分子量 早見・計算ツール|主要化合物60種の分子量、mol⇔g換算、アボガドロ数対応
主要化合物の分子量(モル質量)を即座に表示し、mol⇔g変換・分子数(アボガドロ数)換算まで対応する無料電卓。水 18.02・NaCl 58.44・CO₂ 44.01・H₂SO₄ 98.08・グルコース180.16など、化学・生物・薬学・食品工業で頻用する60化合物の分子量を、IUPAC 2021標準原子量・日本化学会「化学便覧」に基づき収録。学生実験・分析化学・工業製造・農業(施肥計算)・医療調剤まで幅広く活用できます。
分子量 計算機
計算式と原子量ベース
基本式
分子量(MW) = Σ(原子量 × その原子の個数)
質量(g) = 物質量(mol) × 分子量(g/mol)
分子数(個) = 物質量(mol) × アボガドロ数 6.02214076 × 10²³
分子量(モル質量, molar mass)は、物質1 mol の質量をグラム単位で表した値です。単位はg/mol。分子式に基づく個々の原子量を足し合わせて計算します。原子量はIUPAC 2021 標準原子量を使用するのが国際慣習で、日本化学会「化学便覧」もこれに準拠しています。
SI単位系との位置付け
SI基本単位のモル(mol)は「6.022 140 76 × 10²³個の要素粒子を含む系の物質量」と定義されます(2019年SI改定)。この個数がアボガドロ数(N_A)です。以前の「12Cの12 g中の原子数」定義は廃止され、現在は数値のみで固定されています。
実際の計算例
水 H₂O:H(1.008) × 2 + O(16.00) = 18.02 g/mol
NaCl:Na(22.99) + Cl(35.45) = 58.44 g/mol
グルコース C₆H₁₂O₆:C(12.01) × 6 + H(1.008) × 12 + O(16.00) × 6 = 180.16 g/mol
硫酸 H₂SO₄:H(1.008) × 2 + S(32.07) + O(16.00) × 4 = 98.08 g/mol
分子量・式量・モル質量の違い
類似する概念ですが、厳密には使い分けが必要です。
| 用語 | 定義 | 単位 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 分子量(molecular weight) | 分子1個の質量を¹²C原子基準で表した相対値 | 無次元 | 教育・慣用 |
| 式量(formula weight) | イオン結晶(NaCl等)の組成式に基づく質量 | 無次元 | イオン性化合物 |
| モル質量(molar mass) | 1 mol当たりの質量 | g/mol | 実務計算(SI準拠) |
| 原子量(atomic weight) | 元素1原子の平均質量(同位体存在比考慮) | 無次元 | 元素の物性 |
教科書・慣用では「分子量」が広く使われますが、SI単位系の実務計算では「モル質量(g/mol)」と表現するのが正しい用語法です。両者は数値としては等価で、単位の付与だけが異なります。
主要原子量早見表(IUPAC 2021)
実用によく使う元素の原子量です。IUPACは同位体存在比の変動を考慮した「区間表示」も公表していますが、実務ではここに示す代表値で十分です。
| 元素 | 記号 | 原子量 | 元素 | 記号 | 原子量 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水素 | H | 1.008 | ケイ素 | Si | 28.09 |
| ヘリウム | He | 4.003 | リン | P | 30.97 |
| 炭素 | C | 12.01 | 硫黄 | S | 32.07 |
| 窒素 | N | 14.01 | 塩素 | Cl | 35.45 |
| 酸素 | O | 16.00 | カリウム | K | 39.10 |
| フッ素 | F | 19.00 | カルシウム | Ca | 40.08 |
| ナトリウム | Na | 22.99 | 鉄 | Fe | 55.85 |
| マグネシウム | Mg | 24.31 | 銅 | Cu | 63.55 |
