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固定金利vs変動金利 住宅ローン比較|35年総返済額シミュレーターと選び方

住宅ローンで最も悩む「固定金利と変動金利、どちらが得か」を、借入額・金利・返済期間から瞬時に比較。フラット35と変動金利の総返済額差、変動金利シェア75%超の実態、金利1%上昇シナリオ、5年ルール・125%ルール、団体信用生命保険(団信)、優遇金利、繰上返済の効果まで、住宅金融支援機構・日本銀行・金融庁の一次データで解説します。

最終更新:2026-08-02/監修:計算ツールズ編集部

固定vs変動 総返済額シミュレーター

計算式と元利均等の仕組み

元利均等返済の月額

月返済額 = 借入額 × 月利 × (1+月利)^n ÷ ((1+月利)^n − 1)

総返済額 = 月返済額 × 返済月数

住宅ローンで最も一般的な元利均等返済は、毎月の返済額(元金+利息)が一定になる方式です。返済初期は利息の割合が大きく、返済が進むにつれて元金の割合が増えます。3500万円・35年・固定1.5%の場合、月返済は約10.7万円、総返済は約4,500万円で、うち利息は約1,000万円になります。

元金均等返済との違い

元金均等は毎月の元金返済額が一定で、利息が徐々に減っていく方式。総返済額は元利均等より少なくなりますが、返済初期の月額負担が大きく、キャッシュフローの余裕がない世帯には向きません。日本の住宅ローンは元利均等が主流(97%以上)。

変動金利の見直しタイミング

変動金利は多くの銀行で半年ごとに金利を見直し、月返済額は5年ごとに再計算されます(5年ルール)。金利が上がっても急に月返済が跳ね上がる訳ではありませんが、後述の125%ルールがあるため未払利息が発生するリスクがあります。

固定と変動の基本比較

固定金利と変動金利の主要な違いを整理します。フラット35(住宅金融支援機構)は民間金融機関と連携した全期間固定型、大手銀行の変動金利は日銀の短期政策金利に連動する店頭金利を基準にした優遇金利です。

項目固定金利(フラット35等)変動金利
金利水準(2026年)1.5〜2.0%程度0.3〜0.6%程度
金利変動全期間固定(または期間固定)半年ごと見直し
月返済額返済終了まで一定5年ごと再計算
連動指標10年国債利回り短期プライムレート(日銀政策金利)
リスク金利下落時の機会損失金利上昇時の返済額増
審査基準物件検査+年収基準年収+勤続+信用情報
団信加入任意(別料金)加入必須(金利込み)
市場シェア約13%約75%

住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年10月)によると、新規契約の約75%が変動金利、13%が全期間固定、12%が期間固定型となっており、変動金利のシェアが年々拡大しています。日銀のマイナス金利解除以降、金利上昇局面が始まったため、選択には慎重な検討が必要です。

日本の住宅ローン金利の実勢

2026年時点の主要金融機関の店頭金利・優遇後金利の目安です。実際の適用金利は個別の審査結果によります。

種別店頭金利優遇後金利備考
変動金利(メガバンク)2.475%0.345〜0.475%短プラ連動、優遇幅約2%
変動金利(ネット銀行)2.375%0.29〜0.55%団信込み、条件変動あり
フラット35(90%以下)1.85%前後全期間固定、団信別途
フラット35(90%超)1.97%前後頭金1割未満、金利上乗せ
10年固定(民間)3.0%前後0.8〜1.2%期間終了後は変動へ移行
20年固定(民間)3.5%前後1.4〜1.8%期間終了後は変動へ移行

短期プライムレートの推移

日本銀行が発表する短期プライムレートは、1995年以降1.375〜1.475%で推移していましたが、2024年3月のマイナス金利解除、2024年8月・2026年1月の利上げにより1.625%まで上昇しています。多くのメガバンクは短プラ+1%程度を店頭金利のベースにしているため、政策金利の上昇はダイレクトに変動金利に反映されます。

10年国債利回りとフラット35金利の連動

フラット35金利は10年国債利回り(長期金利)に連動して決まります。2022年以降、日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)政策修正で10年国債利回りが0.25%→1.5%まで上昇し、フラット35金利も1.35%→1.85%へ0.5%上昇しました。今後さらに0.5〜1.0%上昇するシナリオでは、固定金利借入者の月返済は変わらないため、金利上昇局面での固定金利選択の価値が再評価されています。

