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単位圧力ダイビング海洋工学

水深圧力変換 計算ツール|深度別水圧・ダイビング限界・潜水艇・給水配管の実務

水深から水圧(atm・MPa・bar・kPa)を瞬時計算。レクリエーション/テクニカルダイビングの深度限界、潜水艇の耐圧設計、給水配管の設計圧、海洋工学・海洋観測ブイ・海底ケーブルなど海洋分野・水中工事の実務で頻用される国際指標を、JIS/JAMSTEC/PADI/DANなど公的資料に照らして解説します。

最終更新:2026-08-08/監修:計算ツールズ編集部

水深と水圧 計算機

レクダイブ40m/テクニカル60m/潜水艇1000m〜/マリアナ海溝10,920m

計算式と単位系

基本式

水圧 P(Pa)= ρ × g × h + 大気圧
ρ:水の密度(kg/m³)/g:重力加速度9.80665m/s²/h:水深(m)

簡易式:水圧(atm)≒ 1 + 水深(m)÷ 10(海水)

水中に潜ると水深10mごとに約1気圧ずつ圧力が増加します。海水面では大気圧1atm、水深10mで2atm、水深100mで11atm、水深1,000mで101atmとなり、マリアナ海溝の最深部(10,920m)では約1,100気圧に達します。淡水では水深約10.33mで1atm相当、海水(密度1.025)ではやや浅い9.75mで1atm相当と、水の密度により微差があります。

SI単位・国際換算

1 atm = 101.325 kPa = 0.101325 MPa = 1.01325 bar
1 MPa = 10 bar = 9.869 atm = 1000 kPa

圧力の国際単位系(SI)はパスカル(Pa)です。工学ではMPa・bar、大気科学ではhPa(ヘクトパスカル)、ダイビングではbar・atm、米国工業ではpsiが使用されます。海洋観測や潜水艇の耐圧設計ではMPa表記が標準で、外洋研究船「よこすか」搭載の「しんかい6500」は深度6,500m(水圧約65MPa/約650気圧)に耐える設計です。

絶対圧・ゲージ圧・水頭圧

圧力表記には絶対圧(Absolute)=真空を基準ゲージ圧(Gauge)=大気圧を基準の2種類があります。ダイビング/圧力容器では絶対圧(ata・bar-a)、配管の設計圧では通常ゲージ圧(barG・MPaG)を使用。水頭圧(水柱の高さで表す圧力)はビル給水・下水・貯水池設計の伝統単位で、10.33mH₂O ≒ 1atm ≒ 0.1MPaです。

ゲージ圧と絶対圧の違い

水中や配管系の圧力表記でよく混同されるのが「ゲージ圧」と「絶対圧」です。混乱を避けるために整理します。

項目絶対圧(Absolute)ゲージ圧(Gauge)
基準完全真空 = 0大気圧 = 0
単位表記ata / bar-a / kPa-aatG / barG / kPaG
大気圧下1.01325 bar0 bar
使用場面気象・真空・潜水艇・化学反応配管・タンク・タイヤ・圧力容器
ダイビング水深10m = 2ata水深10m = 1barG
換算式絶対圧 = ゲージ圧 + 大気圧ゲージ圧 = 絶対圧 − 大気圧

気象予報の「hPa」は絶対圧、自動車タイヤ空気圧計は通常ゲージ圧です。配管図面ではMPaG(=MPa gauge)が標準表記。文脈により定義が変わるため、公式書類では必ず「absolute」か「gauge」かを明記します。

水深別・圧力早見表(海水基準)

ダイビング・潜水艇・海洋工学で使用する水深別の圧力早見表です。JAMSTEC海洋研究開発機構・気象庁海洋気象データを参考にした標準値です。

水深絶対圧 atm絶対圧 MPa用途・環境
0m(海面)1.00.101大気圧のみ
3m1.30.131プール・シュノーケリング
10m2.00.203初級レクダイブ
18m2.80.284PADI OpenWater初級限界
30m4.00.406PADI Advanced限界
40m5.00.507レクリエーション上限(PADI)
60m7.00.710テクニカルダイビング上限
100m11.01.115混合ガス・テック上級
200m21.02.129飽和潜水域
332m34.23.466Ahmed Gabr人類SCUBA記録(2014年)
500m51.05.170ATSCUBA域限界
1,000m10110.23大陸棚縁
2,000m20120.37抹香クジラ潜水域
3,776m37838.3富士山標高相当の水深
4,000m40140.7大西洋中央海嶺
6,500m65165.9JAMSTEC「しんかい6500」設計深度
10,920m1,101111.6マリアナ海溝チャレンジャー海淵

