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トラッキングエラー計算機|ベンチマーク乖離度の標準偏差

トラッキングエラー(TE)を計算する無料電卓。月次超過リターン12ヶ月を入力すると、年率TE値と乖離リスクを瞬時算出し、パッシブ運用相当(1%未満)/エンハンストβ(1-3%)/保守的アクティブ(3-6%)/積極的アクティブ(6-10%)/超アクティブ(10%超)の5段階で判定します。トラッキングエラーは「ファンドリターンとベンチマーク(インデックス)リターンの差の標準偏差を年率化した値」で、ファンドがどれだけ「ベンチマークから外れて運用しているか」を測る定量指標。純粋なインデックスファンドは0.5%以下、スマートβ・ファクター戦略で1-3%、アクティブ集中投資では10%を超えることも。IR(インフォメーションレシオ)= α ÷ TEの分母として使われ、CFA(公認金融アナリスト)試験・機関投資家のマンデート契約でも標準的に開示される指標です。

最終更新:2026年7月28日/監修:計算ツールズ編集部

トラッキングエラーツール

計算式と年率化ルール

トラッキングエラー(TE)は、ファンドリターンとベンチマーク(インデックス)リターンの差の標準偏差を年率化したもの。「ベンチマークからどれだけ外れて運用しているか」を測る指標で、アクティブ度合いを定量的に表します。インデックス連動を目指すパッシブ運用ではTEは1%以下、積極的なアクティブ運用では5〜10%以上になることがあります。TEはリスクの一種であり、TEが高いほどベンチマークからの乖離が予想外に大きくなる可能性があります。

TE = √(Σ(超過リターン − 平均超過リターン)² ÷ (n−1)) × √(年率化係数)
・月次データの場合:月次標準偏差 × √12
・週次データの場合:週次標準偏差 × √52
・日次データの場合:日次標準偏差 × √252
超過リターン = ファンドリターン − ベンチマークリターン

「不偏標準偏差」(分母n-1)を使うのが標準。月次データから年率化する場合、月次標準偏差を√12倍(≒3.46倍)します。TEは「ベンチマークと違う方向に動くリスクの大きさ」を表し、正の超過リターンでも負の超過リターンでもリスクとしてカウントされます。TEが小さい=ベンチマークに追随している、TEが大きい=ベンチマークから乖離した独自運用、と解釈されます。

年率化係数の一覧(データ頻度別)

データ頻度年率化係数実務での使い方
日次√252 ≒ 15.87ヘッジファンド・高頻度戦略
週次√52 ≒ 7.21ETF・オルタナ運用
月次√12 ≒ 3.46投信の運用報告書(最頻)
四半期√4 = 2.00年金基金・長期運用評価

同じファンドでもデータ頻度でTE値が変わる。運用会社間の比較は同じ頻度で行うのが原則。

TE水準による運用分類

TEの水準は運用スタイルの分類指標として使われ、機関投資家のマンデート契約でも「TE上限3%以内」「TE目標5〜7%」といった形で明示されます。TE=0が理想なのはインデックス連動ファンドだけで、アクティブ運用にとってはTE=0だとα(超過収益)も0になり存在意義がなくなります。

TE水準運用分類典型例期待IR
< 0.5%フルインデックス(完全複製)eMAXIS Slim S&P500、SBI・V・S&P500-
0.5-1%準パッシブ(サンプリング複製)大型TOPIX・全世界株ETF-
1-3%エンハンストβ・スマートβファクター戦略・低ボラティリティ0.3-0.6
3-6%保守的アクティブ大型株コア・全体型ファンド0.4-0.8
6-10%積極的アクティブテーマ型・成長株集中0.5-1.0
> 10%超アクティブ・集中投資ヘッジファンド・新興国株0.5-1.5

期待IR(インフォメーションレシオ)=α÷TE。TEが高いほど期待IRは低くなる(分母が大きいため)。優秀なアクティブファンドはIR=1.0前後、平均的なアクティブファンドは0.3-0.5、パッシブファンドはIR概念自体を適用しない。

代表的なファンドの実測TE

実際に日本の主要インデックスファンド・アクティブファンドが公表する年率TEの目安。運用報告書や投資信託説明書(目論見書)で確認可能。数値は市況によって年ごとに変動します。

インデックスファンドの年率TE(低いほど優秀)

