VAV必要風量
冷房負荷・給気温度差・最小風量比を入力すると、VAV(Variable Air Volume=変風量方式)ユニットの最大風量・最小風量・必要外気量・送風機動力を即算出。
建築物衛生法のCO2濃度1000ppm以下、SHASE-S 016の設計指針、労働安全衛生規則の必要換気量20〜30m³/人/hとのバランスチェック、CO2安定判定、省エネ効果概算までワンストップで確認できるオフィス・ホテル・病院・研究所の空調設計者向けツールです。
VAV必要風量ツール
基本式
最大風量 Qmax = 冷房負荷 × 60 / (ρ × Cp × ΔT)
ρ(空気密度)=1.2 kg/m³、Cp(比熱)=1.005 kJ/(kg·K) @ 20℃
最小風量 Qmin = Qmax × 最小風量比
送風機動力 = SFP × Qmax / 1000 (SFPは比動力 W/(m³/min))
冷房負荷10kW・ΔT10℃で最大風量は50m³/min、最小30%設定で15m³/min、SFP 60W/(m³/min)で送風動力は最大3.0kWとなります。SHASE-S 016では最小風量比は換気必要量・気流感・室内圧バランス・熱抜けを総合考慮して30〜50%程度に設定するのが一般的です。VAVはCAV(定風量方式)対比で年間搬送動力を30〜40%削減できる代わりに、最小風量以下ではCO2上昇と換気不足のリスクがあります。
用途別 最小風量比・室内条件
| ゾーン用途 | 推奨最小比 | 推奨設定温度 | 気流上限 |
|---|---|---|---|
| 大会議室(不定期利用) | 30% | 26℃ | 0.5m/s |
| 執務室(定常人員) | 40% | 26℃ | 0.5m/s |
| ホテル客室 | 30% | 設定自在 | 0.3m/s |
| 厨房・給湯室 | 60% | 28℃ | 1.0m/s |
| 研究所ドラフト | 100%(CAV) | 25℃ | 0.6m/s |
| 病院一般病室 | 50% | 26℃ | 0.3m/s |
| 病院ICU/手術室 | 100%(CAV) | 24℃ | 0.3m/s |
| データセンター | 要別途設計 | 27℃(サーバ吸込) | 2.5m/s許容 |
SFP(比動力)の設計目安
| 省エネ等級 | SFP W/(m³/min) | 備考 |
|---|---|---|
| ZEB水準(推奨) | 30〜50 | 高効率ファン・DC |
| 省エネ標準 | 50〜70 | インバータ制御 |
| 従来型 | 70〜100 | CAV機更新前 |
| 高圧損系統 | 100〜150 | クリーンルーム等 |
VAV必要風量の詳しい解説
VAV(Variable Air Volume=変風量方式)は、「室の負荷に応じて給気風量を変化させる空調制御方式」で、CAV(Constant Air Volume=定風量方式)と対比されます。1970年代のオイルショック以降、欧米で普及が進み、日本では1980年代のインテリジェントビル・オフィスビルで本格的に採用が広がりました。給気温度を一定(例:15℃)に保ったまま風量を変化させることで、部分負荷時の送風動力・冷熱源動力を大幅に節約できるのが最大の利点です。
VAV制御の基本ロジックは室温をVAVユニットが感知し、風量ダンパー開度で追従する仕組みです。オフィスの多くはインテリア・ペリメーター別ゾーニングで、ペリメーター側は日射・外壁貫流負荷が大きいため独立系統(FCU併用)で細かく制御し、インテリア側はVAV+ペリカウンター方式でエネルギー消費を最小化する構成が一般的です。近年はセントラル空調のVAVに加えて、天井カセットのVAV吹出ユニット、シーリング吹出のVAVディフューザーなど、機器レベルでの制御多様化も進んでいます。
設計上の重要ポイントは最小風量の設定です。SHASE-S 016では、最小風量比は「換気必要量以上、気流感許容範囲、室内圧維持」の3条件を満たす値に設定します。とくにCO2濃度の観点では、建築物衛生法で1000ppm以下(執務室)、労働安全衛生規則で1000ppm以下(事務所)、学校保健安全法で1500ppm以下(教室)と規定され、外気導入量が絶対要件です。1人あたり30m³/h(オフィス標準)を確保できる最小風量比を計算で確認するのが基本です。
省エネ性能の観点では、VAVはファン動力の3乗則(相似則)で理論的な省エネポテンシャルが説明できます。風量を半分にすると必要圧力は1/4、動力は1/8になるという原理から、部分負荷時の動力削減が非常に大きくなります。実際のオフィスビルでは、VAVの導入で年間搬送動力を30〜40%削減した事例が国交省の官庁施設ZEB化ガイドや、省エネセンター事例集に多数掲載されています。ただしSFP(比動力)の低い高効率ファン、インバータ制御、ダクト抵抗低減とセットで初めて理論値に近い実効省エネが得られます。