過去25年の政策金利変動

時期政策金利変動金利(店頭)フラット35金利
2001-2006(ゼロ金利)0.0-0.1%約2.375%約2.5%
2007-2008(利上げ)0.5%約2.875%約3.0%
2009-2015(ゼロ金利再)0.0-0.1%約2.475%約1.5%
2016-2023(マイナス金利)-0.1%約2.475%約1.3%
2024-2026(利上げ再開)0.25-0.5%約2.475%約1.85%

金利上昇シナリオ別シミュレーション

3500万円・35年ローンの前提で、変動金利が途中で上昇した場合の総返済額を比較します。

シナリオ変動 開始金利上昇後金利総返済額固定1.5%との差
変動金利 上昇なし0.5%0.5%約3,815万円-685万円(変動有利)
10年目に+0.5%0.5%1.0%約3,970万円-530万円
10年目に+1.0%0.5%1.5%約4,130万円-370万円
10年目に+1.5%0.5%2.0%約4,290万円-210万円
10年目に+2.0%0.5%2.5%約4,450万円-50万円
10年目に+2.5%0.5%3.0%約4,610万円+110万円(固定有利)
固定1.5%(参考)1.5%1.5%約4,500万円

10年目以降に変動金利が2.5%以上上昇する(絶対水準で3.0%以上)ケースで、初めて固定金利が有利になる計算です。過去25年の政策金利変動幅は最大2.5%程度であることから、変動金利は「相当な金利上昇シナリオでも固定より有利になりやすい」ものの、家計余力次第では固定の安心感も価値があります。

5年ルール・125%ルールの仕組み

変動金利には多くの銀行で以下の緩和ルールがあります(全銀行ではないため契約時要確認)。

5年ルール

金利が変動しても、月々の返済額は5年間据え置きにするルール。金利は半年ごとに見直しますが、月返済額はそのまま。金利上昇分は元金と利息の内訳を調整することで吸収します。返済額が急変しない安心感がある反面、金利上昇局面では元金の減りが遅くなります。

125%ルール

5年後の見直し時、次の5年間の月返済額は前の125%を上限とするルール。急激な金利上昇でも月返済が2倍になることはありません。ただし125%を超える金利上昇があった場合、超過分は未払利息としてローン残高に加算され、最終返済月にまとめて支払う「バルーン払い」的リスクが残ります。

両ルールが適用されないケース

ネット銀行の一部(auじぶん銀行、住信SBIネット銀行など)や、元金均等返済を選択した場合は、5年ルール・125%ルールが適用されず、金利変動が翌月の返済額に即反映されます。約款で必ず確認してください。

ルール適用と非適用の返済シミュレーション比較

状況ルール適用銀行ルール非適用銀行
金利0.5%→2.0%(5年後)5年間は月10.2万円据置翌月から月12.1万円
6年目以降月12.4万円(125%上限)月12.1万円
未払利息発生あり(残高加算)発生なし
心理的インパクト緩やか即時大
総返済額ほぼ同じ(未払利息含む)ほぼ同じ

団信と特約の選択

団体信用生命保険(団信)は、契約者の死亡・高度障害時にローン残債が保険で完済される仕組みです。フラット35は加入任意(別料金)、民間ローンは金利込みで加入必須が一般的。

一般団信

死亡・高度障害時に完済。民間ローンでは金利に含まれて実質無料、フラット35では金利+0.2%程度の別料金(新機構団信)。

ガン団信

ガン(悪性新生物)診断確定でローン残高がゼロに。金利+0.1〜0.3%の上乗せ。3500万円・35年で総額約150万円のコスト増だが、ガン罹患率(生涯50%超)を考えると加入者多数。

3大疾病特約

ガン・急性心筋梗塞・脳卒中で所定状態になった場合に完済。金利+0.2〜0.3%程度。40代以降の申込者に人気。

全疾病(就業不能)特約

ケガ・病気で就業不能状態が12か月継続すればローン残高ゼロ。金利+0.1〜0.3%。フルタイム共働きでも一方の収入喪失で家計破綻を防げる。

実務ケーススタディ

実際の家計モデルに当てはめると、選択の妥当性がクリアになります。以下の4パターンで検討します。

ケースA: 30代夫婦・世帯年収900万円・借入4000万円

共働き正社員、育休1年予定。変動金利0.4%で月10.2万円、返済負担率13.6%。金利3%上昇でも月14.9万円(負担率19.9%)まで耐えられる。変動金利+ペアローン+ガン団信が定番プラン。

