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訴訟少額法律

少額訴訟費用計算機|60万円以下の金銭請求で必要な印紙代・切手代・総費用

少額訴訟にかかる印紙代・切手代・総費用を瞬時計算する無料電卓。少額訴訟は「60万円以下の金銭請求のみ」を対象とする簡易手続で、原則1日で判決が下される特別な訴訟制度。本人訴訟(弁護士を立てない)が一般的で、費用は数千円〜1万円程度と低コスト。敷金返還・残業代未払い・売掛金回収・立替金請求・貸金返還等、少額の金銭トラブルを短期間で解決する実務手段として広く活用されています。ただし相手が「通常訴訟に移行したい」と申立てれば少額訴訟は使えなくなり、通常訴訟に切り替わって長期化・弁護士費用増のリスクも。判決後の強制執行(給料差押え・預貯金差押え)まで含めた実務ロードマップを、民事訴訟法(第368条〜第381条)と裁判所公式ガイドラインに準拠して数値ベースで整理します。

最終更新:2026年7月28日/監修:計算ツールズ編集部

少額訴訟費用ツール

1万円〜60万円の範囲で入力。金銭請求のみが対象。

少額訴訟の費用計算式

少額訴訟の申立てに必要な費用は①申立手数料(収入印紙)と②郵便切手(予納郵券)の2つ。訴額(請求額)に応じた印紙を訴状に貼付し、裁判所からの通知等に使う郵便切手を予納する仕組みです。弁護士に依頼しなければ弁護士費用はかかりません。

【印紙代(申立手数料)】
 訴額10万円までごとに1,000円
 訴額30万円 → 印紙3,000円
 訴額60万円 → 印紙6,000円
【切手代(予納郵券)】
 簡易裁判所により3,500〜5,000円(一般的に4,000円前後)
【合計】
 訴額10万請求 → 印紙1,000円+切手4,000円 = 5,000円
 訴額30万請求 → 印紙3,000円+切手4,000円 = 7,000円
 訴額60万請求 → 印紙6,000円+切手4,000円 = 10,000円

例:30万円の請求で総費用は約7,000円。弁護士費用ゼロで本人訴訟の場合、これだけで少額訴訟が起こせます。訴額に対して費用は1〜3%程度で、金銭トラブル解決のコストとしては非常に低いのが特徴。

訴額別・費用早見表

請求額印紙代切手代総費用費用対請求額比
10万円1,000円4,000円5,000円5.0%
20万円2,000円4,000円6,000円3.0%
30万円3,000円4,000円7,000円2.3%
40万円4,000円4,000円8,000円2.0%
50万円5,000円4,000円9,000円1.8%
60万円6,000円4,000円10,000円1.7%

出典:裁判所公式サイト「少額訴訟の手引」・民事訴訟費用等に関する法律

少額訴訟が使えるケース

少額訴訟は「60万円以下の金銭の支払い請求」だけが対象。物の引渡し・立退き・登記手続き・慰謝料等の金銭以外の請求には使えません。また同一原告が同一簡易裁判所で使えるのは年10回まで(民訴法第368条)。

使えるケース使えないケース
敷金返還請求(60万以下)敷金返還請求(60万超)
残業代未払い請求(60万以下)建物明渡し請求
売掛金回収離婚・親権・養育費
貸金返還請求物の引渡し(動産・不動産)
立替金請求登記手続き請求
損害賠償(60万以下・金銭のみ)差止め請求・作為請求
交通事故の物損年10回超の申立(同一裁判所内)
フリマ・オークションの代金トラブル相手が通常訴訟移行を希望した場合

60万円超の請求は通常訴訟へ。物の引渡し・慰謝料等の非金銭請求は通常訴訟または調停で対応。少額訴訟は「シンプルな金銭請求」に特化した簡易手続と理解してください。

手続きの流れとタイムライン

少額訴訟は原則1日(1期日)で判決が下される最速の民事訴訟手続。申立てから判決まで概ね1〜2ヶ月で完結します。

ステップ期間目安内容
1. 訴状作成・提出0日裁判所窓口orオンライン提出
2. 期日指定2〜4週間後裁判所から期日通知
3. 相手方への送達期日1〜2週間前訴状副本+期日呼出状
4. 口頭弁論期日1日で完結証拠調べ→即日判決
5. 判決期日当日〜1週間言渡し・判決書送達
6. 相手方の異議申立判決送達から2週間異議で通常訴訟に
7. 判決確定異議期間経過後強制執行可能に

