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衛星覆域通信静止LEOGEO

衛星覆域 計算ツール|LEO/MEO/GEO軌道の衛星高度と最低仰角から地上覆域半径・面積・カバレッジをシミュレーション

衛星高度(km)・最低仰角(度)を入力すると、地上覆域半径と面積を即算出。LEO(低軌道 400〜1,500km)・MEO(中軌道 GPS 20,200km)・GEO(静止軌道 35,786km)の各軌道別特性、Starlink 6,000機超のメガコンステレーション設計、日本独自の準天頂衛星「みちびき(QZSS)」、静止気象衛星「ひまわり9号」、地球観測SAR衛星「だいち2号/4号」、宇宙ゴミ(デブリ)問題、5G NTN(Non-Terrestrial Network)、ITU-Rによる周波数調整、雨滴減衰・ドップラー補正の設計マージンまで含めて、衛星通信・観測・測位・防災・宇宙ビジネスの実務で使える無料計算ツールです。

最終更新:2026-07-29/監修:計算ツールズ編集部

衛星覆域ツール

衛星覆域の幾何計算

衛星が地上のどの範囲をカバーできるかは、球面三角法による幾何計算で導かれます。地球中心角γは、衛星高度hと地上局の最低仰角εから以下で算出されます。

γ = arccos((R/(R+h)) · cos(ε)) − ε  覆域半径 = R · γ  覆域面積 = 2πR²(1 − cos(γ))

R=地球半径 6,371km、h=衛星高度、ε=地上局から見た最低仰角。LEO 400km・仰角10°で覆域半径は約2,200km、静止衛星(GEO 35,786km)では約6,300kmで地表面積の約1/3をカバーできます。

低軌道は覆域が狭いため多数機の配置が必要で、Starlinkは既に約6,000機(2026年時点)を打ち上げ、最終計画では最大12,000〜42,000機のメガコンステレーションでグローバルカバレッジを実現。一方、静止軌道はわずか3機で全球通信が可能な代わりに、赤道上に軌道が集中するため軌道帯が枯渇しつつあります。ITU-Rによる軌道位置と周波数の国際調整が、衛星ビジネスの前提条件となっています。

衛星通信の歴史

衛星通信の実用化は1957年のソ連「スプートニク1号」打ち上げに端を発し、1965年の商用静止通信衛星「インテルサットI(Early Bird)」で本格化しました。1960〜70年代は米ソを中心とした静止衛星の時代で、大西洋・太平洋・インド洋を跨ぐ国際通信の主役となりました。

1990年代はイリジウム(Iridium)がLEOで音声通信を実現しようとしましたが、当初は経営破綻。90年代のGPS完全運用開始(1995年)、日本のBSデジタル放送(2000年)、CS放送、GPS測位の民生用開放(2000年)等、静止・中軌道の利用が拡大しました。

2000年代はSAR観測衛星「だいち」(ALOS、2006年)、みちびき初号機打ち上げ(2010年)、静止気象衛星「ひまわり8号」(2014年、9号2016年)等の日本主導プロジェクトが加速。2010年代後半からのSpaceX Falcon 9再利用ロケットによる打ち上げコスト革命が、LEOメガコンステレーション時代の扉を開きました。Starlink(2019年〜)、OneWeb(2019年〜)、AmazonのProject Kuiper(2023年〜)が、地球規模のブロードバンド衛星インターネットを競って構築中です。

軌道別 衛星覆域比較

軌道種別高度覆域半径(仰角10°)周回時間片道遅延代表衛星
ISS(低軌道LEO)400km約2,200km90分1〜2ms国際宇宙ステーション
Starlink LEO550km約2,600km95分2〜3msStarlink v2
OneWeb LEO1,200km約3,900km115分4〜5msOneWeb
地球観測LEO700〜800km約3,000km100分2〜3msだいち2号、ALOS-4
GPS(中軌道MEO)20,200km約5,400km12時間約70msGPS衛星群
Galileo/BeiDou MEO23,000km約5,600km14時間約77msGalileo、BeiDou-3
準天頂軌道32,000〜40,000km約6,100km24時間約110msみちびき(QZSS)
静止軌道(GEO)35,786km約6,300km(地表の1/3)24時間(静止)約120msひまわり、BSAT、Inmarsat

