週5回×4〜8週間の集中治療。TcPO2(経皮酸素分圧)測定で反応性を評価し、切断回避に寄与するケースが報告されています。

放射線性壊死・遅発性放射線障害

頭頸部がん放射線治療後の顎骨壊死、骨盤照射後の膀胱・直腸障害、脳照射後壊死等に対応。週5回×20〜40回の長期治療が標準。放射線科医との連携が必要です。

スポーツ回復・自費利用

プロアスリートが疲労回復・骨折早期治癒目的で使用するケースが増加。医学的エビデンスは限定的で、費用は自費(1回5,000〜15,000円)。安全性リスクの説明・保証がある信頼できる施設を選んでください。

自費HBOTと美容・スポーツ利用

保険適用外の自費HBOTは、アンチエイジング・美肌・疲労回復・脳機能改善等を目的に、医療系・スポーツクリニック・ウェルネス施設で提供されています。ただし以下の点に注意が必要です。

  • 1.3気圧程度の「軽度HBOT」の科学的根拠は限定的です。医療用の2気圧以上と混同しないでください。
  • 「アンチエイジング」「がん治療」等の効能を強調する自費施術は、薬機法・景品表示法の広告規制対象となる場合があります。
  • ウェルネスサロンでの提供は、医師の常駐がなく緊急時対応が限定的な場合があります。既往症のある方は必ず主治医に相談してください。
  • 妊娠中・耳の疾患・肺の疾患・閉所恐怖症・未治療の気胸等は禁忌です。

HBOTの科学的メカニズム

HBOTは体内の酸素分圧を通常大気圧下(1気圧・21%酸素)の10〜20倍に上昇させることで、以下の生理学的効果を発揮します。

  • 組織酸素供給の増加 — 血漿溶存酸素が20倍以上に上昇し、貧血・末梢循環障害のある組織にも十分な酸素を供給できます。
  • 抗浮腫作用 — 血管収縮による組織浮腫の軽減。頭部外傷・脳浮腫・熱傷の初期管理に有効。
  • 抗菌・抗炎症作用 — 好中球機能の活性化、嫌気性菌の増殖抑制。壊死性筋膜炎・ガス壊疽の治療に。
  • 新生血管誘導 — VEGF(血管内皮増殖因子)の分泌促進による血管新生。難治性潰瘍・放射線性壊死の治癒に寄与。
  • ヘモグロビン再生・COヘモグロビン解離促進 — 一酸化炭素中毒でのCOHb半減期が通常5.3時間から2気圧・純酸素で23分に短縮。

副作用・禁忌

HBOTは適切に実施されれば比較的安全ですが、以下の禁忌・副作用に注意が必要です。

区分内容
絶対禁忌未治療の気胸(酸素中毒による肺破裂リスク)
相対禁忌閉所恐怖症・重症COPD・妊娠初期・重症心不全
耳の副作用耳圧損傷(バロトラウマ)…最も頻度が高い(1〜5%)
肺の副作用酸素中毒(長時間で稀)、肺気圧損傷
眼の副作用近視の一時的進行(高齢者では白内障進行の報告あり)
神経系の副作用酸素中毒によるけいれん(2.5気圧以上・長時間で稀)
その他気圧変化による不快感・耳鳴り

治療前に医師の診察・胸部X線・耳鏡検査等でリスク評価を行います。耳抜き(耳圧調整)の指導も必ず受けてください。

よくある間違い・注意点

  • 1.3気圧の軽度HBOTを医療用HBOTと混同 — サロンで提供される1.3気圧程度のカプセルは、医療用の2気圧以上とは効果・機序が大きく異なります。「保険HBOTと同じ」と誤解しないでください。
  • 突発性難聴を放置 — 突発性難聴は発症から2週間以内のステロイド+HBOT併用治療で改善率が上がります。「疲れかな」と放置せず、耳鼻咽喉科をすぐ受診してください。
  • 耳抜きができない状態で実施 — 加圧時に耳の中の圧調整(耳抜き)ができないと鼓膜損傷を起こします。風邪・鼻づまりの状態では治療延期または鼓膜切開が必要な場合があります。
  • 気胸の未治療で実施 — 未治療の気胸は絶対禁忌で、酸素中毒による肺破裂・緊張性気胸のリスクがあります。事前の胸部X線・CT検査が必須です。
  • 自費HBOTの効果を過信 — 「がんが治る」「若返り」等の広告は薬機法違反の可能性があります。自費HBOTのエビデンスレベルは限定的で、医療用HBOT相当の効果を期待するのは不適切です。
  • 火気厳禁を軽視 — HBOT装置内は高濃度酸素環境で爆発性が非常に高い。金属・電子機器・化学繊維・化粧品・整髪料等の持ち込みは厳禁。治療前の全身着替え・除去確認が必須です。
  • 妊婦・小児の利用制限を無視 — 妊娠初期・小児のHBOT利用は特別な適応(一酸化炭素中毒等)を除き非推奨です。