| アルミニウム | Al | 26.98 | 亜鉛 | Zn | 65.38 |
| 臭素 | Br | 79.90 | ヨウ素 | I | 126.9 |
無機化合物の分子量早見
| 化合物 | 化学式 | 分子量 | 主要用途 |
|---|---|---|---|
| 水 | H₂O | 18.02 | 溶媒・生命維持 |
| 塩化ナトリウム | NaCl | 58.44 | 食塩・電解質 |
| 炭酸カルシウム | CaCO₃ | 100.09 | 石灰石・チョーク |
| 水酸化ナトリウム | NaOH | 40.00 | 苛性ソーダ・洗剤 |
| 硫酸 | H₂SO₄ | 98.08 | 工業酸・電池電解液 |
| 塩酸(HCl) | HCl | 36.46 | 洗浄・pH調整 |
| 硝酸 | HNO₃ | 63.01 | 酸化剤・肥料原料 |
| アンモニア | NH₃ | 17.03 | 肥料・冷媒 |
| 二酸化炭素 | CO₂ | 44.01 | 気体・ドライアイス |
| 酸素 | O₂ | 32.00 | 呼吸・燃焼 |
| 窒素 | N₂ | 28.02 | 不活性ガス |
| 水素 | H₂ | 2.016 | 燃料・還元剤 |
| 炭酸ナトリウム | Na₂CO₃ | 105.99 | ソーダ灰・ガラス原料 |
| 炭酸水素ナトリウム | NaHCO₃ | 84.01 | 重曹・膨張剤 |
| 硫酸マグネシウム | MgSO₄ | 120.37 | にがり・下剤 |
| 硫酸銅(II) | CuSO₄ | 159.61 | 殺菌剤・電解液 |
| 水酸化カルシウム | Ca(OH)₂ | 74.09 | 消石灰・土壌改良 |
有機化合物の分子量早見
| 化合物 | 化学式 | 分子量 | 主要用途 |
|---|---|---|---|
| メタン | CH₄ | 16.04 | 天然ガス主成分 |
| エタン | C₂H₆ | 30.07 | LPガス |
| プロパン | C₃H₈ | 44.10 | LPガス |
| オクタン | C₈H₁₈ | 114.23 | ガソリン成分 |
| メタノール | CH₃OH | 32.04 | 燃料・化学原料 |
| エタノール | C₂H₅OH | 46.07 | 酒精・消毒 |
| 酢酸 | CH₃COOH | 60.05 | 食酢・工業酸 |
| ギ酸 | HCOOH | 46.03 | 革なめし・防腐 |
| アセトン | (CH₃)₂CO | 58.08 | 塗料溶剤 |
| ベンゼン | C₆H₆ | 78.11 | 有機合成原料 |
| フェノール | C₆H₅OH | 94.11 | プラスチック原料 |
| グルコース | C₆H₁₂O₆ | 180.16 | ブドウ糖・エネルギー |
| スクロース | C₁₂H₂₂O₁₁ | 342.30 | ショ糖・食用 |
| クエン酸 | C₆H₈O₇ | 192.12 | 酸味料・キレート |
| アスコルビン酸 | C₆H₈O₆ | 176.12 | ビタミンC |
| アスピリン | C₉H₈O₄ | 180.16 | 解熱鎮痛薬 |
| カフェイン | C₈H₁₀N₄O₂ | 194.19 | コーヒー・茶 |
肥料・農薬・生化学の分子量
| 化合物 | 化学式 | 分子量 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 硝酸アンモニウム | NH₄NO₃ | 80.04 | 窒素肥料・爆薬原料 |
| 硫酸アンモニウム | (NH₄)₂SO₄ | 132.14 | 硫安肥料 |
| 尿素 | CO(NH₂)₂ | 60.06 | 窒素肥料・工業 |
| 硝酸カリウム | KNO₃ | 101.10 | K・N複合肥料 |
| 塩化カリウム | KCl | 74.55 | 加里肥料 |
| 過リン酸石灰 | Ca(H₂PO₄)₂ | 234.05 | リン肥料 |
| リン酸カルシウム | Ca₃(PO₄)₂ | 310.18 | リン肥料・骨粉 |
| ATP | C₁₀H₁₆N₅O₁₃P₃ | 507.18 | 生体エネルギー |
| DNAヌクレオチド(平均) | — | 約330 | 遺伝子塩基 |
