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法律離婚婚姻費用算定表

婚姻費用 計算ツール|改定算定表(2019年12月)ベースで別居中の生活費を即時算出

別居中の配偶者・子の生活費を意味する婚姻費用(こんいんひよう)を、司法研修所発表の改定標準算定方式・算定表(令和元年12月・2019年12月)に基づいて月額計算。義務者(支払う側)・権利者(受け取る側)の年収、給与所得者/自営業者区分、子供の人数(0〜5人)・年齢層(0-14歳/15-19歳)から月額目安・年額・配偶者分/子供分内訳を算出。調停・審判・強制執行(給与差押)の実務、養育費との違い、有責配偶者・住宅ローン負担時の調整まで、離婚実務の要点を完全解説します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

婚姻費用 計算機

算定式と基本的な考え方

基本式(標準的算定方式)

1. 基礎収入 = 総収入 × 基礎収入割合(給与38-42% / 自営48-52%)
2. 世帯基礎収入 = 義務者基礎収入 + 権利者基礎収入
3. 権利者側の生活費 = 世帯基礎収入 × 権利者側指数 ÷ 世帯合計指数
4. 婚姻費用月額 = (権利者側生活費 − 権利者基礎収入) ÷ 12

これは司法研修所の標準的算定方式(2019年12月改定)を要約したもの。実際の家庭裁判所実務では、この計算をベースにした算定表(グリッド)を参照し、義務者・権利者の年収から月額のレンジを直接読み取るのが一般的です。

生活費指数

子供1人分の生活費は成人(=100)に対して以下の割合とされます(2019年改定版)。

年齢指数備考
成人100基準値
0〜14歳62幼児・小学生・中学生
15〜19歳85高校生・受験生・大学1-2年前半

15歳以上で指数が大幅に上がるのは、食費・被服費・教育費(高校授業料・部活動費・塾)の増加を反映しています。20歳以上の子はすでに独立扶養義務対象外(未成熟子でなくなる)扱いが原則ですが、大学生の場合は個別事情で扶養義務が延長されるケースもあります。

基礎収入割合(2019年改定版)

総収入(万円)給与所得者自営業者
0-10054%61%
100-12550%61%
125-17546%61%
175-27544%57%
275-52542%52%
525-72540%48%
725-132538%46%
1325-200036%44%

給与所得者は源泉所得税・社会保険料等が既に控除された手取り相当を反映するため、自営業者(青色申告後の所得)より低い割合が適用されます。

婚姻費用と養育費の違い

項目婚姻費用養育費
対象期間別居中(離婚成立前)離婚成立後
対象範囲配偶者+未成熟子未成熟子のみ
金額水準養育費より高額(配偶者分加算)婚姻費用より低額
法的根拠民法760条(婚姻費用分担義務)民法766条(子の監護費用)
終期離婚成立または別居解消成年(または大学卒業等)
切替タイミング離婚成立で終了離婚成立で開始
強制執行調停調書・審判で可能調停調書・審判で可能

婚姻費用は配偶者の生活費が加算される分、養育費より数万円高くなるのが一般的。年収500万・年収100万・子1人(0-14歳)ケースで、婚姻費用は月8-10万円、養育費は月4-6万円が算定表の目安です。

算定表の読み方

司法研修所は養育費・婚姻費用算定表を19枚のグリッド表として公表。表の縦軸に義務者の年収、横軸に権利者の年収を配し、交点のセルに月額のレンジ(例:「8〜10万円」)が示されます。

算定表の種類(2019年改定版)

種類子の構成該当ケース
表10夫婦のみ子なし
表110-14歳の子1人幼児・小中学生1人
表1215-19歳の子1人高校生1人
表130-14歳の子2人幼児・小中学生2人
表140-14歳と15-19歳が1人ずつ混在2人
表1515-19歳の子2人高校生2人
表16-19子3人・4人年齢構成別に細分

実際の裁判所実務は、まず算定表で「4-6万円」等のレンジを確認し、個別事情(住宅ローン負担、教育費、疾病)で±10-30%の調整を行うのが標準。養育費計算ツールで同じ算定表構造の詳細解説あり。

