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あと施工アンカー引抜力コーン破壊コンクリート

あと施工アンカーの許容引抜力計算

アンカーの呼び径・有効埋込深さ・コンクリート強度・へりあきから、コーン破壊耐力と鋼材耐力、許容引抜力と安全率を算出します。

最終更新:2026-05-06/監修:計算ツールズ編集部

あと施工アンカーの許容引抜力計算ツール

コーン破壊の投影面積はπ×有効埋込深さ×(有効埋込深さ+呼び径)です。既定値のM12・埋込60mmではπ×60×72=13,572 mm2。コーン破壊耐力は0.31×√21×13,572=19.28 kNで、へりあき100mmと間隔200mmはいずれも低減の条件に当たりません。鋼材の降伏耐力は有効断面積84.3mm2×235=19.81 kNとなり、小さいほうの19.28kNが短期の許容引抜力です。長期はその3分の2で12.85 kN、作用5kNに対する安全率は2.57倍になります。

呼び径ごとの有効断面積と鋼材耐力(SS400相当)

呼び径有効断面積降伏耐力(短期)標準の埋込深さ
M1058.0 mm213.6 kN40〜50 mm
M1284.3 mm219.8 kN50〜60 mm
M16157 mm236.9 kN60〜80 mm
M20245 mm257.6 kN80〜100 mm

耐力を低減する条件

条件判定の目安扱い
へりあきが小さい有効埋込深さの1.5倍未満比例して低減
アンカーが近接有効埋込深さの2倍未満コーンの重なりを低減
ひび割れ部への施工ひび割れ幅0.3mm程度2〜3割の低減を見込む
上向き施工天井面への施工接着系は専用品を使用

※参考計算です。規準・示方書・製品仕様は改定されるため、実施設計では最新の告示と材料メーカーの技術資料で確認してください。

あと施工アンカーの許容引抜力計算の詳しい解説

あと施工アンカーの引抜耐力は、鋼材が伸びて切れるか、コンクリートが円錐状に抜けるかのどちらか小さいほうで決まります。コーン破壊の耐力は投影面積に比例し、その面積は埋込深さのほぼ二乗で増えます。つまり呼び径を上げるより埋込深さを深くするほうが効きます。浅い埋込みでは鋼材が健全なままコンクリートだけが抜けるため、ボルトの強度区分を上げても耐力は変わりません。設計の第一手は深さの確保です。

判断が分かれるのは、へりあきと間隔の低減をどこまで見込むかです。コーンが自由端で切れたり隣のコーンと重なったりすると、期待した投影面積が確保できません。設計指針では有効埋込深さの1.5倍のへりあき、2倍の間隔を確保できない場合に低減を求めています。既存躯体では鉄筋位置の制約からこの寸法を取れないことが多く、深さを増して低減率を下げるか、本数を増やして1本あたりの負担を下げるかの選択になります。

見落とされやすいのは母材の状態です。設計基準強度は新設時の値であり、中性化や凍害が進んだ既存躯体では実強度が下回ることがあります。引張応力でひび割れの入っている部位ではコーン破壊耐力が2割から3割落ちるとされ、梁の下端や床スラブの中央は特に注意が要ります。施工面では孔内の切粉の残留が接着系アンカーの付着を大きく損ないます。ブロワーとブラシによる清掃回数が実耐力を左右します。

種類による違いも整理しておきます。金属拡張アンカーは施工が速い反面、拡張部でコンクリートに割裂力を与えるためへりあきの影響を強く受けます。接着系アンカーは付着で伝えるので割裂は小さいものの、硬化時間と温度管理が必要で、上向き施工には専用の製品が要ります。いずれの方式でも、重要な部位では現場での引抜試験による確認が求められます。設計値の採用は構造設計者の判断によります。

数量の詰め方としては、まず必要な引抜力を明確にし、次に確保できる埋込深さとへりあきを現場条件から決め、最後に本数を割り付けます。既存躯体では床スラブの厚みが埋込深さの上限になるため、深さを取れない場合は本数で補うことになります。貫通させてよい部位なら貫通ボルトに切り替えるほうが、耐力もばらつきも安定します。

業界・現場での使い方

設備機器の固定

架台や配管支持の引抜力に対し、埋込深さと本数の組合せを検討します。

耐震補強の計画

既存躯体への鉄骨ブレース取付けで、あと施工アンカーの必要本数を求めます。

看板・手すりの取付け

風荷重による引抜力に対して、へりあき寸法を含めた成立性を確認します。

施工計画書の作成

低減条件の有無を明示し、引抜試験の判定荷重を設定します。

よくある間違い・注意点

  • 鋼材の強度だけで耐力を見る — 浅い埋込みではコーン破壊が先に起こり、ボルトの強度区分を上げても耐力は増えません。
  • へりあきの低減を見込まない — 有効埋込深さの1.5倍未満では投影面積が欠け、想定の耐力に届きません。
  • アンカーを近づけて配置する — 隣り合うコーンが重なると、本数分の耐力は得られません。
  • 孔内の清掃を省く — 切粉が残ると接着系の付着が大きく落ち、実耐力が設計値を下回ります。
  • ひび割れ部への施工を同じ条件で扱う — 引張ひび割れのある部位では2〜3割の低減を見込む必要があります。

関連する規格・公的資料

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。

よくある質問(FAQ)

M12を60mm埋め込んだときの許容引抜力はいくつですか?

Fc21のとき短期19.28kN、長期12.85kNです。作用5kNに対して安全率2.57倍になります。

埋込深さと呼び径のどちらを優先すべきですか?

コーン破壊耐力は深さのほぼ二乗で増えるため、まず深さを確保するほうが効率的です。

へりあきはどれだけ必要ですか?

有効埋込深さの1.5倍が目安です。確保できない場合は不足分に応じて耐力を低減します。

金属系と接着系はどちらが強いですか?

同じ埋込深さなら接着系のほうがへりあきの影響を受けにくい傾向です。硬化時間と温度管理が別途必要になります。

引抜試験は必要ですか?

重要な部位では確認試験が求められます。設計値の3分の1程度を確認荷重とする運用が一般的です。

鉄筋に当たったときはどうしますか?

位置をずらして再穿孔します。鉄筋を切断すると母材の耐力を損なうため、鉄筋探査で事前に位置を把握してください。

せん断力が同時に働く場合は?

引張とせん断の組合せで検定します。それぞれの検定比の二乗和が1以下となることが一つの目安です。

この数値をそのまま設計に使えますか?

概算の目安です。製品ごとの技術資料と構造設計者の判断に基づいて決定してください。