ファンドベンチマーク年率TE目安
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)S&P5000.1-0.3%
SBI・V・S&P500S&P5000.2-0.4%
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)MSCI ACWI0.3-0.5%
ニッセイTOPIXインデックスTOPIX0.2-0.4%
eMAXIS Slim 先進国株式MSCI KOKUSAI0.3-0.5%
SBI・新興国株式FTSE EM0.8-1.2%

アクティブファンドの年率TE(高いほどアクティブ)

ファンド分類典型的なTE特徴
大型株コア・全体型3-5%大型優良株中心・保守的
中小型株成長型6-9%グロース株集中・ボラ高い
テーマ型(AI・EV・ESG)8-12%セクター集中・トレンド追随
ロングショート(ヘッジファンド型)4-8%買い持ち+空売り
新興国株式アクティブ10-15%流動性リスク・地政学リスク

出典:モーニングスター、投資信託協会、各運用会社の運用報告書

IR・シャープレシオ・βとの関係

TEは単独で使うより、α(アルファ)・IR(インフォメーションレシオ)・シャープレシオ・β(ベータ)と組み合わせて解釈するのが実務標準。各指標の役割分担を理解することでファンド評価の解像度が上がります。

指標計算式意味
α(アルファ)ファンドリターン − ベンチマークリターン超過収益の平均値
TE(トラッキングエラー)超過リターンの標準偏差ベンチマーク乖離のリスク
IR(インフォメーションレシオ)α ÷ TE単位リスクあたりの超過収益効率
シャープレシオ(リターン − 無リスク金利) ÷ 標準偏差絶対値ベースの効率性
β(ベータ)回帰係数市場感応度(1.0で連動)
R²(決定係数)0-1ベンチマークとの連動度
アクティブシェア|保有ウェイト − ベンチウェイト| ÷ 2保有銘柄ベースの乖離度

優秀なアクティブファンドの目安は「IR > 0.5」「α > 2%」「TE < 5%」の3条件が揃うこと。TEだけ低くてもαがなければ意味がなく、TEが高くてもIRが高ければ「リスクに見合ったリターンを取れている」と評価できます。

シーン別の使い方

TEの活用シーンは、個人投資家のファンド選定から機関投資家のマンデート管理まで幅広く、投資規模と目的に応じて評価軸が変わります。個人投資家はコスト+TEの合計を見て「実質的にベンチマークにどれだけ追随できるか」を判断し、機関投資家はTE上限を含むリスク管理契約でファンドマネージャーの規律を担保します。

インデックスファンド選び

年率TE 0.3%以下ならほぼ完全複製、0.5%以下なら合格ライン、1%超は経費率が高すぎるか複製方法に難あり。同じベンチマークの複数ファンドをTEで比較し、TEが低くコストも低いファンドを選ぶ。

アクティブファンド評価

TE単独では評価不能。α(超過収益)とTEを組み合わせIR(α÷TE)で判定。IR 0.5以上なら優秀、IR 1.0で超一流。TE 5%かつα 3%(IR 0.6)なら十分な運用力ありと判断できる。

年金運用のマンデート契約

「TE上限4%以内・α目標1.5%以上」といった契約条件で運用会社を選定。TE上限を守れないと契約解除の対象。厚生年金基金・企業年金の運用委託で標準的な条項。

ETF vs 投信の比較

同じベンチマークのETFと投信を年率TEで比較。ETFは市場価格とNAV(純資産価値)の乖離がある一方、投信は基準価額で取引できる。TEの低い方が「ベンチマークに忠実な運用」。

iDeCo・NISA商品選定

長期投資では低コスト+低TEが必須。信託報酬0.1%+TE 0.2%の合計0.3%以下が理想。積立NISA対象ファンドは金融庁がコスト・TE水準をスクリーニング済み。

ロボアドバイザーの評価

WealthNavi・THEO+ドコモ等のロボアドは複数ETFを組み合わせるためTEはベンチマークにより変わる。手数料1%+為替コスト+TEを総合評価すべき。

ヘッジファンドのIR評価

ヘッジファンドはベンチマーク中立を目指すためTEはボラティリティに近い値を持つ。IR 1.0以上(α 5%・TE 5%)が優秀ファンドの目安。過去5年の月次データからIRを算出し、生存者バイアスに注意しながら評価する。

アクティブETFの選定

2023年以降増加した国内アクティブETFは投信よりコストが低く、TE水準も類似の投信と同程度。信託報酬0.6-1.2%+TE 3-8%が典型的。日中の売買柔軟性+分配金効率+TE低さのバランスで判定。