訴状は裁判所ホームページから定型書式をダウンロード可能で、記入例に沿えば法律知識なしでも作成できます。裁判所の書記官が事前チェックしてくれるため、不備は事前に修正。当日の口頭弁論は裁判官と当事者の対話形式で進み、書面証拠・写真・領収書・LINEのスクショ等を持参して主張を行います。

通常訴訟への移行リスク

少額訴訟の最大のリスクは相手方が「通常訴訟への移行」を申立てられる点。相手が申立てれば少額訴訟は打ち切られ、通常訴訟に切り替わって長期化・弁護士費用増になります。

相手が通常訴訟移行を申立てるインセンティブは、①1日で判決される少額訴訟より、通常訴訟の複数期日で時間稼ぎしたい、②書面主義で丁寧に反論したい、③支払いを引き延ばしたい、等が典型。

比較項目少額訴訟通常訴訟
対象60万以下・金銭のみ制限なし
期日1日で完結複数期日
期間1〜2ヶ月6ヶ月〜1年超
弁護士不要(本人可)実務上推奨
費用5,000〜10,000円数万〜数十万円
控訴不可(異議のみ)可能

相手が通常訴訟移行を選択した場合の対策として、①事前に相手の反応を予測する、②訴額を60万以下に絞る、③証拠を万全に揃える、④弁護士相談を並行する、が実務的。法テラスで収入基準に応じた無料相談・弁護士費用立替制度も活用できます。

判決後の強制執行

判決で勝訴しても、相手が任意で支払わない場合は強制執行が必要。裁判所の判決だけでは自動的にお金が入るわけではない点は要注意です。

  • 給料差押え:相手の勤務先を特定して給与の1/4を差押え。継続的に回収可能
  • 預貯金差押え:相手の銀行口座(銀行名・支店名)を特定して口座残高を差押え
  • 動産・不動産差押え:家財・自動車・不動産を差押えて競売
  • 債務名義の取得:判決確定後に裁判所から「執行文付判決正本」を取得(強制執行の必須書類)

強制執行にも申立手数料・郵券が別途必要(数千円〜1万円程度)。相手の勤務先や銀行口座を特定できないと差押え自体が困難で、判決が「絵に描いた餅」になるリスクあり。事前に相手の情報(勤務先・銀行取引)を可能な範囲で調べておくと実務的です。判決正本には10年の時効があるため、時効前に強制執行を検討しましょう。

シーン別の使い方

典型的な金銭トラブル別に、少額訴訟の使い方と判断ポイントを整理。相手との交渉→内容証明→少額訴訟→通常訴訟の順で選択肢を検討するのが一般的な実務フロー。

敷金返還請求

賃貸物件退去後、敷金が不当に控除された場合。敷金20〜60万円なら少額訴訟が最適。原状回復ガイドライン(国交省)に沿って通常損耗・経年劣化分の控除を無効主張。写真・退去時立会書が証拠。

残業代未払い請求

ブラック企業の未払い残業代を回収。60万円までなら少額訴訟で対応可能。タイムカード・給与明細・LINE・シフト表が主要証拠。労基署への申告と並行するケースも。

売掛金回収(フリーランス)

取引先が代金を支払わないケース。契約書・請求書・納品書・メール履歴で契約成立・履行完了を立証。内容証明で催告→少額訴訟の順が定石。

貸金返還請求

個人間の貸金返還。借用書・振込明細・LINEのやりとりが証拠。時効(5年)に注意。時効前に少額訴訟で判決を取得し時効中断。

フリマ・オークションの代金トラブル

メルカリ・ヤフオク等での代金未払い・商品不着トラブル。プラットフォームの補償対象外の場合に少額訴訟。取引履歴のスクショが証拠。相手の住所特定が課題。

交通事故の物損

物損事故で加害者が任意保険未加入・低額和解拒否のケース。修理見積書・事故証明・写真が証拠。60万以下の物損なら少額訴訟が現実解。

よくある勘違い

1. 「60万超えの慰謝料も少額訴訟でOK」は誤り

少額訴訟は60万円以下+金銭請求のみ。60万円超は通常訴訟へ。慰謝料・損害賠償も金銭であれば60万以下で少額訴訟可能だが、非金銭請求(物の引渡し・登記手続き)は対象外。

2. 「1日で終わる」は原則で例外あり

原則1期日で判決だが、相手が通常訴訟移行を申立てれば長期化。証人尋問が必要な複雑な事案も少額訴訟の趣旨に反するため、裁判官の判断で通常訴訟に移行するケースあり。

3. 「判決で自動的にお金が入る」は誤り

判決は権利を確定するだけで、相手が任意支払いを拒否すれば強制執行が別途必要。給料差押え・預貯金差押えの手続きは別途申立が必要で、相手の勤務先・銀行口座の特定も自力で行う必要。

