計算ツールズ
昇給給与

給与改定 計算ツール

昇給・昇格時の手取り増額を試算します。現在の月給と改定後の月給を入れると、名目の増額、税・社会保険で差し引かれる額、実際に増える手取り、年収ベースの増加、10年続いた場合の累計が出ます。

給与改定 計算機

計算式と前提

本ツールは、月給の増額に対して所得税・住民税・社会保険料を合わせて一律30%が差し引かれると置き、残りを手取りの増分として表示します。年収増と10年累計は、その手取り増分を単純に12倍・120倍したものです。

名目増額 = 新月給 − 現在の月給
税・社保増 = 名目増額 × 30%
実手取り増 = 名目増額 − 税・社保増
年収増 = 実手取り増 × 12 / 10年累計 = 実手取り増 × 120

既定値は現在30万円・改定後33万円です。名目増額は30,000円、差し引かれる額は9,000円、実手取り増は21,000円、年収増は252,000円、10年累計は2,520,000円になります。30%は幅広い年収帯をならした概算値で、賞与への反映、住民税の1年遅れ、社会保険料の等級改定は織り込んでいません。実勢との差は下の解説で扱います。

昇給額別 早見表

本ツールに同じ月給を入れたときの表示値です。差引率はいずれも一律30%で計算しています。

現在の月給改定後名目増額税・社保増実手取り増年収増10年累計
200,000円205,000円5,000円1,500円3,500円42,000円420,000円
250,000円260,000円10,000円3,000円7,000円84,000円840,000円
300,000円330,000円30,000円9,000円21,000円252,000円2,520,000円
400,000円430,000円30,000円9,000円21,000円252,000円2,520,000円
500,000円550,000円50,000円15,000円35,000円420,000円4,200,000円
600,000円700,000円100,000円30,000円70,000円840,000円8,400,000円

参考:年収帯ごとの実勢の差引率

本ツールは一律30%ですが、増えた分に実際にかかる率は年収帯で変わります。下表は昇給分に対する差引率のおおよその幅で、計算機の出力ではありません。自分の帯を見て、表示された手取り増を上下に読み替えてください。

改定後の年収社会保険所得税+住民税合計の目安本ツール(30%)との差
約250万円約15%約9〜12%24〜27%表示は少なめに出る
約400万円約15%約10〜13%25〜28%表示は少なめに出る
約600万円約15%約13〜16%28〜31%ほぼ一致する
約900万円約6〜10%約25〜28%33〜36%表示は多めに出る
約1,200万円約2〜5%約31〜34%35〜38%表示は多めに出る

昇給の手取りインパクトの詳しい解説

昇給額の3割前後が消えるのは、三つの負担が同時に増えるからです。社会保険料は健康保険・厚生年金・雇用保険を合わせて給与のおよそ15%が本人負担で、これは所得の多寡にかかわらず定率でかかります。次に住民税が課税所得の10%、最後に所得税が課税所得に応じた税率でかかります。ただし増えた月給がそのまま課税所得の増加になるわけではありません。給与所得控除が年収に応じて増え、社会保険料も全額が所得控除になるため、月給が3万円増えても課税の対象になるのは2万円弱にとどまります。この二段構えがあるため、合計の差引率は名目の税率の単純合計より低く出ます。

実務で判断が分かれるのは、どの水準の率を前提に生活設計を組むかです。年収400万円前後の帯では、厚生年金の標準報酬月額が上がることで社会保険料が確実に増える一方、所得税率は5%または10%にとどまるため、実勢は24〜28%に収まります。ところが年収900万円を超えると景色が変わります。厚生年金の標準報酬月額には上限があり、給与所得控除も850万円で頭打ちになるため、社会保険の増加は小さくなる代わりに、増えた分のほぼ全額が所得税20〜23%と住民税10%の対象になります。結果として差引率は35%前後まで上がります。本ツールの30%は中間の帯に合わせた値なので、低〜中所得帯では手取り増を少なめに、高所得帯では多めに表示します

見落とされやすいのは時間差です。住民税は前年の所得をもとに翌年6月から徴収されるため、昇給した年は住民税がまだ上がっておらず手取りの増え方が大きく見えます。翌年6月に住民税が上がった時点で、明細上の手取りは減ります。社会保険料も同様で、随時改定の要件を満たした場合でも反映は改定から4か月目、要件を満たさなければ定時決定を経て9月からです。昇給直後の数か月の明細だけで判断すると、あとから「減った」と感じることになります。もう一つの見落としは賞与です。賞与が基本給に連動する会社では、月給の増額が賞与にも波及するため、年収の増加は月給増の12倍では収まりません。逆に賞与が業績連動で固定されている場合は12倍が上限になります。