よくある勘違い

1. TE=0が絶対的な理想ではない

TE=0はインデックスファンドが目指す姿だが、アクティブ運用にとってはTE=0だとα(超過収益)も0になり存在意義がなくなる。TE水準は「運用スタイルとの整合性」で評価すべき。アクティブファンドのTE=0.5%は「アクティブと名乗るだけの実質的な差別化なし」の証拠。

2. TEが小さい=運用が上手いではない

TEが小さくてもα(超過収益)がマイナスなら「静かに損している」だけ。TE 2%でα +3%(IR +1.5)が理想。TE 2%でα -1%(IR -0.5)は最悪。TEはリスク指標であり、パフォーマンス指標ではない。

3. 月次TEと年率TEを混同する

月次TE 1%は年率換算で3.46%(×√12)。運用報告書で「TE 1%」と書かれていたら「月次か年率か」を必ず確認。日次データなら×√252で15.87倍。データ頻度により表示値が全く異なる。

4. 低ボラ相場のTEを過信

市況低ボラ期(VIX低位)はTEも自然に小さくなる。長期平均で評価しないと過小評価される。逆にコロナショック・リーマンショック時はTEが跳ね上がる。5年〜10年の長期平均TEで判断が原則。

5. ベンチマーク選定を誤るとTEが無意味

大型株ファンドを新興国指数と比較すればTEは巨大になる。投資対象と合致するベンチマークを使うのが大前提。日本株ファンドならTOPIX、米国株なら S&P500、全世界株ならMSCI ACWI。ベンチマーク選定が運用評価の第一歩。

6. 予測TEと実現TEを混同

予測TE=ファクターモデルによる将来推計、実現TE=過去実績データから計算。両方併用して評価するのが機関投資家の実務。予測TEは市場ストレスシナリオでのリスク推計に有効。実現TEはトラックレコード評価に有効。

7. TE=リスクの全てではない

TEは「相対リスク」であり、絶対リスク(ボラティリティ・VaR・最大ドローダウン)とは別概念。インデックスファンドはTEが小さくてもボラティリティは市場並みにある。絶対的な値動きの大きさを測るならボラティリティ・ダウンサイドリスクを併用。

8. TE計算に不偏標準偏差か母標準偏差か

実務標準は不偏標準偏差(分母 n−1)。ただし一部の運用会社・データベンダーは母標準偏差(分母 n)を使う。同じデータでも計算式で微妙に値が異なるため、運用会社間の比較時は計算式の統一を確認。GIPS基準では不偏標準偏差が推奨されている。

9. TEを絶対的な良し悪しで判断

「TEが低いから良いファンド」「TEが高いから危険なファンド」という単純判断は誤り。投資目的とTE水準の整合性で評価すべき。パッシブ運用ならTE低い=合格、アクティブ運用ならTE高くてもIRが高ければ合格。目的と手段の整合性を意識。

参考リンク・公的資料

本ツールは月次データからの標準的なTE計算です。実際のファンド評価は運用期間・ベンチマーク・データ頻度・不偏標準偏差か母標準偏差か等の設定で結果が異なります。TEは相対リスクの一指標に過ぎず、投資判断にはα・IR・シャープレシオ・β・R²・アクティブシェア・信託報酬・売買回転率等を総合的に評価する必要があります。過去のTEは将来のパフォーマンスを保証するものではありません。投資はリスクを伴うため、投資判断は自己責任で行い、必要に応じて金融商品取引業者や独立系ファイナンシャルアドバイザーにご相談ください。

よくある質問(FAQ)

TEはどこで確認できる?

運用報告書・月次レポート・モーニングスター等で確認可能。年金や機関投資家向けには標準的に開示。個人向けファンドは全て開示しているわけではなく、投資信託説明書(目論見書)・運用報告書の付録で確認。日本の投信は投資信託協会のガイドラインで開示標準化が進んでいる。

インデックスファンドのTEはいくら以下が理想?

年率0.5%以下が合格ライン、0.2%以下なら優秀。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は0.1-0.3%程度で業界最高水準。TEは信託報酬・売買コスト・銘柄複製方法(完全複製orサンプリング)・キャッシュ保有比率で決まる。新興国株は流動性の関係で0.8-1.2%になる。

TEとボラティリティの違いは?