4. 「弁護士不要」は必ずしも正しくない

本人訴訟が一般的だが、相手に弁護士がついている場合は要注意。相手弁護士は通常訴訟移行を選択しやすく、法的知識で有利に進める可能性。難易度が高いケースは法テラスで弁護士相談推奨。

5. 「訴額を分割して複数回申立可」は誤り

60万円超の請求を、60万+α に分割して少額訴訟を複数回申立ることは裁判所が却下。同じ紛争は一本化される(一部請求の可否は個別判断)。同一原告の年10回制限も注意。

6. 「少額訴訟は控訴できる」は誤り

少額訴訟判決に不服がある場合、控訴ではなく「異議申立」のみ可能(判決送達から2週間以内)。異議で通常訴訟に移行して同じ簡易裁判所で審理される。高等裁判所への上訴はできない。

7. 相手の住所が不明でも訴訟可能な場合あり

相手の住所が特定できないと訴状の送達ができないが、「公示送達」制度で裁判所掲示による送達が可能なケースあり。ただし特別な事情の疎明が必要で、実務的にはハードルが高い。

8. 訴訟費用は勝訴で回収可能だが実務は困難

民事訴訟法では訴訟費用は敗訴側負担が原則だが、勝訴判決に「訴訟費用は被告の負担」と記載されるだけで、印紙代・切手代の回収も別途強制執行が必要。実務上は自己負担扱いが多い。

9. 判決確定後の時効は10年

少額訴訟判決も債務名義の時効は10年(民法第169条)。時効前に強制執行するか、時効中断措置(時効の完成猶予・更新)を取る必要。10年経過で相手から時効援用されると回収不能に。

参考リンク・公的資料

本ツールは少額訴訟の申立費用(印紙代・切手代)の概算計算です。切手代(予納郵券)は簡易裁判所により金額・組合せが異なるため、実際の申立前に管轄簡易裁判所に必ずご確認ください。少額訴訟の対象範囲・使用回数制限・通常訴訟移行の可否・強制執行手続きは民事訴訟法および関連法令に基づき個別事案で判断されます。相手方の反応・証拠状況・請求の複雑性によって少額訴訟が最適解でない場合もあるため、複雑な事案・高額紛争・法律関係が絡む事案は弁護士・法テラス等の専門家へご相談ください。判決取得後の強制執行には別途費用・手続きが必要で、相手の資力・財産状況によっては現実の回収が困難なケースもあります。裁判所公表資料と本ツールの計算結果に差異がある場合は裁判所の公式情報が優先されます。

よくある質問(FAQ)

本当に1日で終わる?

原則1期日(1日)で判決が下されるのが少額訴訟の特徴。訴状提出から判決まで1〜2ヶ月で完結。ただし相手が通常訴訟移行を申立てれば長期化し、6ヶ月〜1年の通常訴訟に切り替わる。証人尋問等が必要な複雑事案も裁判官の判断で通常訴訟に移行するケースあり。事前に相手の反応を予測して戦略を組むことが重要。

弁護士は必要?

本人訴訟が一般的で弁護士不要。訴状は裁判所ホームページの書式をダウンロードして記入例に沿って作成できる。書記官が事前チェックしてくれるので不備は修正可能。ただし相手に弁護士がついている、証拠が複雑、法律関係が難しい事案は法テラスで弁護士相談推奨。

60万円を超えたらどうする?

60万円超は通常訴訟へ。訴状提出は簡易裁判所(140万円まで)または地方裁判所(140万円超)で、印紙代も訴額に応じて増加。通常訴訟は複数期日で6ヶ月〜1年、弁護士費用込みで数十万円のコスト。訴額を60万円以下に絞って少額訴訟にする戦略もあり(ただし残額の請求は別途)。

相手が期日に来なかったら?

「欠席判決」で原告勝訴が原則。相手が正当な理由なく期日に出頭しないと、原告の主張が全面的に認められる判決になる可能性が高い。ただし相手が事前に答弁書を提出していれば書面審理に切り替わる場合あり。相手不在で勝っても強制執行は別途必要。

証拠は何を用意すべき?

金銭請求の根拠となる契約書・借用書・領収書・振込明細・請求書・納品書・メール・LINE履歴・写真が主要証拠。原本を裁判所に持参し、コピーを提出。証人尋問は少額訴訟の趣旨に合わないため、証人が必要な事案は通常訴訟が推奨される。

判決に不服がある場合は?