年収別の月額目安ケース

2019年改定算定表に基づく代表ケースの月額目安。実際の家庭裁判所実務での典型的なレンジです。

ケース義務者年収権利者年収子構成月額目安
夫婦のみ・平均年収500万100万子なし6-8万円
幼児1人・専業主婦500万0万0-14歳1人10-12万円
幼児1人・パート500万100万0-14歳1人8-10万円
幼児1人・共働き500万300万0-14歳1人6-8万円
高校生1人・専業主婦600万0万15-19歳1人12-14万円
幼児2人・専業主婦500万0万0-14歳2人12-14万円
幼児2人・パート600万100万0-14歳2人10-12万円
幼児+高校生・専業主婦600万0万混在2人14-16万円
高年収・幼児1人1000万0万0-14歳1人18-20万円
自営業・幼児1人500万(自営)100万0-14歳1人10-12万円

自営業者は同じ額面年収でも算定表の縦軸で1〜2段上のレンジに当てはめられ、婚姻費用月額が2〜4万円高くなるのが通常です。

請求手続きの流れ

1. 話し合い(協議)

まず配偶者に直接請求または内容証明郵便で通知。月額・支払方法・振込先を書面化。合意できれば婚姻費用合意書(公正証書化推奨)を作成。円満協議なら1-2ヶ月で成立可能。

2. 調停申立て

話し合いが決裂したら家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申立て。相手方の住所地の家裁が管轄。申立費用は収入印紙1200円+郵便切手数千円。調停期日は月1回程度、平均3〜6ヶ月で成立(または不成立)。

3. 審判

調停不成立の場合、自動的に審判に移行。裁判官が算定表に基づき職権で金額を決定。異議申立(即時抗告)可能ですが、多くは審判月額で確定。

4. 強制執行

調停調書・審判で確定した婚姻費用が支払われない場合、給与差押(民事執行法)で強制回収。手取り給与の1/2まで差押可能(民執152条・153条特例)。

期間別の請求可能範囲

婚姻費用は調停申立時点から請求権が発生するのが実務の主流(過去分の遡及請求は原則不可)。別居開始時点まで遡及請求できる例外もありますが、判例上限定的。別居したらまず調停申立を早めるのが実務の鉄則です。

個別事情による調整(住宅ローン等)

住宅ローン負担の調整

算定表金額には標準的な住居費が含まれるため、義務者が権利者の住む家の住宅ローンを負担している場合、婚姻費用から住宅ローン相当額(または一部)を控除する調整が実務で認められています。ただし住宅ローンは資産形成の側面もあり、全額控除は否定される傾向。実務では権利者の家計に応じた住居費(統計値)を控除する例が多いです。

私立学校・大学費用

算定表は公立学校の教育費を前提としており、私立中学・高校・大学、留学費、塾・習い事の高額支出は別途加算請求が可能な場合あり。過去の家庭裁判所判例で認容/否認の判断が分かれます。夫婦の合意で私立進学したケースは加算が認められやすい。

医療費・介護費

子の疾病・重度障害による医療費、権利者の親の介護費用等、通常想定外の支出は個別事情として算定表に加算されるケースがあります。ただし要件は厳格で、必要性と義務者の負担能力の両方が審査されます。

有責配偶者の減額

権利者側に婚姻破綻の主たる責任(不貞・悪意の遺棄)がある場合、婚姻費用が大幅減額または全額否認される判例あり。ただし子の生活費部分は減額対象外というのが判例の主流。義務者側に責任がある場合は減額対象外。

利用シナリオと実務ポイント

離婚協議前の生活費請求

別居直後、まず算定表金額を根拠に配偶者へ請求書(内容証明)。月額の目安を客観データで示すことで、感情的な交渉を回避しやすい。合意できれば公正証書化で強制執行力を持たせる。

調停・審判の事前試算

調停申立前に算定表金額を試算し、権利者側の請求下限・上限を設定。義務者側は減額主張の根拠(住宅ローン負担・私立学費等)を事前準備。無理な請求は調停不成立を招くだけ。

弁護士・調停委員との事前打合せ

弁護士相談時に算定表金額を持参すると、相談時間が効率化(1時間5000-10000円が節約)。調停委員も算定表を根拠に和解を促すため、双方が数値の妥当性を理解しておく必要あり。