TE=対ベンチマーク乖離のリスク(相対リスク)、ボラティリティ=リターンの標準偏差(絶対リスク)。インデックスファンドはボラティリティは市場並みにあるがTEは小さい。アクティブファンドはTEが大きく、ボラティリティも大きい傾向。両者を併用して評価する。

機関投資家のTE目標は?

機関投資家のアクティブ枠は年率3〜5%を上限とする例が多い。GPIFのマンデート契約ではTE上限が明示され、超えると契約解除の対象。年金基金は「TE 4%以下・α目標1.5%以上・IR 0.4以上」といった条件でファンドを選定する。

TE=0は理想的な状態?

インデックスファンド(パッシブ運用)にとってはTE=0が理想。ただし現実にはコストと売買摩擦でTE=0にはならず、0.1-0.5%程度。アクティブ運用にとってはTE=0だとα(超過収益)も0になり、コスト分だけ確実に負ける最悪の状態。

予測TEと実現TEの違いは?

予測TE=ファクター分析等のモデル出力(将来の推計)、実現TE=過去データから算出(実績)。両方併用が実務標準。予測TEは市場ストレスシナリオでのリスク推計に有効、実現TEはトラックレコード評価に有効。BARRA・Axiomaのファクターモデルが業界標準ツール。

TEとIR(インフォメーションレシオ)の関係は?

IR=α÷TE。α(超過収益)を1単位のTEで割ったもので、ベンチマーク乖離リスク1%あたり何%の超過収益を稼ぐかを測る。IR 0.5以上で優秀、1.0で超一流。TEが低くてもαがマイナスならIRもマイナス(悪い運用)。

月次TEと年率TEの変換方法は?

月次TE × √12(≒3.46)= 年率TE。月次TE 1%なら年率3.46%。日次データなら×√252(≒15.87)で年率化。データ頻度により表示が全く異なるため、運用報告書で「月次か年率か」を必ず確認。年率表示が業界標準。

ETFと投信でTEの傾向は違う?

ETFは市場価格とNAV(純資産価値)の市場乖離が別途発生。投信は基準価額で取引できるためこの乖離はゼロ。同じ指数のETFと投信でTEを比較する際は、ETFの市場乖離込みか除外かを確認。ETFは流動性の低い時間帯で乖離が広がる傾向。

ベンチマークが不適切だとTEはどうなる?

投資対象と合致しないベンチマークを使うとTEが不当に大きく(または小さく)出る。「投資対象=ベンチマーク=比較対象」の三位一体が原則。日本株ファンドをS&P500と比較すればTEは20%超になり無意味。ベンチマーク選定が運用評価の第一歩。

低ボラ相場でTEを評価する注意点は?

市況低ボラ期はTEも自然に小さくなるため長期平均で評価が原則。過去5年〜10年の月次データからTEを計算し、市場ボラティリティが高い期間(コロナショック等)を含めて評価。単年度TEだけで判断すると誤解を招く。

アクティブシェアとTEの関係は?

アクティブシェア=保有銘柄構成のインデックス乖離度(0-100%)。TEはリターンベースの乖離度、アクティブシェアはポートフォリオベースの乖離度。アクティブシェア60%以上でTE 5%以上あるファンドが「本物のアクティブ」。60%未満は「クローゼットインデクサー」(隠れインデックス)と呼ばれる。

個人投資家がTEを見る意味はある?

あります。同じベンチマークの複数インデックスファンドを比較する際、信託報酬+TEの合計で「実質コスト」を把握できる。信託報酬0.1%+TE 0.2%=実質コスト0.3%と、信託報酬0.2%+TE 0.5%=実質コスト0.7%では長期リターンに大差が出る。

TE計算の分母はnかn-1か?

実務標準は不偏標準偏差(分母 n−1)。CFA協会のGIPS(Global Investment Performance Standards)基準でも不偏標準偏差が推奨。ただし一部のデータベンダーは母標準偏差(分母 n)を使うため、運用会社間の比較時は計算式を統一する必要があります。

ヘッジファンドのTEは?

ヘッジファンドはベンチマーク中立を目指すためTE(対市場指数)はボラティリティに近い値を持つ。年率10-20%が一般的。IR 1.0以上(α 5%・TE 5%)が優秀ファンドの目安。ロング・ショート戦略はβが低いためTEが目立ちやすい。

アクティブETFの選び方は?

2023年以降増加した国内アクティブETFは投信よりコストが低く、TE水準も類似投信と同程度。信託報酬0.6-1.2%+TE 3-8%が典型的。日中の売買柔軟性・分配金効率・TE低さのバランスで判定。