シュミットハンマーの強度推定計算
【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項
リバウンドハンマー(シュミットハンマー・テストハンマー)の測定値から、JIS A 1155 の考え方で反発度を出し、打撃方向・湿り具合・材齢を補正して日本材料学会式で圧縮強度を推定します。設計基準強度との比較もします。推定値は目安で、強度の判断はコアで確かめます。
シュミットハンマーの強度推定計算ツール
反発度 R の求め方(JIS A 1155)
1か所の測定では、互いに25〜50mmの間隔をもった9点を打撃します。明らかに異常な値、または偏差が平均値の20%以上になる値は採用せず、代わりの測定値を補います。有効な測定値の平均が反発度 R です。国の土木構造物の調査の運用では、1か所20点の平均を使います。
強度の推定式(日本材料学会式)
F = (−18.0 + 1.27 × R0) × α R0 = R + ΔR1 + ΔR2
F は推定圧縮強度(N/mm²)、R0 は基準反発度、ΔR1 は打撃方向の補正値、ΔR2 は測定面の乾燥状況の補正値、α は材齢の補正係数です。
補正の値
打撃方向:水平は0。真上(上向き90°)は負、真下(下向き90°)は正の補正で、反発度によって変わります(下の表)。乾燥状況:測定装置のマニュアルに補正方法がないときは、湿っていて打撃の跡が黒点になる場合 +3、濡れている場合 +5。材齢:材齢28〜91日は補正なし。10日で1.55倍、20日で1.12倍、その間は比例配分。9日以前は推定しない。92日以降も補正しない。
計算例
20点の平均が38.85(小数1桁に丸めて38.9)、水平打撃、乾燥、材齢28日なら、F = −18.0 + 1.27 × 38.9 = 31.4 N/mm² です。
基準反発度 R0 と推定強度(材料学会式・材齢補正なし)
| R0 | 推定強度(N/mm²) |
|---|---|
| 20 | 7.4 |
| 25 | 13.8 |
| 30 | 20.1 |
| 35 | 26.5 |
| 40 | 32.8 |
| 45 | 39.2 |
| 50 | 45.5 |
打撃方向の補正値 ΔR1(真上・真下)
| 反発度 R | 上向き90° | 下向き90° |
|---|---|---|
| 10 | — | +4.4 |
| 15 | — | +4.3 |
| 20 | −7.7 | +4.2 |
| 25 | −6.9 | +4.0 |
| 30 | −6.1 | +3.9 |
| 35 | −5.5 | +3.7 |
| 40 | −5.0 | +3.4 |
| 45 | −4.5 | +3.2 |
| 50 | −4.1 | +2.8 |
土木研究所のFAQの表(JSCE-G 504 による)の値です。熊本県の要領の早見表とは最大0.1の差があり、このツールは強度が小さく出るほうの値を使っています。間の反発度は直線で補間します。
材齢の補正係数 α
| 材齢 | α |
|---|---|
| 9日以前 | 推定しない |
| 10日 | 1.55 |
| 12日 | 1.46 |
| 14日 | 1.38 |
| 16日 | 1.29 |
| 18日 | 1.21 |
| 20日 | 1.12 |
| 22日 | 1.09 |
| 24日 | 1.06 |
| 26日 | 1.03 |
| 28〜91日 | 1.00(補正なし) |
| 92日以降 | 1.00(補正なし) |
乾燥状況の補正値 ΔR2
| 測定面の状態 | ΔR2 |
|---|---|
| 乾燥している | 0 |
| 湿っていて打撃の跡が黒点になる | +3 |
| 濡れている | +5 |
測定装置のマニュアルに補正方法が書かれているときは、そちらに従います。
※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。反発度からの圧縮強度は推定値(目安)です。JIS A 1155 は反発度の測り方を定めた規格で、圧縮強度を測る試験ではありません。強度の判断が必要なときは、コアを採取して圧縮強度試験(JIS A 1107)を行ってください。
シュミットハンマーの強度推定計算の詳しい解説
