プレシード評価額
調達額とプレバリューから、投資家と創業者の持分比率と希薄化の幅を試算します。
プレシード評価額ツール
計算式と考え方
ポストバリューは「プレバリュー + 調達額」で求めます。プレバリュー1億2,000万円に3,000万円を調達すると1億5,000万円です。投資家の持分は「調達額 ÷ ポストバリュー」で20.0%になります。オプションプール10%をプレバリューの中で新設する一般的な形では、創業者の持分は100%から投資家分と新設分を引いた70.0%となり、希薄化は30.0ポイントです。月次バーン180万円なら調達額で約16.7か月のランウェイが確保できます。次ラウンドで3倍の評価額を狙う場合、プレバリューは4億5,000万円という水準になります。
調達段階による評価額の目安
| プレシード | 製品が形になる前の段階。1億円前後が国内の一つの目安とされる |
|---|---|
| シード | 初期の顧客がつき始めた段階。3億円台が一つの範囲になる |
| プレシリーズA | 収益の再現性が見え始めた段階。8億円前後まで幅がある |
| オプションプール | 将来の採用に備えて確保する。プレバリューの中で新設すると創業者側が希薄化を負担する |
プレシード評価額の詳しい解説
初期段階の企業価値評価には、収益や資産に基づく理論的な根拠がほとんどありません。売上がまだ立っていない、あるいは立っていても再現性が確認できていない段階では、割引現在価値や類似企業比較といった手法は機能しないためです。実務では、調達したい金額と、投資家が受け入れる希薄化の幅から逆算して評価額が決まります。投資家側には、初期のラウンドで15%から25%程度の持分を取りたいという事情があり、この範囲に収まるように調達額と評価額の組み合わせが調整されます。したがって、評価額を高く設定したければ調達額も大きくする必要があり、少額の調達で高い評価額を主張しても交渉が成立しにくい構造があります。この構造を理解しないまま評価額だけを高くすると、次のラウンドで問題が生じます。次のラウンドでは、前回より高い評価額をつけられるだけの進捗を示す必要があり、それができなければ評価額を据え置くか下げることになります。評価額を下げる調達は、既存の投資家との関係や従業員の士気に影響し、その後の調達も難しくなります。初期の段階では、評価額を最大化するより、次のラウンドで無理なく上げられる水準に留めるほうが、長期的には有利という考え方が広く支持されています。オプションプールの扱いは、交渉の中で見落とされやすい論点です。将来の採用のために発行を予定する新株予約権の枠を、調達の前に設定するか後に設定するかで、希薄化を誰が負担するかが変わります。プレバリューの中で設定する形が一般的で、この場合は創業者側が全額を負担します。ポストバリューの後に設定すれば投資家も応分に負担しますが、この形は投資家が受け入れにくいのが実情です。プールを10%設定するということは、実質的に評価額が10%下がるのと同じ効果を持つため、評価額の交渉と一体で議論する必要があります。転換型の手法を使う場合は、また別の考え方になります。この時点では評価額を確定させず、次の株式による調達の際の評価額に割引を適用して転換する仕組みで、評価額の交渉を先送りできる利点があります。手続きが簡便で、短期間で資金を入れられる点も初期段階には適しています。一方で、転換時の持分が確定しないため、複数回にわたって転換型で調達すると、次のラウンドで想定を超える希薄化が判明することがあります。転換の条件に上限となる評価額を設定するかどうかで、創業者側の負担が大きく変わるため、条件の細部を理解したうえで合意する必要があります。契約の条件は個別性が強いため、弁護士の確認を経て締結することが望まれます。
業界・現場での使い方
持分の確認
調達額と評価額から投資家と創業者の持分比率を確認します。
希薄化の把握
オプションプールを含めた希薄化の幅を数値で見ます。
ランウェイの設計
調達額が何か月分の運転資金にあたるかを確認します。
よくある間違い・注意点
- 評価額の高さだけを目標にする — 次のラウンドで上回れなければ据え置きや引き下げになります。無理なく上げられる水準に留める判断が必要です。
- オプションプールの負担を確認しない — プレバリュー内で新設すると創業者が全額を負担します。実質的に評価額が下がるのと同じ効果があります。
- 転換型を繰り返して希薄化を把握しない — 転換時まで持分が確定しません。上限となる評価額の設定の有無で負担が大きく変わります。
関連する規格・法規
- NVCA
- 日本ベンチャーキャピタル協会
※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。実際の設計・施工・法令適用は最新の告示・規格および所轄官庁の判断に従ってください。
よくある質問(FAQ)
プレシードの評価額はどのくらいですか?
国内では1億円前後が一つの目安とされます。チームの実績や市場の状況によって幅があります。
何%まで放出してよいですか?
初期のラウンドで15〜25%が一つの範囲です。累積で創業者の持分が薄くなりすぎないかを通しで見る必要があります。
ランウェイはどのくらい確保すべきですか?
12〜18か月分が一つの目安です。次の調達には数か月かかるため、その分を含めて計画する必要があります。