※覆域半径は最低仰角10°の想定。仰角を下げるほど覆域は広がるが、地上局側の障害物・大気減衰の影響で実運用は5〜10°が下限。片道遅延は光速換算値、実際は信号処理・地上ネットワーク遅延で1.2〜1.5倍。

LEO/MEO/GEOの使い分け

衛星覆域は「衛星通信・観測サービス設計の要」です。1個の衛星がどれだけの地表面をカバーできるかは、衛星高度と地上受信機の最低仰角で決まる幾何学的な問題です。実運用では、この幾何学的覆域に加えて周波数・アンテナ利得・出力による通信品質、そして雨滴減衰・電離層擾乱などの伝搬損失が絡みます。

LEO(Low Earth Orbit、低軌道)

高度200〜2,000km。周回時間は90〜100分で、地表の任意点上空に留まる時間は10〜15分程度。覆域は狭い(半径2,000〜3,000km)ため、全球カバレッジには数百〜数千機が必要。片道遅延2〜5msの低遅延と、低軌道による高送信電力効率が特徴。ブロードバンド通信・地球観測・偵察に最適。

MEO(Medium Earth Orbit、中軌道)

高度2,000〜35,000km。周回時間は12〜24時間で、覆域と遅延の中間バランス。GPS(20,200km)・Galileo・BeiDou-3・GLONASSの測位衛星が主。O3b Networks(現SES)のMEO通信衛星もこの高度域。片道遅延70〜100ms。

GEO(Geostationary Orbit、静止軌道)

高度35,786km・赤道上、地球自転と同期して静止して見える。地表の1/3を覆う広大な覆域(半径6,300km)で、3機で全球カバレッジ(極域除く)。ただし片道遅延120ms(往復240ms)でリアルタイム通信には不利。放送衛星(BSAT・スカパー!)・気象衛星(ひまわり)・大容量通信(Inmarsat・JSAT)に最適。

HEO(High Earth Orbit、高軌道)

静止軌道より高い軌道。準天頂衛星「みちびき」のQZO(準天頂軌道)や、モルニヤ軌道(高離心率楕円軌道)がHEOに分類される場合あり。高緯度地域(北極圏・南極圏)でのカバレッジが特徴。

メガコンステレーション時代

2020年代最大のトレンドは「メガコンステレーション(Megaconstellation)」です。従来数個の静止衛星で担っていた通信サービスを、数千〜数万機のLEO衛星群で置き換える動きが加速しています。

Starlink(SpaceX)

2019年打ち上げ開始、2026年時点で約6,000機超が運用中。最終計画では最大12,000〜42,000機。高度550kmのLEOに5つの軌道シェルを配置し、各シェル数千機で地球全域をカバー。日本でも2022年10月からKDDIとの提携でサービス開始、地方の光ファイバ未整備地域を中心に急速普及。月額料金は約10,000円で、下り100〜200Mbps・上り10〜20Mbps・遅延20〜40msを実現。

OneWeb

2020年代前半に約650機を配備完了。高度1,200kmのLEOで、Starlinkより高高度・少機数の設計。B2B(法人向け)を主戦場とし、通信キャリア・エンタープライズ・政府機関向けの卸提供が中心。

Amazon Project Kuiper

2023年打ち上げ開始、3,200機計画。Starlink・OneWebに対抗するAmazonの衛星インターネット事業。地上局サービスとAWSクラウドとの統合が特徴。

中国の千帆・国網(Guowang)

中国が国家戦略として推進するメガコンステレーション。千帆(Qianfan)は約12,000機、国網(Guowang)は約13,000機の計画。世界市場での競争が激化。

みちびき準天頂衛星

日本独自の測位衛星システム「みちびき(QZSS: Quasi-Zenith Satellite System)」は、GPS単独では困難な都市部・山間部での高精度測位を可能にするために構築されました。準天頂軌道(QZO)により日本上空に長時間留まる特殊な軌道設計が特徴です。