「異議申立」のみ可能で控訴は不可。判決送達から2週間以内に異議申立てれば、同じ簡易裁判所で通常訴訟として再審理される。高等裁判所への上訴・最高裁への上告はできない。異議申立後の通常訴訟判決には控訴可能。

訴訟費用は勝訴で回収できる?

民事訴訟法上は敗訴側負担が原則で、判決に「訴訟費用は被告の負担」と記載される。ただし印紙代・切手代の回収も別途強制執行が必要で、実務上は自己負担扱いになることが多い。弁護士費用は原則自己負担(悪質な相手方の場合、損害賠償に含める判例あり)。

年10回までしか使えない?

同一原告が同一簡易裁判所で使えるのは年10回まで(民訴法第368条)。訴訟慣れした職業訴訟屋の乱用防止規定。個人が敷金返還や残業代請求で数回使う範囲では問題にならない。10回超の場合は通常訴訟へ。

敷金返還請求で使える?

敷金20〜60万円の返還請求は少額訴訟の代表的な活用例。国交省「原状回復ガイドライン」に沿って通常損耗・経年劣化分の控除を無効主張。国交省ガイドラインと退去時立会書・写真が主要証拠。事前に大家・管理会社と交渉→内容証明→少額訴訟の順が実務的。

残業代未払い請求で使える?

60万円以下の未払い残業代なら少額訴訟可能。タイムカード・給与明細・シフト表・LINEが証拠。労基署への申告(無料)と並行するのが実務的。労基署が是正勧告しても支払われない場合の最終手段が少額訴訟。時効2年に注意(2020年改正で3年に延長された部分あり)。

判決後、相手が支払わなかったら?

強制執行が必要。給料差押え(給与の1/4)、預貯金差押え(口座残高)、動産・不動産差押えの選択肢あり。強制執行にも別途申立手数料・郵券が必要(数千円〜1万円)。相手の勤務先・銀行口座を特定できないと差押え自体が困難で、判決が「絵に描いた餅」になるリスク。

少額訴訟と支払督促の違いは?

支払督促は裁判官の関与なく書記官のみで手続きする簡易な制度。相手が異議申立てれば通常訴訟に移行するため、争いが予想されるケースには不向き。少額訴訟は口頭弁論で証拠調べを行い判決が出るため、争いのある事案に適する。手数料は支払督促の方が安い(印紙代半額)。

相手が「和解したい」と言ってきたら?

和解成立は柔軟な解決策。少額訴訟中でも裁判官の勧告で和解可能で、和解調書は判決と同じ強制執行の効力を持つ。分割払い・減額・遅延金免除等の柔軟な条件設定ができるため、確実な回収を優先するなら和解も現実的な選択。和解成立で訴訟は終了する。

相手の情報を集めるヒント

強制執行の実効性を高めるには、判決前から相手の勤務先・銀行口座・不動産所有を可能な範囲で把握しておくことが重要です。相手との取引メール、SNS投稿、名刺、給与明細(過去に受け取ったもの)等が手掛かり。民事執行法の「財産開示手続」(判決確定後)で裁判所が相手に財産開示を求める制度もあり、虚偽開示には罰則があります。2020年改正で第三者(銀行・登記所・年金機構)への情報照会も可能になり、給料差押えのハードルが大幅に下がりました。e-Gov 民事執行法で詳細確認可能です。

少額訴訟以外の選択肢

金銭トラブル解決の手段は少額訴訟だけではありません。事案の性質・相手との関係・金額・時間軸に応じて、以下の選択肢を検討しましょう。

手段費用目安期間強制力適する場面
内容証明郵便1,500円前後数日〜1週間なし初動・催告・時効中断
民事調停1,000〜5,000円1〜3ヶ月調停調書に強制執行力話し合い解決希望
支払督促2,000〜5,000円1〜2ヶ月異議で通常訴訟へ争いが少ないケース
少額訴訟5,000〜10,000円1〜2ヶ月判決に強制執行力60万以下・金銭のみ
通常訴訟数万〜数十万円6ヶ月〜1年超判決に強制執行力60万超・複雑事案
ADR(民間調停)1〜5万円1〜3ヶ月裁判所認証で強制執行力柔軟な解決希望

まずは内容証明で相手にプレッシャーをかけ、応じなければ調停・支払督促→少額訴訟の順に段階を上げていくのが実務的。法務省ADR法テラスで最適な手段を相談可能。