計算ツール
マイク距離減衰3対1ルール録音

マイク距離と音量減衰の計算

現在と変更後のマイク距離・他の音源までの距離・指向性から、音圧の差・かぶりの量・3対1ルールの成否を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

マイク距離と音量減衰の計算ツール

距離を変えたときのdB差は20×log10(変更前の距離÷変更後の距離)で求めます。既定値では20cmから40cmへ離すので20×log10(0.5)=−6.02dB、94dB SPLだった音圧は87.98dB SPLまで下がります。同じ録音レベルを保つにはゲインを6.02dB足して36.02dBにします。他の音源が80cm先にあるとき、40cmとの比は20×log10(2)=6.02dBで、単一指向性の側方減衰6dBを加えて12.02dB低く入ります。3対1には120cmが必要なため既定値では不足で、成立する最大距離は26.7cmです。

距離の比と音圧の差(逆二乗則)

距離の変化音圧の差体感
半分に近づける+6.02dB明らかに大きい
0.7倍に近づける+3.10dBやや大きい
1.4倍に離す−2.92dBやや小さい
2倍に離す−6.02dB明らかに小さい
4倍に離す−12.04dB遠くの音に聞こえる

指向性と側方からの減衰の目安

指向性90度方向の減衰向く場面
無指向性0dB環境音や広がりの収録
単一指向性約6dB歌や語りの一般的な収録
超単一指向性約5dB(後方は深い)正面を強く狙う収録
双指向性約15dB以上向かい合った2人の収録

※参考計算です。製品の仕様・材料の比重・気象条件によって実際の値は変わるため、使用する材料の表示と現場での実測で確認してください。

マイク距離と音量減衰の計算の詳しい解説

マイクを離すと音が小さくなるのは、点音源から広がった音のエネルギーが距離の二乗に反比例して薄まるためです。距離が二倍になれば音圧は約6デシベル下がり、四倍なら約12デシベル下がります。この関係は自由な空間で成り立つ理想的なもので、壁の近くや小さな部屋では反射音が加わるため、実際の減り方は計算値よりも緩やかになります。

判断が分かれるのは、近づけるか離すかです。近づければ周囲の雑音や部屋の響きに対して目的の音が相対的に大きくなり、扱いやすい素材が得られます。一方で単一指向性のマイクは近づくほど低音が持ち上がる性質があり、息の破裂音も入りやすくなります。離せば響きを含んだ自然な音になりますが、その分だけ雑音も一緒に大きくなります。

見落とされやすいのが、複数のマイクを立てたときのかぶりです。隣の音源が別のマイクにも入ると、わずかな時間差で同じ音が重なり、特定の周波数が打ち消し合って音色が痩せます。これを避ける経験則が3対1ルールで、マイクと音源の距離の三倍以上を他の音源との間隔として確保します。三倍離せば約9.5デシベルの差がつき、重なりの影響が耳につきにくくなります。

条件による違いも大きく、声量のある歌い手なら離しても十分な音圧が得られますが、弱い楽器では近づけざるを得ません。天井が低い部屋や硬い壁の部屋では反射が強く、計算どおりには下がりません。数値は距離を決める出発点として使い、最後は実際に録って確かめてください。

拡声を伴う場面では、もう一つの制約が加わります。スピーカーから出た音が再びマイクに入るとハウリングが起きるため、マイクと音源の距離を詰めて入力ゲインを下げるほど余裕が生まれます。話者がマイクから離れる分をゲインで補うと、その差だけハウリングの限界に近づきます。会議室でマイクを卓上に置いたまま身体を起こして話す場面が典型で、距離が二倍になれば六デシベル分の余裕を失う計算になります。首に掛ける形や口元に固定する形のマイクが拡声で好まれるのは、距離が一定に保たれ、ゲインを低く抑えられるからです。設置の段階で距離を決めておくことが、後からの調整より効きます。

業界・現場での使い方

録音や配信の準備

距離を変えたときのレベル差を先に把握し、入力ゲインの再設定量を決めます。

複数マイクの配置設計

3対1ルールの成否を確認し、音源どうしの間隔を決めます。

会議や講演の拡声

マイクとスピーカーの距離関係を数値化し、ハウリングの余裕を確保します。

楽器収録のマイキング

指向性ごとの側方減衰を比べ、かぶりの少ない組み合わせを選びます。

よくある間違い・注意点

  • 距離を2倍にして音量が半分になると考える — 音圧は約6dB下がるだけで、体感の大きさはおおよそ3分の2程度にとどまります。
  • 近づければ音が良くなると考える — 単一指向性では低音が持ち上がり、息の破裂音も入りやすくなります。
  • 他の音源との距離を計算に入れない — かぶりが増えると位相の打ち消しで音色が痩せ、後から補正できません。
  • 無指向性でも指向性の効果があると思う — 無指向性は側方の減衰がないため、かぶりは距離の比だけで決まります。
  • 反射の多い部屋で計算値をそのまま使う — 壁や天井からの反射が加わるため、実測では計算ほど下がりません。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

20cmから40cmに離すと何dB下がりますか?

約6.02dB下がります。同じ録音レベルを保つには入力ゲインを6.02dB足してください。

3対1ルールとは何ですか?

マイクと音源の距離の3倍以上を他の音源との間隔として取る経験則です。約9.5dBの差がつき、かぶりの影響が目立ちにくくなります。

既定値で3対1を満たすには?

マイク距離40cmに対し他の音源まで120cm必要です。距離を26.7cm以下にするか、音源どうしを離してください。

指向性を変えるとかぶりはどれだけ減りますか?

側方からの入射では単一指向性で約6dB、双指向性で15dB以上の減衰が見込めます。ただし後方の特性は種類ごとに異なります。

計算値と実測が合わないのはなぜですか?

逆二乗則は反射のない空間を前提としています。部屋の反射が強いと、離しても計算ほど下がりません。

近接効果はどのくらいの距離から出ますか?

単一指向性のマイクではおおむね20cm以内から低音の持ち上がりが目立ち始めます。距離を保つか低域を絞って対応します。

ゲインを上げるとノイズも増えますか?

入力の熱雑音も同じだけ持ち上がります。距離を詰めてゲインを下げるほうが、雑音に対して有利になります。

音圧の入力値はどこで測りますか?

現在のマイク位置での値を入れてください。騒音計や録音機の表示から概算しても差の計算には支障ありません。