実務でよくあるトラブルは「最小風量以下運転」による換気不足とCO2上昇、そして「ハンチング」(制御振動)の2つです。前者は最小風量比を過度に絞ったり、CO2センサーとの連動が不十分な場合に発生し、頭痛・眠気・集中力低下といったシックビル症候群の一因になります。後者はVAVダンパーと室温センサーの応答時定数のミスマッチや、隣接ゾーン間の圧力干渉、ダクト風量の過大分岐で発生し、快適性を大きく損ないます。
最新のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準では、VAV+外気導入CO2フィードバック制御+DC(直流)インバータファン+全熱交換のコンビネーションが標準構成となっています。国土交通省・環境省・経済産業省の三省合同ZEBロードマップでは、事務所ビルの一次エネルギー消費を50%以下に削減する目標が示されており、VAVの適切な設計と運用はZEB達成の重要な要素です。改修市場でもVAV化リニューアルは投資回収3〜7年で実現できる代表的な省エネ改修メニューになっています。
BEMS(Building Energy Management System)との連携も近年重要な設計要素となっています。VAV各ユニットの風量・制御信号・室温・CO2をBEMSに集約し、AI/機械学習で先読み制御(気象予報・在室予測)することで、従来のフィードバック制御の上に予測制御を重ねた高度な運用が可能になります。既築ビルのVAV後付け改修でもBEMS連動を前提とすれば、投資回収期間はさらに短縮できる傾向で、資源エネルギー庁の省エネ大賞受賞事例にも多数掲載されています。
換気設計の観点で注意すべきは、コロナ禍以降の外気導入強化トレンドです。厚生労働省の指導ではオフィス・学校・病院で「換気の悪い密閉空間」を避けることが推奨され、CO2 800ppm程度を新たな快適性目標とする設計も広がっています。VAVの最小風量比を従来より高めに設定する(例:オフィスで40%→50%)、外気導入率を全体風量の30〜40%に増加させるなどの対応が実務標準になりつつあります。感染症流行時と平常時で運用モードを切り替える設定も一般化しました。
業界・現場での使い方
オフィスビル(設計・改修)
ゾーン別温度制御、インテリア/ペリメーター分離、CO2連動外気導入、夜間フリークーリング、ナイトパージ連携。ZEB化改修では最も投資対効果の高い省エネメニューの一つで、既存CAVからVAV+インバータ化で年間動力30〜40%削減が標準的な効果です。
ホテル(客室・共用部)
客室個別温度制御・チェックアウト後の風量削減(セットバック)・共用部(ロビー・レストラン)の混雑追従制御。フロント連動で在室状況判定、玄関開閉時のペリメーター負荷追従で快適性と省エネを両立します。
研究所・実験室
局所発熱(実験機器)への風量追従。ドラフトチャンバー・バイオセーフティーキャビネットは安全性優先でCAV運用が原則、一般実験室はVAVで負荷追従。差圧管理と併用して汚染拡大防止の設計が必須です。
病院・医療施設
一般病室はVAV、手術室・ICU・分娩室はCAV+高清浄フィルタで感染管理。差圧管理・気流方向(清浄→準清浄→汚染)の維持が最優先で、風量絞りには制約が多く、SHEA/JAHIS等のガイドラインを参照します。
データセンター
ホットアイル/コールドアイル分離、サーバ発熱追従、外気冷房(フリークーリング)、気流封じ込め(コンテインメント)。VAV相当の風量制御が電力使用効率(PUE)改善に直結し、GreenITやTIA-942の設計指針が参考になります。
学校・保育施設
教室CO2 1500ppm以下(学校保健安全法)、感染症対策の外気導入強化、休憩時の風量セットバック。文部科学省の学校施設基準でCO2測定義務があり、VAV+CO2センサ連動が推奨されます。
ケーススタディ:現場での実務計算
ケース1:オフィスビル執務室のVAV設計
- 床面積80㎡、在室16人、冷房負荷10kW、ΔT10℃、最小比30%
- 最大風量 = 10×60/(1.2×1.005×10) = 約49.8m³/min
- 最小風量 = 49.8 × 0.30 = 14.9m³/min(=895m³/h)
- 必要外気量(30m³/h/人) = 16×30 = 480m³/h = 8m³/min
- 最小風量14.9>8で外気導入量は満たすが、CO2センサ連動推奨
ケース2:ホテル客室(30㎡・在室2人)
- 冷房負荷2.5kW、ΔT10℃、最小比30%
- 最大風量 = 2.5×60/(1.2×1.005×10) = 約12.4m³/min
- 最小風量 = 12.4 × 0.30 = 3.7m³/min
- チェックアウト後は空室検知で最小比15%に自動セットバック
- フロントシステム連動で年間動力40%削減事例が公開されています
ケース3:大会議室(不定利用・満員時追従)
- 床面積100㎡、満員50人、冷房負荷15kW、ΔT10℃、最小比30%
- 最大風量 = 15×60/(1.2×1.005×10) = 約74.6m³/min