実務での計算パターン
薬液調製
1 mol/L NaOH水溶液1 Lを作るには、NaOH 40 g を水に溶解し1 L定容。分子量から必要量を逆算して薬包紙・自動天秤で秤量します。
肥料の施肥計算
硫酸アンモニウム(N含率21%)10 kg中の窒素量は、(NH₄)₂SO₄ 分子量132.14に対しN×2=28.02 = 21.2%。10 kg × 0.212 = 2.12 kgの窒素供給。作物のN要求量から必要施肥量を算出。
反応化学量論
ある反応でCO₂を44 g発生させるには、CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂ より、CaCO₃ 100 g、HCl 73 g が必要。分子量の比が化学量論の基礎になります。
ppm換算
10 ppm NaCl水溶液は、水1 L中にNaCl 10 mg。0.01/58.44 = 1.71 × 10⁻⁴ mol/L となり、Na⁺・Cl⁻それぞれの濃度計算に使用。水道水質分析・環境測定の基本。
よくある間違い・注意点
- 結晶水を無視 — CuSO₄・5H₂Oの分子量は249.68で、無水CuSO₄(159.61)とは異なります。試薬瓶ラベルの「無水」「n水和物」表示を必ず確認してください。
- 純度を分子量で誤解 — 分子量は理論値。市販試薬の実質純度(99.5%等)は別途考慮が必要。「99% NaOH」なら10 gに9.9 g のNaOHが含まれる計算。
- 有効数字の過剰精度 — 分子量を小数点以下4桁で書いても、原子量自体の精度(±0.01程度)を超える意味はありません。3〜4桁が実務基準。
- 塩の解離を無視 — NaCl 1 molは水中でNa⁺ 1 mol + Cl⁻ 1 molに解離。総粒子数(2 mol)がイオン強度・浸透圧計算では効きます。
- 分子量と原子量の混同 — 「炭素の原子量12」と「メタンの分子量16」を混同すると化学量論計算がずれます。単体は原子量、化合物は分子量。
- ppmとppmw — 質量濃度(ppmw = mg/kg)と体積濃度(ppmv)は密度が違うため一致しません。気体・液体の使い分けに注意。
関連する規格・基準
- IUPAC 標準原子量(2021) ― 国際純正・応用化学連合が2年ごとに更新する原子量表。全ての分子量計算の基準。
- SI基本単位(2019年改定) ― mol の定義がアボガドロ数固定値に変更。国際計量委員会(CIPM)。
- JIS Z 8802 ― pH測定方法。溶液の物質量濃度計算で分子量が基準。
- JIS K 8001 ― 試薬試験方法通則。試薬の純度・化学式・分子量の記載規格。
- 日本化学会「化学便覧 基礎編」 ― 分子量・熱化学データ等の標準参照書。
- 日本薬局方(厚生労働省) ― 医薬品の化学式・分子量を公定。第十八改正。
- 食品添加物公定書(厚労省) ― 食品添加物の分子量・純度規格。
参考文献・公的資料
- IUPAC 周期表(標準原子量) ― 国際純正・応用化学連合の公式周期表(最新標準原子量)。
- 日本化学会 ― 「化学便覧 基礎編」の刊行元。標準的な化学データの参照元。
- NIST Chemistry WebBook ― 米国国立標準技術研究所の化学物質データベース。分子量・熱物性を無料検索。
- PubChem(NIH/NCBI) ― 米国国立衛生研究所の化学物質総合データベース。分子量・構造式・生物活性まで網羅。
- 厚生労働省 日本薬局方 ― 医薬品規格の公定書。有効成分の分子量・純度基準。
- 日本産業標準調査会(JISC) ― JIS Z 8802・JIS K 8001など試薬・分析関連規格の索引。
- 産業技術総合研究所 計量標準総合センター(NMIJ) ― 日本の計量標準・認証標準物質の管理機関。
- 国際度量衡局(BIPM) SI単位 ― 国際単位系の公式定義。mol の定義(2019年改定)を含む。
- Royal Society of Chemistry 周期表 ― 英国王立化学会の詳細な元素データベース。
- 日本分析化学会 ― 分析化学分野の学術団体。「ぶんせき」誌で分子量ベースの分析手法を解説。
よくある質問(FAQ)
分子量と原子量の違いは?