関連する規格・法令

  • 診療報酬点数表(J027 高気圧酸素治療) ― 厚生労働省告示。2気圧以上5,000点/2気圧未満3,000点、長時間加算500点/30分などの点数と算定要件を規定。
  • 特掲診療料の施設基準等 ― 高気圧酸素治療施設の設備要件(第一種/第二種装置)、医師・臨床工学技士の配置基準。
  • JIS T 7330(高気圧酸素治療装置) ― 治療装置の性能・安全要件。日本高気圧環境・潜水医学会と共同策定。
  • 医療機器の高気圧酸素治療装置(薬機法) ― PMDA承認の医療機器としての規制。
  • 労働安全衛生法(高気圧作業安全衛生規則) ― 潜水作業・トンネル工事等の高気圧作業者の健康管理・減圧症予防を規定。
  • UHMS(Undersea and Hyperbaric Medical Society)Guidelines ― 米国潜水・高気圧医学会の適応疾患ガイドライン。国際的な標準。
  • 米海軍治療表(U.S. Navy Treatment Tables) ― 減圧症の再圧治療プロトコル。第5表(2.8気圧・135分)、第6表(2.8気圧・285分)等が国際標準。

参考文献・公的資料(発リンク)

※本ページの計算結果は2026年度診療報酬改定に基づく概算値で、保険適用の可否・回数の目安は疾患・症状・医師の判断により異なります。実際の負担額は初診・再診料、投薬・処置、施設基準加算、長時間加算により変動します。高額療養費適用可否は加入保険と所得区分により異なるため、加入する健康保険組合・国保・後期高齢者医療広域連合にご確認ください。自費HBOTを提供する医療機関・サロンの効果に関する広告表示については、薬機法・景品表示法・医療広告ガイドラインの対象となる場合があります。禁忌(未治療の気胸等)・副作用のリスクは必ず担当医と事前に確認してください。緊急性のある疾患(急性一酸化炭素中毒・減圧症・重症軟部組織感染症等)は本ツールの費用試算を待たず、直ちに救急対応可能な医療機関に搬送してください。

よくある質問(FAQ)

高気圧酸素療法の保険適用は?

厚生労働省告示で20疾患が保険適用対象です。突発性難聴・一酸化炭素中毒・減圧症・重症軟部組織感染症・難治性潰瘍・放射線性壊死・網膜動脈閉塞症・脳浮腫・脊髄障害等が含まれます。適応外の使用は自費となります。

1回の費用はいくら?

保険適用の場合、2気圧以上で5,000点=50,000円の10割医療費、3割負担で15,000円/回。2気圧未満は3,000点で3割負担9,000円。10回コースでは3割負担15万円前後、高額療養費で月8〜9万円上限まで軽減されます。自費(医療系・美容目的)は1回5,000〜25,000円。

突発性難聴に効果はある?

日本聴覚医学会の急性感音難聴診療の手引きでもHBOTの併用が記載されており、ステロイド治療と併用することで聴力改善効果が報告されています。発症から2週間以内の開始が重要で、標準的な回数は10〜30回。

治療時間はどれくらい?

1回60〜120分が標準的。加圧15〜20分、治療圧維持60〜90分、減圧15〜20分の合計で90〜120分程度。特殊治療(減圧症の米海軍第6表)は4〜6時間に及ぶこともあります。

自費のカプセル型HBOTは効果ある?

サロンで提供される1.3気圧程度のカプセルは、医療用の2〜3気圧HBOTとは効果・機序が大きく異なります。医学的エビデンスは限定的で、疲労回復・リラクゼーション目的の位置づけです。医療用HBOT相当の効果は期待しないでください。

副作用・リスクは?

最も頻度が高いのは耳圧損傷(バロトラウマ)で1〜5%。耳抜きが上手くいかないと鼓膜損傷を起こします。稀に酸素中毒によるけいれん、視力の一時的変化があります。未治療の気胸は絶対禁忌で肺破裂リスクがあるため、必ず事前の胸部X線検査を受けてください。

治療室内で何をするの?

座位または仰臥位で安静にするだけです。第一種装置(1人用カプセル)ではモニターで動画視聴、第二種装置(多人数用)では読書・会話も可能。金属・電子機器・化粧品・化学繊維の持ち込みは火気厳禁のため禁止です。

減圧症(潜水病)の緊急対応は?

ダイビング後にしびれ・関節痛・意識障害等が出現した場合、直ちにDAN JAPAN(潜水医学情報ホットライン 0120-461-196)に連絡し、最寄りの第二種装置設置病院に緊急搬送します。米海軍治療表第6等に基づく2.8気圧・4〜6時間の再圧治療で回復を図ります。

妊娠中は受けられる?

妊娠初期は基本的に非推奨ですが、母体の生命に関わる重度一酸化炭素中毒など緊急適応がある場合は施行されます。妊娠中期以降は個別に医師の判断となります。事前に必ず産婦人科医と相談してください。

子どもも受けられる?

耳抜きが可能な年齢(通常6歳以上)で、適応疾患(一酸化炭素中毒・重症軟部組織感染症等)がある場合に実施可能です。乳幼児は特殊な適応がある場合のみ、専門施設で対応。

高額療養費の対象になる?

保険適用HBOTは高額療養費制度の対象です。70歳未満・年収約370〜770万円区分で月額上限約80,100円+(医療費-267,000円)×1%、上限超過分が還付されます。「限度額適用認定証」を事前入手すれば窓口支払いを上限まで抑制可能。高額療養費計算で試算できます。

治療施設はどう探す?

日本高気圧環境・潜水医学会(JSHM)の認定施設・専門医リストが最も信頼できます。第二種装置(多人数用)は大学病院・救命救急センター・海上自衛隊病院に設置。緊急時はDAN JAPANに連絡すれば最寄り施設を紹介してもらえます。