強制執行の準備

調停調書・審判正本が強制執行の根拠。義務者の勤務先・給与額・銀行口座を事前調査し、給与差押の申立準備を進める。給与差押は手取りの1/2まで可能で回収率が高い。

養育費への切替準備

離婚成立と同時に婚姻費用は終了し、養育費に切り替わり。金額は下がりますが、離婚協議書・調停調書で子の年齢別・進学時の増額条項を入れておくと将来トラブルを防止できます。

年収変動時の見直し

義務者・権利者の年収が大幅に変わった場合(失職・昇進・独立等)、婚姻費用変更調停の申立てが可能。年20%以上の変動が実務上の目安です。

よくある間違い・注意点

  • 過去分をまとめて請求できると誤解 — 婚姻費用は調停申立時点からの支払が原則で、別居開始からの過去分は認められないケースが多数。別居後速やかに調停申立を行うのが鉄則。1年放置すると数百万円の遡及請求が失われる例あり。
  • 算定表を絶対視する — 算定表は目安のレンジで、住宅ローン負担・私立進学費・医療費等の個別事情で±10-30%の調整があります。単純適用ではなく、実情に応じた主張と証拠準備が必要。
  • 養育費との混同 — 婚姻費用(別居中の配偶者+子の生活費)と養育費(離婚後の子のみの生活費)は別概念。離婚成立で婚姻費用は自動終了し、養育費に切り替わります。金額は数万円下がるので離婚タイミングで生活設計を見直す必要あり。
  • 有責配偶者でも同額請求できると誤解 — 権利者側に婚姻破綻の主たる責任(不貞・悪意の遺棄)がある場合、婚姻費用は大幅減額または全額否認されることが判例で確立。ただし子の生活費部分は減額対象外というのが実務の主流。
  • 強制執行の準備不足 — 調停調書・審判があっても支払われない場合、給与差押で強制回収可能。ただし義務者の勤務先変更・退職・自営転向で回収困難になるリスクあり。専門家の助言で事前準備が必要。
  • 合意書に強制執行認諾条項がない — 私的合意書のみで公正証書化しない場合、支払拒否時に強制執行できず、改めて裁判が必要。合意時点で公正証書(執行認諾条項付き)を作成しておくのが必須です。
  • 住宅ローン全額控除主張 — 義務者が住宅ローンを負担している場合、婚姻費用から全額を控除する主張は認められにくい。権利者の家計に応じた住居費(統計値)相当を控除する例が多く、資産形成部分は控除対象外。

関連する法令・裁判所規則

  • 民法760条(婚姻費用分担) ― 「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」。婚姻費用請求の根拠条文。
  • 民法766条(監護費用) ― 「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担」。養育費の根拠条文。
  • 家事事件手続法(150条・別表第二の2) ― 婚姻費用分担請求は「家事調停」→「家事審判」の順で手続。
  • 司法研修所「養育費・婚姻費用算定表(改定版)」(令和元年12月・2019年12月) ― 家庭裁判所の実務標準。旧算定表(2003年版)を大幅改定し、現代の物価・税制に対応。
  • 民事執行法151条の2・152条・153条 ― 婚姻費用・養育費の強制執行(給与差押)の特例規定。手取りの1/2まで差押可能。
  • 民事執行法206条(第三者からの情報取得手続) ― 2020年改正で新設。義務者の勤務先・預貯金口座を裁判所経由で調査可能に。
  • 公証人法・公証実務 ― 婚姻費用・養育費の合意を公正証書化する際の手続。強制執行認諾条項の付与要件。
  • 戸籍法・民法(離婚届) ― 離婚成立で婚姻費用終了→養育費開始の切替タイミングの根拠。

参考資料・公的機関

正確な算定・手続き・判例情報は、以下の一次資料および専門家を参照してください。

※本ページの計算結果は、司法研修所「養育費・婚姻費用算定表(改定版・令和元年12月)」を要約した簡易試算です。実際の婚姻費用月額は、住宅ローン負担・私立学校費用・医療費・双方の再婚有無・子の年齢構成・年収の変動など個別事情で±10-30%の調整が加わります。調停・審判・強制執行等の実際の法的手続きにあたっては、必ず弁護士・司法書士・家事調停委員などの専門家に相談し、家庭裁判所の判断を仰いでください。有責配偶者の減額・過去分請求の可否・住宅ローン控除の範囲は判例により結論が分かれるため、専門的な判断が不可欠です。

よくある質問(FAQ)

婚姻費用の請求はいつから可能?