準天頂軌道(QZO)の特徴

離心率0.06〜0.09の非対称8の字軌道で、日本上空(北緯30〜50度)を1日約8時間仰角70°以上でカバー。従来GPSでは高層ビル街や山間部で仰角が低くなり、電離層擾乱・マルチパス干渉で測位精度が劣化していたが、QZOにより天頂近くの高仰角衛星が常時1機以上見えるようになり、cm級測位が実現。

7機体制と補強信号

2026年時点で4機打ち上げ済み(1号機〜4号機)、7機体制の完成を予定。GPS互換信号(L1/L2/L5)に加えて、独自の補強信号(L1S・L6・L5S)を提供。CLAS(Centimeter Level Augmentation Service、L6D信号)により、無償でcm級測位が利用可能。

応用分野

自動運転(道路白線内での正確な自車位置把握)、農機自動化(トラクター・田植機の自動走行)、建設・測量(2〜3cm精度の地形計測)、災害対応(避難者位置特定・救助ドローン誘導)等で急速に応用が広がっています。QZSSはGPS(米)・Galileo(欧)・BeiDou(中)・GLONASS(露)と組み合わせたマルチGNSS運用が標準で、単独では機能しません。

地球観測SAR衛星

合成開口レーダー(SAR: Synthetic Aperture Radar)衛星は、光学衛星と異なり「昼夜・雲天候を問わず」地上を観測できる特徴を持ちます。マイクロ波を照射・反射波の位相合成により、高分解能の地形・地表構造画像を取得します。

JAXA「だいち2号(ALOS-2)」・「だいち4号(ALOS-4)」

Lバンド(1.2GHz)SARで、高度628kmの太陽同期軌道。分解能1〜10m級。だいち2号は2014年打ち上げ、だいち4号は2024年打ち上げでALOS-4は3.6mから0.7mの分解能に向上。地震・火山活動の地殻変動計測、豪雨・地滑り被災地の把握、森林・農地観測、海氷モニタリング等で活用。

民間SAR衛星の台頭

フィンランドのアイスアイ(ICEYE)、米カペラスペース(Capella Space)、日本のQPS研究所・シンスペクティブ、米ウンブラ(Umbra)等の民間SAR衛星が2020年代に急速に台頭。小型化(100〜200kg級)と量産(数十〜数百機)により、任意地点の1日数回撮影が可能に。防衛・災害監視・海運物流・保険業界での需要が急拡大しています。

InSAR技術

Interferometric SAR(干渉SAR)は、同一地点を異なる時刻に撮影したSAR画像の位相差から、地表面のミリ単位の変位を検出する技術。地震・火山噴火・地下水汲み上げによる地盤沈下・建物構造物の変位を高精度に把握できます。国土地理院が防災用途で運用。

宇宙ゴミ(デブリ)問題

メガコンステレーション時代の最大課題は宇宙デブリ(Space Debris)問題です。運用中の衛星、使用済み衛星、ロケット上段、分裂片、塗料の剥がれといった数cm〜数十cm級の物体がLEO軌道帯に数十万個存在し、10cm以上のデブリだけで約36,000個(2026年推定)が追跡管理されています。

ケスラー・シンドローム

デブリ同士が衝突して更なるデブリを生む連鎖反応が起きると、特定軌道帯が使用不能になる可能性があります。1978年にNASAのドナルド・ケスラー博士が提唱した「ケスラー・シンドローム」が現実化しつつあり、特に高度700〜1,000km帯は既にリスクが高い状態です。

ASAT実験による大量デブリ生成

中国の2007年FY-1C ASAT実験(約3,000個のデブリ生成)、ロシアの2021年Cosmos 1408 ASAT実験(約1,500個のデブリ生成)等の衛星破壊実験で、大量のデブリが生成されました。国際宇宙ステーション(ISS)も、これらのデブリ雲を回避するため、年数回のマニューバを実施しています。

デブリ除去技術

日本のアストロスケール(Astroscale)は、磁気捕獲・ネット捕獲・レーザー加減速による能動的デブリ除去(ADR: Active Debris Removal)技術を開発中。JAXAとの協働で技術実証中。ESA(欧州宇宙機関)もClearSpaceプロジェクトで2025年打ち上げ予定。