- 最小風量 = 22.4m³/min(空室時)、CO2 800ppm→1400ppmで最大追従
- 会議中(50人)は必要外気1500m³/h=25m³/minまで自動増加
- 省エネと快適性・CO2安定の両立にCO2フィードバック連動が有効
ケース4:CAV→VAV化改修の投資回収
- 1000㎡フロア、CAV定格100m³/min、SFP旧90→新50W/(m³/min)
- ファン動力 旧9.0kW → 新5.0kW(SFP改善)+ VAV平均風量60%削減で3.0kW
- 年間稼働2500h、電力単価20円/kWh → 削減300,000円/年
- 初期投資1500万円 → 単純回収期間5.0年で改修投資判断可能
ケース5:研究所実験室のCO2安定判定
- 床面積60㎡、在室4人、冷房負荷5kW、ΔT10℃、最小比40%
- 最大風量 = 5×60/(1.2×1.005×10) = 約24.9m³/min
- 最小風量 = 24.9 × 0.40 = 10.0m³/min = 600m³/h
- 必要外気(30m³/h/人)=120m³/h < 600m³/h で余裕あり
- 実験機器発熱時は自動的に最大追従、負荷変動対応の柔軟性が特長
ケース6:病院一般病室のVAV設計
- 床面積25㎡、在室2人、冷房負荷2kW、ΔT10℃、最小比50%
- 最大風量 = 2×60/(1.2×1.005×10) = 約9.95m³/min
- 最小風量 = 9.95 × 0.50 = 4.98m³/min = 299m³/h
- 必要外気(病院基準50m³/h/人)=100m³/h、余裕あり
- 差圧管理(廊下からわずかに正圧)と併用して感染管理対応が可能
ケース7:学校教室の外気導入強化
- 床面積70㎡、生徒40人、冷房負荷8kW、ΔT10℃、最小比40%
- 最大風量 = 8×60/(1.2×1.005×10) = 約39.8m³/min
- 最小風量 = 39.8 × 0.40 = 15.9m³/min = 954m³/h
- 必要外気(30m³/h/人)=1200m³/h → 最小風量954m³/hでは不足
- 最小比50%または全熱交換器併用で外気導入強化必須(学校CO2 1500ppm基準)
よくある間違い・注意点
- 最小風量ゼロ設定 — CO2悪化・臭気滞留・シックビル症候群の温床。人感センサや空室検知でセットバック(=最小比10〜15%)は可、完全停止は不可。
- CO2センサー未連動 — 建築物衛生法の1000ppm基準未達で行政指導リスク。会議室・教室など人数変動大きい室は必須の連動制御です。
- CAV機器で無理な絞り制御 — 過制御でハンチング(制御振動)発生、快適性悪化。CAV機はCAVで、VAV化はユニット交換とセットが原則。
- SFP過大設計 — 従来型100W/(m³/min)級のファンで省エネ効果半減。DC/インバータ+高効率翼で50W以下、ZEB狙いなら30〜40W級を選定。
- ダクト抵抗過大 — 高圧力損失系統ではVAVの動力削減効果が理論値の半分以下に。ダクト大径化・分岐減・スムーズ継手が省エネ実効性の前提です。
- 気流不良(ドラフト・むら) — 最小風量時の吹出速度低下でコールドドラフト、あるいは風量偏りで局所高風速。VAVディフューザーの吹出パターン設計と併用が必須です。
- 差圧管理無視 — VAV化で室内圧が変動、隣接ゾーンとの気流干渉。病院・実験室・食品工場の清浄区画では特に注意が必要で、差圧制御VAVの選定を検討します。
関連する規格・法規
- SHASE-S 016「空気調和・衛生工学会 標準 換気規準・同解説」— 用途別最小換気量・CO2濃度基準・気流条件の設計指針。
- 建築物衛生法(ビル管法) 施行令第2条 — 特定建築物のCO2 1000ppm以下、温度17〜28℃、相対湿度40〜70%、気流0.5m/s以下。
- 労働安全衛生規則第606条 — 事務所のCO2 1000ppm以下、換気設備の設置義務。
- 学校保健安全法施行規則 — 教室CO2 1500ppm以下、二酸化炭素濃度の日常点検義務。
- 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法) — 非住宅建築物のBEI(基準一次エネルギー消費量比)、2025年以降の適合義務化。
- ZEBロードマップ(国交省・経産省・環境省) — 事務所ビルの一次エネルギー50%以下、ZEB Ready/Nearly ZEB/ZEB水準の3段階。
- ASHRAE 62.1(参考) — 米国換気規準、日本の設計にも参照される国際指針。
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の空調設計・施工・法令適用は最新の告示・SHASE-S規準および所轄官庁の判断に従ってください。医療施設・実験室・食品工場等の特殊用途は個別のガイドラインを参照し、専門技術者による設計が必要です。
よくある質問(FAQ)
冷房負荷10kW・ΔT10℃・最小30%の風量は?