条件による違いも押さえてください。扶養に入っている配偶者が働き方を変える場合、社会保険の扶養から外れる年収の水準(106万円・130万円)を越えると、増えた収入以上に手取りが減る局面が生じます。この社会保険の基準は2026年分の所得税改正の対象外で、税の壁とは別物として扱う必要があります。所得税側では2026年分から基礎控除が104万円(合計所得489万円以下の場合。以降は67万円・62万円と段階的に下がります)、給与所得控除の最低保障が74万円となり、いわゆる年収の壁は178万円まで引き上げられます。一方で住民税の基礎控除は43万円のままなので、所得税がかからなくても住民税はかかる帯が残ります。また月給ではなく手当や残業代で増えた場合、社会保険の等級判定には固定的賃金の変動が要件となるため、扱いが異なります。個別の判定は勤務先の給与規程と、必要に応じて税務・社会保険の専門家にご確認ください。

よくある間違い・注意点

  • 昇給直後の明細で手取り増を確定させる — 住民税は翌年6月から、社会保険料は改定から4か月目または9月から反映されます。最初の数か月は増え方が大きく見えます。
  • 年収増を月給増の12倍だけで見る — 賞与が基本給に連動する会社では、月給の増額が賞与にも波及します。逆に賞与が固定なら12倍が上限です。
  • 一律30%をすべての年収帯に当てはめる — 年収400万円前後の実勢は24〜28%、900万円超では35%前後です。本ツールの表示は帯によって上下にずれます。
  • 10年累計を将来の見込み額として使う — 表示される10年累計は、同じ月給が10年続き、物価も変わらないという前提の単純な120倍です。その後の昇給や物価の変動は含みません。
  • 扶養の範囲で働く場合に税の基準だけで考える — 社会保険の扶養から外れる基準(106万円・130万円)は所得税の改正とは別で、越えると増収分以上に手取りが減る局面があります。
  • 昇格に伴う手当や労働時間の変化を無視する — 管理職になると残業代が付かなくなる場合があり、基本給が上がっても総支給が減ることがあります。

参考資料・公的情報

※本ツールは一律30%を用いた概算です。実際の税額・保険料は扶養人数、居住自治体、加入する健康保険、賞与の有無で変わります。具体的な判断は勤務先の給与担当部署または税務・社会保険の専門家にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

月給が3万円上がると、手取りはいくら増えますか?

本ツールの既定条件(30万円→33万円)では、名目増額30,000円から30%の9,000円が引かれ、手取り増は21,000円と表示されます。ただしこれは中間の年収帯に合わせた概算で、年収400万円前後の実勢は24〜28%のため、実際には22,000〜23,000円程度になることが多いです。

なぜ3割も引かれるのですか?

社会保険料の本人負担が約15%、住民税が課税所得の10%、所得税が5〜23%かかるためです。ただし給与所得控除の増加分と社会保険料の所得控除があるので、増えた月給の全額が課税対象になるわけではありません。その結果、名目の税率を足した数字より実勢は低くなります。

昇給した月からすぐに手取りは変わりますか?

所得税は昇給した月からすぐ変わりますが、住民税は翌年6月から、社会保険料は改定から4か月目または9月から反映されます。そのため昇給直後は手取りが大きく増えたように見え、あとから徐々に減っていきます。1年を通した平均で判断してください。

年収が高いほど手取りの増え方は悪くなりますか?

おおむねそうなります。厚生年金の標準報酬月額には上限があるため社会保険の増加は頭打ちになりますが、給与所得控除も850万円で上限に達するため、増えた分のほぼ全額が所得税20〜23%と住民税10%の対象になります。年収900万円を超える帯では差引率が35%前後まで上がります。

賞与への影響は計算に入っていますか?

入っていません。表示される年収増は、手取り増を単純に12倍したものです。賞与が基本給に連動する会社では月給の増額が賞与にも波及するため、実際の年収増は表示よりも大きくなります。賞与が業績連動で固定されている場合は、表示どおり12倍が上限です。

昇格したのに手取りが減ることはありますか?

あります。管理監督者として扱われると残業代が支給されなくなる場合があり、基本給の増加分より残業代の減少分が大きいと総支給が下がります。役職手当の額と、それまでの平均残業時間から見た残業代を並べて確認してください。管理監督者に当たるかどうかの判断は実態で決まるため、疑問がある場合は労働に関する専門機関にご相談ください。

10年累計の金額はどこまで信じてよいですか?

同じ月給が10年続き、物価も税率も変わらないという前提の単純な120倍です。実際にはその後の昇給、物価の変動、税・保険料率の改定が加わるため、将来の見込み額としては使えません。今回の改定が持つ規模感をつかむための目安としてお使いください。

扶養の範囲で働いている場合も同じ考え方でよいですか?

異なります。社会保険の扶養から外れる年収の基準(106万円・130万円)を越えると本人分の保険料が新たに発生し、増収分以上に手取りが減る局面が生じます。この基準は2026年分の所得税改正の対象外です。所得税側では基礎控除104万円・給与所得控除の最低保障74万円により、いわゆる年収の壁は178万円になりますが、住民税の基礎控除は43万円のままで別の水準です。