労働保険 年度更新の保険料計算
前年度と本年度の賃金総額、保険料率、納付済額から、労働保険の確定保険料・概算保険料・今回の納付額と期別金額を算出します。
労働保険 年度更新の保険料計算ツール
保険料は賃金総額×(労災保険料率+雇用保険料率)で計算します。既定値の合計率は17.5/1000なので、確定保険料は1億2,000万円×0.0175=2,100,000円、概算保険料は1億2,600万円×0.0175=2,205,000円。一般拠出金は1億2,000万円×0.02/1000=2,400円です。納付済2,000,000円との差100,000円が不足として上乗せされ、納付総額は2,307,400円。3回に分けると第1期は735,000円+100,000円+2,400円=837,400円となります。
年度更新の納付期限(延納する場合)
| 期 | 納付期限 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| 第1期 | 7月10日 | 概算の3分の1、確定との差額、一般拠出金 |
| 第2期 | 10月31日 | 概算の3分の1 |
| 第3期 | 翌年1月31日 | 概算の3分の1 |
| 一括の場合 | 7月10日 | 全額 |
主な事業と労災保険料率の例(1000分の)
| 事業の種類 | 料率の水準 |
|---|---|
| その他の各種事業(事務所など) | 3程度 |
| 卸売業・小売業、飲食店 | 3程度 |
| 建築事業 | 9〜10程度 |
| 林業・水産の一部 | 50を超える区分もあります |
※参考計算です。法令・告示・単価は改正されることがあるため、実際の判断は最新の条文と所管窓口、必要に応じて専門家への確認のうえで行ってください。
労働保険 年度更新の保険料計算の詳しい解説
年度更新の計算がわかりにくいのは、1回の手続で前年度の精算と本年度の前払いを同時に行うためです。確定保険料は実際に支払った賃金総額から計算し、すでに納めた概算保険料との差額を精算します。同時に、本年度の見込賃金総額から新たな概算保険料を算出して前払いします。納付書の金額は、この二つに一般拠出金を足した合計であり、どれか一つだけを見ても数字は合いません。
判断が分かれるのは、本年度の見込賃金総額をどう置くかです。実務では前年度と同額とみなす扱いが認められており、増減が2倍を超えない限りこの方法が使えます。見込みを高く置けば前払いが増えて資金繰りを圧迫し、低く置けば翌年の精算で不足が膨らみます。人員の増減や賞与の支給計画が固まっている場合はそれを反映し、不確実なら前年度同額に寄せておくほうが管理は簡単です。
見落とされやすいのが賃金総額の範囲です。賞与や通勤手当は含みますが、退職金や恩恵的な見舞金、出張旅費の実費は除きます。役員報酬は原則として対象外である一方、使用人兼務役員の使用人分の給与は含めます。雇用保険については、対象とならない役員や短時間で被保険者に該当しない人の賃金を除く必要があり、労災の賃金総額と雇用保険の賃金総額が一致しない事業所も珍しくありません。二つの区分を分けて集計しないと、料率を掛ける母数を誤ります。
納付の条件によっても負担感が変わります。概算保険料が40万円以上、または労働保険事務組合に事務を委託している場合は3回への延納が認められ、資金繰りの平準化ができます。ただし確定保険料の不足分と一般拠出金は第1期にまとめて納めるため、第1期だけ金額が跳ね上がります。労災保険料率は事業の種類ごとに定められ、建設業などでは請負金額を基礎とする特例もあります。自社の適用区分や賃金の集計範囲に迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士への確認が確実です。
事務の効率という面では、賃金集計の様式を給与システムの側で作り込んでおくと毎年の負担が大きく下がります。年度更新のたびに手作業で集計している事業所では、集計そのものに数日を要し、確認の時間が取れないまま申告することになります。労災と雇用保険で対象者の範囲が違う点を集計の段階で分けておけば、翌年以降は数字を転記するだけで済みます。電子申請にすれば納付も電子で完結し、窓口へ出向く時間も不要になります。
業界・現場での使い方
総務担当者の年度更新事務
賃金集計の結果を入れて納付額を事前に把握し、資金の準備と申告書の検算に使います。
社会保険労務士の顧問業務
延納の可否と期別金額を示し、顧問先に納付スケジュールを案内します。
資金繰り計画の作成
7月・10月・1月の納付額を織り込み、月次の資金計画に反映します。
賃金増減の影響試算
見込賃金を変えて概算保険料の差を確認し、増員計画の負担を見積もります。
よくある間違い・注意点
- 確定保険料だけを納付額と考える — 本年度の概算保険料と一般拠出金が加わるため、納付書の金額はそれより大きくなります。
- 労災と雇用保険の賃金総額を同じにする — 対象となる労働者の範囲が異なるため、役員や短時間労働者の扱いで差が出ます。
- 賃金総額に退職金や実費を含める — 退職金や出張旅費の実費は賃金総額に含めません。含めると保険料が過大になります。
- 延納の要件を確認しない — 概算保険料が40万円未満で事務組合への委託もない場合は、3回への分割ができません。
- 第1期の金額を均等割と思い込む — 確定分の不足額と一般拠出金が第1期に上乗せされるため、他の期より高くなります。
関連する規格・公的資料
- 国税庁 — 国税・申告
- e-Gov 法令検索 — 法令の条文
- 法務省 — 登記・相続
- 厚生労働省 — 労働・社会保険
- 日本年金機構 — 厚生年金・届出
- 国土交通省 — 建設業許可
- 日本行政書士会連合会 — 行政書士
- 日本税理士会連合会 — 税理士
- 日本司法書士会連合会 — 司法書士
- 中小企業庁 — 中小企業施策
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。医療・法務・税務の判断は最新の告示・規格および専門家の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
賃金総額1億2,000万円の場合の確定保険料はいくらですか?
合計料率17.5/1000の既定値では2,100,000円です。概算保険料は見込額1億2,600万円で2,205,000円となります。
年度更新の期限はいつですか?
原則として毎年6月1日から7月10日までに申告と納付を行います。土日祝日にあたる場合は翌開庁日となります。
延納は誰でもできますか?
概算保険料が40万円以上、または労働保険事務組合に委託している場合に3回への分割が認められています。
一般拠出金とは何ですか?
石綿による健康被害の救済に充てる拠出金で、労災保険の適用事業主が対象です。延納の対象外で第1期にまとめて納めます。
賃金総額に含めないものは何ですか?
退職金、結婚祝金などの恩恵的給付、出張旅費の実費、役員報酬(使用人分を除く)などです。
見込賃金は前年度と同額でよいですか?
増減が一定の範囲に収まる見込みであれば前年度と同額として差し支えないとされています。
概算保険料を納め過ぎていた場合はどうなりますか?
確定との差額が本年度の概算保険料に充当されます。充当してなお残る場合は還付を請求できます。
労災保険料率はどこで確認できますか?
厚生労働省が事業の種類ごとに料率を告示しています。改定があるため毎年の確認が必要です。