路線価 計算ツール|土地の相続税評価額・実勢価格・公示地価換算を即算出
国税庁の路線価方式に基づき、土地の相続税評価額を即時算出。地区区分・奥行価格補正・角地加算に対応し、実勢価格・公示地価・固定資産税評価額との相場換算まで一枚で確認。相続開始日を挟んで路線価が改定される7月前後や、住宅街の一戸建て・角地・借地権評価など、実務で判断を迷う場面を想定した早見と解説を掲載しています。
路線価 計算機
路線価方式の計算式
土地評価額 = 路線価(円/㎡) × 地積(㎡) × 奥行価格補正率 × (1 + 側方路線影響加算率)
路線価は国税庁が毎年7月1日に公表する、相続税・贈与税の課税基準となる主要街路の㎡単価です。市街地では路線(道路)ごとに単価が定められ、その路線に接する土地の相続税評価額を算定します。路線価が付されていない地方の地域では、固定資産税評価額に一定倍率を乗じる倍率方式で評価します(路線価図・評価倍率表の後半に倍率表が掲載)。
基本の計算は「路線価 × 地積」ですが、道路との接し方(奥行が極端に長短、間口が狭い、角地、二方路など)で利用効率が変わるため、財産評価基本通達に基づく各種補正率を掛け合わせて評価額を調整します。整形の住宅地であれば路線価 × 地積のほぼ素通し、いびつな旗竿地・崖地では最大で40〜47%の減額があり得ます。
4つの地価との相関
日本の公的地価は用途別に4種類あり、それぞれ水準・公表時期・所管官庁が異なります。相続税評価では路線価を、売買判断では実勢価格・公示地価を、固定資産税では固定資産税評価額を参照します。
| 種類 | 水準 | 所管・時期 | 用途 |
|---|---|---|---|
| 実勢価格(取引価格) | 100% | 市場が形成 | 売買の指標 |
| 公示地価 | 約90% | 国交省・3月公表 | 公共用地取得の基準 |
| 基準地価 | 約90% | 都道府県・9月公表 | 公示地価の補完 |
| 路線価 | 約80% | 国税庁・7月公表 | 相続税・贈与税評価 |
| 固定資産税評価額 | 約70% | 市区町村・3年ごと | 固定資産税・都市計画税 |
目安として「路線価 ÷ 0.8 ≒ 公示地価」「路線価 ÷ 0.8 ÷ 0.9 ≒ 実勢価格」で相互換算できます。ただし東京都心の高需要地では実勢価格が公示地価の1.3〜1.5倍に達する場合もあり、地方では逆に路線価水準を下回ることもあります。
地区区分と評価上の意味
路線価図にはビル街地区/高度商業地区/繁華街地区/普通商業・併用住宅地区/普通住宅地区/中小工場地区/大工場地区の7区分が円・楕円・矩形の記号で示されます。地区区分ごとに奥行価格補正率・側方路線影響加算率・不整形地補正率のテーブルが分かれており、同じ形状でも住宅地と商業地で減額幅が異なる点に注意が必要です。
ビル街地区や商業地区では奥行の減額幅が緩やか(間口が広く奥行があっても利用可能)、住宅地では奥行50m超で顕著に減額されます。二方路地・準角地・三方路地の側方影響加算率も、商業地区で高く(+8〜10%)、住宅地区で低め(+2〜5%)に設定されています。
奥行価格補正率 早見表(普通住宅地区)
財産評価基本通達 付表1「奥行価格補正率表」から普通住宅地区の代表値を抜粋。奥行10〜24mを「標準」として1.00、それ以外は減額されます。
| 奥行距離 | 補正率 | 影響 |
|---|---|---|
| 4m未満 | 0.90 | 10%減 |
| 4〜6m未満 | 0.92 | 8%減 |
| 6〜8m未満 | 0.95 | 5%減 |
| 8〜10m未満 | 0.97 | 3%減 |
| 10〜24m | 1.00 | 標準 |
| 24〜28m | 0.99 | 1%減 |
| 28〜32m | 0.98 | 2%減 |
| 32〜36m | 0.96 | 4%減 |
| 36〜40m | 0.94 | 6%減 |
| 40〜44m | 0.92 | 8%減 |
