PWMデューティ比と平均電圧
電源電圧とデューティ比、負荷とモータの定格から、平均電圧・実効電圧・推定回転数と分解能を算出します。
PWMデューティ比と平均電圧ツール
平均の電圧は電源電圧×デューティ比で、既定値では24V×60%=14.40Vです。抵抗負荷での実効電圧は電源電圧×デューティ比の平方根で24×0.7746=18.59V、8Ωの負荷に流れる平均電流は14.4÷8=1.80A、消費電力は実効電圧の二乗を抵抗で割って43.2Wになります。定格24V・3,000rpmのモータでは平均電圧に比例して1,800rpm。タイマのクロックを16MHzとすると20kHzでは800段階までしか刻めず、1段階は30.0mVです。
デューティ比と電圧・電力の関係(24V・8Ω)
| デューティ比 | 平均電圧 | 実効電圧 | 消費電力 |
|---|---|---|---|
| 25% | 6.00V | 12.00V | 18.0W |
| 50% | 12.00V | 16.97V | 36.0W |
| 60% | 14.40V | 18.59V | 43.2W |
| 100% | 24.00V | 24.00V | 72.0W |
PWM周波数の選び方
| 周波数 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 100〜500Hz | 可聴音が出やすい | ヒータ・照明の調光 |
| 1〜5kHz | 効率は高いが騒音が残る | 大型モータの制御 |
| 16〜25kHz | 可聴域を外れる | 小型モータ・ファン |
| 50kHz以上 | スイッチング損失が増える | 電源回路 |
※参考計算です。機材の仕様・規格・法令は改定されるため、実機の仕様書と最新の告示を確認してください。
PWMデューティ比と平均電圧の詳しい解説
PWMで電圧を下げているように見えても、実際に出ているのは電源電圧と0Vの矩形波です。負荷が持つ慣性やインダクタンスが変化をならすことで、平均としての電圧が効いてきます。そのため回転数のように平均に応答する量と、発熱のように実効値で決まる量とでは、同じデューティ比でも計算式が変わります。50%で回転数は半分でも、発熱は半分にならない点が混同されやすいところです。
判断が分かれるのはスイッチング周波数です。高くすれば可聴域を外れて静かになり、電流のリップルも小さくなりますが、切り替えのたびに素子で損失が生じるため発熱が増えます。低くすれば効率は上がるものの、うなり音が出てリップルも大きくなります。小型モータでは16kHzから25kHz程度に置くのが一般的で、これは人の耳の上限と素子の損失の折り合いから来ています。
見落とされやすいのが分解能の制約です。設定できる段階数はタイマのクロックを周波数で割った値が上限で、周波数を上げるほど細かく刻めなくなります。ビット数を大きく設定しても、クロックが足りなければ実際にはその段階しか出せません。低速域で滑らかに制御したい場合は、周波数を下げるかクロックの速い機器を選ぶ必要があります。
負荷による違いも大きく、抵抗性の負荷では実効値がそのまま発熱に効きますが、モータのように誘導性の負荷では電流が平滑化されるため平均値に近い挙動になります。始動時は逆起電力がないため大きな電流が流れ、定常時の計算値を大きく上回ります。配線と素子の定格は、この始動電流を基準に選ぶ必要があります。
実装の面では配線と部品の配置が結果を左右します。切り替えのたびに大きな電流が急に変化するため、配線が長いと電圧の跳ね返りが生じ、素子の耐圧を超えることがあります。電源の近くに平滑用の部品を置き、電流の通り道をできるだけ短く閉じるのが基本です。モータのように逆起電力を生じる負荷では、還流の経路を確保しないと切った瞬間に高い電圧が現れます。放熱の設計も含め、実測での確認が欠かせません。素子の温度を測りながら連続運転させると、余裕の有無が判断できます。
業界・現場での使い方
モータ制御の設計
目標の回転数からデューティ比を決め、素子と配線に流れる電流を確認します。
照明の調光
平均電圧と実効電圧の違いを踏まえ、発熱と明るさの関係を見積もります。
ヒータの温度制御
実効電圧から発熱量を求め、必要な電源容量を算出します。
組み込み機器の設計
周波数とビット数から実際に出せる段階数を確認し、制御の粗さを事前に把握します。
よくある間違い・注意点
- 平均電圧と実効電圧を混同する — 回転数は平均値、発熱は実効値で決まるため、同じ計算式では扱えません。
- デューティ比と回転数を厳密な比例と考える — 摩擦や負荷トルクがあるため、低デューティ域では回りません。
- 周波数を上げれば必ず良くなると考える — スイッチング損失が増えて素子の発熱が大きくなります。
- ビット数だけで分解能を判断する — タイマのクロックを周波数で割った値が上限となり、設定値どおりには刻めません。
- 始動電流を見込まない — 逆起電力がない起動直後は定常時を大きく上回る電流が流れます。
関連する規格・公的資料
- 日本産業標準調査会 (JISC) — JIS規格
- 電子情報技術産業協会 (JEITA) — 電子部品・機器
- 日本電機工業会 (JEMA) — 電気機器
- 電気学会 — 電気工学
- 日本機械学会 — 機械工学
- 日本電気協会 — 電気設備の技術基準
- 産業技術総合研究所 — 計量標準
- 製品評価技術基盤機構 (NITE) — 製品安全
- 経済産業省 — 電気用品・産業政策
- 日本ロボット工業会 — 産業用ロボット
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
24Vをデューティ比60%で駆動すると平均電圧は?
14.40Vです。抵抗負荷での実効電圧は18.59Vになります。
なぜ実効電圧のほうが高いのですか?
実効値は二乗平均で求めるためです。デューティ比の平方根に比例し、平均値より大きくなります。
回転数はデューティ比に比例しますか?
無負荷に近い条件では概ね比例しますが、摩擦や負荷があるため低い領域では回り始めません。
PWM周波数はどう決めますか?
小型モータでは可聴域を外れる16〜25kHzが一般的です。大型では効率を優先して低めに設定します。
分解能はビット数で決まりますか?
タイマのクロックを周波数で割った値が上限です。20kHzで16MHzのクロックなら800段階が限界です。
消費電力はどちらの電圧で計算しますか?
抵抗負荷では実効電圧の二乗を抵抗で割ります。平均電圧で計算すると過小評価になります。
低速で振動するのはなぜですか?
デューティ比が低いと1周期あたりのエネルギーが小さく、脈動が回転に現れるためです。
電源に必要な容量はどう見積もりますか?
定常時の消費電力ではなく、始動時のピーク電流を基準に選びます。