計算ツール
入線張力側圧管路布設ケーブル工事

ケーブル 入線張力と側圧の計算

管路の延長・曲がりの角度と回数・摩擦係数から、ケーブル入線の累積張力と曲がり部の側圧、許容値に対する比を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

ケーブル 入線張力と側圧の計算ツール

直線部の張力は摩擦係数×単位重量×重力加速度×延長、曲がり部は通過するたびにe(摩擦係数×角度)倍されます。既定値では区間長20mごとに0.35×4.0×9.807×20=274.6N が加わり、90度の曲がりで1.733倍になります。3区間を積み上げると累積の張力は1,574.9N。最後の曲がりを出た時点は1,300.4Nで、曲率半径1.0mでの側圧は1,300.4N/mです。許容張力は70N/mm2×180mm2=12,600Nなので、比は12.50%に収まります。

管路の状態と摩擦係数の目安

条件摩擦係数備考
合成樹脂管・潤滑剤あり0.2〜0.3最も軽い条件
鋼管・潤滑剤あり0.3〜0.4一般的な条件
鋼管・潤滑剤なし0.5〜0.7張力が倍近くになる
コンクリート管・砂の混入0.7〜1.0入線を避けたい条件

曲がりの角度と張力の増加倍率(摩擦係数0.35)

角度倍率2か所での累積
30度1.20倍1.44倍
45度1.32倍1.73倍
90度1.73倍3.00倍
180度3.00倍9.02倍

※参考計算です。規格・規程・メーカーの推奨条件は改定されるため、施工前に最新の資料と現場条件を確認してください。

ケーブル 入線張力と側圧の計算の詳しい解説

入線張力の計算で曲がりが決定的に効くのは、そこで働くのが足し算ではなく掛け算だからです。直線部では摩擦力が距離に比例して積み上がりますが、曲がり部ではベルトが滑車を回るのと同じ関係が成り立ち、通過前の張力に指数関数の倍率がかかります。摩擦係数0.35で90度を曲がるだけで1.73倍、二か所続けば3倍です。延長を短くするより曲がりを減らすほうが効果が大きいのは、この構造によります。

判断が分かれるのは曲がりの位置です。同じ本数の曲がりでも、引き込み口に近い側にあるか終端に近い側にあるかで累積の張力は大きく変わります。張力の低い区間で曲げ、直線を最後に持ってくる配置が有利になるため、引き入れる方向を逆にするだけで成立する場合があります。ウインチを置く位置と繰り出し側の配置は、施工計画の段階で張力の計算とあわせて決めるべき事項です。

見落とされやすいのが側圧です。累積の張力が許容値の範囲でも、曲率半径の小さい箇所では単位長さあたりの押しつけ力が過大になり、絶縁体が変形したり導体が偏心したりします。側圧は張力を曲率半径で割った値なので、半径を倍にすれば半分になります。マンホール内で無理に曲げる計画は、張力の計算では問題なく見えても側圧で不合格になることがあります。曲率半径はケーブルの最小曲げ半径だけでなく、側圧の観点からも確認が要ります。

条件による差も無視できません。潤滑剤の有無で摩擦係数は倍近く変わり、管内に砂や水が入っていればさらに上がります。上り勾配では自重が加わり、下り勾配では逆に軽くなります。多条布設では相互の接触で実質的な摩擦が増すため、一条の計算をそのまま当てはめると不足します。冬季の低温では被覆が硬くなり、曲がり部での抵抗が増える傾向があります。

許容値そのものにも幅があります。導体の許容張力は銅でおおむね70N/mm2が目安とされますが、けん引方法によって変わり、より線グリップを使う場合と引留金具を使う場合では前提が異なります。実際の施工では張力計を入れて実測し、計算値との乖離が大きければ途中で中止する判断が必要です。

業界・現場での使い方

管路布設の施工計画

延長と曲がりの構成から張力を予測し、引き入れ方向とウインチの配置を決めます。

マンホール間の区間割り

許容張力を超える区間を洗い出し、中間で引き直す計画に反映します。

曲率半径の検討

側圧から必要な曲率半径を求め、管路の設計に反映します。

入線作業の安全管理

張力計の設定値を事前に決め、超過時の中止基準を共有します。

よくある間違い・注意点

  • 曲がりの影響を角度の足し算で見る — 曲がりでは指数関数の倍率がかかるため、足し算では大幅に過小評価します。
  • 側圧を確認せず張力だけで判断する — 許容張力内でも曲率半径が小さいと側圧で絶縁体が損傷します。
  • 潤滑剤の有無を計算に反映しない — 摩擦係数が倍近く変わり、張力の予測が実際と合わなくなります。
  • 多条布設を一条の計算で代用する — 相互の接触で摩擦が増し、計算値より大きな張力が必要になります。
  • 引き入れ方向を検討しない — 曲がりを張力の低い側に置くだけで、累積張力が大きく下がる場合があります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

延長60m・90度の曲がり2か所での張力はいくつですか?

既定条件で累積1,574.9Nです。許容張力12,600Nに対して12.50%に収まります。

側圧の許容値はどの程度ですか?

一般に4,900N/m前後が目安とされています。既定条件では1,300.4N/mで26.5%の水準です。

摩擦係数はどう決めればよいですか?

潤滑剤を使う鋼管で0.3〜0.4、潤滑剤なしでは0.5〜0.7が目安です。管内の状態で大きく変わります。

曲がりを減らすのと延長を短くするのはどちらが有効ですか?

曲がりの削減です。90度が1か所減るだけで累積張力が4割前後下がります。

許容張力はどう求めますか?

銅導体でおおむね70N/mm2に総断面積を掛けた値が目安です。けん引の方法により前提が変わります。

上り勾配がある場合はどうしますか?

自重の分が加算されるため、勾配区間の高低差に単位重量と重力加速度を掛けた値を足して評価します。

張力が許容値を超える場合の対処は?

中間のマンホールで区切って引き直す、引き入れ方向を変える、潤滑剤を追加するといった方法があります。

曲率半径はどこまで小さくできますか?

ケーブルの最小曲げ半径と側圧の両方を満たす必要があります。既定条件では0.27mが下限です。