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単位熱量空調現場実務

BTU↔kW 冷暖房能力 変換ツール|エアコン・冷凍機・業務用空調のスペック一括換算

エアコン・冷凍機・業務用空調の能力を、BTU/h・kW・W・kcal/h・冷凍トン(USRT/JRT)・馬力(HP)間で相互変換。JIS/ISO/JRAIAの基準に基づく畳数目安・電気代目安・COP/APF・輸入エアコンのスペック判断まで一括対応します。空調工事・電気工事・製造業のユーティリティ設計・不動産賃貸物件の空調更新など、現場で必要な単位換算を1画面で完結できます。

最終更新:2026-08-05/監修:計算ツールズ編集部

熱量・能力 変換計算機

計算式と単位系

基本換算式

1 BTU/h = 0.29307 W = 0.000293 kW
1 kW = 3,412.14 BTU/h = 859.85 kcal/h
1 冷凍トン(USRT) = 12,000 BTU/h = 3.5169 kW
1 日本冷凍トン(JRT) = 3,320 kcal/h = 3.861 kW
1 冷凍馬力(HP) = 約 2,500 kcal/h ≒ 2,906 W(業界慣習)
1 kcal/h = 1.163 W

BTU(British Thermal Unit)は「1ポンド(453.6g)の水を華氏1度上昇させるのに必要な熱量」で、米国・輸入家電・海外規格で標準的に使われます。SI単位系ではW(ワット)およびkWが用いられ、1 W = 1 J/s の熱伝達速度を表します。

USRTとJRTの違い

「冷凍トン」は「1トン(USRTは短トン907.2kg、JRTは日本トン1,000kg)の氷を24時間で製造する能力」から派生した単位で、USRT(米国冷凍トン)=12,000 BTU/h≒3.517 kWJRT(日本冷凍トン)=3,320 kcal/h≒3.861 kWと定義が異なります。国内の業務用冷凍機はJRT表示、輸入品はUSRT表示が主流で、混同すると10%程度の能力誤差になります。

冷凍馬力の慣習値

冷凍機業界の「馬力(HP)」は2,500 kcal/h≒2,906 Wという業界慣習値で、電気工学のHP(745.7 W)とは全く別物です。エアコンのカタログに「3馬力=約7.5kW」と書かれる場合、この冷凍馬力慣習で計算されています。

BTU・kW・冷凍トンの違い

能力単位が混在する背景を整理します。

単位定義主な使用場面
BTU/h華氏1度・1ポンド水の熱量/時米国製・輸入家電・海外仕様
kWSI単位系の仕事率日本国内・欧州・カタログ標準
WSI単位系の仕事率電気工事・電力計算
kcal/h水1kgを1℃上昇させる熱量/時厨房・給湯・旧型カタログ
冷凍トン(USRT)1短トンの氷を24時間で製造する能力米国業務用冷凍機
日本冷凍トン(JRT)1メートルトンの氷を24時間で製造する能力国内業務用冷凍機
冷凍馬力(HP)2,500 kcal/h(業界慣習)国内空調業界の会話

家庭用エアコン能力早見表

JIS B 8615-1に基づく能力値と、JRAIA(日本冷凍空調工業会)が示す畳数目安です。木造南向き居間を基準にしています。

能力(kW)BTU/hkcal/h冷房畳数(木造)冷房畳数(鉄筋)暖房畳数(木造)
2.27,5001,8926畳9畳6畳
2.58,5002,1507畳10畳7畳
2.89,5002,4088畳12畳8畳
3.612,3003,09610畳15畳10畳
4.013,6503,44011畳17畳11畳
5.017,0004,29914畳21畳14畳
5.619,1004,81515畳23畳15畳
6.321,5005,41717畳26畳17畳
7.124,2006,10520畳29畳20畳
8.027,3006,87923畳32畳23畳
9.030,7007,73926畳35畳26畳

輸入エアコン(LG・ハイセンス・海外Daikin等)はBTU/h表示が中心のため、上表で日本の畳数目安に換算できます。9,000 BTU(≒2.6kW)は日本の「8畳用」相当、12,000 BTU(≒3.5kW)は「10-12畳用」相当です。

業務用・冷凍機の能力早見

店舗・事務所・工場の業務用パッケージエアコン、コンビニ・スーパー・冷凍倉庫の冷凍機能力です。JRTとUSRTの並列表記に注意してください。

馬力(HP)kWBTU/hkcal/hJRTUSRT用途例
1.53.612,3003,0960.931.02小型店舗・美容室
2.05.017,0004,2991.291.42コンビニ小型
2.56.321,5005,4171.631.79飲食店
3.07.525,6006,4491.942.13中型オフィス
4.010.034,1008,5992.592.84大型飲食店
5.012.542,70010,7483.243.55コンビニ標準
6.015.552,90013,3284.024.41スーパー冷凍
8.020.068,20017,1975.185.69大型オフィス
10.025.085,30021,4966.477.11工場・大型施設
20.050.0170,60042,99312.9514.22大型冷凍倉庫