リバウンドハンマーは、ばねの力でおもり(ハンマー)をコンクリートの表面に打ち付け、跳ね返った距離から表面の硬さを測る道具です。シュミットハンマー、テストハンマーとも呼ばれます。跳ね返りの大きさを数字にしたものが反発度で、硬いコンクリートほど大きくなります。構造物を壊さずに、短い時間で多くの箇所を調べられるのが長所です。
反発度の測り方は JIS A 1155「コンクリートの反発度の測定方法」に定められています。1か所の測定では、互いに25〜50mmの間隔をもった9点を打撃し、明らかに異常な値や、平均値からの偏差が20%以上になる値は採用せず、代わりの測定値を補います。測定面は砥石で平らにし、隅角部やジャンカ(豆板)は避けます。国の土木構造物の調査の運用では、1か所で20点を打撃し、その平均を測定反発度とします。
注意したいのは、JIS A 1155 は反発度の測り方の規格で、圧縮強度を測る規格ではないことです。規格の附属書にも、圧縮強度を測定するものではなく、適切な関係が求められている場合に現場での強度の評価が可能になる、という趣旨が書かれています。反発度から強度を推定するには、反発度と強度の関係を表した式を使います。国の調査で使われているのが日本材料学会式 F=−18.0+1.27×R0 で、ほかの換算式を使うと推定結果が大きく異なることがあるため、この式を使うよう求められています。
R0 は基準反発度で、測った反発度に補正を加えたものです。補正の一つ目は打撃の方向です。ハンマーの中のおもりの戻りは重力の影響を受けるので、真上に向けて打つと跳ね返ったおもりが重力に引かれて戻りやすく反発度は大きく、真下に向けて打つと重力に逆らって戻るので小さく出ます。そのため上向きは負、下向きは正の補正を加えます。上向きで補正を忘れると強度を過大に推定します。反発度30なら、上向き90°で −6.1、下向き90°で +3.9 です。二つ目は測定面の湿り具合で、濡れたコンクリートは反発度が低く出るため、湿っていて打撃の跡が黒点になる場合は +3、濡れている場合は +5 を加えます(測定装置のマニュアルに補正方法がない場合)。
三つ目は材齢です。国の運用では材齢28〜91日の間に測定し、補正係数は用いないことが原則です。工期の都合で早く測るときは、材齢10日で推定強度を1.55倍、20日で1.12倍とし、その間は比例配分します。材齢9日以前は適切な評価が困難なため測定しません。92日以降も推定強度の補正は行いません。かつてはマニュアルの材齢係数で古いコンクリートの強度を割り引く方法もありましたが、補正係数を使っても推定の精度が上がるとは言えないことが分かり、現在の運用になりました。
それでも、反発度は表面の硬さしか見ていないことは忘れないでください。年数のたったコンクリートは表面の炭酸化で硬くなり、反発度が高めに出て、強度を高めに推定しやすくなります。逆に表面が湿っていたり、仕上げモルタルがあったりすると低く出ます。国の調査では、1構造物3か所で測定し、平均が設計基準強度以上かつ1回の結果が設計基準強度の85%以上なら問題なしとし、満たさない場合は周辺5か所で再調査、それでも満たさなければコアを採取して圧縮強度試験(JIS A 1107)を行う流れです。反発度は品質に問題のありそうな構造物を見つけるためのふるいと考えるのが適切です。
測定の前後には、テストアンビルでハンマーを点検します。JIS A 1155 では、点検結果が製造時の反発度から3%以上異なるリバウンドハンマーは測定に使ってはならないとしています。測定後の点検でずれていた場合は、直前の点検以降の測定値は使えません。
このツールでの計算の流れを例で示します。同じ壁で反発度の平均が30だったとき、水平に打撃していれば推定強度は −18.0+1.27×30 = 20.1 N/mm² です。真上(上向き90°)に打撃した値なら補正値 −6.1 を加えて R0=23.9、推定強度は約12.4 N/mm² になります。真下(下向き90°)に打撃した値なら +3.9 を加えて R0=33.9、約25.1 N/mm² です。同じ30でも打撃方向で推定強度が倍近く変わるので、打撃方向の記録が欠かせません。測定面が濡れていた場合は +5 を加えます。
材齢が早い場合の例です。材齢14日で測った推定強度が31.4 N/mm² なら、10日の1.55と20日の1.12を比例配分した係数約1.378を掛けて、28日相当で約43.3 N/mm² と評価します。材齢が若いうちは強度が伸び途中なので、その分を見込む考え方です。逆に言えば、材齢の補正は強度を大きく見せる方向に働くので、材齢の数え方(打設日から何日目か)を間違えないことが大切です。