ガイドライン

UN COPUOS(国連宇宙空間平和利用委員会)のスペースデブリ低減ガイドライン、ISO 24113等が国際的な基準。日本の「宇宙活動法」(2016年)でも打ち上げ・運用の許可条件にデブリ低減が組み込まれています。

5G NTN・6G衛星統合

2020年代後半のトレンドとして、5G NTN(Non-Terrestrial Network、非地上系ネットワーク)による衛星通信の携帯電話標準化が進んでいます。従来「衛星通信は専用端末が必要」だった常識を打ち破り、通常のスマートフォンから衛星に直接アクセスできる時代に入りつつあります。

3GPP Release 17/18/19での標準化

3GPP(国際標準化団体)は5G Release 17(2022年)でNTNの初期規格化、Release 18(2024年)で機能拡張、Release 19以降で商用化を進めています。日本のNTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイルも、それぞれ独自の衛星連携戦略を発表。

Direct-to-Cell(D2C)サービス

Starlink Direct-to-Cell(2024年〜)、AST SpaceMobile、Lynk Global等が、通常のLTE/5Gスマホから衛星に直接接続するサービスを商用化中。まずSMS・音声通話から開始し、将来的にはブロードバンド接続を目指します。日本ではau × Starlink、楽天 × AST SpaceMobileの連携が進行中。

6Gの衛星・地上統合ビジョン

2030年頃の商用化を目指す6Gでは、「地上・衛星・HAPS(High Altitude Platform Station、成層圏プラットフォーム)の3層統合ネットワーク」が構想されています。衛星は地上通信網の穴を埋める補完役から、シームレスな一体ネットワークの中核へと役割が変化。

日本の宇宙政策と主要プレーヤー

日本の宇宙開発は、内閣府が策定する「宇宙基本計画」を基本方針として、JAXAを中核に民間企業・研究機関が協働する体制で進められています。2024年度の宇宙関連予算は約8,000億円規模。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)

日本の宇宙開発を担う中核機関。H3ロケット・イプシロンS(次世代小型ロケット)・SLIM月着陸機・はやぶさ2小惑星探査・だいちシリーズSAR衛星等の運用。総勢1,500人規模、年間予算約1,900億円。国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟も担当。

主要衛星メーカー

三菱電機(通信衛星・気象衛星・観測衛星)、NEC(小型衛星・SAR衛星)、IHI(ロケットエンジン)、川崎重工(H3ロケット構体)、三菱重工(H3ロケット製造・打ち上げ)、住友精密工業(衛星機構部品)、明星電気(センサー)等。日本の宇宙産業は約350社が関わる裾野の広い産業に育っています。

宇宙ベンチャーの台頭

アストロスケール(デブリ除去)、ispace(月着陸)、ALE(人工流れ星)、QPS研究所(小型SAR衛星)、シンスペクティブ(SAR衛星)、Space BD(宇宙ビジネス総合商社)、Interstellar Technologies(観測ロケット)等、2010年代後半から新興ベンチャーが急成長。政府はSBIR(中小企業向け研究開発支援)・宇宙戦略基金・SIP等で資金支援を強化しています。

種子島宇宙センター・内之浦宇宙空間観測所

日本の主要射場。種子島宇宙センター(鹿児島県種子島)はH-IIA・H3ロケット等の大型液体燃料ロケットの打ち上げを担当、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)は固体燃料ロケットのイプシロン・イプシロンS等の打ち上げを担当。北海道大樹町にも民間ロケット射場「北海道スペースポート」が整備中。

業界・現場での使い方

衛星通信事業者

サービスエリア計画、ゲートウェイ局配置設計。LEOコンステレーションでの機体数最適化、ITU-Rへの周波数申請、他衛星との干渉調整。

地球観測・リモートセンシング

撮影範囲設計、回帰周期(同じ地点を何日おきに撮影可能か)計算、衛星画像プロダクト設計、SARコンステレーションの最適軌道配置。

放送・BS/CS事業

静止衛星のフットプリント(サービスエリア)設計、EIRP(実効等方輻射電力)ゲイン設計、日本国内エリアの均一受信性能。

測位(GNSS)

