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管渠の流下能力計算(マニング式)

【ご注意】このページの計算結果・情報は参考値です。正確性・最新性は保証できません。税務・法務・お金・設計・施工・安全などに関わる判断は、公式の資料と専門家の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。免責事項

管径・勾配・管の材質から、マニング式で下水管や水路の流速と流下能力を計算します。水深比を変えたときの流量、汚水管・雨水管の流速の範囲と最小管径、設計流量に対する余裕も判定します。

最終更新:2026-09-23/監修:計算ツールズ編集部

管渠の流下能力計算(マニング式)ツール

マニング式

管渠や水路を水が自然に流れる(重力で流れる)ときの流速は、マニング式で求めます。下水道の設計で最も使われている式です。

V = (1/n) × R2/3 × I1/2  Q = A × V

V は流速(m/s)、n は粗度係数(管の内面の粗さ)、R は径深(m)、I は勾配(小数。5‰なら0.005)、A は通水断面積(m²)、Q は流量(m³/s)です。

径深 R の求め方

径深は「水が流れている断面積 ÷ 水が壁に触れている長さ(潤辺)」です。壁との摩擦に対して、どれだけの水が流れているかを表します。

満管の円形管:R = D/4  矩形の開水路:R = B×h ÷ (B+2h)

水深が途中までの円形管は、中心角 θ = 2×arccos(1−2h/D) を使って A = D²/8 × (θ − sinθ)、潤辺 P = D×θ/2 として求めます。

計算例

内径300mm の鉄筋コンクリート管(n=0.013)を5‰の勾配で満管にした場合、R = 0.3/4 = 0.075 m、R2/3 = 0.1778、I1/2 = 0.0707 です。流速は V = 0.1778 × 0.0707 ÷ 0.013 = 0.967 m/s、断面積は 0.0707 m² なので、流量は 68.4 L/s です。同じ条件で塩ビ管(n=0.010)にすると 1.258 m/s・88.9 L/s と、3割増しになります。

粗度係数 n の目安

管・水路の種類n備考
硬質塩化ビニル管・強化プラスチック複合管0.010下水道の設計で一般に使う値
鉄筋コンクリート管(ヒューム管)・陶管0.013下水道の設計で一般に使う値
現場打ちコンクリート・U字溝0.015前後仕上げの状態で変わる
素掘りの土水路0.025前後草や石で大きく変わる

円形管の満管流量(n=0.013 の例)

内径勾配流速流量
250 mm5 ‰0.857 m/s42.1 L/s
300 mm3 ‰0.749 m/s53.0 L/s
300 mm5 ‰0.967 m/s68.4 L/s
400 mm3 ‰0.908 m/s114.1 L/s
500 mm2 ‰0.860 m/s168.9 L/s
600 mm2 ‰0.971 m/s274.6 L/s
800 mm1.5 ‰1.019 m/s512.1 L/s
1,000 mm1 ‰0.965 m/s758.2 L/s

水深比と流量・流速(円形管・満管を1とした比)

水深比流量の比流速の比
20%0.0880.615
30%0.1960.776
50%0.5001.000
70%0.8371.120
80%0.9771.140
93.8%1.076(最大)1.104
100%(満管)1.0001.000

設計の目安(公共下水道の本管)

項目汚水管雨水管・合流管
流速の範囲0.6〜3.0 m/s0.8〜3.0 m/s
最小管径200 mm250 mm
流量の余裕管径600mm以下で100%程度満管で計画流量を流す

※入力した内容はお使いのブラウザの中だけで処理され、サーバーには送信されません。この計算はマニング式による等流計算で、管路の計画・設計の見当をつけるための概算です。背水・圧力流・マンホールでの損失は含みません。実際の設計は、管理者(自治体)の基準と下水道施設計画・設計指針に基づき、技術者の確認を経て行ってください。

管渠の流下能力計算(マニング式)の詳しい解説

下水管や側溝のように、ポンプを使わず重力で水を流す管路を「自然流下」といいます。自然流下の管がどれだけの水を流せるかは、管の太さ・勾配・内面の粗さの3つで決まります。この3つを結びつけるのがマニング式で、下水道の設計ではほぼこの式が使われています。

マニング式の中で見落とされやすいのが径深 R です。径深は、水が流れている断面積を、水が壁に触れている長さ(潤辺)で割った値です。壁との摩擦が流れを遅くするので、同じ断面積でも壁に触れる部分が少ないほど速く流れます。円形管を満管にしたときの径深は内径のちょうど4分の1で、内径300mmなら0.075mです。流速は径深の2/3乗に比例するので、管径を2倍にすると流速は約1.59倍、流量は約6.35倍になります。管径を1段上げるだけで流下能力が大きく伸びるのはこのためです。

勾配の効き方は穏やかです。流速は勾配の平方根に比例するので、勾配を2倍にしても流速は約1.41倍にしかなりません。道路の縦断や既設管との接続で勾配を取れないときは、勾配でなく管径で能力を稼ぐのが定石です。