畳数計算とJRAIAの目安

JRAIA(日本冷凍空調工業会)は「エアコン畳数の目安」を業界共通ルールとして公表しています。1960年頃の断熱性能に基づく古い基準がベースのため、現代の高気密高断熱住宅ではオーバースペックになる傾向があります。

建物構造別の負荷(冷房)

建物構造1畳あたり冷房負荷1畳あたり暖房負荷
木造・和室(南向き)約280 W/畳約350 W/畳
木造・洋室(南向き)約220 W/畳約280 W/畳
鉄筋マンション(南向き)約170 W/畳約220 W/畳
高気密高断熱(G2レベル)約100 W/畳約120 W/畳

詳細計算式(Q値/UA値ベース)

必要能力 (kW) = 床面積(㎡) × 単位負荷(W/㎡) ÷ 1000
木造:160-190 W/㎡(冷房)、200-240 W/㎡(暖房)
鉄筋:100-130 W/㎡(冷房)、130-170 W/㎡(暖房)

より正確には、建物のQ値・UA値、方位、窓ガラス性能、居住人数、家電負荷を含めた「熱負荷計算」を実施します。国土交通省「住宅の省エネルギー基準」による地域区分を用いて、地域補正係数を掛けます(北海道では暖房負荷が沖縄の3倍以上)。

COP・APF・電気代

指標の定義

COP(成績係数) = 定格能力(kW) ÷ 定格消費電力(kW)
APF(通年エネルギー消費効率) = 期間冷暖房能力(kWh) ÷ 期間消費電力量(kWh)

COPは「1kW電気を投入して何kWの熱を移動できるか」の指標。COP 4.0のエアコンは1kW消費で4kWの熱移動が可能。APFはJRAIAが定める東京基準の年間シミュレーション値で、実使用状況に近い比較指標です。

年式別APFの目安

年式APF目安(2.2kW機)電気代(年間)
2005年頃4.5約23,000円
2010年頃5.5約19,000円
2015年頃6.2約17,000円
2020年頃6.8約15,000円
2024年最新7.2約14,000円

電気料金は31円/kWh(東京電力 従量電灯B・2次料金)で試算。10年前の機種から更新すると年間5,000-8,000円節約でき、5-8年で更新費用を回収できる計算になります。

用途別ガイド

家庭用エアコン選定

木造和室ならJRAIAの畳数目安通り、洋室・マンションなら1ランク下でも十分。逆に西日・吹き抜けありなら1ランク上を選ぶ。海外エアコン購入時はBTUをkWに換算し畳数を確認。

業務用パッケージエアコン

飲食店・小売店は「馬力」で選定。3馬力(7.5kW)が20-25坪の目安。厨房や大型窓のある物件は熱負荷計算を実施し、冷房負荷 300 W/㎡ 前後で見積もりを取る。

コンビニ・スーパー冷凍機

冷蔵ショーケース・ウォークインクーラーはJRT(日本冷凍トン)表示が主流。冷凍食品売場は−25℃保管でJRT 5-8トン、生鮮食品は0-5℃でJRT 3-5トン規模が標準。

データセンター・サーバー室

ラック1本あたり5-10kWの発熱があり、その熱除去がそのまま空調負荷。USRT換算でラック1本あたり1.4-2.8 USRT の冷房能力が必要。24時間稼働のためAPF高いターボ冷凍機が有利。

工場・製造ライン

加工機・射出成形機・電気炉の熱負荷を集計し、暖房と冷房の年間バランスを算定。金属加工現場ではJRT表示の冷水チラーで7-9℃の冷水を製造・循環。

不動産賃貸物件の空調更新

10年以上前のエアコンは省エネ性能が現行機の60-70%程度。入居者更新のタイミングで最新機に交換すると、光熱費削減が入居者アピール材料になる。1-2年で費用回収するケースも多い。

よくある間違い・注意点

  • 「冷凍馬力=電気馬力」と混同 — 冷凍馬力は業界慣習値で2,500 kcal/h≒2.9kW。電気工学のHP(745.7 W)とは全く別物。3馬力エアコン=3×745.7W=2.2kWと計算するのは誤り。
  • 「USRT=JRT」と誤解 — USRT(3.517 kW)とJRT(3.861 kW)で約10%の能力差。輸入冷凍機のスペックをそのままJRT扱いすると冷却不足になります。
  • 畳数目安を鵜呑みにする — JRAIAの畳数目安は1960年頃の断熱性能ベース。高気密高断熱住宅では2ランク下でも十分な場合があり、オーバースペックは初期費用と電気代の無駄。
  • APFとCOPを同一視 — COPは定格運転時の瞬間値、APFは年間シミュレーション値。カタログ比較ではAPFで比べるのが実使用に近い。
  • 暖房能力を軽視 — 北日本や高緯度地域では暖房能力が冷房能力の1.3-1.5倍必要。冷房畳数だけで選ぶと冬に能力不足になる可能性。
  • 電気代を「消費電力×時間」で単純計算 — インバーター機は運転状況で消費電力が変動。カタログの期間消費電力量(APF計算根拠)を参照するのが正確。
  • 建物構造補正を忘れる — 木造南向きと鉄筋北向きでは同じ床面積でも冷房負荷が1.5-2倍違う。方位・構造・窓性能を必ず確認。