GPS・GLONASS・Galileo・BeiDou・みちびき統合による測位精度向上、DOP(Dilution of Precision)評価、cm級測位サービス設計。

防災・災害対応

広域被災地の衛星画像撮影計画、災害時衛星電話・IoTデバイス(Iridium・Inmarsat)による通信確保、避難所間通信の設計。

宇宙ビジネス・投資判断

メガコンステレーションの投資対効果分析、日本の宇宙ビジネス市場参入戦略、政府補助(SBIR等)の活用検討。

実務ケーススタディ

衛星覆域を活用した代表的な3ケースを紹介します。

ケースA:Starlink日本サービス(KDDI提携)

高度550kmのLEOに約6,000機のStarlink衛星、日本上空を常時20〜30機がカバー。仰角30°以上の高仰角衛星から通信することで、大気減衰・雨滴減衰の影響を最小化。KDDIの光ファイバ網とゲートウェイ局(日本国内数箇所)を経由してインターネットに接続。月額約10,000円で下り100〜200Mbps・遅延30ms前後を実現。地方の光ファイバ未整備地域、キャンピングカー・船舶・企業のBCP対策で急速普及。

ケースB:みちびき+GPS統合による自動運転

みちびき4機+GPS 30機の統合運用により、日本上空で常時8〜12機の衛星を捕捉。CLAS(cm級測位補強サービス)を利用することで、道路白線内での正確な自車位置把握が可能に。自動運転レベル3(条件付き自動運転)の高速道路走行、農機の自動走行(月10ha級の田畑管理)、建設現場の重機自動制御等で実装が進行中。

ケースC:JAXA だいち4号による能登半島地震対応

2024年1月1日の能登半島地震(M7.6)発災後、JAXAはだいち2号(当時)を緊急運用し、発災24時間以内に高度628kmの太陽同期軌道から被災地Lバンド SAR撮影を実施。InSAR解析により地表隆起最大4m、水平変位2mを検出。地滑り・道路寸断箇所の把握、救助隊派遣ルート決定、仮設住宅建設地選定に活用され、被災地復興の重要な地理空間情報基盤となりました。

よくある間違い・注意点

  • 仰角0°で覆域を計算 — 水平線+建物や樹木で実質見えない。実運用は最低仰角5〜10°、都市部は15°以上を推奨。地上局のアンテナ設置環境で調整。
  • 地形(山岳)を考慮しない — 山影・都市キャニオンでは衛星が見えない時間帯(GNSSのマスキング)が発生。準天頂衛星が有効な理由。
  • 雨滴減衰(Ka/Ku帯)を軽視 — 高周波では豪雨で数dB〜数十dBの追加損失。降雨時は通信断のマージン設計が必須。
  • Doppler補正を無視(LEO) — LEO衛星は秒速7.7km で高速通過するため、周波数がドップラーシフトする。地上局側での動的追尾補正が必要。
  • 宇宙ゴミ(デブリ)の衝突リスク見落とし — LEO軌道帯は既に10cm以上のデブリだけで約36,000個。運用衛星は年1〜数回の回避マニューバを実施。
  • 周波数干渉の事前調整不足 — ITU-Rへの周波数登録・調整を怠ると、他衛星との干渉問題が発生。運用開始前に必ず総務省・ITU-R経由で調整。
  • 電離層擾乱を無視 — 太陽フレア・磁気嵐の影響でVHF/UHF・GNSS信号が乱れる。宇宙天気予報(NICT)の確認を運用に組み込む。
  • 衛星寿命の見誤り — LEO衛星は空気抵抗により5〜10年で軌道離脱、デブリ低減のため25年ルール(運用終了後25年以内に大気圏突入)を守る必要。

関連する規格・法規

  • ITU-R(国際電気通信連合) — 衛星軌道・周波数の国際調整
  • 電波法(総務省) — 衛星通信の無線局免許制度
  • 宇宙活動法(平成28年法律第76号、内閣府) — 人工衛星の打ち上げ・管理に関する法律
  • UN COPUOS宇宙ゴミ低減ガイドライン — 国連の非拘束ガイドライン
  • JAXA JERG-2 宇宙用電気電子機器共通仕様書
  • ISO 24113 宇宙ごみ低減要求事項
  • 3GPP Release 17/18 — 5G NTN(衛星統合)の国際標準
  • ICAO Annex 10 (航空通信) — 航空衛星通信の国際基準