原子量は元素1原子の平均質量(同位体存在比考慮)で、周期表に記載。分子量は分子・化合物1個の質量で、分子式の各元素の原子量を「個数×原子量」で足した総和です。例:水 H₂O = H(1.008)×2 + O(16.00) = 18.02 g/mol。
「モル質量」と「分子量」の違い?
実質同じ数値ですが、モル質量(molar mass)は g/mol の単位を持つSI準拠の実務用語、分子量(molecular weight)は無次元の相対値という位置付け。教育や慣用では両者を混用しても問題ありません。学術論文ではモル質量が正式表記です。
結晶水はどう考慮する?
CuSO₄・5H₂O(硫酸銅五水和物)の分子量は CuSO₄(159.61) + 5×H₂O(18.02) = 249.69 g/mol。試薬瓶ラベルの「n水和物」表記を必ず確認し、正しい分子量で計算してください。無水物と水和物は数十%以上の質量差になります。
アボガドロ数の桁は?
2019年SI改定で厳密に固定され、6.02214076 × 10²³ /molと定義値になりました。実務計算では6.02 × 10²³ で十分ですが、高精度計算には8桁全部を使用します。この定義変更以前は「¹²Cの12 g中の原子数」でした。
ppm と mol/L はどう換算する?
水溶液の場合、1 ppm ≒ 1 mg/L(密度1 g/cm³近似)。これを分子量で割ると mol/L。例:10 ppm NaCl → 10 mg/L ÷ 58.44 g/mol = 1.71 × 10⁻⁴ mol/L。厳密には密度補正が必要な高濃度で誤差が出ます。
イオン結晶の「分子量」は正しい用語?
NaCl等のイオン結晶では分子として存在しないため、正確には「式量(formula weight)」と呼ぶのが厳密。しかし実務では便宜的に「分子量」でも通用します。学術論文では式量と分子量を区別することがあります。
ポリマー(高分子)の分子量は?
高分子は分子ごとに鎖長が異なるため、単一の分子量ではなく数平均分子量(Mn)・重量平均分子量(Mw)・多分散度(Mw/Mn)で表現します。GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定するのが標準法。ポリエチレン(1万〜100万)、DNA(数百万)等。
気体1 mol の体積は?
理想気体では、標準状態(0℃, 1 atm)で22.414 L/mol、25℃・1 atmで24.465 L/mol。実在気体はわずかにずれます(CO₂ 22.263 L等)。気体化学量論では分子量ではなく体積で扱うことが多く、モル比 = 体積比です。
純度の考慮は?
市販試薬は99.5〜99.9%純度が一般的。実際の秤量量 = (目標mol) × 分子量 ÷ 純度。例:99% NaOH で1 mol調製なら、40.00 ÷ 0.99 = 40.40 g を秤量。分析グレード(特級)・工業グレードで純度が異なります。
湿った試薬はどう扱う?
吸湿性試薬(NaOH・CaCl₂・KOH等)は空気中で水を吸収し、実質モル質量が下がります。使用直前に120℃で乾燥、乾燥剤の入ったデシケーターで保管が基本。正確な定量には乾燥損失(loss on drying)を測定し補正します。
分子量の有効数字は何桁?
IUPAC標準原子量は元素により2〜5桁の精度で示されており、実務では3〜4桁で計算すれば十分です。5桁以上の精度は分析化学の高精度定量(認証標準物質作成等)で必要。
原子量が変わることがある?
IUPACは2年ごとに標準原子量を更新しています。最近の変更例:鉛(Pb)の原子量が地域(鉱山)で異なるため区間表示に変更(2019年)。生活実務では影響は微小ですが、精密分析では最新の原子量表を参照してください。