最大風量 = 10 × 60 /(1.2 × 1.005 × 10) = 約49.8m³/min。最小風量 = 49.8 × 0.30 = 約14.9m³/min。SFP 60W/(m³/min)で送風動力は最大約3.0kWになります。
VAVとCAVはどちらが省エネか?
部分負荷率が高い建物・時間の長い用途(オフィス・ホテル・住宅など)ではVAVが有利で、年間搬送動力を30〜40%削減できます。負荷変動が小さい用途(手術室・クリーンルーム・データセンター一部)では差圧・気流制御優先でCAVが選ばれます。
最小風量比は何%が適正?
用途によって異なりますが、SHASE-S 016では30〜50%が一般的な範囲。会議室30%、執務室40%、厨房60%、病室50%程度。CO2 1000ppm以下と気流上限を満たす最小値に設定します。
CO2 1000ppm以下を維持するには?
1人あたり外気30m³/h(オフィス)を確保できる最小風量比に設定し、CO2センサー連動制御で追加補正。VAV+CO2フィードバックが標準構成です。会議室では在室検知で外気導入量を可変にする設計が一般的です。
SFP(比動力)とは?
Specific Fan Power=1m³/minの風を送るのに必要なファン動力(W)。値が小さいほど高効率。ZEB水準は30〜50W/(m³/min)、省エネ標準50〜70、従来型70〜100W/(m³/min)が目安です。
ハンチング(制御振動)が起きたら?
VAVダンパーPID制御定数の調整、圧力バランス見直し、上下流のダクト設計変更で対処。とくに隣接ゾーンとの干渉、ダクト分岐設計の不備、複数VAVの連動不良が原因になりやすいので、系統設計から見直します。
ZEB狙いのVAV設計のポイントは?
DCインバータ高効率ファン(SFP 30〜40)、CO2連動外気制御、全熱交換併用、ペリメーター独立系統、夜間フリークーリング、ナイトパージ連携、系統ダクト大径化の合わせ技が必要です。
手術室・クリーンルームでVAVは使える?
基本的にはCAV運用が原則。感染管理・差圧維持・気流方向制御が最優先で、風量絞りには厳しい制約があります。動線・使用時間で分けたVAV運用は可能ですが、日本医療機能評価機構等のガイドライン参照が必須です。
CAV→VAV化改修の投資回収期間は?
オフィスビルで典型的に3〜7年。SFP改善と部分負荷追従の複合効果で年間搬送動力30〜40%削減。BEMS(ビルエネルギー管理システム)導入と併せると更に効果が上振れします。
VAV後付けは可能?