※本ツールは公的基準に基づく参考計算です。周波数調整・軌道位置確保はITU登録・総務省への無線局免許申請が必要です。宇宙活動法の許可手続きは打ち上げ計画の6ヶ月〜1年前から準備する必要があります。

参考文献・公的資料

衛星通信・観測・宇宙ビジネスの詳細は、以下の公的機関・専門団体の一次資料を参照してください。

※本ページの数値・目安は公開情報を基にした参考値です。実際の衛星性能・軌道・サービス仕様は、各運用者の公式データに従ってください。宇宙活動には各国法令・国際条約の遵守が必要で、専門的な調整・許可手続きが求められます。

よくある質問(FAQ)

高度400km・仰角10°の覆域は?

覆域半径約2,200km、面積約1,500万km²(日本の国土面積の約40倍)。ただし1機の衛星が同時に全域をカバーするのは瞬間的で、90分周期で地球を1周するため同じ地点を1日6〜8回通過するのみです。

Starlinkは何機必要?

グローバルカバレッジ達成には最低約1,600機必要と言われ、実際には4,400機(第1世代計画)、最大12,000〜42,000機で高帯域・高冗長を狙います。2026年時点で6,000機超が軌道投入済み。

静止衛星は本当に止まって見える?

赤道上高度35,786kmの軌道は周回速度3.07km/s、公転周期24時間で地球自転と同期するため、地上からは静止して見える。ただし摂動で徐々にドリフトするため定期的にステーションキーピングマニューバが必要。

LEOとGEOはどう使い分ける?

低遅延・広帯域重視(インターネット、リアルタイム通信)はLEO、放送・広域カバレッジ重視・端末シンプル化はGEO。両者の中間としてMEO(O3b等)もあります。

準天頂衛星「みちびき」の役割は?

日本上空で長時間見えるQZO軌道により、GPS単独では困難な都市キャニオンでも高精度測位を可能にする。cm級測位(CLAS/MADOCA)配信で自動運転・農業機械制御に応用が進む。

Starlinkは日本でも使える?

2022年10月からKDDI提携で日本サービス開始。月額約10,000円で下り100〜200Mbps・上り10〜20Mbps・遅延30ms前後。地方の光ファイバ未整備地域で急速に普及中。

SAR衛星と光学衛星の違いは?

SARはマイクロ波を照射する能動センサで昼夜・雲天候を問わず観測可能、光学衛星は太陽光反射を捉える受動センサで夜間・悪天候では機能しない。防災・軍事用途ではSARの優位性が高い。

宇宙ゴミは本当に危険?

LEO軌道帯で10cm以上のデブリだけで約36,000個。運用衛星やISSは年1〜数回の回避マニューバを実施。特に高度700〜1,000km帯は既に「ケスラー・シンドローム」リスクが高い状態です。

5G衛星通信でスマホから直接繋げる?

2024年からStarlink Direct-to-Cellが商用化開始。当初はSMS・音声通話中心、将来的にブロードバンド接続へ拡大予定。KDDI(au)・楽天モバイル等が国内でサービス連携中。

衛星の耐用年数は?

LEO衛星は空気抵抗で5〜10年、GEO衛星は摂動補正燃料で15〜20年が一般的。運用終了後は「25年ルール」により大気圏突入または墓場軌道への移動が国際規範。

日本の宇宙ビジネス市場は?

内閣府「宇宙産業ビジョン2030」では、2030年に1兆2,000億円の市場規模を目指す。JAXA関連企業(三菱電機・IHI・NEC)に加えて、アストロスケール・ispace・QPS研究所等の新興ベンチャーが急成長中。

宇宙活動の許可はどう取る?

宇宙活動法(2016年)により、内閣府への申請が必要。人工衛星の打ち上げ・管理・落下措置の許可を、打ち上げ計画6ヶ月〜1年前から準備する必要があります。