打撃方向の補正値は、土木研究所の FAQ の表と熊本県の要領の早見表(どちらも JSCE-G 504 の補正図による)で、反発度20〜50の上向き・下向き90°の値を照らし合わせ、差がある箇所は強度が小さく出るほうを使っています。表の外側(上向きで反発度20未満など)は補正値が示されていないため、このツールでは推定しません。±45°などの斜め方向は、2つの資料で値を確かめられなかったため載せていません。
業界・現場での使い方
土木構造物の出来形・品質確認
擁壁・カルバート・橋台などで、材齢28〜91日に3か所測定し、設計基準強度と比べます。
既存建物の調査
耐震診断や改修の前に、コア採取の位置を決めるための事前調査として使います。
型枠の脱型・工程の判断の参考
早い材齢での強度の伸びの目安を見ます(判断はテストピースの圧縮強度で行います)。
不具合箇所の絞り込み
打設不良が疑われる範囲を多数の点で測り、低い箇所を見つけてコアで確かめます。
よくある間違い・注意点
- 推定値を圧縮強度そのものとして扱う — 反発度は表面の硬さです。強度の判断はコアの圧縮強度試験で行います。
- 上下方向に打ったのに補正しない — 上向きは反発度が大きく、下向きは小さく出ます。上向きで補正しないと強度を過大に推定します。打撃方向は必ず記録します。
- 外れ値をそのまま平均に入れる — 平均から20%以上外れた値は捨てて、代わりの測定値を補います。
- 濡れた面で測って補正しない — 濡れた面では反発度が低く出ます。乾燥した面で測るのが原則です。
- ハンマーの点検をしない — テストアンビルで製造時の反発度から3%以上ずれたハンマーは使えません。
関連する規格・公的資料
- JIS A 1155 コンクリートの反発度の測定方法(規格票の閲覧) — 測定点9点・間隔25〜50mm・平均から20%以上外れた値の扱い
- 国立研究開発法人 土木研究所 テストハンマーによる強度推定調査 FAQ — 測定方向(上向き・下向き90°)の補正値
- 国立研究開発法人 土木研究所 — テストハンマーによる強度推定調査の6つのポイント
- 熊本県 テストハンマーによるコンクリート強度推定要領 — 材料学会式・角度補正・乾燥状況補正・材齢補正係数の早見表
- 宮城県 テストハンマーによる強度推定調査 — 材齢による補正(10日1.55倍・20日1.12倍)
- 公益社団法人 土木学会 — JSCE-G 504 硬化コンクリートのテストハンマー強度の試験方法(コンクリート標準示方書[規準編])
- 公益社団法人 日本材料学会 — テストハンマーによる強度推定式(材料学会式)
- 公益社団法人 日本コンクリート工学会 — コンクリートの非破壊試験の研究
- 国土交通省 技術調査課 — 土木コンクリート構造物の品質確保
- 日本産業標準調査会(JISC) — JIS A 1155・JIS A 1107(コアの採取方法及び圧縮強度試験方法)
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
シュミットハンマーで強度はどう推定しますか?
反発度に打撃方向と湿り具合の補正を加えた R0 から、F=−18.0+1.27×R0(日本材料学会式)で推定します。
反発度は何点測りますか?
JIS A 1155 では1か所9点、国の土木構造物の調査の運用では20点です。
外れた値はどうしますか?
平均値からの偏差が20%以上の値は採用せず、代わりの測定値を補います。
反発度30ならどれくらいの強度ですか?
水平・乾燥・材齢28〜91日なら約20.1 N/mm²です。
上向きに打ったときの補正は?
反発度30なら −6.1 です。上向きは反発度が大きく出るため負の補正をします。
下向きに打ったときの補正は?
反発度30なら +3.9 です。
材齢が14日のときは?
推定強度に約1.38を掛けます(10日1.55と20日1.12の比例配分)。
古いコンクリートでも補正しませんか?
国の運用では92日以降も補正しません。ただし炭酸化で反発度が高めに出ることがあり、強度を高めに推定しやすい点に注意します。
推定値が設計基準強度を下回ったら?
国の調査の運用では周辺5か所で再調査し、それでも下回ればコアを採取して圧縮強度試験を行います。
JIS A 1155 で強度が分かりますか?
JIS A 1155 は反発度の測り方の規格で、圧縮強度を測る規格ではありません。