既設CAVの一部区画を可変化する簡易改修は可能ですが、系統全体のインバータ化とVAVユニット交換、ダクト分岐再設計とセットが本格改修の基本。図面調査と現地圧力測定から始めるのが実務標準です。
用語集
- VAV (Variable Air Volume)
- 変風量方式。給気温度を一定に保ち、風量を変化させて室温制御する空調方式。
- CAV (Constant Air Volume)
- 定風量方式。給気風量を一定に保ち、給気温度を変化させて制御する方式。
- SFP (Specific Fan Power)
- 1m³/minの風を送るのに必要なファン動力(W)。省エネ性能の指標。
- 最小風量比
- VAVの最大風量に対する最小風量の比率。換気必要量・気流感・室内圧のバランスで設定。
- 外気導入量(OA)
- 換気のために取り入れる外気の量。CO2 1000ppm以下維持のため1人あたり30m³/hが標準。
- SHASE-S 016
- 空気調和・衛生工学会規準の換気設計指針。日本の空調設計の基本規準。
- 建築物衛生法(ビル管法)
- 特定建築物の室内環境基準を定めた法律。CO2 1000ppm以下・温湿度・気流基準。
- ペリメーター/インテリア
- 外周部/内周部。ペリメーターは日射・外壁負荷が大きく個別制御、インテリアはVAV+定温制御。
- ハンチング
- 制御系の振動現象。VAV+PID制御のパラメーター不整合で発生。
- セットバック
- 不在・夜間の設定緩和運転。空調エネルギーを削減する省エネ手法。
- ZEB (Net Zero Energy Building)
- 年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロに近づけた建築物。省エネ+創エネの両立。
- BEI
- 基準一次エネルギー消費量比。建築物省エネ法の性能評価指標。
- フリークーリング
- 外気温が低い時期に外気そのままで冷房する省エネ運転。夜間・冬季に有効。
- 全熱交換
- 外気と排気の間で顕熱・潜熱を交換する装置。換気時の熱損失を削減。
- ダンパー
- 風量調整弁。VAVユニットの中核部品で、モータ駆動で開度を可変制御する。
- TAB (Testing/Adjusting/Balancing)
- 竣工時の風量・水量・温度の測定調整。空調システム性能確認の必須工程。
- BEMS
- Building Energy Management System。建物のエネルギー・環境データを一元管理するシステム。
- DCモーター
- 直流モーター。ECモーターとも呼ばれ、ACに比べ効率が20〜30%高く、VAVファンの主流。
- コールドドラフト
- 低温気流による不快感。最小風量時の吹出速度低下や、外壁近接部で発生。
VAV設計・現場チェックリスト
- 最大風量計算 — 冷房負荷×60÷(1.2×1.005×ΔT)、ΔTは通常8〜12℃を推奨。
- 最小風量比設定 — 用途・在室人員別で30〜50%が標準、SHASE-S 016参照。
- 外気量チェック — 1人30m³/h(オフィス)、50m³/h(病院)、5〜10m³/h(工場作業)。
- SFP選定 — ZEB狙いは30〜50W/(m³/min)、DC/ECモーターと高効率翼型ファン。
- ダクト静圧管理 — 主ダクト300Pa以下、分岐70Pa以下、抵抗の少ない配管計画。
- 気流検証 — 吹出速度2〜4m/s、居住域気流0.5m/s以下、コールドドラフト防止。
- 圧力バランス — 各ゾーンの給気/排気バランス、隣接ゾーン差圧管理。
- 制御シーケンス — 起動・停止・セットバック・非常時運転の各モード設定。
- BEMS連携 — 風量・室温・CO2の各点データを1分〜5分粒度で計測・蓄積。
- 試運転調整 — 全数調整・TAB(Testing/Adjusting/Balancing)、竣工後のフォローアップ。
まとめ・実務ポイント
VAV必要風量の設計は「最大負荷への追従」「最小風量の下限確保」「省エネの実効性」の3軸のバランスで決まります。冷房負荷×60÷(空気密度×比熱×温度差)で最大風量を算出し、最小風量比は用途・在室人員・CO2条件で決定するのが基本の設計フローです。
とくにCO2 1000ppm以下の維持・SFP低減・全熱交換併用・CO2フィードバック連動の4点セットが、建築物衛生法・SHASE-S 016準拠のZEB水準空調設計の実務標準です。改修市場では既存CAV系統のVAV化+インバータ化で投資回収3〜7年の省エネ改修が現実的で、BEMS連動を含めれば効果はさらに拡大します。安易な最小風量ゼロ設定・SFP過大設計・CO2センサ未連動は行政指導リスクと快適性悪化に直結するため、本ツールで基本値を確認しつつ、専門技術者の設計判断と現地圧力測定を必ず組み合わせてください。
参考文献・公的リソース
- 空気調和・衛生工学会「SHASE-S 016 換気規準・同解説」shasej.org
- 厚生労働省「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)」mhlw.go.jp
- 厚生労働省「事務所衛生基準規則・労働安全衛生規則」mhlw.go.jp
- 文部科学省「学校環境衛生基準」mext.go.jp
- 国土交通省・経済産業省・環境省「ZEBロードマップ」mlit.go.jp
- 資源エネルギー庁「建築物省エネ法・省エネ性能表示制度」enecho.meti.go.jp
- 省エネルギーセンター「業務用ビル省エネ事例集」eccj.or.jp