粗度係数 n は管の内面の粗さを表します。下水道の設計では、硬質塩化ビニル管と強化プラスチック複合管に0.010、鉄筋コンクリート管と陶管に0.013を使うのが一般的です。n は分母にあるので、0.013を0.010にすると流速は1.3倍になります。同じ内径300mm・5‰でも、コンクリート管なら68.4L/s、塩ビ管なら88.9L/sです。

円形管には直感に反する性質があります。満管より少し水位が低いほうが、たくさん流れるのです。水深比が93.8%のとき流量は満管の約1.076倍になり、そこから満管に近づくと管の頂部の壁が潤辺に加わって摩擦が増え、流量が落ちます。流速も水深比80%あたりで満管の1.14倍になります。ただし、この最大値は水位のわずかな変動で失われる不安定なものなので、設計は満管の値で行うのが原則です。

流速には上限と下限があります。遅すぎると、汚水に含まれる固形物や雨水とともに入った土砂が管の底に沈み、堆積して管を詰まらせます。汚水管では0.6m/s、雨水管と合流管では0.8m/sが下限の目安です。速すぎると管の内面が砂で削られて摩耗するので、上限は3.0m/sが目安です。下流ほど流量が増えるので、下流に向かって流速が少しずつ速くなるように勾配を決めていくのが基本です。

汚水管にはもう1つ、余裕の考え方があります。汚水量の予測には幅があり、地下水の浸入もあるため、管径600mm以下の小さな管では計画汚水量の100%程度、つまり計画量の2倍を流せる管を選ぶのが目安とされています。このツールの判定は、この目安に沿っています。雨水管と合流管は、満管の流下能力で計画雨水量を流せるかで判定します。

最後に、このツールが扱えないケースについて。マニング式は、同じ水深で流れ続ける「等流」の計算です。下流の水位が高くて水がせき上がる場合や、満管を超えて管に圧力がかかる場合、マンホールで流れが乱れる場合には、別の計算が必要になります。管路全体の設計ではなく、1本の管の能力の見当をつけるためにお使いください。

業界・現場での使い方

下水道の管路設計

計画流量から管径と勾配の組み合わせを探し、流速の範囲と余裕を確かめます。

開発行為・宅地造成の協議

接続先の既設管の流下能力を出し、流し込む排水量が収まるかを確認します。

道路の側溝・排水路

U字溝や矩形水路の幅と水深から、流せる雨水の量を出します。

既設管の能力点検

浸水被害が出た区間の管径と勾配から、当初の能力を逆算して不足を把握します。

施工時の勾配管理

現場で取れた勾配で能力と流速が確保できているかを確かめます。

よくある間違い・注意点

  • 勾配を%で入れてしまう — 下水道の勾配は‰(1000分のいくつ)で表します。5‰は0.5%です。
  • 水深比93.8%の最大値で設計する — 不安定な値です。設計は満管の流下能力で行います。
  • 勾配を急にすれば解決すると考える — 流速は勾配の平方根にしか比例せず、上限の3.0m/sを超えると摩耗します。管径で稼ぐのが定石です。
  • 汚水管に余裕を見込まない — 小口径の汚水管は計画量の2倍程度を流せる管を選ぶのが目安です。
  • 背水の影響を無視する — 下流の水位が高いと、マニング式の能力は出ません。接続先の水位を確かめます。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

マニング式とは何ですか?

重力で流れる水の流速を、径深・勾配・粗度係数から求める式です。V=(1/n)×R^(2/3)×I^(1/2) です。

内径300mmの下水管はどれだけ流せますか?

鉄筋コンクリート管で5‰なら満管で約68.4L/s、流速0.967m/sです。

粗度係数はいくつを使いますか?

下水道では塩ビ管・強化プラスチック複合管に0.010、鉄筋コンクリート管・陶管に0.013が一般的です。

径深とは何ですか?

通水断面積を潤辺(水が壁に触れる長さ)で割った値です。満管の円形管では内径の1/4です。

満管より少し低いほうが流れるのは本当ですか?

本当です。水深比93.8%で満管の約1.076倍になります。ただし設計は満管の値で行います。

汚水管の流速の範囲は?

0.6〜3.0m/sが目安です。雨水管・合流管は0.8〜3.0m/sです。

下水管の最小管径は?

公共下水道の本管で、汚水管200mm、雨水管・合流管250mmが標準です。

‰とは何ですか?

パーミルで、1000分のいくつを表します。5‰は1000m進んで5m下がる勾配で、0.5%です。

管径を2倍にすると流量は何倍になりますか?

同じ勾配・同じ材質なら約6.35倍です。断面積が4倍、流速が約1.59倍になるためです。

U字溝にも使えますか?

使えます。断面の形で矩形を選び、幅と水深を入れてください。