いずれも海水(密度1.025 g/cm³)基準。淡水湖ではやや低く、死海では約24%高くなります。

圧力単位相互換算表

水圧・大気圧で使用する主要7単位の換算表です。設計図書・海外資料との整合性チェックにお使いください。

単位1 atm 相当1 MPa 相当1 bar 相当主要用途
Pa(パスカル)101,3251,000,000100,000SI基本単位・科学
kPa(キロパスカル)101.3251,000100気象・血圧
MPa(メガパスカル)0.10132510.1工業・耐圧設計
hPa(ヘクトパスカル)1,013.2510,0001,000気象予報
bar(バール)1.01325101欧州工業・ダイビング
atm(気圧)19.8690.987科学・慣用
mmHg(水銀柱ミリメートル)7607,500.6750.06血圧・真空
psi(重量ポンド毎平方インチ)14.696145.0414.504米国工業・タイヤ
mH₂O(メートル水柱)10.33101.9710.197給水・配管

ダイビング深度と生理的影響

ダイビング講習団体PADI/SSI/NAUI・DAN Japan(潜水医学財団)が推奨する深度限界と、深度による生理的影響は以下の通りです。

初級レクリエーション(〜18m)

PADI OpenWater Diver認定範囲。減圧不要・窒素酔い影響ほぼなし。エアタンク1本で30-40分程度の潜水が可能。初心者が安全に楽しめる深度帯。

中級レクリエーション(〜30m)

PADI Advanced Open Water認定範囲。減圧不要限界(NDL)が短くなり、20-25分程度でNDLに到達。透明度・光量が落ち始める。

上級レクリエーション(〜40m)

Deep Diver Specialty認定範囲。窒素酔い(マティーニ効果)が始まる深度。判断力低下に注意。無減圧限界時間は約9分と短い。

テクニカル(〜60m/100m)

PADI Tec/TDI認定範囲。減圧停止必須・混合ガス(トライミックス)使用。窒素酔いを避けるためヘリウム混合。飽和潜水前段階。

飽和潜水(100m〜300m)

プロダイバー領域。加圧チャンバー内で数日〜数週間生活しながら海中作業。海底油田・海底ケーブル敷設工事など。日本でも建設潜水士の国家資格対象。

ATSCUBA(〜500m超)

大気圧潜水スーツ(Atmospheric Diving Suit)。内部を1気圧に保つ耐圧スーツで、減圧症のリスクなく深深度作業。海底ケーブル修理・海洋考古学で使用。

深度別 減圧不要限界時間(NDL)目安

水深NDL(DAN・PADIテーブル)備考
10m219分ほぼ制限なし
15m72分1ダイブ十分
18m56分初級限界深度
20m45分ダイビング一般深度
25m25分中級標準深度
30m20分Advanced限界
35m14分窒素酔い注意
40m9分レク上限

深海の圧力と潜水艇

深海調査には特殊な耐圧設計が必要です。日本のJAMSTECおよび世界の主要潜水艇の設計深度は以下の通りです。

潜水艇設計深度圧力
しんかい2000(退役)日本2,000m約20MPa/200気圧
しんかい6500日本6,500m約66MPa/651気圧
Alvin(米WHOI)米国6,500m約66MPa/651気圧
Nautileフランス6,000m約61MPa/601気圧
Mir 1/2ロシア6,000m約61MPa/601気圧
Jiaolong(蛟龍号)中国7,000m約71MPa/701気圧
Fendouzhe(奮闘者号)中国10,909m約110MPa/1,092気圧
DSV Limiting Factor米国11,000m約111MPa/1,101気圧
ROV かいこう(無人)日本10,000m約101MPa/1,001気圧

マリアナ海溝チャレンジャー海淵(10,920m)到達には約1,100気圧の耐圧設計が必要で、耐圧殻はチタン合金Ti-6Al-4V製の球体が主流。1cm²あたり約1.1トンの荷重に耐えます。

業界での応用

海洋観測・水産

気象庁・水産庁の海洋観測ブイ、水産養殖の網籠設計、漁労機器の水圧センサ校正。ARGOフロートは水深2,000mまで自動潜降・浮上を繰り返し、海洋循環データを収集。海洋気候変動研究の基盤データ。

給水・配管設計

ビル給水では階高×水頭圧計算が基本。3階建て住宅上水管に0.2MPa以上、消防用スプリンクラーは0.35MPa以上が消防法基準。高層ビルは中間水槽・減圧弁で圧力配分。JIS B 8265圧力容器規格対応。

ダイビング・海洋レジャー

ダイブコンピュータの内蔵アルゴリズム(Buhlmann ZH-L16/DSAT等)で残留窒素・減圧停止時間を実時間計算。深度10m・20m・30mで減圧不要限界時間が急速に短縮する現象を管理。DAN JAPANが減圧症治療体制を運営。

