計算ツール
年金老後2026年制度

年金 繰上げ・繰下げ 計算ツール|60-75歳の受給額・累計・損益分岐年齢

老齢年金の繰上げ受給(60-64歳・最大-24%)・繰下げ受給(66-75歳・最大+84%)の月額・年額・想定寿命までの累計受給額・65歳基準との損益分岐年齢を即時計算。健康状態・共働き・iDeCo・企業年金の有無で最適な受給開始年齢を判断できる完全無料シミュレーターです。

最終更新:2026-07-28/監修:計算ツールズ編集部

年金繰上げ・繰下げ 計算機

国民年金(満額)約6.8万+厚生年金が標準。ねんきん定期便で確認可。
2022年4月から75歳まで繰下げ可能に。
男性平均81.05歳、女性平均87.09歳(2024年簡易生命表)。健康寿命は男性72歳・女性75歳。

結果の見方

公的年金は65歳が「本来の受給開始年齢」で、60〜64歳での繰上げ受給・66〜75歳での繰下げ受給を選択できます。増減額は受給開始と同時に一生固定されるため、「何歳から受給するか」は老後の家計設計における最重要判断の1つです。

  • 繰上げ(早く受給):短期的に手取り確保、長生きすると総額で損する
  • 65歳受給:基準。何も手続きしなくても自動請求
  • 繰下げ(遅く受給):長生きすると総額で得、健康と資産余裕が前提

2022年4月の制度改正で繰下げ上限が70歳→75歳に拡大し、75歳受給なら+84%(月15万→27.6万円)と大幅増額。同時に繰上げの減額率が-0.5%/月→-0.4%/月に緩和され、繰上げペナルティも軽減されました。

計算の仕組みと式

① 繰上げ受給の減額率

減額率 = 0.4% × 繰上げ月数(最大60ヶ月=60歳受給)
60歳受給:0.4% × 60ヶ月 = −24.0%
62歳受給:0.4% × 36ヶ月 = −14.4%
64歳受給:0.4% × 12ヶ月 = −4.8%

※2022年3月以前は0.5%/月(60歳受給で-30%)でしたが、緩和後は-24%に。ただし1962年4月1日以前生まれは旧規定(-0.5%/月)が適用されます。

② 繰下げ受給の増額率

増額率 = 0.7% × 繰下げ月数(最大120ヶ月=75歳受給)
66歳受給:0.7% × 12ヶ月 = +8.4%
70歳受給:0.7% × 60ヶ月 = +42.0%
75歳受給:0.7% × 120ヶ月 = +84.0%

③ 繰上げ・繰下げの効果 早見表

受給開始調整率月額(基準月15万)年額
60歳-24.0%11.4万円136.8万円
62歳-14.4%12.8万円153.7万円
64歳-4.8%14.3万円171.4万円
65歳±0%15.0万円180.0万円
66歳+8.4%16.3万円195.1万円
68歳+25.2%18.8万円225.4万円
70歳+42.0%21.3万円255.6万円
72歳+58.8%23.8万円285.8万円
75歳+84.0%27.6万円331.2万円

④ 損益分岐年齢の計算式

繰下げの場合:
損益分岐年齢 = 繰下げ開始年齢 + 繰下げによる待機期間の累計 ÷ 月額増加分

  • 66歳繰下げ vs 65歳:77歳11ヶ月を超えて長生きすると得
  • 68歳繰下げ vs 65歳:79歳11ヶ月を超えると得
  • 70歳繰下げ vs 65歳:81歳11ヶ月を超えると得
  • 72歳繰下げ vs 65歳:83歳11ヶ月を超えると得
  • 75歳繰下げ vs 65歳:86歳11ヶ月を超えると得

繰上げの場合:60歳受給 vs 65歳の損益分岐は80歳10ヶ月。それ以前に亡くなれば繰上げが得、それ以降まで生きれば損。

⑤ 税金・社会保険料への影響

  • 繰下げで年金額が増えると公的年金等控除超えで課税所得発生。65歳以上・110万円超で所得税課税。
  • 年金からは介護保険料・国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)・住民税が特別徴収(天引き)
  • 年金月額21万円超で健保・住民税が急増し、手取り増加率は表面より低くなる

⑥ 加給年金・振替加算の注意点

  • 加給年金:厚生年金加入者の配偶者(65歳未満)・子(18歳未満)がいる場合、年約40万円を配偶者65歳到達まで加算。繰下げ中は加給年金も同額で待機となり、増額されない
  • 振替加算:配偶者が65歳到達後に配偶者の老齢基礎年金へ加算。1966年4月2日以降生まれは対象外。

想定寿命別 累計受給額 比較表(基準月額15万円)

受給開始75歳没80歳没85歳没90歳没95歳没

※単位:万円。手取りではなく年金受給額(税・社会保険料控除前)の累計。

ケーススタディ

① 健康不安・貯蓄少ない60歳(60歳繰上げ)

基準月15万→月11.4万円で60歳から受給開始。長生きすれば損だが、健康寿命が短い予測なら合理的。就労収入と組み合わせて生活水準を維持。80歳10ヶ月以前に亡くなれば累計で得。

② 共働き健康・65歳定年(65歳受給)

基準月15万→月15.0万円で標準受給。多くの人にとっての「無難な選択」。年金以外の資産取崩と組み合わせ、健康な間は繰下げも視野に入れて柔軟対応。

③ 健康自信・iDeCo潤沢な65歳(70歳繰下げ)

基準月15万→月21.3万円で70歳から受給。65〜70歳の5年間はiDeCoと退職金で生活し、70歳以降は+42%増額の年金で長生きリスクをヘッジ。81歳11ヶ月以降まで生きれば累計で得。