別居開始時から法的には請求可能ですが、実務上は調停申立時点からの請求が主流で、それ以前の過去分は原則認められません。別居後に何年も経ってから調停申立てをすると、その分の過去分は「請求権失効」となる例が多数。別居が決まったら1〜3ヶ月以内に調停申立を行うのが実務の鉄則です。

有責配偶者でも請求できる?

権利者側に婚姻破綻の主たる責任(不貞・悪意の遺棄等)がある場合、婚姻費用は大幅減額または全額否認される判例が確立しています。ただし子の生活費部分は減額対象外というのが判例の主流で、子の分は算定表通り受け取れる。義務者側に責任がある場合(不倫された側は請求可)は通常通り支払義務があります。

住居費・住宅ローン負担がある場合は?

算定表金額には標準的な住居費が含まれるため、義務者が権利者の住む家の住宅ローンを負担している場合は、婚姻費用から一定額を控除する調整が実務で認められます。ただし住宅ローンは資産形成の側面もあり全額控除は否定される傾向で、権利者の家計に応じた住居費(統計値)相当を控除する例が多いです。

養育費と婚姻費用はどう違う?

婚姻費用は別居中の配偶者+子の生活費、養育費は離婚後の子のみの生活費です。婚姻費用は配偶者分が加算されるため養育費より数万円高額。離婚成立で婚姻費用は自動終了し、養育費に切り替わります。実務では「離婚を長引かせて婚姻費用を受け取り続ける」戦略もあり、義務者側にプレッシャーになります。

強制執行はどう行う?

調停調書・審判の正本+送達証明書があれば給与差押が可能。義務者の勤務先を特定できれば、家庭裁判所に強制執行の申立てをします。婚姻費用・養育費については手取り給与の1/2まで差押可能という特例(民事執行法152条)があり、通常債権(1/4)より回収率が高い。2020年民事執行法改正で第三者(勤務先・銀行)からの情報取得も容易になりました。

自営業者の年収はどう扱う?

算定表では青色申告書の「所得金額」を年収として扱うのが原則。給与所得者より基礎収入割合が高く設定されており(給与38-42%に対し自営48-52%)、同じ額面でも婚姻費用月額は2-4万円高くなる傾向。ただし節税で所得を圧縮している場合、生活実態から推計する例もあります。

子供が高校生になったら増える?

算定表の生活費指数が0-14歳(62)から15-19歳(85)に上がり、月額が2-4万円増加するのが一般的。高校進学・大学受験のタイミングで婚姻費用変更調停を申立てるのが実務の定石。私立高校進学時は算定表以上の加算請求(私立学費特別支給)も可能です。

年収が変動した場合の見直しは?

失職・大幅昇進・独立転向等で年収が20%以上変動した場合、婚姻費用変更調停の申立てが可能。義務者側からの減額請求、権利者側からの増額請求の両方向あり。ただし単に「収入が下がった」というだけでなく、変動の永続性・原因の合理性が審査されます。

いつまで支払う義務があるか?

婚姻費用は①離婚成立、②別居解消(同居再開)、③権利者の死亡のいずれかで自動終了。離婚成立後は養育費に切り替わり、養育費は子の成年(または大学卒業等)まで継続します。近年の判例では「大学卒業まで(22歳)」を養育費支給期間とする例が増加しています。

公正証書は必要?

双方合意した婚姻費用は、公正証書(強制執行認諾条項付き)で作成しておくと、支払拒否時に裁判なしで強制執行可能。私的合意書のみだと、拒否時に改めて訴訟が必要で数ヶ月〜1年のロス。公正証書化の費用は数万円程度と安価で、必須の投資です。

調停の費用と期間は?

申立費用は収入印紙1200円+郵便切手数千円と低額。弁護士依頼時は着手金20-50万円+成功報酬が相場。調停期日は月1回程度、平均3-6ヶ月で成立(または不成立で審判移行)。法テラスの民事法律扶助制度で経済的困窮者は費用立替可能です。

面会交流と婚姻費用の関係は?

面会交流は子の権利であり、婚姻費用の支払と面会交流は別問題。義務者が「面会させないなら婚姻費用払わない」と主張しても、司法は認めません(民法760条)。ただし面会交流を拒否する権利者に対しては、間接強制(1回あたり数万円の制裁金)の対象になる例もあり、双方の権利義務は独立して履行が必要です。