潜水艇・海底ケーブル

JAMSTEC・KDDIケーブルシップ・NECの海底ケーブル敷設・修理では水深6,000m前後の作業が日常。ROV(遠隔操作機)・AUV(自律型無人機)が主流化し、有人潜水艇は科学調査・観光潜水に特化。

建設・トンネル工事

海底トンネル(青函トンネル・関門海峡)・河川トンネル・下水道シールド工事では地下水圧下での作業。圧気工法では0.2〜0.4MPaの高気圧下作業となり、労働安全衛生法「高気圧作業安全衛生規則」対応の潜函作業員資格が必要。

石油・海底資源開発

沖合油田・海底熱水鉱床の掘削・生産では水深300〜3,000mでの機器耐圧設計が必要。ROV作業・ライザーパイプ設計・BOP(暴噴防止装置)は全て水圧計算に基づく。日本のJOGMEC・国際石油開発帝石が実施。

よくある間違い・注意点

  • 絶対圧とゲージ圧の混同 — 「水深10mの水圧」は絶対圧2atm、ゲージ圧1atm。潜水艇の耐圧試験・気象データは絶対圧、配管図面はゲージ圧が標準で、混同すると設計上の1atm誤差になります。
  • 海水と淡水の密度差を無視 — 海水(1.025)と淡水(1.000)では2.5%圧力が違います。琵琶湖ダム、河川トンネルは淡水、海域は海水基準で計算しないと配管厚み・耐圧設計が甘くなります。
  • 「10mで1気圧」を厳密値と誤解 — 実際は海水9.75m・淡水10.33mで1atm。精密設計や高圧工程では厳密値を用います。「10m=1atm」はダイビング講習の教育用簡易値です。
  • ゲージ圧を「圧力」と略記 — 電子部品カタログや圧力容器の記載で「圧力」とだけ書かれた場合、多くはゲージ圧を指しますが、明示されていないと海外規格対応でトラブルの元。設計書には必ずMPaG/MPaAを明記。
  • 減圧停止を軽視 — 水深18m以上のダイビングでは減圧不要限界時間(NDL)を超えると減圧症リスクが急上昇。ダイブコンピュータの警告は絶対遵守。DAN JAPANデータでは日本の減圧症事故の6割が減圧停止無視。
  • 水頭圧の下向き加算忘れ — 配管設計で、貯水池からポンプまでの高低差・摩擦損失を計算し忘れると、実運用圧力不足で水圧不良の原因に。給水設備工事では吐水圧0.03〜0.05MPaの最低確保が水道法基準。
  • psi換算の位取りミス — 1MPa=145psi。1psi=6.895kPa。米国機材輸入時に単位換算を誤ると危険。特に耐圧容器・ホース類は誤差が破裂事故につながる可能性あり。

関連する規格・法令

  • JIS B 8210 ― 蒸気用及びガス用ばね安全弁。圧力容器の安全弁設定圧力等の規格。
  • JIS B 8265 ― 圧力容器の構造。1.0MPa未満から30MPa以上まで、圧力容器の設計基準。
  • JIS B 8375 ― 潜水設備-水中呼吸装置。SCUBA・水中呼吸機器の設計・試験規格。
  • 高気圧作業安全衛生規則(労働安全衛生法) ― 圧気工法・潜水作業の労働災害防止基準。0.1MPa以上の作業は高気圧作業員選任が必要。
  • 船員法・船舶法 ― 潜水士・船員資格および船舶運航における水圧・耐圧の基準。
  • 水道法施行令 ― 水道給水の最低吐水圧、配管の設計圧力基準(第1条、第7条等)。
  • 消防法施行令 ― スプリンクラー・屋内消火栓の吐水圧最低基準(0.35MPa以上等)。
  • ISO 6425 ― Divers' watches。ダイバーズウォッチの耐水圧試験と表記基準。
  • ASME BPVC Section VIII ― American Society of Mechanical Engineers Boiler and Pressure Vessel Code。圧力容器の国際標準。

参考文献・公的資料

より正確な水圧データや潜水安全情報は、以下の公的機関の資料を参照してください。

※本ページの計算結果はSCUBAダイビング・工業配管の目安計算です。実際の潜水・工事・耐圧設計は、上記公的機関の最新基準および有資格者(潜水士・高圧ガス製造保安責任者・建築士等)の判断を優先してください。減圧症・窒素酔いなど潜水事故は生命の危険を伴うため、必ず認定インストラクターの指導とダイブコンピュータの警告に従ってください。

よくある質問(FAQ)

水深と水圧の関係は?