関連する規格・法令

  • JIS B 8615-1/2 ― ノンダクト形エアコンディショナ/ダクト接続形エアコンディショナ。定格能力・APFの試験方法を規定。
  • ISO 5151 ― Non-ducted air conditioners and heat pumps - Testing and rating for performance. 国際標準の性能試験。
  • JIS C 9612 ― ルームエアコンディショナ。家庭用エアコンの安全・性能要求。
  • 省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律) ― トップランナー制度でエアコンにAPF基準を設定。基準未達品は市場流通不可。
  • 建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律) ― 建築物の一次エネルギー消費量計算に空調負荷計算が含まれる。
  • フロン排出抑制法 ― 業務用エアコン・冷凍機のフロン漏えい点検義務(3ヶ月/1年周期)。
  • 高圧ガス保安法 ― 冷凍機の設備規模・冷媒種類による届出・許可要件。
  • 電気事業法・電気設備技術基準 ― 業務用空調機の設置工事・保安点検要件。

参考文献・公的資料

※本ページの換算値・畳数目安・電気代試算は概算値です。実機のスペック確認、業務用機器の選定、大規模空調設計では、メーカー技術資料・熱負荷計算書、および有資格者(建築設備士・電気工事士・冷凍空調技士等)の判断を優先してください。フロン関連の設備は法令に基づく点検・記録義務があります。

よくある質問(FAQ)

1 BTU/h は何 kW?

1 BTU/h = 0.29307 W = 0.000293 kW。逆に 1 kW = 3,412 BTU/h。輸入エアコンで「12,000 BTU」なら 3.5 kW、「9,000 BTU」なら 2.6 kW に相当します。

冷凍トンとは?USRTとJRTの違いは?

1トンの氷を24時間で製造する冷凍能力。USRT(米国短トン基準)=3.517 kW、JRT(日本メートルトン基準)=3.861 kWで約10%差があります。輸入品はUSRT、国産業務用機はJRT表示が多いので混同注意。

冷凍馬力とは?

空調業界の慣習単位で1 HP = 2,500 kcal/h ≒ 2.9 kW。電気工学の馬力(745.7 W)とは別物です。「3馬力エアコン」なら約7.5-8.7 kW、「5馬力」なら12.5 kW程度。

6畳エアコンの能力は?

日本規格の「6畳用」はほぼ全機種2.2 kW(7,500 BTU/h)。木造和室で6畳、鉄筋マンションなら9畳程度カバー。輸入品の「9,000 BTU」(2.6kW)は日本の「8畳用」に相当。

1kW冷房で電気代はいくら?

COP 4.0の省エネ機なら消費電力250 W、1時間で0.25 kWh。電気代31円/kWhで1時間約8円。8時間運転で64円、月30日で1,920円が2.2kW機(6畳)の目安です。

APFとCOPどちらで選ぶ?

実使用に近い比較にはAPFが適切。COPは定格運転時の瞬間値ですが、APFは東京基準の年間シミュレーション値で、実際の運転パターンに近い評価が可能です。

畳数目安と実際が違う理由は?

JRAIA畳数目安は1960年頃の住宅断熱性能がベース。現代の高気密高断熱住宅では2ランク下でも十分な場合があり、逆に築古の木造は目安通り〜1ランク上が推奨。

暖房能力と冷房能力どちらを重視?

寒冷地は暖房重視、温暖地は冷房重視。北海道・東北では暖房能力が冷房の1.3-1.5倍必要。カタログには「低温暖房能力」も記載されており、外気温2℃以下でも定格能力を出せる機種が寒冷地向け。

輸入エアコン「12000 BTU」は日本の何畳用?

12,000 BTU/h = 3.517 kW で、日本の「10-12畳用」相当。ただし海外エアコンはAPF評価が日本より緩い場合が多く、実使用電気代は日本製の同容量機より1.2-1.5倍かかることも。

冷凍能力と冷房能力は同じ?

物理的には同じ「熱を除去する能力」ですが、冷凍機は−20℃程度、エアコンは20℃程度と稼働温度が違うため、同じ「10 kW」でも用途と機器構成が全く異なります。カタログ換算はできません。

1馬力エアコンの消費電力は?

1馬力=約2.9 kW冷房能力。COP 4.0の機種なら定格消費電力725 W。実使用の平均消費電力は300-500 W程度で、1時間電気代9-16円が目安です。

kcal/hはいつ使う?

厨房設備の熱設計、給湯器のガス消費計算、旧型カタログの残存表記で使用。1 kcal = 4.184 J、1 kcal/h = 1.163 W。国際的にはW/kWへの統一が進んでおり、新規カタログでは減少傾向です。