| 44〜48m | 0.91 | 9%減 |
| 48〜52m | 0.90 | 10%減 |
| 52〜56m | 0.89 | 11%減 |
| 56〜60m | 0.88 | 12%減 |
| 60〜64m | 0.87 | 13%減 |
| 64〜68m | 0.86 | 14%減 |
| 68〜72m | 0.85 | 15%減 |
| 72〜76m | 0.84 | 16%減 |
| 76〜80m | 0.83 | 17%減 |
| 80〜84m | 0.82 | 18%減 |
| 84〜88m | 0.81 | 19%減 |
| 88m以上 | 0.80 | 20%減 |
商業地区・ビル街地区は同じ奥行でも減額が緩く、中小工場地区は逆に奥行の短さを重視して減額幅が異なります。本ツールは計算機の「地区区分」でビル街地区・普通商業/併用住宅地区・普通住宅地区・中小工場地区の4区分の補正率表を切り替えて計算します。たとえば奥行20mの土地でも、普通住宅地区なら1.00、ビル街地区では0.94と評価額が6%下がります。詳細は国税庁「財産評価基本通達」付表1を参照してください。
その他の補正(不整形・間口狭小・がけ地など)
形状が不整形な土地・道路との接し方が悪い土地には、次の補正が重ねて適用されます。複数の補正が重なる場合、通達の指定に従って各補正率を掛け合わせるか、下限値を確認しながら適用します。
| 補正名 | 減額幅 | 要件の概要 |
|---|---|---|
| 不整形地補正 | 最大40%減 | 地積区分×かげ地割合に応じた補正率 |
| 間口狭小補正 | 最大10%減 | 普通住宅地で間口4m未満など |
| 奥行長大補正 | 最大10%減 | 奥行÷間口の比率が大きい |
| がけ地補正 | 最大47%減 | 傾斜地の方位・割合による |
| セットバック要地 | 70%減 | 建築基準法42条2項道路の後退部分 |
| 都市計画道路予定地 | 最大50%減 | 都市計画決定済み予定地の一部が敷地内 |
| 無道路地 | 最大40%減 | 建築基準法上の道路に接しない土地 |
| 私道 | ゼロまたは30%評価 | 公共の用(通り抜け可能)か特定者専用か |
また、貸家建付地・借地権・貸宅地は権利関係に応じてさらに減額(借地権割合A〜G=90%〜30%を路線価アルファベットで確認)されます。使用貸借の親子間貸付では原則減額なしなど、権利形態の判定に税理士の関与が必要な場面が多くあります。
路線価図・評価倍率表の調べ方
国税庁の「路線価図・評価倍率表」ページで、都道府県→市区町村→町丁目と絞り込み、地図上で対象地の前面道路の数字を確認します。数値の後ろのアルファベット(A〜G)は借地権割合を示し、Aが90%、Gが30%です。前年・前々年の路線価も同ページから閲覧でき、地価上昇・下落の把握に有効です。
1. 路線価を読む
数値は千円単位/㎡。「300D」なら30万円/㎡、借地権割合60%を意味します。
2. 地区区分を確認
数値を囲む円・楕円・矩形の記号で、普通住宅地/ビル街/商業地などを判別。
3. 形状と接道を測る
登記地積と実測地積の差、間口・奥行、道路との接し方をチェック。
4. 補正率を適用
財産評価基本通達の付表から、地区区分に対応する補正率を選ぶ。
場面別 使い方
相続税の申告
相続開始日(被相続人の死亡日)時点の路線価で評価。7月1日を挟むと路線価が変わるため、6月死亡は前年分、7月死亡は当年分と分岐します。申告期限は相続開始を知った日から10か月以内。
生前贈与・暦年課税
贈与日時点の路線価で評価。連年贈与での税負担平準化を試算する際に、路線価ベースの評価額を出発点に。
不動産売却・査定
路線価 ÷ 0.8 ÷ 0.9 で実勢価格の目安を掴む。仲介業者の査定額と乖離が大きい場合は根拠を確認。
土地信託・遺言設計
相続対策として賃貸建物を建て貸家建付地評価にする、借地権付き土地を活用するなど。事前の評価額シミュレーションに。