水深10mごとに約1気圧(atm)上昇するのが海水の基本則です。水深10mで2atm、100mで11atm、1,000mで101atm、マリアナ海溝10,920mでは約1,101atm。厳密には海水9.75m・淡水10.33mで1atm相当。ダイビング講習で使う「10m=1atm」は教育用簡易則です。

絶対圧とゲージ圧はどう違う?

絶対圧は真空を0基準、ゲージ圧は大気圧を0基準とする表記。海面上のタイヤに0.2MPaと表示された場合、通常はゲージ圧を指すので絶対圧は0.301MPa。潜水艇や真空機器では絶対圧、配管設計ではゲージ圧が標準。混同すると設計上1atm(0.101MPa)の誤差になります。

SCUBAダイビングの深度限界は?

PADIレクリエーション認定範囲は最大40m。テクニカルダイビングは60〜100m。人類SCUBA最深記録はAhmed Gabr氏の332m(2014年ギネス認定)。それ以上は飽和潜水(プロダイバー、〜300m)、ATSCUBAスーツ(〜500m超)、潜水艇(1,000m〜)が必要です。

マリアナ海溝の水圧はどれくらい?

チャレンジャー海淵(10,920m)で約1,100気圧(111MPa/1,100bar)。1cm²あたり1.1トンの荷重で、鉄板でもへこむレベル。JAMSTECのROV「かいこう」(無人・退役)、DSV Limiting Factor(有人)等が到達済み。耐圧殻はチタン合金製の球体が主流。

ダイバーズウォッチの「200m防水」の意味は?

ISO 6425/JIS B 7023規格では、静水圧試験で水深200m相当の圧力に耐える設計を指します。実際の潜水では動水圧(動作による衝撃圧)を考慮し、200m表示なら実用深度100m以下、100m表示は水泳程度、30m表示は日常防水程度と考えるのが一般的な解釈です。

減圧症(潜水病)とは?

高圧下で体内に溶けた窒素が、急な浮上(減圧)で気泡化し血管・関節を塞ぐ疾患。関節痛(ベンズ)・皮膚症状・神経障害など。DAN JAPANデータで日本の年間報告例は数十件。治療は再圧チャンバーによる高気圧酸素療法。予防はダイブコンピュータの警告遵守、浅深度停止(安全停止5m/3分)です。

1MPaは何気圧?何bar?

1MPa = 9.869気圧(atm)= 10 bar = 145.04 psi = 10,197 mmH₂O。工業配管・耐圧設計・車のタイヤ空気圧などで頻用。工業水準ではMPa、欧州工業ではbar、米国工業ではpsi、大気科学ではhPaと業界固有の慣用単位があります。

タワーマンションの給水圧はどう設計する?

1階増える毎に約0.03MPa(3m水頭圧)圧力ロス。40階建てなら地上1.2MPa、屋上まで直圧では給水困難。よって中間階に中継水槽、または屋上水槽方式で水頭圧を活用、または加圧ポンプで直送。給水管の設計圧は0.75MPa以下、給湯設備は最低0.15MPa以上等、水道法・国交省基準あり。

プールと海、体感圧力は違う?

海水は淡水より2.5%密度が高いため、同じ水深でも海水は約2.5%高い圧力がかかります。人体感覚では差はほぼわかりませんが、精密圧力測定や潜水艇設計では海水/淡水/塩湖(死海=1.24 g/cm³)で密度補正が必須。特に死海では通常の海水より24%高い圧力になります。

スプリンクラーの規定水圧は?

消防法施行令により、スプリンクラーヘッドの放水圧力0.1MPa以上、放水量80L/分以上が基準。屋内消火栓は0.17MPa以上、連結送水管は加圧送水装置で0.35MPa以上が原則。水源から屋上まで水頭圧+摩擦損失を計算した加圧ポンプで対応します。

窒素酔いはなぜ起きる?

高圧下(水深30m〜)で窒素が中枢神経に麻酔作用を及ぼす現象。マティーニ効果とも呼ばれ、10mごとにマティーニ1杯分の酩酊効果があるとの俗説。判断力低下・多幸感・注意散漫が典型症状。予防は深度制限、ヘリウム混合ガス(トライミックス)使用、危険を感じたら浮上。深度による差は個人差大。

水中1m進むごとに何kPa増える?

海水では約10.05kPa(0.1MPa相当×0.1)、淡水では約9.81kPa。工業計算・配管では 1mH₂O ≒ 9.807kPa として使用します。実務では概算「1mで10kPa」で十分な精度。設計・実験では厳密値を使い、20℃/4℃の水温補正も行います。