④ 長寿家系・現役継続75歳まで働く(75歳繰下げ)

基準月15万→月27.6万円で75歳から受給。生涯現役で就労収入があり、年金は「長生き保険」として最大化。86歳11ヶ月以降まで生きれば累計で得。健康寿命が90歳超え予想の場合に有効。

⑤ 配偶者に加給年金がある65歳男性

加給年金年40万円が配偶者65歳到達まで支給されるため、繰下げると加給年金分が丸ごと消える。配偶者との年齢差5歳なら200万円の逸失。加給年金対象期間中は繰下げしないのが原則。

最適な受給開始年齢の選び方

  1. 健康状態で判断:健康寿命に自信があり両親が長寿→繰下げ、持病あり短命家系→繰上げ・65歳。
  2. 資産・就労収入の有無:65〜70歳の生活資金が確保できる(退職金・iDeCo・就労)→繰下げ検討。生活資金枯渇リスクあり→繰上げ。
  3. 加給年金の有無:配偶者との年齢差が大きい→加給年金支給期間中は繰下げしない。
  4. 共働き夫婦なら分散:夫は繰下げで長生きリスクヘッジ、妻は65歳受給で家計の現金流確保、といった分散戦略。
  5. 繰下げ待機中の途中変更可:繰下げ待機中に急な資金需要が発生した場合、いつでも「65歳から一括請求」に変更可能(増額なし・時効5年に注意)。
  6. 2022年改正の繰下げ拡大を活用:75歳繰下げで+84%は大きい。ただし平均寿命での損益分岐は微妙。「長生き保険」として割り切る覚悟が必要。
⚠ 繰下げ受給を選択しても、途中で「やっぱり65歳から欲しい」と5年以内なら請求可能。ただし請求時点から過去5年分の一括受給には所得税・住民税が集中課税されるため、5年目直前で一括受給すると課税額が跳ね上がります。時効管理と税務相談が必須。

よくある質問(FAQ)

繰上げ・繰下げは後から変更できますか?

繰上げは一度請求すると生涯変更不可。減額率-24%が生涯続きます。繰下げは待機中ならいつでも65歳受給に切替可能(時効5年)。66歳以降であれば「その時点まで繰下げた率で受給開始」も可能な柔軟制度。

繰上げすると障害年金・遺族年金はどうなる?

繰上げ受給後は障害基礎年金の請求ができなくなる制約あり。65歳前に病気・障害を負ったときの給付が受けられません。遺族年金は繰上げ後も併給可能ですが、選択制になります。

繰下げ中も加給年金は増額されますか?

加給年金は繰下げても増額されません。厚生年金の繰下げ中は加給年金も待機となり、繰下げ後に本体年金に加給年金の「元の金額」で加算再開。配偶者との年齢差が大きい場合は繰下げデメリットが大きい。

75歳繰下げの損益分岐は何歳?

75歳繰下げ(月27.6万円)vs 65歳受給(月15万円)の損益分岐は86歳11ヶ月。この年齢を超えて長生きすれば累計で得。男性平均寿命81歳では損、女性平均87歳ならほぼ均衡。長寿家系・健康自信ありの場合に有効。

国民年金と厚生年金は別々に繰上げ・繰下げできますか?

繰上げは同時のみ・繰下げは別々に可能。国民年金だけ70歳繰下げ・厚生年金は65歳受給といった組み合わせも可能。厚生年金の加給年金がある場合は厚生年金だけ65歳受給→国民年金だけ繰下げがベター。

働きながら年金を受給すると減額される?

在職老齢年金制度により、給与+年金月額が50万円を超えると超過分の半額が減額。ただし国民年金部分は減額対象外、厚生年金部分のみ。給与月30万円・年金月20万円なら合計50万円で減額ゼロが多い。

繰下げ待機中の生活資金はどうすれば?

iDeCo・企業型DC・退職金・預貯金取崩・65歳以降の就労収入で60〜70歳の生活資金を確保。一時金として退職金1,500万・iDeCo年60万取崩などで5年間で計1,800万円、月額30万円の生活費を賄う設計が一般的。

繰下げしたのに損しないか不安…

繰下げは「長生き保険」として設計されており、平均寿命前後で亡くなればほぼ得も損もなし。90歳以上生きた場合の「長生きリスク」(資産枯渇)をヘッジする保険と考えれば、繰下げによる損失は保険料の対価と割り切れます。

2022年の制度改正のポイントは?

①繰下げ上限70歳→75歳に拡大(最大+42%→+84%)②繰上げの減額率-0.5%/月→-0.4%/月に緩和(最大-30%→-24%)③在職老齢年金の減額基準28万→50万に緩和(現役継続しやすく)。全体的に「働きながら受給しやすい」方向の改正。

年金にも税金や社会保険料はかかる?

年金にも所得税・住民税・介護保険料・国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)がかかります。公的年金等控除で65歳以上・年金額330万円以下は控除110万円あり、実際の税負担は表面より軽い。年金月額20万円超で天引き額が目立ち始めます。

出典・参考資料

※本ツールは65歳基準年金月額から繰上げ-0.4%/月・繰下げ+0.7%/月の一律計算による概算です。加給年金・振替加算・在職老齢年金・税金・社会保険料の影響は含みません。個別金額は日本年金機構の「ねんきんネット」で正確に確認できます。

免責:本ツールは情報提供を目的としており、年金相談ではありません。実際の受給額・受給開始年齢の判断は日本年金機構の年金事務所または社会保険労務士にご相談ください。