固定資産税との比較
路線価 × 0.7 ÷ 0.8 ≒ 固定資産税評価額。市区町村の課税明細と大きく異なる場合は縦覧・審査申出を検討。
金融機関の担保評価
路線価は最も保守的な公的地価。融資稟議で最低ラインの担保評価として引用されることがあります。
よくある間違い・注意点
- 相続開始日と路線価公表日を取り違える — 路線価は毎年7月1日に「その年1月1日時点」の評価として発表されます。6月に相続開始した場合は前年分の路線価で申告する必要があります。
- 登記地積のみで評価 — 縄伸び・縄縮みで登記地積と実測地積が数%〜10%以上ずれる例は珍しくありません。実測図・境界確定測量図の有無を確認。
- アルファベット借地権割合を無視 — 借地権・貸宅地・貸家建付地の評価には路線価末尾のA〜Gの借地権割合が不可欠。数値だけコピーして計算すると大幅に誤ります。
- 倍率地域なのに路線価方式で計算 — 郊外・地方は路線価が付されていない倍率地域。固定資産税評価額 × 倍率で評価します。路線価図で対象地が白地なら倍率表を見る。
- 不整形地補正の適用漏れ — 三角地・旗竿地・L字型土地は最大40%減額。想定整形地との比較で「かげ地割合」を計算し、補正率表を参照。
- セットバック・都市計画道路予定地を見落とし — 建築基準法42条2項道路の中心線からの後退部分、都市計画決定済み道路予定地は大幅減額対象。
- 広大地評価の廃止を知らない — 2018年以降は広大地評価が廃止され、「地積規模の大きな宅地の評価」に置き換わりました。三大都市圏500㎡以上/それ以外1000㎡以上等の要件があります。
関連する法令・通達
- 相続税法・贈与税法 ― 土地等の評価は原則として財産評価基本通達に基づく(相続税法22条 時価主義)。
- 財産評価基本通達 ― 国税庁が定める土地・家屋・株式などの評価方法の基本ルール。路線価方式・倍率方式・各種補正の詳細が規定されています。
- 財産評価基本通達 付表1〜8 ― 奥行価格補正率表・側方路線影響加算率表・不整形地補正率表・間口狭小補正率表・奥行長大補正率表・がけ地補正率表など。
- 租税特別措置法69条の4 ― 小規模宅地等の特例。特定居住用宅地・特定事業用宅地の80%減額、貸付事業用の50%減額。
- 地価公示法(1969年) ― 国土交通省が公示地価を毎年3月に発表。相続税評価の背景として参照。
- 国土利用計画法・不動産の鑑定評価に関する法律 ― 都道府県基準地価(9月公表)、鑑定評価書の公的位置づけ。
- 地方税法341条・388条 ― 固定資産税評価額の3年ごと評価替え、総務省の固定資産評価基準に基づく。
参考文献・公的資料
本ツールの補正率・水準の目安は次の公的資料に基づきます。実際の申告・相談は必ず一次資料と税理士・不動産鑑定士等の判断を優先してください。
- 国税庁 路線価図・評価倍率表 ― 全国の路線価・倍率を無料で検索。過去年分も閲覧可能。
- 国税庁 財産評価基本通達 ― 土地・家屋等の評価ルールの原典。奥行価格補正率表など付表も掲載。
- 国税庁 タックスアンサー 財産の評価 ― 路線価方式・倍率方式・借地権評価等のQ&A。
- 国土交通省 地価公示・地価調査 ― 標準地の公示地価と基準地価を検索可能。地価変動率も公開。
- 不動産情報ライブラリ(国土交通省) ― 不動産取引価格情報、地価公示、ハザードマップ等の統合検索。
- 財務省 相続税・贈与税制度の概要 ― 制度全体の位置づけ。
- 全国地価マップ(一般財団法人 資産評価システム研究センター) ― 路線価・公示地価・固定資産税路線価を地図で比較。
- 日本税理士会連合会 ― 相続税申告・土地評価の相談窓口検索。
- 日本不動産鑑定士協会連合会 ― 鑑定評価が必要な事例の相談。
- 法務省 登記情報の閲覧 ― 登記地積・地目・地役権等の確認。
よくある質問(FAQ)
路線価はいつ更新されますか?