ケースB: 40代夫婦・世帯年収600万円・借入3000万円・子2人

夫単独収入、私立中学予定。教育費ピーク(10年後)の家計硬直化を回避したいため全期間固定フラット35S(1.60%)で月9.2万円確定。金利変動ストレスを排除。

ケースC: 20代単身・年収450万円・借入2500万円

独身時期に将来賃貸に出せる駅近マンション購入。変動金利0.35%で月6.4万円、負担率17%。5〜10年で結婚時の住替を想定し、繰上返済で残債を圧縮する戦略。

ケースD: 自営業50代・年収800万円・借入2000万円

個人事業主で民間審査が厳しいためフラット35(1.85%)を利用。返済期間20年で月10.0万円。老後年金受給前に完済する短期戦略で、月負担は増えるが精神的安定を優先。

こんな人に向いている選び方

変動金利が向く人

年収に対して借入額が控えめ(年収の5倍以内)、繰上返済の余力あり、金利上昇時に固定金利に借換できる貯蓄をキープできる家計。共働き正社員で世帯年収1,000万円超のカップルには変動金利のコスト優位が大きい。

固定金利(フラット35)が向く人

返済期間中の家計変動が読めない(出産予定・親の介護・自営業等)、金利上昇の心理的ストレスに弱い、他の投資に資金を集中させたい層。フラット35は自営業者や勤続年数が短い方でも比較的通りやすい。

ミックスローンが向く人

借入額を固定と変動に按分。金利上昇リスクを半減しつつ変動のコストメリットも享受。3500万円を「固定1500万円+変動2000万円」等に分ける。手数料が2口分かかる点は要確認。

期間固定型(10年・20年)が向く人

教育費のピーク時期の返済額を確定させたい世帯、10年後に一括繰上返済を計画している方。ただし固定期間終了後は店頭金利+優遇からの計算となり、必ず変動より低金利で継続できるとは限らない。

よくある間違い・注意点

  • 優遇金利ばかりを見て店頭金利を確認しない — 変動金利0.3%は、店頭金利2.475%-優遇2.175%の結果。優遇幅は完済まで固定されますが、店頭金利は日銀動向で変わります。優遇後金利ではなく、店頭金利がどれだけ上がる可能性があるかを見てください。
  • 5年ルール・125%ルールを万能と誤解 — 未払利息はローン残高に加算され、最終回のバルーン払いとして必ず支払う必要があります。ルールは「支払を先送りする仕組み」であり、金利上昇コストが消える訳ではありません。
  • 諸費用を無視して総額比較 — 保証料・事務手数料・団信・登記費用等で借入額の2〜5%が別途必要。フラット35は保証料不要ですが、団信は別料金です。実質金利ではなく総支払額で比較しましょう。
  • 頭金1割未満で高い金利を選ぶ — フラット35は頭金1割未満だと0.12%程度金利が上乗せされます。可能なら頭金1割確保し、フラット35(9割以下)の低金利を狙う戦略も有力。
  • 変動金利で借入限度いっぱいまで借りる — 変動0.5%だと月返済9.1万円で借りられても、3.0%上昇時は月返済15.0万円に。「金利が5%になっても返せる借入額」が家計安全ラインです。
  • 住宅ローン控除を過信 — 2024年以降は住宅性能・入居時期で控除額が段階的に縮小。省エネ基準未達物件は控除対象外化。契約前に国税庁の最新要件を確認してください。

関連法令・住宅ローン制度

  • 住宅金融支援機構法 ― 独立行政法人住宅金融支援機構の設立根拠法。フラット35(証券化支援)の枠組みを規定。
  • フラット35制度概要 ― 借入対象、物件検査、金利、団信、借換の公式ルール。90%以下・90%超で金利差あり。
  • 銀行法・貸金業法 ― 民間住宅ローンの根拠法。金利表示・重要事項説明・約款規制。
  • 租税特別措置法(住宅ローン控除) ― 借入残高の0.7%を最大13年間所得税から控除(2022〜2025年新築入居)。省エネ性能ごとに借入残高上限が3000〜5000万円。
  • 金融商品取引法 ― 住宅ローンは金融商品として、勧誘行為・重要事項説明の規制対象。
  • 消費者契約法 ― 過度な負担を強いる条項(不当な変更条項等)は無効。住宅ローン約款の解釈にも適用。
  • 不動産登記法 ― 抵当権設定登記・保存登記の根拠法。借入と同時に司法書士が対応。
  • 建築基準法・省エネ法 ― 住宅ローン控除の適用要件となる省エネ性能・耐震性の判定基準。

参考文献・公的資料

住宅ローンの金利・制度・統計データは、以下の公的機関の一次資料で確認できます。

※本ページの計算結果および金利データは概算値です。実際の適用金利・審査可否・優遇幅は各金融機関の個別審査によります。契約前には必ず金融機関の公式サイトで最新金利・約款・重要事項説明書を確認してください。住宅ローン控除の適用要件は税制改正で毎年変わるため、国税庁の最新資料を参照ください。個別の返済計画・借換判断は、住宅金融支援機構相談窓口、ファイナンシャルプランナー(CFP・AFP)、金融機関の住宅ローン相談員等の有資格者へご相談を推奨します。

よくある質問(FAQ)

変動金利と固定金利、どちらを選ぶべき?

