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蓄熱槽氷蓄熱冷凍トンピークカット

蓄熱槽の容量計算

ピーク冷房負荷・運転時間・蓄熱率・利用温度差から、蓄熱量(冷凍トン時)と必要な槽容積を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

蓄熱槽の容量計算ツール

日積算冷房熱量はピーク負荷×平均負荷率×運転時間で、350kW×70%×12h=2,940kWh。蓄熱率40%を掛けた1,176kWhが蓄熱すべき熱量です。1冷凍トンを3.516kWとすると1,176÷3.516=334.5RT・h。水蓄熱の槽容積は蓄熱量×3,600÷(水の比熱4.186×1,000×利用温度差)を槽効率0.9で割って1,176×3,600÷(4,186×8)÷0.9=140.5m3になります。夜間8時間で蓄えるための冷凍機能力は1,176÷8=147.0kW、昼間の必要能力は(2,940−1,176)÷12=147kWでピークカット率は58.0%です。

蓄熱方式による槽容積の違い(蓄熱量1,176kWhの場合)

方式利用温度差必要な槽容積
水蓄熱 (温度差5℃)5℃約224.8m3
水蓄熱 (温度差8℃)8℃約140.5m3
水蓄熱 (温度差12℃)12℃約93.7m3
氷蓄熱 (温度差8℃相当)潜熱を利用約35.1m3

蓄熱率とピークカットの関係(ピーク350kW・負荷率70%)

蓄熱率蓄熱量昼間の必要能力
20%588kWh196.0kW
40%1,176kWh147.0kW
60%1,764kWh98.0kW
100%2,940kWh0kW

※参考計算です。材料の仕様・現場条件・適用される規準によって値は変わるため、製品資料と最新の規準で確認してください。

蓄熱槽の容量計算の詳しい解説

蓄熱槽が成立するのは、冷房負荷が1日のうち特定の時間帯に集中し、夜間は熱源機がほとんど動いていないからです。夜のうちに冷水や氷を作って昼間に使えば、熱源機の容量をピークに合わせる必要がなくなり、契約電力を抑えられます。蓄熱率はこの移し替えをどこまで行うかを示す指標で、上げるほど昼間の機器容量は減りますが、槽と夜間の機器容量が大きくなります。

判断が分かれるのは水蓄熱と氷蓄熱の選択です。水蓄熱は温度差だけで熱を蓄えるため、同じ熱量を貯めるのに大きな容積が要ります。躯体を利用できる新築では成立しますが、後から設けるには置き場所が問題になります。氷蓄熱は融解潜熱を使うため容積が4分の1程度で済む一方、製氷のために冷凍機を低い蒸発温度で運転する必要があり、効率が落ちます。容積の制約と運転効率のどちらを重く見るかで結論が変わります。

見落とされやすいのは利用温度差です。槽容積は温度差に反比例するため、5℃で設計するか12℃で設計するかで容積は倍以上違います。ただし温度差を大きく取るには送水温度を下げるか還り温度を上げる必要があり、二次側のコイルや配管の設計と一体で決めなければなりません。実際の運用では設計どおりの温度差が出ず、槽の一部しか使えていない事例が多く見られます。

条件による違いも押さえます。負荷率の想定が甘いと日積算熱量を見誤り、槽が過大または過小になります。中間期は負荷が小さく蓄熱量を減らす運用が要り、制御が固定されていると夜間に無駄な蓄熱を行います。電力料金の時間帯区分は契約と地域によって異なるため、経済性の評価は実際の料金メニューで行う必要があります。躯体蓄熱の場合は建築側の断熱や防水と一体の検討が必要で、設備単独では決められません。

維持管理の負担も比較の対象になります。水蓄熱槽は容積が大きく、槽内の水質管理と定期的な点検清掃が必要で、槽が地下二重スラブを利用したものであれば漏水の確認も加わります。氷蓄熱は槽が小さく管理は軽くなりますが、製氷用の熱交換器やブラインの管理が新たに生じます。運転制御も蓄熱量の予測に基づく計画運転が必要で、翌日の負荷を読み違えると蓄熱の過不足が出ます。導入後の運転員の体制まで含めて、方式を選ぶ段階で確認しておくと後の運用が安定します。

業界・現場での使い方

熱源計画の比較検討

蓄熱ありとなしで熱源機の容量と契約電力を比較します。

蓄熱槽の容積検討

利用温度差と方式を変えた場合の必要容積を試算し、設置スペースと照合します。

夜間電力の活用検討

夜間に必要な冷凍機能力を求め、運転計画と料金メニューを検討します。

既存蓄熱槽の運用改善

設計温度差と実際の温度差を比較し、槽の利用率を確認します。

よくある間違い・注意点

  • ピーク負荷を1日中続く前提で計算する — 平均負荷率を掛けないと日積算熱量を大きく見誤ります。
  • 利用温度差を確認せずに容積を決める — 容積は温度差に反比例し、5℃と12℃で倍以上変わります。
  • 氷蓄熱の効率低下を見込まない — 製氷運転では蒸発温度が下がり、冷凍機の効率が落ちます。
  • 槽効率を100%として計算する — 成層の乱れや熱損失があり、実際に使える熱量は貯めた量より少なくなります。
  • 料金メニューを確認せずに経済性を判断する — 時間帯区分と単価は契約と地域で異なり、効果額が変わります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

ピーク350kWで蓄熱率40%なら容積はどれくらいですか?

水蓄熱・利用温度差8℃で約140.5m3、蓄熱量は334.5RT・hです。

冷凍トン時とは何ですか?

1冷凍トン(約3.516kW)の能力を1時間続けた熱量です。蓄熱量の表現によく使われます。

蓄熱率はどの程度に設定しますか?

30〜50%から検討することが多い範囲です。契約電力の削減目標と設置スペースで決まります。

氷蓄熱の容積が小さいのはなぜですか?

氷の融解潜熱を利用するため、同じ熱量を貯めるのに必要な体積が小さくなります。

槽効率0.9とは何の効率ですか?

成層の乱れや熱損失で使えない分を見込んだ係数です。実際は槽の形状と運転方法で変わります。

夜間の冷凍機能力はどう決まりますか?

蓄熱すべき熱量を夜間蓄熱時間で割った値です。蓄熱時間が短いと大きな能力が要ります。

ピークカット率が高いほどよいのですか?

契約電力は下がりますが、槽と夜間機器が大きくなります。総コストで判断します。

中間期はどう運用しますか?

負荷が小さいため蓄熱量を減らす制御が要ります。固定運転では夜間に無駄な蓄熱が生じます。