国税庁が毎年7月1日に、その年1月1日時点の評価として公表します。相続開始日が7月1日より前なら前年分、以降なら当年分の路線価で相続税評価額を計算します。7月をまたぐ相続では税額が数%変わることもあるため、公表日と相続開始日を必ずセットで確認してください。
路線価と実勢価格・公示地価はどう違いますか?
実勢価格を100として公示地価が約90、路線価が約80、固定資産税評価額が約70というのが公的な目安です。ただし東京都心・湾岸エリアなど需要の高い場所では実勢価格が公示地価の1.3〜1.5倍、地方の低需要エリアでは実勢が路線価を下回るケースもあります。あくまで初期目安として使い、実際の売買・査定は複数業者比較が必須です。
路線価は必ず借地権割合とセットで見るべきですか?
はい。路線価末尾のA〜Gのアルファベットは借地権割合を示し、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%です。借地権・貸宅地・貸家建付地の評価には不可欠で、数字だけを見て「300千円/㎡」と処理すると評価誤りにつながります。
路線価が付されていない地域はどう評価しますか?
郊外・地方は路線価が付されていない倍率地域で、固定資産税評価額に一定倍率を乗じる倍率方式で評価します。国税庁「路線価図・評価倍率表」の後半に地域別の倍率表が掲載されているので、対象地の所在地の倍率を確認してください。宅地・田・畑・山林・原野など地目ごとに倍率が異なります。
不整形地の減額はどのくらいですか?
三角地・旗竿地・L字型など不整形な土地は、想定整形地と比較した「かげ地割合」と地積区分から補正率を決定。普通住宅地では最大40%減まで可能です。かげ地割合10%未満は補正なし、40〜50%で概ね20%減、65%超で30〜40%減が目安。財産評価基本通達 付表4を参照してください。
小規模宅地等の特例とは?
被相続人の居住用・事業用宅地について、一定の要件を満たせば評価額を80%減額できる制度(貸付事業用は50%)。特定居住用宅地は330㎡まで、特定事業用宅地は400㎡まで、貸付事業用は200㎡までが上限で、生計を一にしていた親族等の要件があります。適用可否で税額が数倍変わるため、必ず税理士に相談を。
セットバック要地の評価はどうしますか?
建築基準法42条2項道路(幅員4m未満のみなし道路)に接する土地は、中心線から2mまでの後退(セットバック)義務があり、その後退部分は70%減額(通常評価の30%評価)となります。既にセットバック済みで道路として提供している部分は評価額ゼロ。都市計画道路予定地も一部減額の対象です。
親から借りている土地(使用貸借)の評価は?
親子間で無償または固定資産税相当額以下の対価で借りている場合は使用貸借とされ、借地権は認められません。土地は更地評価100%で相続財産に加算されます。逆に第三者に地代を払って借りている土地には借地権が発生し、路線価×借地権割合で評価します。
広大地評価はまだ使えますか?
2018年(平成30年)1月1日以降の相続から広大地評価は廃止され、「地積規模の大きな宅地の評価」に置き換わりました。三大都市圏で500㎡以上、それ以外で1000㎡以上等の要件があり、規模格差補正率で評価減できます。改正前後で減額幅の考え方が変わっているため、税理士に確認を。
路線価が急に上がった/下がった場合は?
基準となる公示地価・不動産市況の変動を反映して路線価も変動します。大幅に上がった年は相続税負担も増えるため、相続前の生前対策(贈与・信託・法人化等)の検討タイミングになります。逆に大幅下落した年は路線価による評価額が実勢価格を上回るケースもあり、不動産鑑定士による個別鑑定評価で申告するかを検討します。
路線価図と現地が食い違う場合は?
登記地積と実測地積のずれ、道路の実際の幅員、境界の位置など、机上の路線価図と現地の状況が食い違うケースは珍しくありません。境界確定測量図・現況測量図・実測図の有無を確認し、疑義があれば土地家屋調査士・不動産鑑定士に依頼するのが確実です。
路線価はいつまで遡って確認できますか?
国税庁の路線価図・評価倍率表サイトでは概ね過去7年分の路線価を閲覧可能。それ以前の路線価が必要な場合は、税務署の所管統計資料や、公表当時の書籍・データベース(TKC・第一法規等)を参照する必要があります。