年収に対する借入倍率、家計余力、金利上昇時の心理的耐性で判断します。年収5倍以内で共働きなら変動金利のコストメリットが大きく、単一収入・自営業・教育費ピークが借入期間と重なる家庭は固定金利の安心感が価値を持ちます。判断に迷う場合は「金利が3〜4%になっても返せるか」を試算してから決めてください。

5年ルール・125%ルールは全ての銀行にある?

いいえ、メガバンク・地銀に多いですが、ネット銀行の一部(auじぶん銀行、住信SBIネット銀行など)や元金均等返済ではルールがなく、金利上昇が翌月返済額に即反映されます。契約前に約款で必ず確認してください。

フラット35と民間の全期間固定はどちらが得?

金利水準は同程度ですが、フラット35は保証料不要・団信別料金、民間は保証料有(金利上乗せ型もあり)・団信込みが多いです。頭金1割以上あり、物件が省エネ基準クリアならフラット35Sの金利引下げ制度で有利になるケースがあります。

借入額はいくらまでが安全?

返済負担率(年収に対する返済額の割合)は25%以内が目安。年収500万円なら年間返済125万円、月10.4万円まで。金融機関は35%まで貸してくれる場合もありますが、教育費・老後資金・車両費を考えると安全ラインは年収の5倍以内・返済負担率25%以内です。

繰上返済はどのタイミングが効果的?

返済初期ほど効果大です。同じ100万円繰上でも、返済1年目なら利息軽減効果は約35万円、10年目なら約20万円、20年目なら約8万円と、時期で差が出ます。ただし住宅ローン控除の恩恵を最大化したいなら、控除期間中(13年間)は繰上返済を待ち、控除終了後にまとめて実行するのも一手です。

金利が上がったら固定に借換すべき?

変動から固定への借換は、金利上昇局面ではすでに固定金利も上がっているため、コストメリットが小さくなりがちです。借換には諸費用(数十万円)が必要なため、「金利差×残高×残期間」から借換効果を試算しましょう。目安は金利差1%以上・残債1000万円以上・残期間10年以上で効果が出ます。

頭金はどれくらい用意すべき?

フラット35では9割以下だと金利が0.12%程度下がるため、1割は用意したいところ。2割あれば「頭金2割・月返済3割ルール」で家計安全性が飛躍的に上がります。ただし手元流動性(生活費6か月分+緊急費用)は必ず残してください。頭金ゼロ・フルローンは金利上昇リスクと信用リスクの両面で不利です。

団信のガン特約は付けるべき?

日本人の生涯ガン罹患率は男性65%・女性50%(国立がん研究センター)。特約なしでガン罹患→就業不能→ローン破綻というシナリオを避けたいなら加入価値大。金利+0.1〜0.3%で総額100〜200万円のコストですが、生命保険の代替として機能します。既加入の医療保険との重複整理は必要です。

住宅ローン控除はいくら戻る?

2022〜2025年入居の新築住宅では、借入残高×0.7%が13年間、所得税(超過分は住民税)から控除されます。長期優良住宅なら残高上限5000万円で年35万円、省エネ基準適合住宅なら上限4000万円で年28万円が上限。詳細は国税庁の最新資料を確認してください。

変動金利のシェアが75%を超えた理由は?

2013年以降のマイナス金利政策で変動金利が0.3〜0.5%と非常に低く、固定との金利差1%以上が定着したため。総返済額差数百万円のコストメリットに加え、「日本の低金利は当面続く」との観測が変動金利を後押ししました。ただし2024年以降の金利上昇局面で選択判断は再検討が必要です。

変動金利0.5%が3%に上がると月返済いくら増える?

3500万円・35年・当初0.5%(月9.1万円)が10年目に3.0%へ上昇した場合、残債約2,700万円で残期間25年、新月返済は約12.8万円。月3.7万円・年44万円の負担増です。5年ルールがある銀行では即座には変わりませんが、いずれ必ず反映されます。

ミックスローンは実際どう按分すべき?

金利上昇リスクを半減させたい方は50:50、変動のコストメリットも重視するなら固定30:変動70、金利上昇に強く警戒するなら固定70:変動30が目安。金融機関により手数料が2口分かかる場合があるため、単独ローンと総支払額を比較してください。